追放系お嬢様   作:インスタント脳味噌汁大好き

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第32話 魔剣の導きですわ

徐々にロウレット帝国内部が慌ただしくなってきましたが、私はのんびりと領地で過ごしますわよ。魔法学園の再開は、かなり先になりそうですわね。人口が集中している帝都のど真ん中は、食糧が無くなれば一気に暴動の危険が高まりますわ。そんな中、通常通りの授業なんて出来ないので仕方ありませんわね。

 

バッタ達との戦闘以降、常に私の周囲を鞘付きで飛び回るようになった魔剣ですが、勝手に私の魔力を使って飛んでいるので非常に迷惑な存在ですわ。ついでに自己紹介されましたが、シュパースという名前の魔剣だそうで、ちょっと魔剣命名の法則が分かって来たような気もしますわ。

 

そしてそのシュパースの先端から光が出て、一定の方角を指し示すようになったので魔剣の魔法陣を解析しますわ。どういった機構で飛んでいるのかについては、魔法陣の中の文字が何重にも重なり合うような形で配置されていたので解析不能でしたが、謎の光については後付けでしたから私でも解析出来そうですわよ。

 

『やめて!僕の中をこれ以上見ないで!』

「うるさいですわ。所有物なら大人しく所有者に全てを見せなさいな。

……時限式の光る魔法ですか。それならば珍しくはありませんわね」

 

魔法学園で学んでいた知識を活用した結果、どうやら3年毎にこの剣は光るらしいという事が分かりましたわ。デプハスションの方は光りませんが、そもそも喋らないのでこの魔剣の言う主がいる状況でのみ光るということでしょう。

 

時限式の魔法は構成上大体3年がリミットですが、この魔法陣はそれを繰り返し出来るように組んであるので3年毎に特定のパターンで光る、ということでしょう。ぼんやりと光り続けるとか灯りとして便利な魔剣ですわね。置物としては優秀ですわ。

 

解析した結果、光り続ける期間は約1か月でしたわ。その間、特定の座標のみを指し示す魔剣ですが、要するにそこへ行けということですわね。魔力を余計に消費される分厄介ですし、気になるので行きますわよ。

 

……ちょっと座標の方も解析すると、光が指し示す先はアーセルス王国の王都なのですが、今バッタ群が通り過ぎたせいで飢饉が発生しているアーセルス王国の王都の方へ行けと……?というか距離によっては一月で辿り着けない気もしますわね。製作者はもう少し所有者のことを考えてデザインしなさいですわ。

 

仕方ないので留守をクレシアやマキナに任せて、メイと一緒にアーセルス王国まで2人旅ですわ。道中、やたらと夜盗の類に襲われましたが強姦される前にメイがスパッと一刀両断していくので期待していた展開にはなりませんわね。

 

黒バッタ群が通ったと思われる場所は、森がなくなっているから破壊力が凄いですわ。前に侵攻作戦で通った時に草原だった場所は、今は枯れ果てた大地が続くだけとかやべーですわ。

 

と言っても、全部が全部なくなっているわけではないので山が禿山にはなっていませんわ。ある程度の生態系は維持できる程度に食い尽くしていますわねあのバッタ達。

 

あと軍が守ったと思われる地域は被害が少なめですわ。バッタ達も、無駄死にするのは嫌ということですわね。アーセルス王国の王都も軍が守っていたのか、着る服にも困っているという人は少なかったですわ。しかしそれはそれとしてやっぱり食料不足気味で、飢えた人が多いですわよ。

 

「でもお金があれば食糧を買える状態ということは、アーセルス王国の食糧事情はロウレット帝国よりマシですわね」

「前までの5倍以上の価格ですが、帝都より状況は酷くなさそうです」

 

しばらく王都内を光の指し示す方向へ歩き続けると、入り組んだ路地を抜けた先にある、貴族が住んでいそうな大きい屋敷に到着しますが、門番2人がうちの騎士団に入れそうなレベルで強い上に魔剣を持ってますわ。どうやらここが、魔剣のブラックスミスと呼ばれるガルロンの屋敷みたいですわね。

 

「おい、名ありの魔剣持ちのお客様だぞ」

「あ、ああ。……失礼、そちらの魔剣の主はどちら様でしょうか?」

「私ですわ。……特に連絡も入れてないのですが、入ってもよろしいのですか?」

「ええ、もちろん。どうぞ中へ」

 

小声で門番に名ありの魔剣の持ち主と言われたので、名前がある魔剣を持ってる奴はやべーということですわね。屋敷の中の一室に案内されると、そこには5人の男女がいましたが、全員魔剣を持っている上、強そうですわね。

 

ついでにエイブラハムもいましたが、必死に他人のフリをしているので様子見しておきましょうか。そして奥から大柄な中年男性が出てきましたが、髭が毛むくじゃらで腕が太いですわね。なんかもう外見からして『鍛冶屋』と言っている感じですわ。

 

私以外の人は頭を下げ始めたということは、この人が魔剣の作り手ですわね。あの鬱になる剣とか、どうしてそのようなものをこの世に解き放ったのかとか疑問は尽きませんが、私も一応挨拶をしておきましょう。

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