追放系お嬢様   作:インスタント脳味噌汁大好き

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第18話 王位はお金で買うものですわ

マキアとマキナの2人に対して、別々に孤児院をどう思ったかと聞くと、この世界のごく普通の一般貴族的思考のマキアは孤児院が大きなこと、子供達でも仕事をしていること等を淡々と報告して来ますが、マキナはちゃんと1つ1つ、どういう裏があるかまで把握していますわね。

 

貴族出身だと、虫食いがあったり歪な形の野菜の値段が綺麗で虫食いのない野菜の半分以下とか知りませんわよね。ワイバーンは卵であればそこまで値が張りませんし、何なら命懸けで拾えばタダですし。

 

マキアはマキアで自身の頭が平凡であることを理解して、平凡な者の意見として期待されていることを理解しているので、マキアはマキアでちゃんと仕事をしていますわ。要するに頭がそこまで回らない人物だと、マリアの孤児院は規模が大きいというだけで不審な点はあまりなく見逃されるということですわね。

 

ああいう孤児院の査察官は大抵貴族出身でしょうし、事前の通達もありますからある程度は繕えるのでしょう。何ならお金を握らせて見逃して貰っているのかもしれませんわ。今回は中途半端に取り繕ったために、歪な部分が強調されているようにも思えましたが、見せつける意味合いもあったかもしれないのがマリアの凄いところですわね。

 

恐らくは、私が同志だと思ったのでしょう。どう聞いても傭兵育成機関にしか聞こえませんでしたし、マキナが聞き出したマリアの思想は、所々赤かったですわ。子供達の一部はマリアのことをマリア様と様付けではなく、聖女様と言っているようですから、洗脳もバッチリですわね。こんな素晴らしい存在、絶対支援しますわよ。

 

表では孤児院にお金を寄付し続ける善人のように見えますが、実際は革命を起こそうとしている共産主義者に資金を与え続ける……とても素晴らしい黒幕ムーブですわ。これは悲惨な最後が待っているに違いありませんわね。思わず笑みが零れそうですわ。

 

学園生活も順調にエイブラハムへ嫌味を言っていたら、いつの間にか別グループも虐めの標的にし始めたので絶好調ですわね。来週には道具を隠されたり、ゴミを投げられたりと実害も出て来るでしょう。まあ実戦的な魔法がほとんど使えない魔力量ですので仕方ありませんわね。

 

あと学園生活ついでに、せっかく帝都に来たのですから皇族にお金を落とし続けて王として認めて貰いますわ。お金で官位を買うという如何にもなムーブをしますわ。この帝国は領内に幾つかの王国がありますが、まあ現代のヨーロッパで例えるならEUみたいな広大な領土を持っている帝国なのですからその中に国が幾つあってもおかしくはないですわね。

 

その中で私の治めるナロローザ公爵領は、現存する王国の範囲には入っていないため、皇帝が「ナロローザ公爵領周辺の領土を纏めて○○国と名付け、その統治をリディアに任せる」と言えば王国が生まれて私は公爵から王へ昇進しますわ。

 

これ自体に皇帝へメリットはないかのように見えますが、公爵伯爵なんて数百人いる帝国の統治、少しでも楽できるなら楽したいものですわ。だから献金なんてしなくても、優秀だと皇帝に認められれば王として王国の統治を認められ、周辺の皇帝の封臣を譲られますわ。

 

「というわけでナロローザ公爵領周辺の公爵や伯爵達を束ねる王になりましたわ。これからはナロローザ王ですわよ」

「……おめでとうございますリディアお嬢様ァ!」

 

マキアとマキナが孤児院へ偵察に行ってる間に、私も領地に帰って王になったことをクレシアに報告するとクレシアが面食らった表情になっていたのが面白かったですわね。ついでに仕事を全て丸投げされることを覚ったクレシアはやはり賢いですわ。

 

周囲の公爵や伯爵は皇帝の封臣から私の封臣に切り替わるので当然反発する領主も出てきますわ。そういった領主の鎮圧等々もクレシアの仕事となるので頼みましたわよ。王国内の税の徴収やら領内の法の整備等も出来るので、思いっきり暴君になりますわよ。ラストは革命軍の手による処刑が一番ですわ。

 

早速クレシアに命じて税率を上げて、民から余分に米や小麦を徴収しますわ。この農作物は売っても二束三文にしかならないので、毟り取った農作物は地下に作った倉へ埋めておきますわ。死蔵万歳ですわよ。

 

あとついでに新しく封臣になった封臣達にも納める税の額を上げるよう告げたので、反乱が楽しみですわね。すぐに軍を興せる領主は少ないでしょうが、その内徒党を組んで襲ってくれますわ。そうなれば私は処刑されるのでしょうね。……ふぅ。

 

ここでナロローザ家が潰えるのもよし、潰えずにこのまま歴代最悪の暴君を目指し続けるのもよし。暴君という存在は、酷ければ酷いほど末路は悲惨なものと相場は決まっていますわ。なので当分の目標としては、歴代最悪の暴君となることですわよ。


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