東方修羅道   作:おんせんまんじう

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ゆっくりとしてね!


第二十五話 再誕せし蒼電

 それは何てこと無い…いや、ちょっと忙しい日ではあった。

 少し大掛かりな軍事作戦の任務を言い渡されて、うんざりしている所に偶然にもアイツと同じ班だと言うことを知ったのだ。

 

 強さだけなら一番のバカが居る、ならば楽に終わるだろう。

 そう、何事も無く終わる筈だった。

 そして、一日を終えて母上の元ではなく、アイツと依姫達のもとへ戻って、漸く、普通の生活を、送る筈だった。

 

『あら?私ぃはあなたを褒めるいるわよ?だから少し私に協力してくれない?』

「……」

 

 頭から母上の声が反響する。

 いや、これは母上では無い、絶対に…()()()()()だ、違う、母上じゃない、そうだ。

 母上に似た何かは暗闇の視界の中でポツンと存在していて、遠いようにも、近いように見える。

 盲点に居座る何かは常に微笑んでおり、口を動かさずにおかしな言葉を語りかけているのだ。

 ずっとだ、森に深く入った時から…ずっと。

 

 豪雨は既に降り止み、じっとりとした湿気が体を撫でた。

 

 …話を戻そう。

 

 任務は順調に進んでいる筈だった。

 しかし最初に違和感に気付いた…いや、異変に気付いたのは森に入ってからすぐだった。

 

 アイツ(シン達)の後ろをまるで妹のように付いていたとき、あからさまな頭の不快感を感じたのだ。

 まるで、神聖なる心と言う祭壇を土足で踏み荒らすかのように、冒涜するかのように。

 

 明らかに何かの攻撃を受けている…そう私は感じていたが、警戒するだけで特段対処はしなかった。

 多分、慢心していた。

 自分なら何とかなると思っていた、浅はかな考えだった。

 あの時点でアイツに伝えるなりすれば良かったが、今となってはもう遅い話だ。

 

 つまり、違和感は幻覚へ姿を変えたのだ。

 突如として視界が暗転し、ぐにゃりと空間が変形したかと思うと、それは学校に姿を変えた。

 私達は参列者の拍手をBGMに、入学式でよく見るような花道を歩いていたのだ。

 とても長い、長い道だった。

 助けを求めるべきだが、喉を締められたかのように声が出ず、止まれと言う私の意志とは反対に足は前へ前へと進んでいた。

 

 最も驚愕したのは、拍手をする参列者の全員が母上の顔をしており、その全てが私の方を見ていた。

 首の角度など関係無く、遥か後方でも首をほぼ90°に曲げてこちらに微笑んでいた。

 笑顔だった、気持ちの悪い程、久しぶりに見た母上の笑顔。

 暖かさなんて微塵もない、まるで貼り付けた能面だった。

 私が愛して、欲しくて堪らなかったソレだった。

 

 空は曇りのないくらい晴れているが、体は雨の水と汗でじっとりと湿っていた。

 

 出るはずもない歓喜が身を包んで、同時に得体も知れない恐怖と頭痛が身を襲った。

 動悸が止まらず、激しい息切れが起こる。

 汗が吹き出す私に煩いぐらいの拍手が襲い、素晴らしい、すごい、自慢の娘、生まれて来てくれてありがとう、と母上から言われたこともないような言葉が届いた。

 

母上は私を褒めてくれるいるんだ

 

 違う!母上はそんなこと言わない!言ってくれない!!言ってくれなかったッ!!

 

言ってくれていろよ?聞こえない?

 

 遂に私の声をした幻聴が聞こえ始めた。

 私の心はもう恐怖で包まれており、その意志を汲んだのか足も止まってしまった。

 もう何も見たくない、聞きたくない。

 目を閉じ、耳を塞ぐ。

 今だけは優しい暗闇が私を覆うが、暗闇から悪魔の声が送られた。

 

目を開けて

 

 嫌だ!

 

目を開けて

 

 やめて!何なんだお前は!?

