「これ、失敗してないか?」
薄暗い管制室で、福丸がぽつりとつぶやく。モニターに映し出されているのはゲームのような画面で、真剣に仕事をしている姿には見えなかった。しかし、重大な事態が起きていることは、その部屋にいる全員が共有していた。大急ぎで駆け回って事態の沈静化を図ろうとするスタッフは、しかしその全てが徒労に終わることをなんとなく予感していた。
「やっぱりあのイレギュラーの存在が大きいな。あれのせいであちこちにエラーが出てる。軽微だが確実に人手は割かれる……まるで我々のことを理解しているようだ」
「指揮官殿。ご報告が」
「短く、簡素に、正確に」
「建物の奥に強固なセキュリティがかかっている部屋が。その部屋からイレギュラー反応があるため、解析班が解錠を進めています」
「ほう。どれくらいで解錠できる?」
「目処は立たないそうです。少なくとも3日以上かかることは確実だそうです」
「
「中の様子が分からないのと、正面の廊下が狭く爆風や爆音の逃げ場がこの部屋くらいしかないため、安全が確保できません」
「あっそ。じゃあ本部に追加の解析班を依頼しろ。あと1日短くなるごとに解析班全員に休暇とボーナスを出すと言ってハッパかけてやれ。本部にごちゃごちゃ言われたらこっちに電話つなげ」
「かしこまりました!」
福丸は適当にそうあしらい、スタッフのひとりはキレの良い敬礼をして駆けて行った。休暇と金をちらつかせて成果が上がるなら簡単な話だ。そう物事はシンプルにできていない。一時的にとはいえここを占拠していた奴らが仕掛けたものだ。こちら側にどんな損害を要求してくるか分からない。少なくとも面倒な時間稼ぎぐらいのことはしているだろう。
しかし同時に、イレギュラー反応をそこまで厳重に守ることの意味を考えていた。やはりあのイレギュラーは奴らの切り札のようだ。あれが介入することで、計画はかなり歪まされている。軽微で修復可能なレベルのものから重大で修復不可能なレベルのものまで。そのどれもが巧妙に隠されて、見つけるたびに翻弄されるばかりだ。
「……くそっ、やってくれたなアホ宮」
その日、私は頭の中を流れるやりたい放題の幻聴に悩まされていたせいで、まともな一日を過ごせなかった。いつもより頭が重たい気がしたし、思うように体が動かない気がしたし、ものすごく喉が渇いた。
頭の中の湖藤君はとても冷静で、言わなくたって分かる考えたくない可能性をずけずけと言葉にして私にぶつけてくる。だけどその考えはとても合理的で、疑いようがなくて、間違いなく正しかった。一方風海ちゃんは相変わらず考えることは苦手みたいで、とにかくポジティブに、手放しに私を応援してくれる。今となってはそれは虚しいだけで何の解決にもならない。それでも私のことを考えてくれてるのだけは、とても嬉しかった。
自分ひとりでそんな気分になってるんだから世話のないことだ。私はこの声とどう付き合っていけばいいんだろう。一晩寝たらどこかへ姿を消していた二人を頭の中で呼んでみる。だけど、昨日までの騒がしさが嘘みたいに二人とも鳴りを潜めて、影も見せない。私の空想のくせに、なんて身勝手なんだ。
「……はあ、どうしよう」
今日はモノクマとの決着のときだ。それを分かっていたはずなのに、私は頭の中がうるさくてベッドに逃げ込んでしまった。いよいよみんなに愛想を尽かされたかも知れない。尾田君だって手掛かりが足りないって言ってたのに、他の誰でもない、私がこんな体たらくで、みんなに示しがつかないよ。
せめて最後の学級裁判、悔いが残らないように頑張ろう。そんなことを考えている時点で敗色濃厚なのにね、なんて自暴自棄の自虐に自嘲しながら自室を出た。
「甲斐ッ!!」
部屋を出るや否や、毛利さんがぶつかりそうな勢いで飛び掛かってきた。何かと思ったら、相当焦っている様子だった。焦っているというか、怯えているというか、戸惑っているというか……一言で言えば、絶望してた。
「も、毛利さん、おはよう。どうしたの?」
「一緒に来い!」
青い顔をした毛利さんが、私の腕を引っ掴んでぐんぐん廊下を進んでいく。何がなんだか分からない。いつになく毛利さんが乱暴だ。何も教えてくれないまま、私の足がもつれるのも気にせず、どこかへまっしぐらだ。
寄宿舎から本館の方に移動してホールを通り抜けたかと思うと、ずんずん階段を昇っていく。2階、3階、4階と昇って……。
「あ」
前にこの階段を昇ったとき、私は毛利さんの肩を借りてやっとの思いで昇ったのを覚えている。今の状況とはまるで逆だ。あのとき毛利さんは私のペースに合わせてゆっくり歩みを進めてくれた。だけど今は私のことなんか気にもせず、とにかく一心不乱に階段を昇っている。私の方が毛利さんのペースに追いつこうと必死になっているくらいだ。
