4月18日(火)
トレーナー寮からトレセン学園に歩いていき、トレセン学園の正門をくぐるとそこには俺を待っていたかのようにスペシャルウィークが立っていた。
「おはようございます、トレーナーさん‼︎」
ボンジュール!
誰だっけ?
→おはよう
「おはよう」
「トレーナーさん!トレーナー室と私の教室近いので一緒に仲間で行きませんか?聞きたいこともありますし…」
「いいぞ」
「ありがとうございます、では行きましょうか!
俺とスペシャルウィークは自分の行くべき場所まで一緒に向かう事した。向かう途中、スペシャルウィークは俺が異世界で出した"化身"についてを聞いてくる。
「トレーナーさんが異世界で出した化身みたいなものって何なんですか?」
「俺にも分からない。けど、"ペルソナ"というワードを声にして発したらあの化身が出た」
「"ペルソナ"が何なのかは分かりませんが、"ペルソナ"ってワードを言ったらあの化身が出て来たって事みたいなのであの化身は"ペルソナ"って呼ぶ事にしましょう!」
「そうしよう」
「ところで、あの城…結局何だったんでしょうか?」
「大まかに言えば"異世界"だろう…だが、よく分からない。また行ってみてあの城が何なのかを突き止めてみるか?」
「えぇっ⁉︎あの城が何なのかを突き止めたい気持ちは私にもありますが、正直怖いです…」
「大丈夫。俺が守ってやる」
「ト、トレーナーさん…!」
「今日は体育館が他のウマ娘達のトレーニングで使われるから行くのは明日の放課後のトレーニングの時間だ」
「分かりました!」
「んじゃ、トレーナー室に着いたし、俺はこれで」
「はい、またトレーニングの時間に!」
俺とスペシャルウィークは明日の体育館が空いている放課後のトレーニングの時間にまたあの城に行く予定を立てる。VRウマレーターは行方不明が出てから使用禁止となっているので体育館に人やウマ娘がいると使えないのだ。
俺は扉を開いてトレーナー室の中へ入る。中へ入ると、そこはトレーナー室ではなく、薄暗い校長室みたいな場所でその中には金髪の女性と鼻の長い老人がいる。
「ようこそ、我がベルベットルームへ…私の名は、イゴール。…お初にお目にかかります」
老人はイゴールという名前のようだ。イゴールは続けて隣にいる女性の名を言う。
「こちらはアメリア。同じくここの住人だ」
「アメリアでございます。お見知り置きを」
よく分からないが、ここは今、"ベルベットルーム"という場所でここにはイゴールとアメリアが住んでいるらしい。
「ここは一体…?」
「ここは夢と現実、精神と物質の狭間にある場所…何らかの形で契約を果たした者のみが訪れる部屋」
「って事は俺は今、眠っているのか?」
「左様…今の貴方は眠りについている」
「扉を開けて中に入っただけなのに…自分の脚で来れる方法はないのか?」
「ほう…ならば、この、"契約者の鍵"をお渡し致しましょう」
俺はイゴールから契約者の鍵を受け取る。
「またお会いしましょう…」
イゴールは俺に鍵を渡した後、そう言う。イゴールがそう言うのと共に俺の視界は暗くなっていき、気がつくとトレーナー室の床で倒れていた。
「トレーナーさん‼︎大丈夫ですか⁉︎」
「スペシャルウィーク…すまん、俺倒れていたみたいだな」
「私が教室へ行こうとしたら急に倒れるから何事かと思いましたよ!」
「すまん、すまん。んじゃ、今度こそまた後でな」
「はい!」
俺は自分の教室へ向かうスペシャルウィークを見送ってから再びトレーナー室へ入る。
「ベルベットルーム……か。あの城の事知ってそうだし聞けばよかったなぁ…」
俺はそう言いながらいつものようにデスクワークを始める。ノートパソコンを開くと画面にはまた激安VRウマレーター販売のページが開いていた。
「またかよ…鬱陶しいな」
激安VRウマレーターのページを消してから仕事を始める。今日はスペシャルウィークが出走するメイクデビューの相手のウマ娘の能力の分析と3時限目に歴史の授業を行う。
「……セイウンスカイとやらには気をつけたほうが良さそうだな」
セイウンスカイというウマ娘も今回のメイクデビューに出走するらしい。俺は3時限目までの時間をセイウンスカイについての情報収集で費やす。
「ふぅ…おっと、もうすぐ授業だな。行かなければ…」
俺は教えるのに必要な歴史に関する資料を持ってスペシャルウィークの教室へ向かう。
教室へ行くと、スペシャルウィークを含め、30人くらいのウマ娘がいた。その中にはセイウンスカイもいる。
「授業始めるぞ〜」
俺は教壇から全員を見るが、眠たそうな顔をしていたり、授業には興味なさそうな顔をしている者ばかりだ。
それから授業を始めて約30分…スペシャルウィーク以外のウマ娘達は寝ていたり、隣のウマ娘と話している。教卓近くの席で話しているウマ娘達の会話が耳に入る。その内容は俺にとって興味深いものだった。
「ねぇ、最近行方不明になってる子って誰だっけ?」
