サスケはアレルの手を見つめながら、オルテガから伝え聞いた事を語りだした。
「オルテガさんはネクロゴンドの火口にて、バラモス配下ヒドラと戦い、武運つたなく敗れ火口に落ちたそうでございます。これはオルテガ様の従者殿がアリアハンに報告した内容と同じでございますが、オルテガさんは溶岩の中には落ちなかった」
「では…サスケさんと同じように?」
「そうです。オルテガさんも気がついたら、このアレフガルドの地に倒れていたそうです。私はマイラの村のほど近くで、オルテガさんはメルキドの近くに倒れていたと聞きました」
サスケは次に両手を揃えて見せてほしいと要望した。アレルは両の手のひらをサスケに見せる。
「オルテガさんは、しばらくメルキドでモンスター退治をしつつ腰を落ち着け、やがてゾーマの存在を知りました。自分が倒したいと切望しているバラモスも、そのゾーマの手下にすぎない。またこのアレフガルドの惨状に怒りも覚えたのでございましょう。オルテガ様がゾーマを倒したいと望むに、さほどの時間は要しなかったそうです。そして優れた武器を求めて私の元を訪れた次第ですが…」
サスケはアレルの両手を離した。彼の頭の中では、もう剣の柄の形は出来ているであろう。オルテガがマイラに来てからの様子は先刻に聞き、アレルも知っている。彼が知りたいのは父がマイラから発った後のことである。
「サスケさん。それから親父がどこへ行ったかは…」
サスケは首を振る。
「残念ながら…」
「そうですか…」
「…実を言うと、私はオルテガさんに旅に連れて行ってほしいと要望したのですが、残念ながら断られました。私もそれなりに武の腕には自負していますが、オルテガさんから見れば私は未熟者。『貴公の優れた鍛冶技術を、魔物相手に散らせるわけにはいかぬ。アレフガルドには一流の戦士はいても、一流の鍛冶屋はいないのだ』と諭されましてね。それ以後は、いっそう気合を入れて武器作りに励んでいますよ」
『未熟者』。そうサスケは言う。しかし、彼の筋肉質な体と強者のみが持つ雰囲気のようなものを鑑み、彼が武人としても一流である事はアレルにも分かる。
父オルテガにとっても、心強い仲間となったはずである。しかし彼は連れて行かなかった。やはり鍛冶職人としてのサスケの力を惜しんだからと、アレルも考える。もし、オルテガが武運つたなくゾーマに倒されたとしても、いつか必ず彼の意思を継ぐものが現れる。その者にとって、サスケの作る武器が不可欠になるはずである。オルテガが言うように、この地に一流の武人は他にいても、一流の鍛冶職人はいない。だからオルテガは連れて行かなかったのかもしれない。万が一にでもサスケが魔物に倒されないために。
アレルがサスケに手を見せるため、いったん床に置いた盾。サスケはそれをひろい、改めてアレルに渡した。
「この盾の銘。たった今、私が『勇者の盾』と銘々させていただきます。どうぞ」
「サスケさん…」
アレルも改めて両手で受け取った。
「さあ、アレルさん、そろそろ行かないとお仲間の方たちがシビレを切らしちゃいますよ。剣は安心して亭主に任せて下さい。用が済んだら、今日も泊まりに来てくださいね。よい肉と魚を仕入れておきますから」
「はい! 楽しみにしていますよ!」
ヨシリーの言葉に、アレルは笑顔で答え、サスケの工房を後にした。ヨシリーとサスケは宿の出入り口で、アレルの姿が見えなくなるまで見送っていた。
「ふう、責任重大だね。アンタ」
ヨシリーはサスケの肩をポンポンと叩いた。
「ああ。しかしすまんな。金にならない仕事を入れてしまって」
「何言ってんの。『勇者の剣』だよ。ゴールドの問題じゃないさ。自分の亭主がそんな大仕事やるかと思うと、何だかワクワクするよ」
「ああ、俺もワクワクする」