何度か階段を昇った先には、毛利さん以外のみんながいた。だから、その時点で何が起きているのかはなんとなく分かった。そして、視界に収まったみんなの顔を見て、そこにいない人の顔がすぐに頭に浮かんだ。だから、階段を昇り切る前に私は全てを悟っていた。理解していた。予想していた。
だから、尾田君の死体を見ても、特別驚きはしなかった。違う、驚けもしなかった。頭も、心も、目の前も、何もかもが真っ白になったんだ。
「モノクマ!どこにいる!出て来い!何が起きているか分かっているんだろう!」
毛利さんの怒鳴り声で、はっと我に返った。私は階段を昇り切った場所で、みんなと同じ場所に立ちながら、血の海に沈んだ尾田君を見ていた。
モノクマから侵入禁止と言われている上り階段の前で、尾田君はうずくまるようにして亡くなっていた。雪山で凍えている人が身を縮こまらせているような、何かに怯えている子供が布団の中で丸まっているような、そんな悲壮感をまとった死に姿だった。色褪せて皺だらけのパーカーが、ところどころ彼自身の血を吸って黒く染まっている。
「終わりだァ!!尾田が死んじまったらモノクマに勝てるわけがねェ!!ムカつく野郎だったけどおいらたちの頼みの綱だったんだ!!もうおしめェだァ!!」
「こりゃ参ったアル……
「おおう、尾田さん……なんと痛ましいお姿でしょうか。せめて主の愛に導かれて安らかに……」
「ちょ、ちょっと待ってよみんな!?毛利さんも……落ち着いて!」
今のいままで茫然自失としていた私が言うのもなんだけど、王村さんだけでなく長島さんや毛利さんまでもが焦っている姿を見て、なんだか逆に冷静になった。やっぱり私は、尾田君の死にそこまでショックを受けていないのかも知れない。
「そうそう!甲斐サンの言う通り、落ち着いて!何が起きたかなんて切るぐらい分かってるんだから。分かり切ってるってことだね!」
「ひいいィ!!で、出たァ!!逃げろォ!!」
「これはいったいどういうことだ!貴様……!!我々と正々堂々決着をつけるんじゃなかったのか!こんな……!」
「おやおや、毛利さん。それは一体どういう意味かな?それじゃまるで、ボクが厄介な尾田君を最後の学級裁判に先駆けて排除したような言い方じゃないか」
「そうじゃないのか!」
「そんなわけないでッショー!?そういう卑怯なことをしないからこそ最後の学級裁判の意味があるんじゃない!自分で提案したことの意味を自分から無くすなんて、意味フメー!!」
「で、では……これは、あなたがしたことではないというのですか?」
至極気だるそうに現れたモノクマは、だけど少し嬉しそうに小躍りしながら毛利さんの質問に答える。相変わらず、人が死んでるというのに不謹慎だ。いや、大事なのはそこじゃない。これがモノクマの仕業じゃないということは……それじゃあ、まさか?
「そのまさかだよ」
心を読まれた?いや、みんな考えることは一緒だ。今まで何度も同じことに直面しては、同じことを思ってきたんだ。
「尾田クンを殺したのは、オマエラの中の誰かだよ」
なんで今?なんで彼を?なんでこんな場所で?なんで?なんでなんでなんで?
なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?
なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?
なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?
なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?
なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?
なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?
なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?
なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?
なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?
なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?
