東方修羅道   作:おんせんまんじう

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なんか爆発的にUA増えててびっくり仰天なのぜ。
それはそうとゆっくり見てね!


第十六話 軍来祭 思わぬ強敵

 カレンとの戦いとは打って変わって、ざわめきが起こる会場を背にして歩き出す。

 同じ瞬殺でも状況が違う。

 

 かたや悪役を討った美少女(ヒーロー)、かたやイケメンの出鼻を挫いた(謎の人物)

 

 観客の反応が同じな訳が無かった。

 どよめきが人から人へ伝染する中で司会者が空気を変えようと発言する。

 

「少女達を魅了した太刀丸、呆気なく撃沈ッ!今大会のダークホース、シンは多くを語らず去って行ったッ!誰がこの歩みを止められると言うのかッ!?優勝候補、カレンか!?はたまたライバルの依姫か!?それとも無名の者共か!?それでいい!打ち倒してしまえッ!下克上(ジャイアント・キリング)だッ!!」

 

 観客席からでは無い場所…つまり他の選手からの熱意が上がったように感じた。

 司会者の盛り上げ方も中々の物だ、直接目にしていないと言うのに選手の士気があがり、突きつけられる敵意も増えたように思う。

 

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 シン達は、いや、シンは激闘を求めている。

 敵意?そんな物は試合を盛り上がらせるカンフル剤にしかならない。

 

 口元を歪め、依姫との激闘を超える、まさに熱戦を夢見ながら自身の控室に向かって悠々と歩いた。

 

<前から思ってたがお前ってかなりの変態だな>

「…そうかもな」

 

 ヴェノムが今になってドン引きしたかのように言う。

 誰が変態(戦闘狂)だ、そう声に出して言いたかったが、今の心情や過去の戦闘で何を思っていたか…それを思い出すと肯定するしか無かった。

 

 なんでこんなことを思っているんだろうか、そう哲学をしていると同時にあることを思い出してしまった。

 

「あっ…道が分かんねぇ」

<バカも追加だな>

「うっせぇ黒カビ」

あぁ!?ブチ殺すぞ変態バカ野郎ッ!

 

 小言の多いヴェノムにいつか口にした悪口を放つと、凶悪な顔を出して威嚇した。

 だが!頭突きされるしかなかったあの時とは違い、こちらには力があるッ!

 

「おうやって見ろよヴェノムッ!!されるがままだったあの時とは違うってことを見せてやるよッ!!」

 

◆◆

 

 結果、半殺しにされました。

 頭突きを避けて、凶悪な顔に拳を叩き込む、それをするだけの簡単な仕事の筈が、馬鹿みたいに速い速度でラッシュを喰らい、反撃をする暇すら与えられずに撃沈し、壁に倒れ込んでしまった。

 顔を鼻血を出しながら茹で蛸のように膨れ上がったシンの顔をヴェノムはギャハハハと豪快に笑い、シンに煽ってみせた。

 

ギャハハハッ!!お前と一緒に俺も成長していることを忘れていたなぁ!?旨い飯でもくれたら今回はコレで許してやるよ!クハハハッ!辛気臭ェツラだなぁオイ!?

「俺"が"悪"か"っ"た"…寛"大"な"心"に"感"謝"を"…」

 

 掠れた声でこればかりは自分が悪かったと表明し、旨い飯をどうするかと考えていた。

 その姿は敗北者のそれであり、ついさっき対戦相手を蹂躙した者とは信じられない程マヌケだった。

 

 通路で殴り合った(一方的にしてやられた)物だから、殴打の音でも聞きつけたのだろう、角から事務員らしき人が何事かと慌てた様子で近寄ってきた。

 ヴェノムは足音を聞くなり体内に戻り、顔がタコみたいに腫れたシンだけが残った。

 

「ちょっと!?大丈夫ですか!?直ぐに医務室に連れていきますね!」

「…ッ!いや、大丈夫だ…自業自得だしな」

「…?…そ、そうですか…」

 

 正直なところ、永琳にこんなマヌケな顔は見せたく無い、一生の恥だ。

 それより重要なことを事務員に聞いた。

 

「俺の控室が何処か知らないか?シンってネームプレートが掛かってあった筈だが…」

「えー、シン様ですね……えっ!?さっき出てたあのッ!?何があったらこうなるんですかッ!?」

「いちいち詮索しないでくれ…自業自得だから…」

<ギャハハハハッッ!!!>

 

 哀愁漂うシンにこれ以上聞くのはナンセンスと感じ取った事務員は笑って誤魔化し、静かに案内を始めた。

 この間、ヴェノムはずっと笑っていた。

 

<さっき出てたあのッ!?だってよォ!!ククククッ!あー笑いが止まんねぇッ!>

(くっそ…言い返せねぇ…)

 

 なまじ全てが自業自得なのでシンは言い返すことも出来ずに口惜しい思いをして歩いた。

 

 数分後、無事にシンは元の控室に着き、事務員に礼を言って入った。

 嗚呼、実家のような安心感とはまさにこのことだろう。

 

「それでは、安静になさって下さい」

「感謝する、あとこの顔は忘れてくれ…」

「ははは…努力します…」

 

 事務員は去り、完全にシンとヴェノムだけになった空間で大きく溜息を吐いた。

 

クククッ!そんな溜息吐いてどうした?嫌なことでもあったか?

