「オロロロロロロロロッ!!!」
あ〜、くそっ。最悪な気分だ。完全に飲み過ぎた。
コロシアイに学級裁判に処刑に新エリアの開放であちこち探索して回って、心も体も疲れ切っちまった。そのストレスで酒は進むわ。なのに新陳代謝が鈍くなって二日酔いになるわ。迎え酒でしゃっきりしようと思ったらそのせいで限界突破するわ……。
いよいよ酒に逃げ続けるのも限界かも知れん。そもそも同じように薬でハイになってた菊島が、狙われやすいからって理由で月浦に殺されちまった。菊島に比べりゃおいらの方がよっぽど体は弱ェし、同じようなことをする奴が出てこねェとも限らねェ。月浦はまだ生きてやがるし、他にも何しでかすか分からねェ奴が何人かいる。
「〜〜〜っく」
足はふらつくし、頭はガンガンするし、視界はぼやけて輪郭が安定しねェ。部屋に戻って寝るとすっか。どっちが部屋だっけ?ってか、ここどこだっけ?適当に歩いてりゃ着くか。はァ……。
「ん?」
しばらく頭の向く方にふらふら歩いてたら、いつの間にかおいらァ2階に来てたらしい。なんで部屋に戻ろうとして階段上がってんだおいらァ。どうやって戻ろうかとうろうろしてたら、その辺の部屋の中から物音がした。そりゃあまだ真っ昼間だし、誰かいるだろと思って、何の気なしに音のする方を見た。
そしたら……。
「へっ?ぎ、ああああああああああっ!!?」
「うおおっ!?」
「で、出たあ〜〜〜!ひぃ……こ、こしが……!」
薄暗ェ部屋の奥、もぞもぞ何かが動いてやがると思ったら、暗がりにぼや〜っとそいつの姿が浮かびあがってきやがった。白くてぼんやりしてて足のねェ……幽霊だ!!そう思ったら思わず情けねェ声が出て、腰が抜けて歩けなくなっちまった。き、きっと月浦に殺された菊島たちが化けてでやがったんだ!
「どうしたの!?王村さん!?」
「お、おお……!理刈……!あ、あそこに……幽霊が……!」
「幽霊?何を馬鹿な」
「よく見ろよそこの部屋!足のねェ幽霊がいんだろ!」
おいらの悲鳴を聞いて理刈が駆けつけてくれた。他に人がいるってだけでありがてェ。震える手でおいらは、幽霊が出た薄暗ェ部屋を指差した。
「……よく見るのは王村さんの方よ。本当、人騒がせなんだから……」
「お、おい!理刈!?あぶねえぞ!」
「あなたも、電気を点けないと目を悪くするわよ!一体何をやってるの!」
「あっ?」
大したもんだ。理刈は幽霊にもビビらねえでその部屋にずんずん近づいて行って、部屋の明かりを点けやがった。そしたらおいらに見えてた幽霊はパッと消えて、代わりにでけえカンバスとバケツに囲まれた芭串の姿が現れた。
いつものツナギをペンキで盛大に汚して、カンバスに鉛筆でいろんな線を描いてた。理刈に電気を点けられてようやく気付いたのか、ガシガシ頭を掻いてその顔を見た。
「っだよ!集中してんだから電気点けんじゃねえ!」
「電気を点けないと作業ができないでしょ。目が悪くなっても知らないわよ」
「オレはこういうスタイルでやってんだよ!電気なんか点けて色々見えたら気が散るだろうが!」
「な、なんでェ……芭串じゃねェか。おどかしやがって」
「あ?なんだ、王村じゃんか」
「あなたが暗い部屋で作業なんかしてるから、お化けだと思って腰を抜かしたのよ」
「なんでオレがお化けになるんだよ。縁起でもねえこと言うな」
「わ、わりィ……酔ってて……」
よく見たら、暗がりに白く浮かび上がって見えたのは蛍光塗料だったみてェだ。芭串が絵を描いてるところなんか初めて見た。街の落書きしか描かねえんだと思ってたから、がっちり腰を落ち着けてカンバスに描くところなんて考えもしなかった。
「食堂で飲んでたんだろ?なんでこんなところまで来てんだ」
「さ、さあ……?なんでだろうな……?確か、トイレで吐いてから……スポッツァの方に行ったような……?」
「何やってるのよ本当に……」
「うぅ、分からねェ……頭痛ェ……」
「その辺でぶっ倒れる前に部屋帰れよー?あと、そういうときは水飲め水。楽になるぜ」
「なんであなたがそんなこと知ってるのよ?10代よね?」
「へっ、なんでだろうな?」
「これだから不良は嫌なのよ……ルールを破ることが格好良いと勘違いして周りも自分もダメにするんだから……」
「同級生のおいらが言うのもなんだが、芭串はまともな方だと思うけどなァ」