「そんなわけないだろう!あ、あり得るか……!!そんなことが……!!」
「ぶっちゃけアリエナーイ!!はこっちのセリフだよ!!なんだよ!!このタイミングで殺人って!!マジでどういうことだよ!!今日はボクが先にオマエラと学級裁判する約束してたんだよ!?なのに……なのにコロシアイなんか起きたら学級裁判せざるを得ないだろ!!」
「なにキレてんだこっちだキレてェのは!!」
頭の中で疑問が渦巻く。みんなの騒がしい声が聞こえると、早鐘を打つ心臓がますます忙しなくなってくる。私は何をしたらいいの?モノクマとの学級裁判?尾田君殺しの学級裁判?ここから逃げ出してしまいたい。何もかも忘れてしまいたい。
「ダメだよ逃げちゃ。死体が発見されたら、いついかなるときでも捜査して学級裁判を行う。それがこの
「いやこれはさすがにコタえるでしょ。頼みの綱の尾田さんがこんなことになっちゃって……しかもこの中の誰かがこれをやったなんて、信じたくないよ」
「信じる信じないの話じゃない。事実はただそこに存在するんだ」
「うるさいよ!!ちょっと黙っててよ!!」
しん、と静まり返った。頭の中に響いていた声も。耳から入ってきていた声も。はっとして私は辺りを見回す。みんなが一様に驚いた顔をして私を見ていた。モノクマでさえきょとんとしていた。
「……か、甲斐さん?」
「あっ……あう……」
「う、うんうん!甲斐サンはよおく分かってるみたいだね!そう!泣いても騒いでも状況は何にも変わりませーん!ボクだって実に不本意だけど、やるべきことはしっかりやらないとね!なんだかんだ言って、ボクもきちんとモノクマファイルは作ってあるしね!うーんやっぱりボクって規則を守るえらいクマ?」
「やるしかないカ……うーん。不安しかないネ」
「なに受け入れてんだよ長島!?おめェ勝算あんのか!?おいらたちだけでやらなきゃいけねェんだぞ裁判!もう湖藤も尾田もいねェんだぞ!?」
「分かり切ってるアル、そんなこと。でもやらないと、モノクマとの勝負の前にみんなお陀仏ヨ。クロ以外は」
こんなときでも長島さんは、冷静でシビアだ。だけどいつも醸し出している楽観的で強かな雰囲気は鳴りを潜め、いまは少し血の気が引いて不安そうな表情を隠しきれずにいる。いつも笑顔の人がそんな顔をしているだけで強い不安を覚える。慌てふためいていた王村さんも、黙って祈りを捧げていた庵野君も、目を泳がせながら爪を噛んでいた毛利さんも、モノカラーの電子音で覚悟を決めさせられた。もう、やるしかないんだ。
モノクマとの学級裁判を妨害するように起きた殺人事件。被害者は、常に私たちを引っ掻き回してきた尾田君。モノクマは、その犯人が私たちの中にいるという。一体誰が、何の目的で、こんなことをしたのか。それを明らかにしないと。
【モノクマファイル⑥)
被害者:尾田劉平
死因:腹部を刺されたことによる失血死
死体発見場所:5階階段前
その他:致命傷となった刺傷痕は深く、内臓まで達している。
モノクマから送られてきた尾田君の検死データはシンプルなものだった。見た目のとおり、尾田君はお腹を刺されて殺されたようだ。今までのモノクマファイルに嘘はなかったけど、あえて情報を伏せたりミスリードを誘ったりすることはあった。まるっきり疑っていては何も始まらないけど、全てを鵜呑みにできるほど安心できるものでもない。
「私が検死をする。誰かについていてほしいが……そうなると捜査にあたれる人間がほとんどいなくなるが……」
「それなら、手前がついて——」
「いや。おいらが残る」
「王村さん?」
「……庵野はおいらより視野が広いし、手が届くところも多いだろ。つうか、おいらはあちこち歩き回って情報集めるより、一箇所にとどまって見張りする方が役に立つ。そうだろ?」
「まあ、ふらふらされるだけだと、ただでさえ少ない人手を食い潰すだけアル。ワタシは反対しないからなにかあるなら勝手に決めてもらっていいヨ」
「手前も特に反対は……甲斐さん、それでよろしいですか?」
「う、うん。じゃあ王村さん、毛利さん。お願いね」
「まかしとけ!」
珍しく——いや、こんな状況だから何が起きてもおかしくないか——王村さんが自分から率先して見張りを名乗り出た。今まではこっそりサボってお酒を飲むことばっかり考えてたのに、さすがにもうそんなことやってる場合じゃないって分かったのかな。
検死と見張りを二人に任せて、残った私たちは事件と関係ありそうな場所を調べることにした。と言っても、尾田君がいつ殺されたのか分からないし、血の足跡が残ったりしてるわけじゃない。調べる場所と言ったら……。
「とりあえず、彼のお部屋を調べてみるのはいかがでしょう?」
庵野君の提案に、私と長島さんは特に反対することもなく、そのまま三人で寄宿舎へ向かった。もしかしたら隣を歩いている人が尾田君を殺した張本人かもしれないのに、私たちはなんとなく緊張感が薄いまま行動していた。もはやこの危険と隣り合わせの環境に慣れてしまったのか、怯えてても仕方ないという考えが体の芯まで染み付いてしまったからなのか。
死んでしまった人の個室の鍵は、モノクマが解錠して捜査できるようにしていた。他の人の部屋は湖藤君の部屋以外はあんまり入ったことがない。個室は、湖藤君の部屋以外はどの部屋も同じ扉で、見た目の違いはドアにかけられたネームプレートくらいしかない。そこに尾田君の名前がかけられているだけで少しだけ緊張したけれど、あまり時間もないから私は気持ちを整えてからドアノブを捻った。
「……ふーん?これが
「長島さん、あまりじろじろ見ては尾田君に失礼ですよ」
「これから部屋中ひっくり返して手掛かり探すのに、見るだけで失礼になんてなるわけないネ」
「それもそうですね」
「簡単に納得しちゃった……まあ、いいか。とにかく時間がないから、手分けして捜査しよう。私は机とベッド周りとシャワールームを調べるよ」
「そういうところは女性よりも男性の手前がした方がいいのでは?」
「いーや!