マイラの村、入り口近くの厩舎にて、パーティーはアレルの来るのを待っていた。
「ふう、遅いねアレル。だいたいサスケさん、アレルの手を見てどうしようってんだろ」
少し待ちくたびれたマリスがぼやいた。その疑問にいろはが答えた。
「アレルの剣の柄の長さや太さ等を割り出すためだと思います」
「そこまでやるの!?」
「ええ。そう聞いています」
「なーるほどねえ。まさにアレルのために、この世に生を受ける剣ってワケだ」
カンダタは思わず、自分の武器である『魔神の斧』の柄を見てしまう。
「お、ウワサをすれば」
アレルが駆けてくる姿を見たホンフゥは自分の馬に乗った。ガライも馬車の御者の位置へと上がった。
「ハアハア、ワリィお待たせ」
「遅い! 私といろはと云うきれいどころを待たせるなんて、十年と八ヶ月早いっての!」
マリスはアレルにアッカンベをしながら、自分の馬に乗った。昨日の温泉でのイチャイチャぶりを思うと少しギャップを感じてしまうアレルであった。
「ん? 何だアレル。その盾」
カンダタが聞いてきた。
「ああ、これ、サスケさんからもらった『勇者の盾』だよ」
「でも、その紋章…ラーミアですよね…サスケがラーミアの紋章を知っていたのですか?」
いろはの質問にアレルは言葉が詰まる。
「まあ…話せば長くなるんだけどさ」
「さー、行きましょう!」
ガライが馬車の馬にムチを当てた。
「…だから聞けってんだよ。人の話…」
パーティーはマイラの村から、かつて対ゾーマのためにラダトームが建築した塔へと向かった。その塔の最上階にはルビスが封印されている。いろははネリーから託された『妖精の笛』をギュッと握った。
「ラーミアの紋章が盾に浮き出た…と云うのですか?」
行軍中、アレルは『勇者の盾』について仲間たちに説明した。
「まあ、いくらいろはでも、実際に見なければ信じられないよな。俺だって信じられなかったしよ」
「いえ、その紋章は紛れも無くレイアムランドにあったラーミアの神殿にて見たもの。サスケがその紋章を知っているわけがありませんから…。それにしても不思議な事があるものです。アレルも驚いたかもしれませんが、サスケや奥さんはもっと驚いていたでしょう」
「ああ、ぶったまげていたよ」
塔に向かう行軍の中、パーティーは数度に渡りモンスターに攻撃を受けたが、経験を積んだ彼らの敵ではなかった。しかも、アレルの持つ勇者の盾は防御力に優れ、アレルのみならず、防御力の乏しいマリス、いろはをよく守った。何よりどんな攻撃を受けてもキズひとつ付かなかった。
特別、サスケが宝のような金属で作ったわけではない盾ではあるが、ラーミアの紋章が象られたと同時に命をも宿ったのか、鉄壁の守りを見せ、かつ突進してくる敵に対しては強固な打撃の道具としても活躍した。
やがて塔が見えてきた。
「さて、いよいよか。この世界に来て始めての迷宮だな」
塔の最上階をアレルは見上げた。
「いろは、『妖精の笛』、持ったか」
「はい」
「よし、先頭は俺。次にホンフゥ、いろは、マリス。そしてカンダタはしんがりを頼む」
「分かった」
ホンフゥは拳をボキボキと鳴らし、カンダタは魔神の斧を肩に担いだ。
塔の入り口脇で全員の馬の手綱を馬車に結び終えたガライがアレルに駆け寄ってきた。
「アレルさん。私も連れて行ってはもらえませんか」
「だめだ。『銀の竪琴』が効果なければ、ガライは自分の身を守る事はできないだろう。この塔にそれなりのモンスターがいるのは、気配で分かる。とてもガライを連れて行くゆとりは無いよ」
「……」
「ガライ。この国で生きる貴方がルビスと会いたいと云う気持ちは分かります。しかし戦いの心得の無い人を連れて行くのは、我らにとっても危険な事。アレルの言に従って下さい。留守を務めるのも大事な役目です」