 

『開けて頂戴?カレン?』

 

 そして耳元で囁かれる母上の声、気付けば、開けるつもりの無い目が開いていた。

 …そこに母上は居らず、ただ教室が広がっていた。

 しかし室内だと言うのに赤い雨が降り、窓から赤い光が教室と生徒達(班の皆)を照らしている。

 

 私は気配を感じ、後ろを向いた。

 そこには授業参観のつもりなのか、ギッチリと横並びになった母上達が私を見ていた。

 ゆらゆらと揺れてにっこりと笑っている。

 

 私の授業参観にも来てくれなかった母上は、今来てくれている。

 

 違 違う、こ、これは幻覚で。

 

これが本当の世界、幻覚じゅないの私、思い出しえ

 

 また声だ、もうやめてくれ。

 息切れが激しくなり、考えるのが辛くなってくる。

 いつから幻覚なの、何なの?これは。

 

私ぃが生まるた時から、お母さんに無視されていたのも幻覚、全部幻覚、今だけは真実

 

 そんな訳ない、そんな訳がない、そんな訳…

 私は私に言い聞かせるが、母上の一人が思考を遮るように言った。

 

『授業のとちゆうですよ、前を向けなさい』

 

 震える体を動かして背後を見る。

 

 そこには、母上がいた。

 しかし、髪は痛んでボサボサで、眼窩は無く、底なしの暗闇が渦巻いている。

 母上モドキは当たり前のように生徒の首を飛ばし、赤い花を咲かせた。

 

 あんなのが母上?冗談じゃ無い、あれも幻覚…

 

アレが私ぃを無視したんだ、アレが私ぃの心を痛めつくぇたんだ、アレが全ての元凶だ

 

 …アレが?

 

そう、アレを殺せ、決別だ

 

 母上モドキは首を揺らしてこちらに近付いてくる。

 そこで突っ立っていた生徒が立ち所に鮮血を噴き出して倒れた。

 やだ、怖い、近付かないで、私を叩かないで、母上。

 

殺せ、殺せば良い、決別だ、さぁ、さあ!

 

 動悸は更に激しくなり、空間は母上モドキを中心に崩れていくように崩壊している。

 恐怖で涙がポロポロと落ち、母上モドキが目の無い顔を近づかせて言った。

 背筋が凍り付いていく。

 

何が起こっている…?おいカレン!俺達から離れるなッ!!

 

 やだ、やだ、やめて、お願い、お母さん、謝るから、やめて。

 恐怖心は指数的に増大し、体が震える。

 

聞こえてんのかッ!何突っ立ってるッ!?

 

 詰め寄る化け物に遂に、決壊した。

 

「ああああああ!?!?!?母上ッ!?やめて!母上!母上!母上ぇええッッ!!!」

 

 拳を振り回して化け物に攻撃しようとするが、煙に巻かれたかのように消えては現れ、消えては現れた。

 生徒は全員頭から噴水を流しており、背後からは寸分の狂いの無い母上の笑い声と拍手を奏でていた。

 私は既に極限のパニックに陥り、泣きながら化け物に攻撃するが当たらない。

 

 怖い、怖い、怖い。

 

 心がその一色で満たされ、更に化け物の顔ものっぺりとした何かに変わる。

 その瞬間に私の体は鎖で縛られたように動かなくなり、気が付いたらのっぺりとした化け物が目の前にいた。

 

「いやッ!やめてッ!やめてよぉ!お母さん!」

「ん〜、もういぃかな、しばらく私の人形になってくだすぁると嬉しいですは」

 

 顔全体にのっぺりとした化け物が広がり、私の中に侵入するかのように、同化するかのように私の体の中に入っていった。

 

 そこからは何も覚えていない。

 

 強いて言えば、ずっと母上に頭を撫でられて、大丈夫って言っていたこと。

 しかしその顔はのっぺりとしており、母上の声で、姿で喋っていることに非常に私は、()()をーーー違うッ!アレは母上では無く母上そのものであって!あああああッ!!違うッ!母上は母上じゃないッ!母上だ!!