「なぜそこまで言われなければならないのですか」
「本棚の上は
「うーん納得せざるを得ません!よろしいでしょう!」
「時間ないって言ったよね?」
真剣なのかふざけてるのか分からない長島さんは、それでも庵野君を一撃で説得してくれてスムーズに捜査を始められるようにしてくれた。感謝しておくべきなのかな?
私がベッドやシャワールームを調べると言ったのは、たまたま近くにあったから以上の理由はない。言われてみれば男子の部屋なんだから男子が調べた方がいいと思ったけど、ホームでも似たようなことはしてきたし、なんというか、私の中で尾田君は男子って感じがしない。尾田君は尾田君っていう、そういう生き物って感じがする。我ながらひどい感覚だと思うけど。
「うーん、やっぱりこれが気になるよね」
手始めに私は、尾田君の机の上を調べた。これ見よがしに置いてある、年季の入った本が目につく。たくさんの付箋が貼り付けられているけど、事典や小難しい学術書なんかとは違うみたいだ。側にはシャーペンが置いてあって、つい昨日まで尾田君がこれを使っていたのだろうことを窺わせる。
中を開いてみると、びっしりと細かい字が敷き詰められていた。走り書きのように崩れていて、それなのに角張ってそれぞれのスペースを明確に主張している。尾田君の性格がよく表れた字だ。日付ごとにしっかりと区切られた1ページの中に情報が詰まっていて、中を読み進めるほどに本自体が重くなっていくような気がした。
「日記……?」
ここに来てからの日付(正確な日付が分からないからか、ここに来てから1日目、2日目としている)がひとつ残らず記されていて、その日あったことや周囲の人間の様子、モノクマの発言や仕草の分析、コロシアイの真相につながる考察なんかが事細かに記載れていた。まるで尾田君の脳を覗いているようだ。余計な罵詈雑言を抜きにしているおかげで、尾田君の考えてることがとても理路整然と分かりやすくまとめられている。普段からこんな感じで話してくれればいいのに。
そして付箋が貼ってある部分は、尾田君なりに重要なことを書いているところみたいだ。今はその全てに目を通す余裕はない。これはとても重要な手がかりになるはずだ。私はそれを大事に抱えた。
「んー?なんアルカこれは?」
「何か見つけましたか、長島さん」
「これを見るヨロシ。
長島さんが持ってきたのは、手のひらサイズのクリアケースだった。中には複雑な形状の凸凹に綺麗に収まった色々な工具が並んでいる。ケースにはシールが貼ってあって、『工具セット』と書いてあった。
「こんなものどこから持ってきたカ!怪しい!実に怪しいアル!」
「大変申し上げにくいのですが、長島さん、これは男子なら誰の部屋にもあるものです」
「そうなんカ!?」
「女性の方なら、お部屋に裁縫セットがありませんでしたか?これと似たような造りになっているものです」
「そんなのあったカ?私知らないヨ」
「あったよ。長島さん、机の引き出しとか見ないの?」
「使ったことないから見ないアル。お金が入ってるならまだしも、裁縫なんてワタシの柄じゃないネ」
「男子なら工具セット、女子なら裁縫セットが各部屋に備え付けられているのです。モノクマの計らいですね。その意図は……推して知るべしかと」
「つまり、これは
そう言う長島さんの手に収まった工具セットは、シールの封が切られていた。つまり、尾田君が何かしらの目的で工具セットを開いたっていうことだ。一体何を?尾田君なら部屋でこっそり何か工作をしていてもおかしくない。きっと小学生が夏休みの宿題でやるような、微笑ましいものではないだろう。覚えておいた方がいいかも知れない。
「
「特に何も。本棚には、外国語の本や世界地図や過去の新聞記事のスクラップなどがありました。どうやら尾田君は世界情勢に強く興味を持っていたようですね」
「密偵なら、そういうものなんじゃないかな」
「いいや、
「でも、もう今となっては重要なことじゃないんじゃないかな」
「ふむ……いちおう、念頭に入れておくべきでしょう」
眺めるだけでも、尾田君の部屋の本棚はカラフルな背表紙が並んでいて、漢字やひらがなの隣に見たこともない文字が並んでいるような、国際色豊かな本棚だった。これが尾田君の本当の“才能”に関係あるんだろうか。よく見ると、部屋には世界地図が貼ってあったり、地球儀が置いてあったり、やたらとグローバルさを強調している雰囲気がある。かと思えば、いくつものモニターが並んだゲーミングコーナーみたいなところもある。これも尾田君なりのミスリードなんだろうか。
