堕ちた提督   作:Yasoshima kakeru

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いろいろ考えてうだうだやってるとだいぶ時間が空いてしまいました。


二人の正義

司令長官室に到着すると二サエルは手で警備の兵を退室させた。

 

「やはりあなたは軍人に向いていない。正義を愛する人間にも権力闘争のために他者を虐げる人間になることもできない。半端な人ですね。」

 

ニサエルは上機嫌な様子で言う。

 

「お前はこうなるようにすべてを仕込んでいた。その満足げな顔すら嘘だろ。」

 

さすがの竹野も安易にその言葉を信じたりしない。

 

「大正解。おめでとうございます。」

 

二サエルの顔から感情は一瞬で消え、感情を一切含まない無機質な声でこちらを称賛する。

 

「どうして裏切った?」

 

「私がそれを認めなければあなたはただの妄想激しい異常者ですよ。」

 

二サエルは余裕な顔でこちらを馬鹿にするように言う。

 

「本気で隠す気だったのか?中国政府に調べが入れば簡単に証拠が露見する。お前が私の思った通りの人間ならばそんなミスを犯すと思えない。」

 

「単純なミスですよ。買いかぶりすぎです。」

 

棒読みでそう発言して、それが嘘であることすら隠そうとしない。

考えが読めるとは最初から思っていなかったがやはり最初にあった時同様、底知れぬ不気味さがある。

腹の内が読めないなんてものじゃない。表情もボディーランゲージもすべてが不自然に一致する。

感情を偽装していることに大半の人間は気がつきもしないが、散々騙されてきた竹野は理論ではなく勘と経験で二サエルの異常さを認識していた。

 

「目的はなんだ?」

 

「裏切っていることは確定ですか?私がはめられたという可能性は十分あると思いますが?」

 

「この程度の策にはまるようであれば遅かれ早かれ情報部の狂犬どもに寝首を掻かれている。」

 

「私の実力の評価を改める気はないと?」

 

「ここで言い争いをしても言い負かされるのが目に見えている。持ち帰って検討させていただけるなら再度評価をし直すが?」

 

「そうですね。わたしはあなたの官僚答弁を聞くためにここに誘導したわけではありません。本題に移りましょうか。座ってください私は今更あがいたところで逃げられない。そうでしょう?」

 

「考えうる限りの逃走経路はふさいだ。」

 

「山本くん。」

 

二サエルは山本に目で合図を送る。

山本は少し混乱してどちらが味方なのか吟味している様子だったが相変わらず慣れた手つきで紅茶を用意する。

 

「どうぞ。」

 

戦闘員でもないのに本当に肝の座った男だ。

伊達に修羅場をくぐり抜けていないだけある。

 

「ありがとう。」

 

「それと、私はあくまで中立です。どちらの飲み物にも毒などは入れていませんよ。」

 

「そうですか。元カノと今カノで優劣はつけられないと?」

 

二サエルが山本に微笑みかけると山本も微笑んで

 

「私が二股、いや三股をしていない保証もありませんよ。」

 

そう切り返す。

くだらない言葉遊びの一つから見ても二サエルも山本も食えない奴らだ。

全くもって嫌になる。

 

「それで?」

 

「私は防衛連合軍を裏切ります。あなたの言う通りですよ。」

 

二サエルは簡単にその事実を認めた。

だがそれを認めたことで生じる謎もまた複数ある。

 

「どこまで説明してくれるのかも、その説明のどこまでが本当なのかもわからないが、考えを聞かせてくれるか?」

 

「それではあなたが得る情報は何もないというのと同じですよ?」

 

「わざわざ忠告どうも。」

 

「私はこの腐敗しきった組織にも現状維持のために虐殺すら厭わないCIAにも嫌気がさした。ただそれだけの理由です。もっと言えばこの文明自体に嫌気がさしました。」

 

「嫌気がさしたということには納得だ。なにせ私も数年間この組織から逃げていたわけだからな。けれどこの組織を裏切ってどこに行くというんだ?まさか深海棲艦の肩でも持つつもりか?」