酒くらい高校生だったら飲んでるもんじゃねェのか?おいらなんて蔵人の修行だなんだっつって14の時分から親父にちびちび飲まされてたぜ。そのおかげでこの様だが。
いかん。うだうだしてたらまた気持ち悪くなってきやがった。美術室から漂ってくる塗料の臭いは、今のおいらにゃ刺激が強すぎる。床を汚したらダメなんてルールはねェが、こんなところで吐いたらモノクマにどんな仕置きをされるか分からねェ。急いで立ち上がって、近くのトイレに駆け込んだ。
「あっ……はあ、まったく。どうしてここにいる男子はこんなのばっかりなのかしら。益玉さんやカルロスさんだったら、もっと力になってくれたのに」
「悪かったなあ、力になってやれなくて。オレは自分に自信のねえ奴は信用しねえことにしてるんだ」
「……私がそうだって言いたいの?」
「違えのか?」
「私はあなたと違って責任感を持って行動しているし、自分のしていることが間違っているなんて思わない。少なくともそう自負しているわ」
「だったら、なんでいつまでもその本が手放せねえんだよ?」
「……ッ!」
「ガキの絵本じゃあるまいし、枕にでもしてんのか?ここじゃそんなもん何の意味もねえって、とっくに分かってんだろ?さっきだって、オレがルール破って酒飲んだことがあったらどうだってんだ?お前が後生大事に守ってるルールは、お前を守ってくれんのか?」
「……あなただって、ここで絵を描いてるじゃない。あなたの自己満足以上の意味があるの?そんなことをしてる場合じゃないことくらい分かるでしょ?」
「へっ、つまりオレたちゃ似た者同士ってことだな。んなことしてる場合じゃねえのに、いや、んなことしてる場合じゃねえからこそ、自分が頼りにしてるもんに寄っかからねえと落ち着かねえ。そんなもん、自分を信じてるなんて言えねえ。自分に依存してんだ」
「んあ」
トイレに駆け込んですっきりした(けど小便器に吐いちまった。まァいいや)後で戻ってきたら、芭串と理刈はまだ話してた。なんか険悪な感じだ。ま、思春期ってのァ互いの些細な言葉や仕草に苛立っちまうもんだ。ここは年長者として仲裁してやらねェと……。
「一緒にしないで!!」
「ひェっ」
うへェ、無理だこりゃ。理刈の奴、完全にキレちまってる。
「私はあなたとは違う。自分の“才能”になんか依存してない。私はちゃんと私を持ってる。私は……」
「そうかよ。だったらもうちょい気楽になった方がいいぜ。まともな考え方でまともじゃねェもんを理解しようとすると、まともな奴が先に参っちまうからな」
「……!」
何か言いたげに歯を食いしばってた理刈は、それでもなんも言わずにその場を離れた。去り際においらの方をキッと睨んで行きやがった。なんでおいらが睨まれなくちゃならねェんだ。っていうか、芭串と何の話してたんだ?なんか良さげなこと言ってたけど、そういうのは年長者であるおいらが言ってこそってもんだろ。
「お、おう……芭串よォ。おめェあんま理刈を苛立たせんなよ。せっかくの器量良しがシワだらけになっちまうぜ」
「女のツラがどうのこうの言うなよ。ったく、マジで飲んだくれってのはろくなもんじゃねえな」
「そう言うなって。で、何の話してたんだ?」
「別に。あんま思い詰めんなよって言ってやっただけだ。堅物のあいつにとっちゃ、月浦の存在は劇物みてえなもんだからな」
「ああ……ま、そうだよなあ。おいらァあんまし理解できてねェんだけど、要はあいつが殺したようなもんなんだろ?それなのに生き残ってるって、まったくどうなってんだか」
「オレもあんま分かってねえよ。でも、これ以上死人を増やさないようにするしかねえだろ」
「……おめェも結構色々考えてんだなァ。おいらと同じ枠かと思ってたよ」
「なんだよ同じ枠って」
「盛り上げ役?」
「勝手に巻き込んでんじゃねえよ!ガヤやるならお前ひとりでやれ!」
「ひとりじゃガヤにならねェだろうがよ!」
こりゃァおいらがあれこれ心配しなくても、こいつらはこいつらで上手いことやってくれそうだな。不安要素は多いが、甲斐や湖藤みてェに積極的にコロシアイを止めようとしてる奴らがいるし、芭串みてェに気を配れる奴も、尾田みてェに物知りな奴も……。
……あれ?おいらこれ、いらなくね?