「さて、まだ時間はありますが、部屋の捜査は終わりましたね。お二人はどうなさるおつもりですか?」
「そろそろ
「甲斐さんは?」
「私は……うん、私もそうしようかな。まだ行きたいところや気になるところもないし」
「そうですか。では、手前は少し別行動をとることにします」
「どこ行くカ?」
「地下の倉庫です。あそこは物が多いので、犯人が何か決定的な証拠を隠すならあそこが手頃かと思いまして」
「じゃあ、私も後でそっちに行くね。ひとりになっちゃうけど、気をつけて」
「ええ。お二人も、お気をつけて」
尾田君の部屋の前で、私と長島さんは現場の方へ、庵野君は地下室へと向かった。今この建物の中にいるのは私たちだけだから、庵野君ならひとりでも大丈夫だろう。
「ねえ
「な、なに?」
「もし
「え!?な、なに言ってるの長島さん!?」
「可能性は0じゃないアル。ワタシたちの誰も、犯人じゃないってまだ証明されてないアル」
「じゃ、じゃあどうするの?」
「
「ええ……そんなことしてる場合かな?自由に動けるのは3人しかいないのに、そのうちひとりをひとりが見張ってたら、実質ひとり減ることになるんじゃ……」
「でも、もし
「うぅん……なんだかここにきてますます綱渡りみたいなことするよね、長島さん」
「ワタシは少しでも確実に信じられる手掛かりが欲しいアル。じゃ、
「あっ」
なんだか楽しそうに、長島さんは今来た道を引き返して、庵野君の後を追って行った。そりゃ庵野君が倉庫で真面目に捜査してるところを見れば信じられるけど……そういうのを抜きにして今までやってきたんじゃないの?ギリギリだったときもあったけど、それでも私たちの推理能力は多少なりとも信じられるものだって、思ったんだけど……。やっぱり、湖藤君も尾田君も一気にいなくなったのは大きいのかな。
長島さんを追いかける時間もないし、私は予定通り、事件現場に戻ることにした。二人いるとはいえ、王村さんと毛利さんのことも気がかりだ。ずっと尾田君の死体のすぐそばにいて、心が参ってしまっていないか。
「戻ったか、甲斐。あとの二人はどうした?」
「庵野君は地下の倉庫を調べに行って、長島さんはその庵野君を見張りに行った」
「なにやってんだあいつ」
「庵野君が犯人だったら、ひとりにして証拠隠滅されちゃうからって」
「この人数でそんなこと気にしてたら何にもできなくなるぜ。そう言って甲斐のことはひとりにしてんだから、世話ねェや。それとも、よっぽど信頼されてんのかな」
「と言うより、危険が少ないと思われているのだろう。さて、検分は終わった。やはりモノクマファイルに書いてあることはおおむね正しい。ただ、死亡推定時刻が書いてないのは気になるな。今までのことを考えれば、これは大きなヒントになる可能性がある」
「さすがだね、毛利さん。ありがとう。王村さんも、お疲れ様」
「へへっ、おいらだってやるときゃやるんだよ」
手際よく、顔色ひとつ変えず、それでも声には疲れの気配を感じさせて、毛利さんが簡潔に報告した。モノクマファイルはいつだって正しい。正しいけれど、必要十分とは言えない。尾田君がいつ殺害されたか、それがこの事件の真相につながるのなら、それに関する手掛かりを集めるべきだ。
「死因となったと思われる深い傷の隣に、比較的浅い傷があった。どうやら尾田は二度刺されたらしい」
「尾田は二度刺される!?っていうか傷の深さなんてどうやって調べたんだよ!?」
「……皆まで聞くな」
「うげェ」
毛利さんが、真っ赤に染まった手袋の指を立てた。まともな捜査道具のないこの場所では、こういう覚悟も必要なんだ。そういう意味で、毛利さんが自分からすすんで検分を申し出てくれるのはとてもありがたい。
「ちなみに、二人は尾田君と最後に会ったのはいつ?」
「昨日、食堂を去った後にも何度か見かけた。今日はモノクマとの最終裁判のつもりでいたから、改めて学園中を歩き回って手掛かりを集めていたんだが、図書室やホームセンターで見かけた。特におかしな様子があったわけではないから、声もかけていないが」
「おいらは食堂で見たっきりだな。ついでに言うと、あいつァ晩飯のときも食堂には来てねェぜ。おいらァ最終裁判がおっかなくてずっと酒に逃げてたんだ」
「またそんなことして」
「でもおかげで分かることもあったぜ。昨日の晩、食堂には誰も来てねェ」