 

「ふふ。」

 

竹野はその表情ですべてを理解した。

陰謀論者が深海棲艦は米軍の新型戦闘マシーンだと大騒ぎしたことを覚えている。

多くの人間が深海棲艦というものを直接目撃するようになってそんな話は消えていった。

彼らがどこから来たのかそれだけがわからないまま深海棲艦と艦娘の対立関係だけが確実なものとなり双方の出自を気にしている暇ではなくなった。

戦局が安定しても三つ巴の戦いになることを防ぐため艦娘に関する研究の多くが握り潰され今も謎の味方という立ち位置にある。

 

「深海棲艦が何者か知っていると?」

 

「そりゃそうでしょう。艦娘が何か、そしてこの戦争がどうして起こったのかも知っていますよ。」

 

艦娘が本当は敵でした。

などという論文が発表されることを恐れているという通説自体が二サエルが描いた陰謀論だ。

一つ陰謀論を形成してやれば陰謀論者はその土台固めに注力する。

仮に隠したいものに関連する情報が漏洩してもあらかじめ作られた陰謀論を補強するための材料にしかならないだろう。

 

「正直に言って薄々気がついてた。あんまりにも艦娘という存在が都合よすぎだったからな。」

 

「ある程度の知識人は知っていますよ。この戦争が深海棲艦と言う理解不能な存在との戦いなどではないと。あなたは所詮ある程度賢いだけの人間です。私と戦っても、自分が相手にならないことを知っているだけましですね。」

 

二サエルの言葉一つ一つには全く重量がなく認識しようと強く思わなければ言語として理解できないような不気味さがあった。

 

「けれど同じことです。あなたのつまらない的外れな推理を聞く気はありません。単刀直入に言います。私と一緒に防衛連合軍を裏切るつもりはありませんか?」

 

「その質問のためにここまではいろいろと用意して舞台を作ったのか?」

 

「私がその程度の人間だとおもうならそう思っておけばいいでしょう。」

 

二サエルは竹野の性格を見極め、ここに来るように仕向けた。だがそれはあくまでおまけ程度でしかないのだろう。

もっと別の目的を持っているのだろうがそれを教えるつもりは一切ないように見える。

二サエルのめぐらしている策の底が見えない。

 

「回答だが、もちろん断る。」

 

しかし二サエルは少しも慌てることなく笑って

 

「でしょうね。でも私がほとんどゼロに近い可能性のために時間を割くと思いますか?私はあなたをある程度の確率でこちらに引き込む自信があります。そしてあなたには私にそうさせるほど魅力的な力がある。」

 

「何がほしい?」

 

「一つ話をしましょう。歴史上で最も有能な戦術家は誰ですか?」

 

「諸説があって無意味な問いだが答えるなら、カルタゴのハンニバルか?」

 

二サエルは一瞬微笑む。相変わらずその表情が本物かわからないが、恐らく望んでいた回答だったのだろう。

 

「百点の回答ですね。私が何を言いたいかあなたならわかっているでしょう。カルタゴは世界最強の戦術家をもってしてもローマを倒せなかった。ミジンコがどれだけ賢かろうと象には勝てません。同じです。戦う相手を間違えれば部分的に勝利を重ねても勝てはしません。」

 

「深海棲艦と人類とではどうにもならない差があるからお前も勝ち馬に乗れと?」

 

「数字だけを見れば逆転は可能でした。ですが私はこの数年で理解しました。人類は一つになることなどできやしない。深海棲艦と言う共通の脅威が出現してもなお内部で争い、傷つけ、殺しあっている。万に一つの可能性を信じることが無駄だとよく理解させられました。」

 

竹野は何かがおかしいことに気がついていた。決定的にずれている。

理論立てて考えれば何もおかしなことはない。だが致命的に何かが違う。

 

「パクスロマーナを作るために文明をも滅ぼすとでも言うのか?」

 

「そんな規模のものではありませんよ。今、世の中はヨーロッパ中心ではありません。」

 