あーんって口を開けると、ぽいってマシュマロが転がってくる。ちゅーって口をすぼめると、ジュースから伸びたストローがすぽっとはまる。うーん、極楽極楽。今日のはぐは王様だー!
「はぐ、おいしいかったかい?」
「うん!おいしかったー!ね、もう一個!」
「もうダメだ。晩御飯が食べられなくなっちゃうよ」
「えー?晩御飯はなに?」
「今日はハンバーグにピクルスのサラダ、それからコーンスープだよ。デザートにははぐ専用のミニパフェを作ってあげる」
「わーいやったー!じゃあ我慢する!」
「いい子だね」
ちぐはいっつもはぐが食べたいものをずばっと当ててくれる。エスパーなのかな?はぐのことはなんでも分かってくれるから、はぐはちぐのことが大好きだ!
ご飯といえば、はぐ、ちぐにお菓子作ってあげるためにみかどちゃんにお料理教わってたんだった。どこまでやったっけ?お菓子の材料は教えてもらったっけ?あ、でももうみかどちゃんはいないから、また最初から誰かに教えてもらわないと。もう、途中でいなくなっちゃうんだからみかどちゃんはしょうがないなあ。
「ねえちぐ?はぐね、お料理の練習したいな。ちぐにお菓子作ってあげたいの」
「はぐが料理?そんなの危ないからすることないんだよ。はぐのご飯は僕が作ってあげるんだから」
「むぅ〜、でもはぐ、たまにはちぐにお返ししたいよ」
「何言ってるんだ。はぐがそうやって笑ったり膨れたり踊ったりしてるだけで、僕は幸せなんだ。何もしてくれなくても、はぐがそこにいてくれるだけで僕は十分満たされてるよ」
「そうなの?じゃあいっか!えへへ!ここにいるだけでちぐを幸せにできて、はぐはえらいなあ〜!」
「えらいえらい」
「……」
はぐとちぐがこんな感じで仲良ししてる横で、ずっとのぶみちさんがお茶を飲んでる。なんか分厚くてむずかしそうな本を読んでて、気になるけどちぐが引き止めて近づかせてくれない。
「ねえのぶみちさん。そんなところにいないで一緒にお菓子食べない?」
「はぐ、あんなの気にしなくていいんだよ」
「ありがたいお申し出ですが、遠慮させていただきます。少々手前には難しい本ですので、集中して読まなければなりません」
「は?お前如きがはぐの誘いを断るのか?いつからそんなに偉くなった。それに本が読みたいならもっと適した場所があるだろ。わざわざこんなところで読むな」
「……ではお呼ばれしても?」
「はぐに近付くな筋肉だるま!」
「どうしろと……」
あははっ!ちぐものぶみちさんもおもしろーい!ちぐははぐ以外の人と話すと、はぐには見せてくれない顔をするから面白い!もっとちょっかい出したくなっちゃう。でもやり過ぎると、ちぐはまたこの前みたいにまた誰かをワナにはめちゃうかもしれない。はぐのためにしてくれるのはうれしいけれど、なんだかあれからみんながはぐとちぐを避けてるような気がする。やっぱり良くなかったのかなあ。ちゃんとカルロスさんにはお礼言ったんだけどなあ。
「手前が何を言っても無駄かも知れませんが……周囲に気を配らなければならないのはお二人の方では?陽面さんはともかく、月浦君は客観的視点をお持ちでしょう」
「ふんっ、はぐ以外のことに気を配るなんてリソースの無駄だ。僕たちは僕たちだけでも生き残れる。今までは利害が一致していただけだ」
「この空間でその独り善がり……二人善がりですかね?それは危険ですよ。あなたは自分を犠牲にしてでも陽面さんが守られればそれでいい、という方ではないでしょう」
「当たり前だろ。はぐがいてこその僕、僕がいてこそのはぐだ」
「ふむ……難儀なものですね」
そう言って、のぶみちさんはなんだか悲しそうな顔をしてまた本を読み始めた。何がそんなに納得できないんだろう?はぐはちぐがいないと生きられないし、ちぐだってはぐがいてあげないと困っちゃうはずだ。ひとりよがりでもふたりよがりでも、はぐたちが幸せなんだからいいじゃない。
「ちぐ?はぐたち、幸せだよね?」
「ああ、もちろんさ。僕たちは幸せだ」
はぐの考えてることはちぐの考えてること。ちぐの感じてることははぐが感じてること。はぐとちぐは一心同体。お互いのことはなんでも分かるしなんでも話せる。それがいいところなのに。
「あなたたちが長生きできるよう、祈っています」