「悪かったから許してくれよ…今度お菓子でも買ってやるから…」

…仕方ねぇなぁ…美味いのにしてくれよ?

 

 ありがたく許して貰えた、ヴェノムに顔を治して貰い、万全の状態になる。

 しかしここでチョロいなんて思ってはいけない、頭突きでは済まされず、また半殺しにされるかも知れないからだ。

 その邪念を振り払うため、おもむろにテレビを付けた。

 と、ここであることに気付いた。

 腰に付けた刀を戻して無い…が、まぁいいだろう、一本ぐらい無くなっても困るわけでもなさそうだし。

 

 テレビは丁度シンの試合を映しており、テレビの解像度の問題か、ハタから見れば本当に一瞬で勝負が終わっていた。

 ご丁寧に、ほら、起きろよ…と言うセリフも放送されており、悪役感を滲ませていた。

 

 少しの冷や汗を感じ、また数十分程テレビを眺めた。

 途中で予選が終了し、司会者か世辞のような言葉を選手に言い、軍来祭最初のラウンドを締め括った。

 

 予選を思い返してみるとカレンが衝撃的だったことや依姫の…あれ?依姫の試合が無い。

 ふと依姫がいないと気付きトーナメント表を確認すると、依姫は一回戦をスキップできるシード選手だった。

 やはり選手の一頻りの情報は漏洩しているのだろうか。

 そんな恐れを抱いた。

 

 司会者から月読命へ感想を求めるが、予選だからか、それともつまらない試合が多かったのか、短く感想を述べて、足速に軍来祭は次のラウンドへ進んだ。

 

 スムーズに進んだ試合は予選を潜り抜けた選手だからか、予選よりも試合内容が格段にレベルアップしていた。

 例えば猪突猛進するだけの者はフェイントを織り交ぜた技術に敗北し、技量だけで勝ち進んだ者は圧倒的な力という壁にぶち当たり地に膝をつけていた。

 観客の理解を超えた試合には、司会者が解説と実況を挟むようになり、選手が一手を講じる度に観客は歓声を上げていた。

 

 いつの間にかカレンの試合にまで進み、何か学ぶことは無いかと目を凝らして試合に注目した。

 しかし、貧弱なカメラではカレンの動きを捉えられないというのか、動きを見る間をなく試合は終わってしまった。

 即座に歓声が起き、カレンを褒め称える野次が飛ぶ。

 

 シン達は何一つ学ぶことが出来ず、落胆してテレビに映るカレンの顔を見る。

 敗北を知らない自信満々の顔、敗北を繰り返しながら強くなっていたシンとは相知らないだろうと直感し、これ以上注目すべき試合はないだろうと、またボーッとテレビを見た。

 

◆◆

 

 シンの試合が近づいて来た。

 そろそろ案内人が来るだろうか…何となく時計を見ながら心の中で独り言ちたシンの予感は的中し、丁度扉がノックされ、開く。

 

「失礼します、シン様の番が回って参りました」

「今行く」

 

 最初にシンが出た試合で案内人を務めていた無愛想な案内人だ。

 再開の挨拶も無しに案内人はスタスタと入り口へ歩いて行った。

 

 大人しく黙って歩くと、再び歓声が耳に届く。

 また数分歩くと歓声も大きくなり、剣と斧が交わった武器屋のようなマークのついた扉に到着した。

 

「こちらで武器を…いえ、もうお待ちになられていますね、直ぐにシン様の試合となるので準備しておいて下さい」

「おう、またまたありがとな」

「いえ、仕事ですので」

 

 素っ気なく案内人は立ち去ってしまい、歓声の響く入り口にシン達は一人取り残された。

 

 目の前で起こっていた激闘が終わりを告げ、さらに大きな観客の叫びが頭を刺激した。

 耳を通り抜けていた司会者の声が不意に耳をつんざく。

 

「お疲れ様だ!!さぁお次はダークホースにして実力が測れない男、またもや瞬殺してしまうのか!?シンッ〜〜ッ!!」

 

 意を決してフィールドに入場した。

 予選の時とは比べ物にならないほどの歓声に耳がおかしくなりそうだった。

 

「そしてッ!予選時に打たれ強さを生かし、どんどん強くなっていく脅威のスロースターター!!その小心者はどこまで強くなるのか!?レジック・アースッッ!!!」

 

 反対の入場口からどんな屈強な者が出て来ると思ったら、小柄でビクビクした男が人目を憚るかのように出てきた。

 髪は緑の癖っ毛、瞳は青く、深海を思わせる色をしていた。

 司会者も小心者と言っていたようにビビりなのだろう。

 テレビでこんな奴出て来たかと思う程影も薄い。

 