「いろはさん…」
確かに塔の外ならば、ガライの持つ『銀の竪琴』で、魔物を退けられ、いろはたちの馬車や馬も守る事はできる。軽視してよい役目ではないのはガライも分かるが、信心深いガライにとってはルビスと会える千載一遇の好機。中々にあきらめることはできないが、ここはいろはの言葉が正しい。
「分かりました。後でルビス様にどんなお言葉をいただけたのか、教えて下さいね」
「ええ、ちゃんと記録しますので大丈夫です」
「よし、では行くぞ」
アレルが塔の入口の扉を開けた。マリスがすぐにリレミトの確認をする。
「大丈夫。リレミトをかき消す結界はないよ」
「うん。ではまず、上に行く階段を探そう」
パーティーがアレフガルドに来て、最初の迷宮である塔。幸いにして巧妙な罠などは仕掛けられてはいないものの、パーティーに襲い掛かるモンスターは強者ばかり。ルビスまでの道のりは険しい。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
一方、ガライもいろはたちの馬車を守るのに、必死だった。
「聴け。我が『銀の竪琴』の調べを~」
馬車の中には、強力な武具や、魔物に奪われたら厄介なアイテムも存在する。ガライは『銀の竪琴』をフル活用して、それを守った。『銀の竪琴』の効果は絶大であり、迫り来る魔物も、その調べを聴くと同時に、猫撫で声を出して、その場から去っていった。
「ふう、今ので六組目か。残ってよかったな」
ガライは額の汗を拭ったころ、塔の中腹から、爆発音のような物が聞こえてきた。おそらくマリスのギラ系呪文が炸裂した轟音であろう。
「皆さん、がんばってください」
塔を見上げるガライの背後に静かに忍び寄る影がある。バルログである。剣とムチを手にガライに悟られないよう近づく。
「キシャア!!」
「ハッ!?」
バルログの剣がガライを襲う!!
シュッ!
斬られたのはガライではなかった。バルログの首が地面に落ちた。死の恐怖から、目をつぶっていたガライの耳に、剣が鞘に収まる金属音のようなものが聞こえた。
「大丈夫かい」
「え…?」
声の主は、腰を抜かしかけ、座り込んでいたガライに手を差し伸ばした。
「いろはたちは、塔の中?」
「え、ええまあ」
「そう」
いろはたちの前には、アームライオン属最強と言われるラゴンヌが立ちはだかっていた。
「一体だけでも厄介なのに…三体…」
ここは最上階より一階下のフロアである。ようやく、その階で上に登る階段を見つけ、さあ登ろうと云うとき、三体のラゴンヌが現れた。塔に入って、単体で出てくるラゴンヌはどうにか退けたが、この三体のラゴンヌは、三身一体の攻撃を仕掛けパーティーは翻弄された。巨体にもかかわらず、その俊敏な動きは脅威であった。マリスは動きを遅くするボミオスを唱えたが効果は薄かった。
アレルはパーティーを前三人、後二人の陣形を執った。獣のような素早さを持つラゴンヌはアレルやホンフゥの一撃が入る前に間合いから逃げてしまう。呪文で仕留める作戦を執り、いろはとマリスを包むようにアレル、ホンフゥ、カンダタは円陣を組み、その中でいろは、マリスは背中を合わせ、互いの背後の死角をなくした。
ラゴンヌは五人を囲むように動きまわり、そして同時に鋭い爪で攻撃してくる。隙はない。しかし、
「だいたいパターンは読めたな。次の攻撃をしのいだら行くぞ」
アレルはラゴンヌの攻撃に一定の法則があることを掴んだ。
「やつらは同時に攻撃を仕掛けるとき、わずかだが動きを止める。その時、やつらの足元を狙うんだ。まずはあの素早い三身一体攻撃を封じないとな」
パーティーは首を縦に降ろした。そしてラゴンヌ三対の鋭いツメがパーティーを襲う!