「はあ。でもそれって、王村さんのアリバイを証言してくれる人は誰もいないってことだよね?」
「んまァ、そうなるけど……そんなんみんなだろ!」
「確かに、人数が少ない上に、おそらく尾田が殺されたのは夜中だ。犯行時刻近辺のアリバイは誰もないだろう」
モノクマファイルに書いてないから早合点は禁物だけど、毛利さん曰く、尾田君の死体の状態からして、死後数時間が経過しているらしい。毛利さんの証言を信じるなら、尾田君が殺害されたのは夜10時以降だ。私たちがここに集まったのが朝5時過ぎだから、遅くとも深夜2時までには殺害されていることになる。そんな時間にアリバイを証明できる人なんているはずがない。
「私も部屋で寝てたからなあ……」
「アリバイ方面から犯人を絞るのは難しそうだ。それより、検分の中で気になったことがあるから、ここで共有しておきたい」
「おっ、なんだなんだ」
毛利さんが尾田君のそばにしゃがむ。体から流れ出た血は固まって、毛利さんのエプロンにべったりとしたシミを作っている。投げ出された尾田君の手を取ると、血が染みてガビガビになったジャージをまくった。その手首にはたくさんの傷がついている。思わずぎょっとした。その傷の意味を安易に推察してしまった。
「こ、これは……?」
「何か細いもので引っ掻いたような傷だ。勘違いしやすいから言っておくが切り傷ではないぞ。擦過傷というやつだな」
「サッカショー?ペンだこかなんかか?」
「物に強く擦りつけられたことで付く傷だ。それがいくつもついている。よほど強い力で、何度も引っ張られたのだろう」
「びっくりした……。尾田君、病んでたのかと思っちゃった」
「病むようなやつかよ」
「人の心の中までは分からない。確かに尾田のイメージにはないが、見せている部分がその人間の全てじゃないだろう。動物だってそうだ。意図的に隠していることなんて誰にでもある」
「そういうもんかねェ。でもどっちにしろ、そういう傷じゃねェんだろ?」
「そうだな。この傷は手首を一周するようについている。ただ、一箇所だけ縦についている傷がある。これは形状や深さからして刃物でつけられたものだ」
「一つだけ刃物の傷?」
手首をよく見ると、確かに毛利さんの言う通りの傷がついていた。いったいこれが何を意味するのか、その答えをここで出すことはできない。でも、場所といいこの傷といい、尾田君はただここで刺されて殺されたわけじゃないってことだ。だけど尾田君の服に争った跡はない。っていうことは、この傷は尾田君が殺された後につけられたもの?どうしてそんなものが?
「私と王村はここでもう少し尾田の体や周辺のことを調べてみる。甲斐は、倉庫に行った庵野と長島の様子を見てきてくれないか?全体の情報を持つ人間がひとりいた方がいい」
「それって私でいいの?」
「お前は私たちのリーダーだろう。全員がお前のことを信頼している。お前の他には任せられない」
「おいおい……そうやって期待を乗っけすぎると宿楽みてェになるぜ。っと、わりィな甲斐。あんま聞きたくねェ名前を言っちまったかもしれねェな」
「ううん。ありがとう。それに、毛利さんの言ってることも分かるよ。そういえば、私はリーダーだったっけ」
すっかり自分でも忘れていたことを毛利さんに思い出させられた。王村さんも気を遣ってくれた。風海ちゃんのことを忘れたことなんてない。名前なんて自分の中で何度も復唱してる。今さら人からその名前を聞いたところで、なんていうことはない。
「それじゃ、私は向こうに行ってくるよ。何か分かったら後で教えてね」
「もちろんだ。念の為、気を付けろよ」
「うん」
毛利さんと王村さんに教えてもらったことをしっかり頭に入れて、私は尾田君の体に手を合わせてからその場を離れた。思い込みは禁物だけど、いくつか分かることやヒントはあったと思う。
短い捜査時間の間に学園の一番上と一番下を行ったり来たりして、だんだん足が疲れてきた。思えば、長島さんが自分から庵野君の監視を申し出たのも、毛利さんが私に地下室の様子を見に行かせたのも、これが大変だからなのかも知れない。いや、信頼して任せてくれた二人にそんなことを思ったら申し訳ない。少なくとも毛利さんはそんなことを考える人じゃない。私は、そんなせせこましい考えを振り払うように頭を振った。