なんだかのぶみちさんのそんな言葉が、心のどこかに刺さって外れなくなっちゃったような気がした。
「……?」
誰かの気配を感じる。自分以外の人間の姿が見えないのが不自然なほど大きなホームセンターで、誰かが私を監視しているような気がする。なぜ姿を隠すのか……何かやましいことがあるということか。
途端に緊張が走る。ただでさえ何が起きるか分からない、いつ何が起きてもおかしくない状況の中で、この危機感を煽るような状況。一歩間違えれば、私は生きてこのホームセンターから出られないかも知れない。そう思うと……思ったところで頭は冷静なままだから不思議だ。
「誰かいるのか?」
適当に声をかけてみる。黙って警戒しているだけでは相手が優位に立っていることを示すだけだ。ここはあくまで相手の存在に気づいていることをアピールして警戒を誘うのが得策だろう。腰のポーチに手が伸びる。武器になりそうなものといえばトリミングに使うハサミしか入っていないが、ないよりマシだ。
もふもふの足しになりそうな素材を探しに来ただけだというのに、とんだ事態に巻き込まれてしまったようだ。大声で助けを呼ぶことも可能だが、不用意に混乱を引き起こせば、私だけでなく他全員の命を危険に晒す可能性すらある。月浦のようなことを考えている奴が他にいないとも限らない。
「……早まらない方がいいぞ。お前が誰かは分からないが、余計な揉め事を起こすのは全員の不利益だ」
張り詰める空気で、額に冷や汗が浮かぶ。
「——ッ!」
不意に、足元でカラカラと音がした。警戒していたせいでそんなものにもひどく驚いてしまった。それは何らかの金属片だった。それを見て、このホームセンターに隠れている者が誰なのか、そして私がどうするべきかを理解した。
しかし、奴はこんなところで何をしている?なぜ姿を現さない?しかし正体を隠しているわけではないらしい。目的が分からない。だが、ここは大人しく言うことに従っておくべきだろう。あまりそういうことを考えたくはないが、今の状況は奴にとってこの上なく有利——勝ちパターンというやつだろう。
「ちっ」
何より、私がここに来た目的はただもふもふを探しに来ただけだ。これほどの危険を感じてまで得るべきものではない。しかしそろそろ我慢の限界を迎えそうだ。今ならダメクマでさえモフってしまいそうだ。
「なんとかしないと……!」
ふぅ、あれっぽっちで帰ってくれるなんて、思ったより
ここで
「……」
結局、
モノクマはあんまり隙がなくて追跡もろくにできないから、ダメクマならなんとかなると思ったのに、とんだ邪魔が入ったアル。こういうのは1回失敗したら次のチャンスを作るのも難しいのに、厄介なことしてくれたネ。
「フゥ……」
文句垂れててもしょうがないネ。ダメでもともと、チャレンジするだけしてみるカ。そろそろワタシも、本格的に生き残る方法を考えないといけなくなってきたみたいアル。こんな状況じゃいつ誰に殺されたっておかしくない、ワタシにとっては外の日常とそんなに変わらないかと思ったら、つい
「……」
棚と棚の隙間に体を滑り込ませて、忍足で足音を殺す。常に視界は広く保って死角を減らす。耳をそば立てて些細な変化も見逃さないようにする。極力自分の気配を減らすために呼吸は静かに、長く。
死なないために身につけた習慣はそう簡単には消えないアル。ここではちょっとミステリアスなチャイニーズガールでいたかったのに、スナイパーの本気を出さなきゃいけなくなるなんて、うんざりヨ。このホームセンターには銃器も置いてあるから、いざというときのために一丁もらってるけど、こんなことまでしないと安心できない自分の疑い深さが嫌いアル。
静かに、ひとりで、銃を持って潜んでると、昔のことを思い出す。思い出したくもない最悪の記憶で、忘れてはいけない大切な記憶でもある。ワタシが、家族みんなにご飯を食べさせるために犯した罪の記憶。
「……フゥーッ」
ワタシたちの周りにご飯はなかった。あるのは鉛玉ばっかりだったアル。お腹の足しにはならないガラクタだったアル。空いたお腹を満たすことはできないのに、いっぱいのお腹に風穴を空けることはできたネ。