「ならどうしてヨーロッパでAaronMankindが暴れさせた?」

 

「それも私のせいだと?」

 

ブラフではなく確信した様子で言う竹野に少しも驚くことなく問う。

 

「ならあんな大規模な行動を見逃すほどあんたが無能だと?」

 

「いつも思いますがあなたは私のことを過大評価しすぎです。」

 

「軍事の分野で過大評価しすぎて困ることはない。」

 

押しても引いても反応がない。何を隠しているのか見当もつかない。

 

「あなたの能力はこんな組織で腐らせておくべきではないでしょう。私と来てください。」

 

二サエルは少し強い口調でそう要求してくる。

 

「勝ち馬に乗って最終的に勝てばいい。恥も外聞もなく、ただどちらが勝つか見極めることしかできない。その程度の人間のために時間をかけすぎたようだな。あんたの相手などせずに失地を取り返しに行けばよかった。あんたの策にのせられて、なれない土俵での戦いに時間をかけすぎたな。」

 

「その程度の人間に負けて泣くのはあなたですよ?」

 

どれだけ竹野が強い言葉で二サエルを叱責しても無駄だ。

竹野のくだらない感情論で動くぐらいなら最初から裏切ったりしないだろうからだ。

さっきの強い口調もそうだ。怒り悲しみ苦痛喜び。感情など二サエルにとっては有用なツールでしかない。

 

「加賀。」

 

交渉は決裂したと判断して竹野は加賀に目で合図を送る。

加賀が動こうとすると二サエルが言う。

 

「あなたの違和感の正体を教えてあげましょうか?」

 

それを聞いた竹野が加賀を制止する。

 

「違和感だと?何を言っている。」

 

「図星だから止めたんでしょ?とっさの判断がまだこちらの世界の人間とは比べ物にならないほど陳腐ですね。」

 

「答えろ。どちらにせよお前は拘束される。」

 

二サエルの表情に焦りが出ることはない。竹野が彼のことを強く睨み付けていたころにはもう勝敗がついていた。

二サエルは誰にも警戒させることすら許さずに銃を取り出しその銃口を山本に向ける。

竹野は全く反応できなかった。

自然体なままで銃を取り出したのだ。

殺意を感じるなどと言う表現で表されるように、人間は危機をある程度予測する。だがその予測はあくまで経験に基づく計算結果の一つに過ぎない。

数値さえ与えなければ今までの経験で大量の公式を保持している相手でも警戒させることはない。

二サエルは表情、目線、仕草、口調、呼吸。その他すべての発する情報を自分にとって都合のいいものにコントロールしていた。

 

「山本を殺してどうなる?」

 

「殺してどうなるというよりも彼が死んだほうがあなたが結論を出しやすくなるでしょう。」

 

「何を言っている?」

 

「あなたが私の見え見えの足跡を安直に追いかけなかったのは単純にあなたが優秀で用心深いからではない。違いますか?」

 

「....」

 

「あなたは根本的に私を否定できない。何故なら、私とあなたが望むものが同じだからです。だから私を追い詰めて計画を炙り出すことをためらった。違いますか?」

 

「そんなわけ....。言わせておいていいんですか提督?」

 

加賀がそう聞くが竹野は沈黙を続けるしかなかった。

 

「くだらない人類など滅べばいい。あなたは4年前ソロモン海でそう思った。その後も軍をやめなかったのは復讐の機会をうかがっていたから。ここまで間違いはありますか?」

 

「....」

 

「提督?」

 

加賀の声色からは困惑が見て取れ、山本の顔からは明らかな動揺が見て取れる。

 

「しかし、あなたは結局猿山の大将に過ぎなかった。あまりにも対人間の戦い方を知らなかった。官僚の権力闘争などと言う私たちの住む世界から見れば赤子の遊び程度のものしか知らないあなたには我々のような人間を騙して、文明を滅ぼす力などなかった。」

 

「文明を滅ぼそうとしたわけじゃない!」

 