 しかし、何故予選を勝ち抜いて来たのか…そう思わずにはいられない位挙動不審で頼りない姿をしていた。

 それでも予選を勝ち抜いたことには変わり無い、カレンと同じように見た目は弱くても途轍も無く強いのかも知れない。

 

 

 警戒を高めながらアースへ試合前の挨拶をした。

 

「よろしく」

「よ、よろ、よろしくお願いします!」

 

 噛みながら言ったアースおどおどと剣を構え、此方も刀を構える。

 両者に緊張感が張り詰め、試合のゴングがなるのを待ち、ついにその時が来た。

 

「試合…開始ッ!!」

 

 試合開始前の口頭でスロースターターと聞いたからには、初動を攻めるしか無い。

 ジグザグと撹乱しながら距離を詰め、驚きでマトモに動けないアースの腹を刃のない刀で強打する。

 

 吹き飛ばされながらも受け身を取ったアースの瞳は涙で潤んでおり、痛みに弱いのだろうと感じさせた。

 

「撹乱しながらの先制攻撃が決まったァ〜〜ッ!これにはアース選手も堪らないッ!!」

 

 大袈裟に囃し立てる司会者と観客をよそに、シンは更に追撃を加えんと攻勢に出た。

 今度はシンの一太刀を防御出来たアースだったが、嵐のような連撃に次第に隙を突かれ始め、その体に多くのアザを作り出していた。

 

「どうしたぁ!?守ってばかりじゃあ勝利は掴まんぞ!!」

「ぐあぁぁああッ!?」

 

 刀ばかりに意識がいくアースの顔に上段蹴りを喰らわせる。

 よほど意識外だったのか、アースは防御する姿勢すら見せずに宙を舞った。

 バキャ、と痛烈な音が響き、会場の誰もが顔を歪めた。

 

 一方上段蹴りを喰らわされた当の本人は肩で息をしながら立ち上がってみせた。

 その姿に観客は盛り上がり、司会者も発破を掛けた。

 

「完璧な上段蹴りを喰らったアースッ!!それが何だとばかりに立ち上がるッ!!アースの真骨頂はここからだ!!」

 

 シンはそれが何だとばかりに飛び掛かって切り掛かり、アースの頭を守る剣ごと押し潰そうと刀を振るった。

 

 ガチィィン…

 

 鈍い金属音が響き、シンは驚きで目を見張った。

 明らかに力が上がっている。

 自重とシンの膂力を合わせた渾身の一撃をアースは見事に受け切り、あまつさえその状態からシンを押し返した。

 

 チラリと見えたその目は深海の青から燃えるような赤へ変化していた。

 

 シンを押し返し、体勢を崩した隙を狙い、アースは先とは全く比べ物にならないほどの力で剣を振り抜いた。

 鉄の剣はシンの腹部を深々と抉り、内臓を傷つけられ、受け身を取ることすら叶わずに壁に激突した。

 

 逆転したアースに観客が歓呼を上げる。

 

 全身の痛みを感じながら、壁から這い出てアースを睨む。

 とそこでアースがおもむろに口を開いた。

 

「…僕の能力は"追い詰められれば追い詰められる程強くなる程度の能力"…もう君に勝ち目はないよ、降参しな」

 

 開始直後のおどおどとした気配は無くなり、強者の風格を漂わせた男がそこに居た。

 思ったよりも強いが、慢心が敗北に繋がることをまだ経験していないようだ。

 

「思い上がった野郎にはお灸を据えてやるよ…」

 

 そう吐き捨て、立ち上がる。

 目立つからあまり使いたくは無かったが…やるしか無い。

 

「分からないならその身に叩き込んでやるッ!!」

 

 強気になったアースが一瞬で距離を詰め、剣を振るう。

 対してシンは刀を鞘を納め、叫んだ。

 

「ヴェノム!マスクッ(覆え)!!」

<了解ッ!>

 

 観客の殆どはシンがアースに頭を叩き割られる姿を想像し、恐ろしさから目を瞑った。

 しかし、いつまで経っても頭部破砕の音は聞こえず、耳に入ったのはアースの驚嘆の声のみ。

 

「なっ…!?」

ガキ…!よくもやってくれたな…ッ!

 

 アースの打ちどころの悪ければ死が訪れるだろう一撃を片手で掴んで止める、ヴェノムの姿があった。

 

 さぁ人々よ、震撼しろ…これが悪魔(ヴェノム)だ。

 




ご拝読、ありがとうなのぜ
ヤーナム在住の方、☆9評価サンキューなのぜ!あと二人で評価が反映…ぐふふふ… なのぜ。

ミナクテット・カレンの由来
ミネルヴァ(戦の神) + エレクトロ+カレント(電流)

レジック・アースの由来
レジギガス

登場人物紹介っている?

  • やってくれ 必要だろ(いる)
  • それは雑魚の思考だ(いらない)
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