だから、これでご飯を狩ることにした。それは自然なことだった。だってそうしないとワタシやワタシの家族は飢えて死んじゃうところだったアル。どこぞの知らん奴より、働けもしない小さな子供より、一緒に育ってきた幼馴染より、自分と家族の方が大切に決まってるアル。だから、ご飯やお金と交換に鉛玉をくれてやったアル。
でも、それはいけないことだったアル。ワタシはワタシにできることをして家族にご飯を食べさせていただけなのに、いつの間にかお尋ね者だったアル。
「……バチが当たったかも知れないネ。今日はもう帰るアル」
なんだか余計なことを思い出して、ダメクマ探しに集中できなくなってきたアル。こんなことじゃ、もしダメクマを見つけても追跡は危険ヨ。構えた銃を分解して懐にしまって、ワタシはその辺の棚にあった果物を掴んでホームセンターを出ることにした。果物のお代はツケにしといてやるヨ。
ワタシはあんまり頭が良くないから、学級裁判みたいな場でモノクマを追い詰めるなんてことはできないアル。そういうのは
「あーあ、これじゃあワタシが損しただけヨ。悔しいからスポッツァで憂さ晴らしでもするカ」
ワタシのこんな姿は誰も知らなくていいのヨ。スナイパーっていうのは孤独なものだからネ。
非常に癪だが、知見に貴賎はない。あのアホの口から出てきたものでさえなければ、などと考えるのはここまでにしよう。それよりも、その問いに対する答えを考えた方がいい。
このコロシアイの目的は何なのか。単純に僕たちを殺し合わせる以上に何らかの目的があるはずだ。分かっているのは、コロシアイという手段が必要になるものだということ。そうでなければこんなにリスクの高い方法を執る理由がない。しかし、コロシアイを通じて何が得られる?
「たとえば——」
僕たちがコロシアイをする姿に意味があるのだとしたら、しつこいほどあちこちに設置されている監視カメラには別の意味が生じる。つまり、僕たちの生活を嬉々として観ている変態どもがいるという仮説。いや、それならもっとモノクマがテコ入れをするはずだ。より刺激的に、より過激に、より殺伐としたコロシアイエンターテインメントを演出するはずだ。僕が視聴者ならこんな悠長なコンテンツは初日で切る。
「なら——」
コロシアイの過程よりも、結果の先に目的があるのだとしたら?たとえば、最終的に1人ないし2人の生き残りを選び出すことに意味があるのだとすれば……いや、それだと足りない。このコロシアイのルールには致命的な欠陥がある。それをクリアしなければ……クリアする必要はないのか?これで完成なのか?だとしたら……モノクマは……!
「……いかん」
決めつけはよくない。先入観を持てば隙を見せるだけだ。今はまだ手がかりが少ない。モノクマが行動を起こすにしても、12人という人数は多すぎる。それでは早すぎる。そう、少なくとも——。
「あと半分は減らないと……」
他人の感覚は分からない。僕だって、はじめが20人だからそう感じるのかも知れない。だが、一般的な感覚としてそれくらいの人数にまで減ってからでないと、この仮説は説得力を持たない。
だが逆に、それくらいまで人が減ったとしたら——。モノクマがその後に何をするかは、今の僕には全く想像がつかない。何か、この学園の中だけで済むような話じゃなくなることだけは、不思議と確信していた。たとえ僕の予想が事実と違っていたとしても、そこだけは変わらないだろう。
当面は、まず死なないこと。これが大前提だ。その中でモノクマに対抗しうる戦力を確保すること。奴に関する情報でもいい。このコロシアイの真相でもいい。ただし、他人だけはダメだ。最後の瞬間まで警戒し続けなければならない。モノクマと本格的にぶつかることになったとき、余計なリソースを割く余裕なんてあるはずがない。
「……少し、邪魔が多いな」
何人かの
「——ッ」
コーヒーカップが軽くなっていることに気付いた。少し考えすぎていたらしい。日記を書けば考えが整理できていたはずが。今は考えることが多すぎて全くまとまらない。
「……はあ」
休もう。少しだけ。
頭の片隅に浮かんだその考えが、僕の体を瞬く間に蝕んだ。たっぷりコーヒーを飲んだにもかかわらず、ベッドに沈んだ体は鉛のように重くて、あっという間に僕は意識を残して沈んでいった。
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