竹野が放った精一杯の反論は二サエルに向けられたものと言うよりも自分に向けられていたもののように見えた。

 

「口ではそう言ってもあなたはヒトという種よりも艦娘という種に可能性を感じていた。」

 

「艦娘が純粋無垢であるのはまだ未熟だからだ。いずれは艦娘も間違った判断をする。それが知性を持った生物の性だ。」

 

「そうです。ですがあなたにはその単純で明快な理屈すら否定できるほどの憎しみがあった。制約ばかりの世界に対する深い怒りがあった。既存の社会に対する怒りが。」

 

「それは....。」

 

「村上陽介。知っていますよね。あなたの父親なんですから。彼は理不尽に殺された。あなたの怒りはそこからきている。違いますか?」

 

犯人は大学院生だった。しかし、彼は殺害の理由を語る前に留置所内で自殺した。

 

「犯人はあなたの父親に人生の梯子を外された。」

 

「当時は仕方なかったことだ。」

 

「けれどあなたの父親はそんな社会の中で可能な限りの手を尽くしている数少ない人物だった。理不尽に立ち向かっていた人間が殺されることなど到底納得できることではないでしょう。そうでしょう?」

 

竹野、いや、村上にとって父は尊敬に値する人間だった。

官僚らしく理不尽の中で苦労しながらも可能な限りの手を尽くしていた。

だが手を尽くしてもどうにもならない問題があった。

 

「20世紀。人類は大量の資源と地球環境を代償に野望を追い求めました。より便利に、より強く、より裕福に。」

 

二十世紀の人々が少しでも我慢をしていればこうはならなかった。そんな考えが当時はまん延していた。

自分たちにはどうしようもない過去のせいで未来を奪われたのだ。

 

「COP34の議決で大規模な火星入植計画もとん挫しました。言い方は悪いですが主要国は地球の限界を知っていたから宇宙にはけ口を求めていた。それを無視して中小国家が大騒ぎして全員が不幸になった。夢のために資源を消費にする時代から、資源のために夢を消費する時代へと変わったわけです。」

 

COP34で到底実現不可能な数字を押しつけてきたのは中小国家たちだった。

けれどそれはあくまで発言者が誰であったかだけの問題だ。

 

「何を言っている?中小国家が悪いとでも?」

 

「誰が悪いということじゃありません。けれどチャンスを奪い、夢を奪ったすべての人間には死んでもらわないと。中小国で決定を指示した人物、国家の方針に反対しなかった主要国の愚民たち。すべて死んでもらいましょう。」

 

文明に嫌気がさした、その言葉の意味がわかった。

 

「神にでもなろうってのか?」

 

「私は敬虔なクリスチャンではありませんからそれもありでしょうね。ですが私は自分を神というほど馬鹿ではありませんよ。退屈なバチカンの言うような終末が来る前に人類を間引かねばならない。深海棲艦も艦娘もそのための道具にすぎません。主要国。いや、列強と呼んだほうがいいでしょうか?彼らは昔のような冷酷な決断を放棄して人権などというくだらないもの守った。だから列強も無慈悲な調整の対象となっただけです。」

 

「そう言う事か。安易な方法への逃げだな。」

 

「あなたは勘違いしている。同種族の中ですら意思を統一する能力がない人類が安易な逃げをして何が問題なのでしょうか?我々の計画が完遂されたとき残された人間たちには充分すぎる地球のキャパシティーは残ります。誰が私たちを否定できるんです?スペイン人に殺されたインディアンの権利獲得運動を相手にしている人間が一体どれだけいると?滅ぼされた民族に発言の機会はありません。」

 

二サエルは人間を選別する気のようだ。

生きるべき人間と、死ぬべき人間を決定する作業を彼らは行う気だということだ。

 

「人を選別する資格を誰が保有していると?」

 

「資格など必要ない。地球にあるすべてはあくまでも自然物です。後から出て来た法なんてものが最初から権利などよりもっと自然にあった気に食わない人間を殺すという現象を制限した。法の根拠となる政府が破壊されたときに殺人を罪として裁くことはできません。政府があってこそ殺されない権利があるんです。」