 

 

 …私はもう、何が本当で何が虚偽かも分からない。

 そして冒頭に戻るのだ。

 意識が覚醒したのはこの洞窟に似た場所で、監禁されていた。

 

 目の前には母上。

 ずっと、私に頼み事をしている。

 協力してくれ、と。

 

 私は僅かに残った理性でそれを拒否し続けていた。

 きっと仲間が…そうだ、シンは?シンはどうなったんだ?

 

『シン?誰かは知らぬいけど、私が殺すぃたわ、みんな…ね、おほほ』

 

 母上は上品に笑うが、内容は下品で、私に絶望を与えるに上等な物だった。

 

 嘘だ、私に勝ったアイツが呆気なく死ぬわけがない、きっとそうだ。

 

『もしかすて黒い男かしら?アイツは私ぃが踏み潰して腸をぶち撒けたんだよ!!…ですわよ」

 

 嘘だ、嘘だ嘘だ、嘘だ。

 母上がそんなことをするわけが無い。

 母上じゃ無いのはワカッテイル筈なのに、頭が、体が母上を許容している。

 こんな奴に。こんな奴に!

 シンが殺される訳が無いッ!

 

「んじゃぁ、くぉれを見てくださいまし」

 

 脳裏に映像が浮かび上がった。

 豪雨に打たれている血みどろのシン。

 腹から内臓が飛び出ており、忌々しげにこちらを見ている。

 そんな、馬鹿なことがあるか。

 こんな?呆気なく?

 目標をやっと持てたのに?こんな一瞬で?

 

「ああ、あああ、あああ"あ"あ"あ"ッッ!!貴様ぁァああ"あ"ッッ!!!」

『チッ…めんどくせぇですわ、強引に操ってやりましょぉ」

 

 母上は立ち上がり、私の額に手をかざした。

 やめろ、何をする気だ、やめてくれ。

 

「やだだねぇ!受け入れない君ぃが悪いのだ!!()()()()()()()()()()けど許すてねぇ!!」

 

 異物が、母上が私の心に入り込み、ナニカを殺している。

 猛烈な吐き気と寒気、歓喜と至福。

 何かが私を作り変え、喪失の予感に恐怖が顔を覗かせる

 

 私を構成する想いが、思い出が、決意が崩れていく。

 何かの試合で打ちのめされたことも、私が何処かに来て四人で競い合ったことも。

 風化して、摩耗して、擦り減って、燃え尽きて、崩れ落ちて行く…

 

 母上が私と一体になる、私は母上の…違うッ!私は私で…私は…私は、()だ。

 嘘だ、嫌だやめて、お願い、助けて、シン、助けて!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あれ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ■■って誰だっけ。

 

 私は何で ここにいる のだっけ。

 

『ん〜♪私はあなたのお母さんよ、ちょっと協力してくれないかしら』

 

 目の前にお母さんがいる、そうだ…キョウリョク しなきゃ。

 久しぶりだ、お母さんが私を頼ってくれるのは。

 私を見てくれるのは。

 

 大好き、お母さん。

 

 私の目から、何かが零れ落ちた。

 

◆◆

 

 洞窟にのっぺりとした紳士と、最早全てを壊された■■■がいた。

 

 紳士の顔は無いが、ニチャリとした表情をしていた。

 ■■■は虚な表情で虚空を見つめており、お母さん、と連呼している。

 

「じゃぁ、初めようくぁ、まづ…君ぃは何か、能力とか持っているかぃ?」

「…私は 電気を操る程度の能力を持ってる…お母さん…あれ、お母さんってなんだっけ」

 

 瞳孔を彼方此方にゆれさせる彼女に、紳士は口を歪ませるように顔を変形させ、上機嫌に語りかける。

 

「ん〜♪お母さんは私ぃのことさ!だかるぁ何でも私ぃのためにしてねぇ!」

「…はい、お母さん」

「じゃあ!能力を()()にして!!」

 

 ■■■は躊躇無く雷撃を辺りに振り撒いた。

 薄暗い洞窟が雷に照らされ、黄色く反射している。

 少女の顔は辛そうだ、しかし、紳士の操りの力で無理矢理全力を超え、体をガタガタを震わせていた。

 