地下室に来るのはずいぶん久し振りな気がする。最後に来たのはいつだっただろう。もしかしたら、月浦君の策略で菊島君と谷倉さんが殺害されたとき以来かも知れない。そんなことを思い出すと、階段を一段下りるごとにあのときの水の音がリフレインするようで、気持ちまで一緒に落ち込んでいくような気がする。
「無理しちゃダメだよ奉ちゃん。こんなところで心が壊れてたらお話にならないんだから」
「そうそう。気持ちを強く持って。時間は過去に戻らない。あの水も谷倉さんたちの死体も、今はもうないんだ。だから大丈夫だよ」
「ちょっと!励まし方のベクトル合わせてよ!私が止めようとしてんだから湖藤さんも引き止める方のこと言って!」
「庵野君と長島さんを放ってはおけないからね。それに、そもそもぼくたちの声が聞こえてる時点で、甲斐さんは甲斐さんなりに心を守ろうとしてるんだよ。だからぼくたちが何か言う必要はないの」
「それもそうか……ううん、しっかりめに論破されてしまった」
「
「はっ」
耳に突然飛び込んできた長島さんの高い声で我に返った。曖昧だった自分の存在が、その声をきっかけにはっきりと実体を持ったような感じだ。高いところから天井も床もすり抜けてここに着地したような感じだ。
「またひとりでアッチの世界行ってたヨ。まだ廃人になられちゃ困るアル。しっかりするヨロシ」
「う、うん……ごめんね」
「やっぱり最上階と最下階の往復はキツかったカ……面倒くさがった代償は高いアル」
どうも私は、長島さんを買い被っていたみたいだ。さっきの反省を返してほしい。
「お二人とも、こんなところで何を?毛利さんのお話を聞きに行かれたのでは?」
「ぎょっ!?
「ああ。いま聞いてきたところだから、こっちの様子を見にきたんだよ」
「そうでしたか」
「ど、どこから聞いてたカ!?いつの間に!?」
「別に聞かれて困る話なんてしてないのに……こんな状況でそんな怪しまれそうなこと言わないでよ」
「聞いておりましたよ。長島さんが横着して甲斐さんに階段を往復させたというところから」
「ギエーーーッ!!」
あ、長島さん今、敢えてやってるな。そう感じられるくらいには長島さんの“癖”が分かってきた。長島さんは嘘を吐くときや隠し事をしようとするとき、大袈裟に話したり露骨に怪しい行動をとったりする。で、この後。
「まあ冗談は置いといて、
「ええ。大きな手がかりが見つかりました」
こうやって急に冷静になって相手のペースを乱す。こうやって有耶無耶にしてるんだ。そう思って見てみると、なんと子供っぽい手口なことか。それをいつも冷静でシビアな長島さんがやるから、有耶無耶にされてしまうんだろうけど。今のは、長島さんが庵野君を疑っていることを隠したかったからやったんだ。疑っていることを隠したまま疑いたいってことは、長島さんの中で庵野君はかなりクロに近いってことなのかな?
「甲斐さん?」
そんな庵野君に声をかけられた。倉庫の中で大きな手がかりを見つけたという。なんだろう。このまま入って大丈夫だろうか。二人いるとはいえ、庵野君は体も大きいし力も強い。こんな人の来ないところで襲われたら……って、長島さんに引っ張られて良くないことを考えてしまっていた。つくづく私は人に影響されやすい。今はとにかく、多少の危険を冒しても手がかりが欲しい。私は庵野君に促されるまま、地下倉庫に足を踏み入れた。
薄暗くて埃っぽくて、空気がこもっているせいでどことなく生ぬるい気がして、とても居心地が悪い。微かな物音が壁や天井に反響して、あちこちから同じような音が聞こえて、暗闇の中に自分の動きを真似する妖怪でもいるような気になってくる。モノカラーの懐中電灯機能で照らした範囲に長島さんや庵野君が見切れると、一瞬どきっとしてしまうくらいだ。
「足元にお気をつけて。そして、少し気をしっかりお持ちください。いささかショッキングなものなので」
「いまさらショッキングもへったくれもないネ!いいから早く教えるヨロシ!」
「では……正面です。あれが何か、分かるでしょうか」
「……?……あっ」
モノカラーで照らした先には、金属ラックの隙間に押し込められるように積み上げられた段ボールの山があった。その麓には、バランスを崩して落っこちてきたのだろう、あちこちが潰れた段ボールが中身をぶちまけて横たわっていた。その中に、まるで周りにあるものと一緒にそこへぶち撒けられたみたいに、それはあった。
長く、長く、鋭く伸びた金属の槍。その先端には、これでもかとばかりにべったりと血が付着していた。それは冷たい床の上に転がっていて、無造作に投げ捨てられたように存在していた。