「きます!」
どれだけ凄まじい一撃でも、その直前に動きが止まるラゴンヌの攻撃は弾き返すことは不可能でも避ける事はできた。
「今だ!」
アレル、ホンフゥ、カンダタは三体のラゴンヌの片足を狙い、斬撃と拳撃を繰り出した。
「グギャアアア!!」
動きを司る足の腱を切り裂いた。それと同時にいろはとマリスの攻撃呪文が炸裂した。
「イオナズン!!」
「バギクロス!!」
「ギャハアアア!!」
ラゴンヌ二体がそれで沈んだ。だが死ぬ間際、ラゴンヌは生きている仲間にベホマを唱えた。生き残ったラゴンヌは足の傷が癒え、その上に仲間が殺された事で逆上した。灰色の体が緑色へと変わっていく。
「な、何だ!? どうなってんだ!? ラゴンヌがマントゴーアに変わっていくぞ!?」
「アレル! 怒りによる突然変異です! 気をつけてマントゴーアは」
いろはの言葉が終わる前に、マントゴーアの口から炎が吐かれた。
「メラゾーマ!? みんな散れ!」
密集隊形を執っていたいろはたちに業火が降り注ぐ。そしてパーティーが散会したと同時にマントゴーアはバギクロスを唱えた。
「「ぐああっ!!」」
真空の大刀が容赦なく彼らの防具を切り裂いた。今度喰らえば、首が飛ぶ。
「やったなコンニャロ! お返しだ! イオナズン!!」
「だめだ! マリス!!」
アレルの制止は遅かった。そしてアレルの危惧は的中した。マントゴーアの前に、青白い壁が出来ていたのだ。
「マ、マホカンタ…」
イオナズンは唱えたマリスにそのまま返っていった。
「きゃあああ!」
「マリス―!!」
アレルがマリスに飛びつき、イオナズンの直撃から辛うじて退避した。
「大丈夫か?」
「う、うん」
「これから魔法は攻撃補助に徹底してくれ。打撃でヤツを倒すしかない。俺は一番あとで良いからホンフゥとカンダタにバイキルト。パーティー全員にスクルトだ。頼んだぞ!」
「ラジャー!」
「よし!」
アレルはマリスの手をとり、立たせた。そしてマリスはすぐさまカンダタ、ホンフゥにバイキルトを唱えた。
「いっけえ――!!」
「よっしゃあ!」
「いくぜぇ!!」
マリスのバイキルトを受けた二人は、一斉にマントゴーアの真横に回り、右と左から腹部に攻撃を加えた。さすがのマントゴーアも苦痛に顔を歪める。
「ベホマラー!」
体力の消耗が激しいパーティーが回復する。いろはは続けてピオリム、フバーハをパーティーに唱えた。
「敵に呪文が使えないってのは厄介だね…いろは」
「ええ。でも今は私たちのできることをするしかありません…」
アレルの指示でいろは、マリスは仲間に攻撃補助、回復を施した後、メラゾーマ、バギクロスの射程外で待機していた。安全圏にいてアレルたちの戦いを、ただ見ているのは辛かった。
「左右から腹部を狙って牽制し、マントゴーアの眉間に剣を刺す機会を伺うアレルの策は正しい…。でもアレル一人では…せめてアレル級の剣士がもう一人いたらなあ…」
「無いものねだりしている場合じゃありません。こうして戦いを外から見ているのだから冷静に判断して、せめて良い戦法でもアレルたちに言ってあげなければ…」
ホンフゥ、カンダタは執拗にマントゴーアの両脇腹を狙う。その二人に攻撃をさせないように、アレルはことさらマントゴーアの鼻先で牽制していた。勇者の盾はマントゴーアの一撃も防ぐが、ツメに引き裂かれなくても、盾から伝わる衝撃は大きい。マントゴーアは先ほどの逆上から打って変わり冷静になっている。
隙は見出せない。このままでは消耗戦になり、三人で対峙しているアレルたちには不利になる。
「くそ!」
業を煮やしたアレルが間合いを詰める。
「落ち着けアレル! まだ眉間に剣を刺すのは無理だ!」
カンダタの言葉でアレルは歩みを止めた。焦れていたのはホンフゥも同じであった。細かい攻撃では、いつになってもアレルに必殺の好機は与えられない。ホンフゥは自分の体力が著しく消耗する必殺技を出すべく気を練り、そしてその技をマントゴーアのわき腹に叩き込んだ。
「龍拳・闘気弾!!」
黄金の気弾が直撃した! 凄まじい破壊力だったが、マントゴーアの致命的なダメージにはならない。
「グアア!!」
ホンフゥの攻撃に激怒したマントゴーアはアレルに向けていた顔をホンフゥに向け、伏せていた体を起こし、立ち上がった。アレルの数倍の体躯のマントゴーア。これでは眉間に剣は届かない。
「チッ!」
大技で体力の消耗著しいホンフゥにいろはのベホマが唱えられる。ホンフゥは寸でのところでマントゴーアの一撃から逃れた。そして、その時である。
タッタッタッタッタッタッ…
この戦場に駆けてくる足音が響いた。カンダタ、アレルは背後からその音を聞いた。そして無言の会話がカンダタとアレルに交わされた。
(伏せていた体勢から立ち上がり、ヤツは脆弱な腹部を俺たちに、今さらしている。分かっているなカンダタ)
(ああ、行くぞ! アレル!)