「えっと……あれ、誰だっけ?」
「顔は分かるんだけど、名前が思い出せないんだよね…」
「それな」
行方不明になってるのはグラスワンダーだ。皆、グラスワンダーとは同クラスで名前も知っているはずなのに思い出せていない。
授業の終わりまであと20分くらいあったが、俺はその20分の間、ウマ娘達が話していた会話の内容が頭から離れずにいた。授業が終わった後、すぐにスペシャルウィークの元へ向かった。
「スペシャルウィーク、行方不明になったのはグラスワンダーだよな?」
「トレーナーさんは覚えてましたか!良かったぁ…トレーナーさん聞いてくださいよ、皆グラスちゃんの名前を忘れているんですよ!酷くないですか⁉︎」
「早くグラスワンダーを見つけないとな」
「そうですね!私達で見つけましょう!」
俺はスペシャルウィークにそう言い、教室を出てトレーナー室へ戻る。そこからはセイウンスカイ以外の相手を調べたりして放課後までの時間を過ごす。…はずだったが5時限目の時、エルコンドルパサーが焦った顔をしながら俺のトレーナー室へ来た。
「スペちゃんのトレーナーさん!」
「焦った顔をして……何があったんだ?」
「スペちゃんがいないんです!」
「何っ⁉︎」
グラスワンダーに続いてスペシャルウィークも行方不明になったようだ。事態を聞いた俺はスケジュール表で体育館が空いているのを確認してエルコンドルパサーを置いて体育館へと向かう。
その道中、学校の清掃員の人に出会う。
「氷室トレーナー、急いでるみたいですがどうしたんですか?」
「あ…あぁ、実は体育館に忘れ物しちゃいまして…それを取りにいくんです!……ってあなたは誰⁉︎」
「おっと、名乗るのを忘れてました…僕は
「よ、よろしくお願いします!では、わたしはこれで!」
俺は火山という名前を聞いた後、世間話をする間もなく駆け足で体育館へ再び向かう。体育館には幸い、誰もいない。俺はVRウマレーターの置かれている場所へ行き、VRウマレーターを装着してまた異世界へと行く。
異世界に着いた俺だが、着いた場所には城ではなく、お菓子の住宅街があった。
「何でお菓子の住宅街なんかあるんだ?」
俺は疑問に思いながらもお菓子の住宅街を進んでいくと、奥の方にスペシャルウィークがいた。……がよく見てみるとスペシャルウィークが2人いる。
「スペシャルウィークが2人⁉︎」
俺は駆け足でスペシャルウィークの元へ向かっていき、声をかける。
「スペシャルウィーク‼︎」
「フフ…来たようね」
「スペシャルウィークみたいな君は何者だ?」
「私はスペシャルウィークの理想から作り出されし者にしてこのお菓子住宅街の管理人・エンドレス・イーター」
マッドハッターのような姿や化粧をした偽スペシャルウィークは自らの事をエンドレス・イーターと名乗る。
「お前の目的は何だ⁉︎」
「目的も何も私は
「何だと…⁉︎」
俺はその話を聞きながらスペシャルウィークの方へ目を向ける。スペシャルウィークは無我夢中にお菓子を食べ続けている。
「スペシャルウィーク‼︎君、こんな"理想"にすがってていいのかよ⁉︎」
「いいんですよぉ…私はずっと食べ物を食べ続けていたいです」
スペシャルウィークは自分の"理想"に囚われてしまっている。俺は何かスペシャルウィークの目を覚まさせるワードがないかと考えた時、"約束"というワードが思いつく。
「そ、そうだ。スペシャルウィーク、君は誰かとの約束を果たすんじゃないのか?"理想"に囚われたままではその約束は果たせないぞ!」
「やく……そく…?」
約束というワードを発した瞬間、スペシャルウィークの垂れていた耳がピクッと立つ。どうやら本当に誰かと大事な約束をしていたようだ。
「そうだ…私、お母ちゃんと約束したんだ!日本一のウマ娘になるって‼︎」
「ほう…しかし、ここで暮らせば生涯食べ物に困る事はないぞ?」
「こんな理想は………いりません‼︎」
「だったら力づくでも来てもらうとしよう…!」
スペシャルウィークが理想を打ち払うと、エンドレス・イーターはマッドハッターのような姿から箒に乗り、貴族の仮面を被った魔女へと姿を変える。
「あわわわ…トレーナーさん助けてください!」
「任せろ。こい、フウキ!」
俺はスペシャルウィークを自分の後ろに下がらせてから"星"のペルソナであるフウキを召喚する。
「吹き飛ばせ、ガルーラ‼︎」
俺は召喚しているペルソナのフウキに風魔法であるガルーラを繰り出すよう指示する。
「ぐっ…お前は邪魔をするなぁぁ!!」
エンドレス・イーターはそう言いながら俺ではなく後方のスペシャルウィーク目掛けて攻撃呪文を飛ばす。俺はその攻撃呪文を防ごうとしたがあと少し届かず、攻撃呪文がスペシャルウィークへ向かっていく。
「スペシャルウィーク避けろ‼︎」
「えっ…あっ、うわぁ⁉︎」
我は汝、汝は我…
理想という名の誘惑を打ち破りし汝よ…
今こそ双眸を見開きて…発せよ!