 

「私が賛同するとでも思ったのか?」

 

二サエルは大きく頷いて

 

「あなたが我々に加われば日本人を生かしましょう。数も一億ほどでちょうどいい。アングロサクソンと日本人、同じ島国出身で仲良くできるでしょう。」

 

「断れば殺すと?」

 

「優秀なら残して不要なら切り捨てる。究極まで資本主義を突き詰めればそういうことになります。債権や事業が、人命に変わるだけです。命に値段をつけるという究極の作業を共にしませんか?私はあなたが不良債権ではないと判断した。同様に日本人でもインディアンでも必要なら残します。」

 

「噂は聞いていましたがここまで最低な人間だとは思いませんでした。」

 

加賀が物凄い圧で二サエルをにらみつける。

山本は双方の出方を伺いながら警戒していた。

 

「君が山本君の目が気になって決断できないなら少しタイミングが早いが引き金を引いてもかまわない。そこに立っている艦娘たちも処分してあげます。あなたの裏切りが露見することはあり得ません。なんならムーンのように偽物の死体を用意しましょうか?」

 

「お前の首を引っ提げて防衛連合軍幹部に復帰という筋書きか。」

 

二サエルは笑顔を浮かべて銃口を山本から外して自分の机に向かう。

少しでも動けば射殺されると理解していた山本と村上は二サエルの動向を見守る。

彼は机の隅に置かれたウッドブロックカレンダーに手をかけ曜日のブロックを引き抜いて手の中でくるくると回す。

 

「曜日と言う概念すら否定できる。魅力的な世界です。アメリカが頑なに使い続けているヤードポンド法や華氏も統一できる。」

 

二サエルはブロックをゆっくりと戻す。

 

「決まりましたか?」

 

彼は微笑みながら聞く。

おそらくこれが最後のチャンスだ。村上がどちらにつこうと結果は変わらない。

ならば敵の内部に入って少しでも多くの人を救うべきなのかもしれない。

いや、それはただの言い訳だ。

空気が変わったことを感じとり二サエルが握手しようと手を伸ばす。

ほんの数m先で差し出されたその手を見て彼は結論を出す。

 

「くたばれウジ虫が!!!」

 

平穏だった室内は突如銃声と硝煙に包まれた。

村上の弾丸は二サエルに命中したがバイタルラインを大きくそれて太ももに命中した。

二サエルがよけながら発砲した弾は村上の左肩を打ち抜く。

そうして二サエルは机の裏に回り込み身を隠す。

 

「あなたはいつも詰めが甘い。」

 

「何だと?」

 

「あなたが依頼した航空支援は来ません。」

 

「だからどうした?」

 

二サエルは机の裏で村上を馬鹿にしたかのように笑う。

 

「どうして私がこんなリスクの高い場所で仕事をしていると?」

 

高層階で、ガラス張りの部屋。確かに二サエルが自分から好んで選ぶ部屋ではないだろう。

 

「長官室はここだと決まっているからだろ。ハッタリはよせ。見苦しい。」

 

「やはり、あなたは低い知能の深海棲艦と戦うのがお似合いですね。」

 

二サエルがそういうと同時にガラスが割れて強力なサーチライトが照射される。

一瞬で視界が奪われて部屋には爆音が響き渡る。

視界がなくとも何が起きたか一瞬でも理解できた。

ヘリだ。

航空支援が来ないというのはこういうことだ。

二サエルの行動に意味がないわけがなかった。

違和感すべてを調べなければ勝てない相手だった。

どうしてあんなに簡単に憲兵隊が同意したのか、どうしてあんなに早く航空支援が承認されたのか。

すべてを調べなければいけなかった。

竹野は爆音と爆風が止んだ部屋でビル風の風切り音を聞きながらただ茫然と立ちつくしていた。




マジキチニサエルに見事に踊らされる人たち。
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