4月22日(土)
翌朝、目が覚めた俺は枕の下に置いてあるスマホを手に取り、時間を見る。現在は9:49だ。1時間前くらいのLINEの通知がある…こんな早くに誰だろう?と思いながらLINEアプリを開く。メッセージの送り主はグラスワンダーだった。
部屋でゆっくり休みたい気持ちもあったが、グラスワンダー、スペと出かけた方が充実するしお互いの中も深まると思い、出かける事にした。
11:25.......
学園前に行くと、既に2人の姿があった。2人はスマホの画面に集中していて近づいてくる俺に気づかない様子…
→おはよう
おいっす〜!
hello.
「おはよう」
「あっ、トレーナーさん‼︎おはようございます!…といってももう昼近くですが…」
「おはようございます、トレーナーさん」
スペは明るく、グラスワンダーはおしとやかな感じで挨拶を返してくれた。
「で、今日はどこに行くんだ?」
「鎧や武器、薬などの調達をしにいきます」
「薬局はあるかもしれないが、ここの辺りに鎧や武器を取り扱ってる店なんてあるのか?」
「ありますよ、私が案内するのでスペちゃんとトレーナーさん付いてきてください」
俺とスペはグラスワンダーの後ろを歩いていく。最近ここに来たばかりの俺にはまだ分からない町の商店街。グラスワンダーは商店街の目立たない道を進んでいき、その道の果てにある和風の建物の前で止まる。店の建物の看板にはサムライソウルと書かれていた。これが店の名前だろう。
「着きましたよ」
「中へ入ろうか」
サムライソウルという店に着いた俺たち3人は早速、店の中へ入る。
店の中には強面の店主がいた。グラスワンダーは店主の元へ近づいていき、挨拶をする。
「店主さん、前に頼んでいた薙刀は完成していますか?」
「おうよ!これがお嬢ちゃんが頼んでた"無敗の薙刀"だ!」
「ありがとうございます!」
グラスワンダーが店主から受け取った薙刀からは力強いオーラみたいなのを感じる。
「あと、お二人に合いそうな武器も用意出来ますか?」
「お嬢ちゃん、その分の料金も払う事になっちまうけどいいのか?」
「いいですよ。だって払うのはこの方ですから…」
グラスワンダーはそう言いながら意味深な笑顔で俺の方を見る。
→お前が払え
…払います
やっぱ要らない
言おうとしたが、"度胸"が"大胆不敵"でないと言えない……
お前が払え
→…払います
やっぱ要らない
「…払います」
「トレーナーさんありがとうございます‼︎」
スペが瞳をキラキラさせながら俺に感謝している。
スペとはもう少しで仲が深まりそうだ……
俺とスペの分の武器を頼んでから少し経った後、店の奥に行っていた店主が戻ってきた。
「おまたせ。アンタは鎌でもう1人のお嬢ちゃんには杖だ…杖といっても一応、ここの杖は打撃用だが…」
「ありがとうございます、代金はいくらくらいになりそうですか?」
「6万くらいだな」
「…………えっ?(所持金 6万8000円)」
武器の代金を聞いて俺の頭の中が一瞬、真っ白になった。ここに来る費用や食費などで所持金があまりない俺は財布に大ダメージを受ける。
だが、これでなんとか敵と戦う武器は手に入れた。防具は所持金不足で買えなかったが……
その後、サムライソウルの店を出た俺たち3人は商店街から出て、少し離れた場所にあるドラッグストアへ向かう。
ドラッグストアに向かう道の途中、反対側からトレセン学園のジャージを着たウマ娘が歩いてくる。
「あっ、ネイチャさん!」
「スペじゃん!今日はお出かけ?」
「はい、トレーナーさんとグラスちゃんと私の3人でお出かけしていて今からドラッグストアに行きます!」
「そっか、そんじゃお出かけ楽しんで!」
「はい‼︎」
2人の会話が終わり、ドラッグストアに向けて再び歩き出す。
「スペ、さっきのウマ娘は誰なんだ?」
「ナイスネイチャさんです!」
「なるほどな……」
俺は関わらないであろう生徒でも顔と名前くらい覚えておきたいと思い、ナイスネイチャも覚える事にした。
頭の中にナイスネイチャの名前と顔を覚え込ませた後、スペに話しかけようと、スペの方を見るとそこにスペの姿はなかった。
「スペ⁉︎一体、どこへ……」
「トレーナーさん」
スペがどこに行ったのか探しに行こうとするとグラスワンダーが軽く俺の肩をポンポンと叩く。グラスワンダーの方を見るとグラスワンダーは自分の正面の方へ指をさしている。指をたどった先を見るとそこにはたい焼き屋があり、たい焼きを買うための列に並ぶスペの姿があった。
イベント: "剛毅"コミュ
「そういえばトレーナーさんの出身地はどこなんですか?」
「中日本の方だ」
「なるほど……
「ちなみにグラスワンダーはどこ生まれなんだ?」
「アメリカです」
「そうなのか⁉︎」
グラスワンダーがアメリカ生まれだと聞いた俺は驚く。グラスワンダーの佇まいからはアメリカ生まれだとは分かるはずがない。
「……でも、中央トレセン学園へ来れて本当によかったです。一緒にいて楽しい友人や先輩方、それに私を助けてくださったトレーナーさんと出会えたんですから…」
「俺もグラスワンダーと出会えてよかった!」
「ふふっ…///」
グラスワンダーはわずかに顔を赤くしながら、微笑んでいる…
グラスワンダーと仲が深まった気がした…
"剛毅"のコミュがランク"2"に上がった。"剛毅"のペルソナを生み出す力が増幅された!