「この声は⁉︎………ペルソナ‼︎」
スペシャルウィークは"ペルソナ"というワードを発するのと共に自分のペルソナを召喚する。
「日本一を掲げし安泰の守護者・モモタロウ!私に力を貸してください‼︎」
スペシャルウィークのペルソナは"モモタロウ"という名前らしい。スペシャルウィークは早速、自分のペルソナでエンドレス・イーターを攻撃していく。
「断ち切ってください、モモタロウ‼︎」
「ぐほぉ…まさか、覚醒するとはな…」
モモタロウの刀による2回斬りがエンドレス・イーターにヒットする。エンドレス・イーターが怯んでいるのを見て俺は畳み掛けるように攻撃を仕掛ける。
「最後はお前だ。決めろ、イフリート‼︎」
俺はイフリートの鋭い爪でエンドレス・イーターを深く切り裂く。エンドレス・イーターはそれが致命傷になったのかその場に倒れ込む。
「はぁ…はぁ…スペシャルウィークよ、理想はいらぬのか?」
「いらないわけじゃないです……けど、お母ちゃんと交わした約束を忘れるくらいの理想なんか持ちたくないです」
「そうか、そうか。理想という名の誘惑を打ち破って強さを得たスペシャルウィークよ、お前の今後に期待…して……いるぞ」
エンドレス・イーターは最後、スペシャルウィークを認めてから消えていった。
「よくやったな。スペシャルウィーク」
「いえ、目覚めさせてくれたのはトレーナーさんです!トレーナーさんに感謝します!」
「…で、このままグラスワンダーのところに行くか?」
「行きましょう!グラスちゃんを助けてあげなきゃ………うっ…」
スペシャルウィークは疲労であまり動けなくなっている。
「日を改めてまた"あの城"へいくことにしよう。ほら、俺の背中に乗れ!」
「はい、ありがとうございます…トレーナーさん」
俺はスペシャルウィークを背中に背負って異世界から出ていく。今回も本を使って異世界から出たのだが、本には城の隣の白紙のページにお菓子の住宅街の絵が描かれていた。
「スペシャルウィーク、ここからは歩けそうか?」
「はい、大丈夫です…」
俺は放課後のトレーニングを無しにしてスペシャルウィークを栗東寮前まで運んだ。VRウマレーターのある場所にいた事がバレずに体育館を出るのが非常に難しかったが…
「それじゃまた明日な」
「あ、待ってください!」
「どうした?」
「呼び方…スペシャルウィークじゃないほうがいいです…」
「なら、なんて呼べばいいんだ?」
「トレーナーさんが決めてください!」
食いしん坊
あげない人
スペ大将
→スペ
「スペ」
「スぺって……略しただけじゃないですか!」
「まぁ、略しただけの呼び方だとしてもフルで呼ぶよりは仲が深まってるだろ」
「ふふっ…確かにそうですね」
俺は今度からスペシャルウィークをスペと呼ぶ事にした。スペは自分の呼び方を変えてもらって満足げな様子だ。
「それじゃ、今度こそまた明日な」
「はい、また明日!」
4月19日(水) イベント:"戦車"コミュ
19日の昼休み、俺はエルコンドルパサーに昨日のお礼を言いにいっていた。
「エルコンドルパサー昨日はスペの事教えてくれてありがとう」
「当たり前の事をしただけデ〜ス!」
「エルコンドルパサーがいなかったらどうなっていた事やら」
「喜ばせ上手デスネ〜……あ、そうだ!スペちゃんのトレーナーさん!連絡先交換しませんか⁉︎」
「いいぞ」
「アリガトウゴザイマース‼︎」
我は汝…、汝は我…
汝、新たなる絆を見出したり…
絆は即ち、まことを知る一歩なり。
汝、"戦車"のペルソナを生み出せし時、
我ら、更なる力の祝福を与えん…
「さてと、ワタシはそろそろ教室に戻りマス!チャオ〜」
エルコンドルパサーはそう言ってグラウンドから去っていく。グラウンドにいる俺はセイウンスカイが珍しく練習しているそうなのでセイウンスカイの走りを見学していく事にするのだった…