「こ、これは……!?」
「投槍ですね」
「確かに、整理がいい加減アル。これじゃ道具がかわいそうヨ」
「いや、整理の仕方のことではなくてですね。シチュエーションからして分かるでしょう。分かってください」
「ショッキング過ぎたから空気を読んでジョークで和まそうとしただけアル」
「我々とは違う空気を読んでおられる」
「この血……もしかして、これが尾田君を刺した凶器ってことなのかな?」
「おそらく。現場から離れた場所に打ち棄てられているのも、発見を困難にさせるためかと」
「だったら焼却炉で処分しないカ?ずいぶんと投げやりネ。いまのはいい加減って意味の方で、道具の方の意味じゃないアル」
「分かります分かります」
「
「長島さん、ちょっとお静かに」
庵野君、大変だなあ。
でもこの槍、なんだかおかしいような……。
「やっぱり怪しいのは、毎晩のように校則違反してた誰かアル。きっと真夜中にあちこち歩き回って、この槍を見つけてたヨ。槍投げ用の槍なんてしっかり探さなきゃ見つからないアル」
「ふむ……確かに、あれが数日続いての事件ですからね。何らか関係があることでしょう。昨日もあの校則違反はあったのでしょうか?」
「さあ。私、いつの間にか寝落ちてたからあんまり覚えてない」
「ワタシも寝てたアル」
「すっかりあの爆音の中でも寝ていられるようになってしまったみたいですね。斯く言う手前もですが」
「うぅん……毛利さんか王村さんが何か知ってればいいんだけど」
毛利さんと庵野君のおかげで手掛かりは増えた。私も尾田君の部屋で手掛かりになりそうなものは見つけた。だけど、そのどれを取っても事件の真相に繋がっているような気がしない。そもそも、私たちの中でこのタイミングで事件を起こすメリットがある人なんていない。
外に出たいならモノクマと直接対決しなくちゃいけない。そのうえで、尾田君を失うのは大きな痛手だ。もしかしたら学級裁判に勝って外に出ることを考えたんだろうか。でも、それぞれから見た容疑者はたったの4人。こんなに隠れにくい中で勝負するくらいなら、尾田君の力を借りてモノクマと戦った方がまだ勝算がありそうだ。
「考えるだけ無駄、ってことか……」
「犯人の動機カ?無駄なことはやらないに限るアル。人が人を殺す理由なんて、その人にしか分からないネ。
それは諦めか、それとも割り切ってるのか、長島さんがあっけらかんと言う。それを聞いて頃合いを計ったように、モノクマのアナウンスが響いた。
『一寸先は闇とはよく言ったもので、こんな事態になるなんてボクにも全く想像がつかなかったよ。まさか6度目の学級裁判を迎えてしまうなんてね。こんなことは前代未聞、じゃないのかもね、もしかしたら。少なくともボクにとっては初めての経験だ。さあ、オマエラにとってはかなり苦しい展開だと思う。負ければもちろんクロ以外全滅、勝ってもさらに人数を減らした上でボクとの対決。オマエラが選べるのはまだマシな地獄を選ぶことだけ!進む先——行くも戻るも地獄だぞ、っつってね!』
いつものアナウンスと違って、モノクマの声色からは楽しさが伺えなかった。コロシアイが起きたことを喜んで、死者を侮辱して、私たちを嘲笑って、この後に待ち受ける悲劇を期待する、そんな底意地の悪さを感じなかった。ただただ、事務的だった。まるでこの裁判には意味がないと言わんばかりに。
自分との学級裁判を邪魔されたことがそんなに不服だったのだろうか。モノクマはよっぽど、尾田君を含めた私たちと対決したかったということだろうか。それとも、他に何か……学級裁判さえも退屈に感じてしまうほどの心変わりがあったのだろうか。
「行きましょう、甲斐さん」
「あっ……うん」
考えるのは後だ。今は学級裁判に向けた心構えをしておかなければいけない。命を懸けた場に臨まざるを得ない理不尽、仲間を疑わないといけない理不尽、そんなものに立ち向かう理不尽……。
「理不尽に飲み込まれちゃいけないよ。理不尽に勝てるのは徹底的な“理”だけだ」
頭の中で湖藤君の声が聞こえた。やってやる、徹底的に。誰も信じちゃいけないし、誰も信じないままじゃいけない。そんな理不尽な学級裁判を、生き抜いてやる。
自分で何を書いてるかよく分からなくなってきた。
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