いろは、マリス、ホンフゥも後ろを振り返った。そして見た。鍛え上げられた鮮やかな肢体を躍らせ、戦場に突入せんとする女戦士を。
「ス…」
女戦士はいろは、マリスのいた場所を通り過ぎ、ただマントゴーアの腹を見つめている。
タタタタタッ
アレルはその足音に呼応するかのように、マントゴーアの間合いから後退し、カンダタはマントゴーアの間合い寸前にその身を置いた。
女戦士には、そのアレルとカンダタの意思を読み取り、いっそうスピードを上げてマントゴーアに突進する。アレルもそのスピードに合わせて駆け始めた!!
二人は同時に中腰となっているカンダタの肩に乗った。カンダタは発射装置のように、二人を飛ばすべく、上体を反らした!!
「「クロス斬り!!」」
Xの軌跡がマントゴーアの腹部を直撃した!
「グアアアア!!!」
マントゴーアは血を吐き、一度二度体をピクピクと動かして絶命した。
「ふう」
女戦士は剣から血のりを拭い、鞘に収めた。
「ス、ステラ…」
自分の名前を呼ぶいろはの元に、ステラはツカツカと歩み寄った。そして、
パン!
「あう!」
ステラはいろはに容赦ない平手を叩き付けた。たまらずいろはは倒れた。頬が赤くプクリと腫れ上がった。
「今度会ったら、絶対にこうしてやろうと思っていた。よくも私を置いてけぼりにしたな!」
ステラの顔を見ることができないいろは。アレルが間に入った。
「お、おい、ステラ、やりすぎ…」
ドゴン!!
アレルには鉄拳が入った。アレルは吹っ飛んでしまった。
「アンタも同罪だよ! 父に頼まれたからって仲間置いていくなんてリーダー失格だよ!」
今度はホンフゥとマリスが止めに入った。
「ステラ、気持ちは分かるが、いろはやアレルも悩みに悩んでだな。一方的に責めるのは筋違いだぞ」
「そうだよ。私たちだってステラの抜けた穴は大きかったんだ。好きで置いてけぼりにしたんじゃない事ぐらい分かるでしょ」
「…分かっているよ。だから、この事について二人をこれ以上責める気はないよ。だけど、こうした方がさ」
「いろはとアレルにとっては気持ちが楽になるな。それでいい」
「カンダタ…」
「おかえり。ステラ」
「うん。ただいま」
倒れているいろはの手をステラは取った。
「少し思い切り叩きすぎたかな。立てるかい。いろは?」
「え、ええ…」
倒れていろはの服についた埃と泥をステラはパンパンとはたいた。
「ごめんなさい…ステラ…」
「もういいよ。今のビンタで私も気が済んだからさ。もう言いっこナシだよ」
「ステラ…ありがとう…」
「ちょっといろは! 感動の対面中に悪いけどホイミをアレルにかけてよ! アレルのびちゃっているよ!」
アレルはマリスの腕の中で白目とベロを出してのびていた。マントゴーアとの激闘の後にステラの鉄拳は痛恨の一撃だった。
(ど、どうして…いろはは平手で俺は拳骨なんだよ…)
ついにステラが仲間と合流しました。