「トレーナーさん、グラスちゃん!たい焼き買ってきたよ〜‼︎」
スペが三人分のたい焼きを買ってこちらへ戻ってきた……が、三尾のたい焼きのうち一尾だけものすごく大きい…
「スペ、この大きいたい焼きは誰のだ?」
「私の…ですけど?」
「こっ、こんなに食べれるのか⁉︎」
「はい、お腹空いてますし」
ウマ娘といえど運動能力を除けば普通の女の子、こんなに食べれるはずがないと俺は思ったが、それに反してスペはパクパクと巨大なたい焼きを食べていく。
スペが食べている巨大なたい焼きを俺が食べ切るには"根気"が"筋金入り"、"知識"が"広め"くらい必要だ。
「さてと、たい焼きも食べ終わったことですし、ドラッグストアへ向かいましょう」
「…今思い出したんだけど、確かタキオンさんが薬扱ってなかった?」
「扱ってはいるけど…タキオンさんのトレーナーさん会うたびに全身が光ってるし……怪しい薬しかないきがする…」
グラスワンダーとスペの会話を聞いたところ、アグネスタキオンというウマ娘が薬を取り扱っているらしい。それなら薬にかかる費用を抑えるためにアグネスタキオンに薬の調達をお願いするのもアリだと俺は考える。
「怪しい薬しかないかどうかは置いといて、とりあえず今度の月曜日の放課後にアグネスタキオンの元へ行こう」
「……どうなっても知りませんからね」
アグネスタキオンに対して警戒気味のグラスワンダー。アグネスタキオンのところへはスペと俺の2人で行く事にしよう…
「あっ、そういえばチーム名って決めましたか?」
「いや、まだだ」
「なら、近くの公園のベンチに座って3人で話し合って決めましょう!」
「そうだな」
俺たちはチーム名を決めるために公園へ行き、3人用のベンチに座る。
「さてと…チーム名を考えるか。誰か何か案があれば出してくれ」
「はい‼︎私はチーム・キャロットが良いです!」
「スペらしい案だな……悪くはない」
スペが案として挙げたのはチーム・キャロット。単純ではあるが、決して悪くはない、候補に入れておこう。
「私はチーム・武神が良いと思います」
グラスワンダーはチーム・武神が良いと言う。個性的だが、名前としては強そうな雰囲気があるので一応、これも候補に入れる。
そして最後は俺の考えたチーム名……
→チーム・ウィンクルム
チーム・キクウシ
チーム・ビショクデン
「チーム・ウィンクルムだ。ウィンクルムは絆という意味で俺たちは共に戦い、時にはライバルとして争って真の絆というのを見出したい…そんな想いを込めてこの名前を考えた」
俺の考えたチーム名を聞いて2人がどんな顔をするのか心配だったが、2人ともこの名前に納得している様子で安心した。
「良い名前ですね…私が考えたチーム名も我ながら良いとは思ってはいましたが、トレーナーさんのは私のを上回ってきましたね」
「私もグラスちゃんと同じです。なんかトレーナーさんの考えたチーム名聞いたらなんか、そのチーム名の方が良い気がしてきました!」
どの候補が一番良いのかを聞く前に2人は俺の考えたチーム名が良いと言う。満場一致であるのならチーム名はこれで決まりだ。
「2人ともこのチーム名で良いって事だな。よし、今日から俺たちはチーム・ウィンクルムだ!」
チーム名が決まり、今日から俺とスペとグラスワンダーのチームとしての活動が始まったのだった…
4月23日(日)
料理スキルのない俺はカップラーメンを買いに商店街の近くにあるコンビニへと出かける。数分ぐらい歩いたところでコンビニが見えてきた。ふと、コンビニの入り口を見るとウマ娘がコンビニの中から出てくる。
あのウマ娘は確か……ナイスネイチャ。名前を思い出すのと同じくらいのタイミングでナイスネイチャと目が合う。
「アンタは確か、スペとグラスのトレーナー…お昼ご飯でも買いに来たの?」
「カップラーメンが無くなったからコンビニに買いに来たんだ」
「カップラーメン⁉︎ちょっ、もしかして毎日それしか食べてないの⁉︎」
「そうだが…?」
「えぇっ⁉︎そりゃダメですよ…」
ナイスネイチャは俺の食生活を聞いてすごく驚いている。俺はナイスネイチャの驚く様子を不思議に思ってしまう。正常な食事をしていれば不思議に思う事などないだろう。
「はぁ……アタシが手作り料理作ってあげましょうか?」
「平日の昼は食堂で食事するから大丈夫だぞ?」
「それ以外の時です…とりあえず、来週の土曜日の夜にトレーナーさんの寮の部屋にお邪魔しますね」
「分かった」
我は汝…、汝は我…
汝、新たなる絆を見出したり…
絆は即ち、まことを知る一歩なり。
汝、"節制"のペルソナを生み出せし時、
我ら、更なる力の祝福を与えん…
「んじゃ、そろそろ家に帰らないといけないのでアタシはここら辺で失礼しますね〜」
ナイスネイチャはそう言い、俺の前から去っていった。ナイスネイチャの手料理、楽しみだ…!