「いいッ!良いね君ぃ!ホラ!もっと電力を上げてッ!今度は私ぃに向かってッ!」

「ああ" あああ"ああ ああ" あああ あ" あ"あ"ッッ!!!!」

 

 限界を超えた能力使用は■■■の体を破壊し、身体中から血を噴き出していた。

 にも関わらず雷を大きく上回る電力を紳士に放出し続け、紳士はそれを自身の手に集めさせている。

 

 洞窟の天蓋にヒビが入り、電熱によって周囲が赤く黒く焼け爛れる。

 命を削った能力使用は文字通り少女の命を使い果たし、がくりとその場に倒れた。

 

「まだまだ遊びは終あってないよ!君ぃッ!!」

 

 倒れ込む少女に紳士は手に貯めた蒼く光る電気を浴びせた。

 少女の体は再び激しく震え、体は雷と色と同じく蒼く変色している。

 

 普通の人間ならば起こり得るはずの無い反応に紳士はますます興奮し、残りの妖力も使って■■■に電気を注ぎ込んだ。

 

「ふぅ……生きてるぅ?おーい?んん?」

「う…あ…お母…さん…」

「おぉ!良いね!今度は人間ぐぁ憎くぬぁる催眠を掛けてみよう!!はははッ!混沌だ!人間を絶滅させるんだよッ!」

 

 死体の筈の少女は立ち上がり、電気を蓄えた蒼き体を震わせている。

 しかし全身の皮膚が焼け、血管がくっきりと浮かび上がっていた。

 そこに催眠と言う名の精神破壊が加えられ、彼女の思考を赤く染め上げた。

 

「あ…あ、あ、お母さん…」

「いいね君ぃ!決めたよ!名前!無いと不便だくぁらねぇ!()()()()()だ!良い名前だよねぇ!」

「…エレクトロ…虐殺…お母さん…お母さん、お母さんお母さんお母さんッッ!!」

 

 ■■■…いや、エレクトロは血管の見えるほど透明化し、蒼く煌めき絶叫する。

 そんな彼女に紳士は愉快な声を上げて、蒼い顔を見据えた。

 

 瞳は蒼く輝き、瞳の白の部分は黒く変色している。

 しかし、その神秘的な眼には、膨大な憎しみが宿っていた。

 

「死ねぇぇぇええええッッ!!!!」

「えぐぁッ!?…おぉっ、こぁっ!あ、るぇ!?なん、でぇ、だぁ!?」

 

 呪いを連呼したエレクトロは髪を振り回して、腕から蒼い電流を発してお母さんの体を焼け炭にした。

 体の大部分が炭と化し、芋虫のようビクビク震える彼はエレクトロに問いただす。

 

「ゴッホっ!な"にをするエレクトロ"ぉ!私ぃは君のお母さん"だぞッ!!」

「…お母さんが憎い…お前が憎い…人間なんかより、お母さんが…!お前が…!!お前がぁぁああああッ!!」

 

 彼女は空っぽの記憶から、魂からの叫びを浴びせた。

 蒼電は唸りを上げ、雷轟が曇天に響く。

 しかし流石大妖怪と言うべきか、全身が真っ黒に焦げてもソイツは生きていた。

 

「お母さん大好きだったのに!!なんで私を見てくれなかったの!?なんで!?私は頑張ったのに!!妹ばっかり見ないでよ!!私だけを見てよ!!」

(不味ぃ…ミスったぁ、彼女にとって私はお母さだ.…そこに人間を憎む暗示なんてしたら殺すれるじゃなぃか!?)

 

 実際の所、それだけでは無い。

 元々彼女は母親の事が大好きで、大好きで、大好きだ。

 だからこそ、その反動が強く、錯乱した彼女にとって母親は誰よりも殺したい対象になっていた。

 

 大好きな気持ち、憎悪する気持ち。

 

 相反し、共存する矛盾。

 そして操りの大妖怪の暗示。

 それらに振り回されて、カレンは正常な判断など出来る訳が無かった。

 

「分かったゎ!お母さんが悪くぁったわ!だからこれを治してぇ!」

「お母さん?…母上…?…うグッ、おぇぇぇえええ…」

 

 彼が操りの大妖怪として生を受けたのはつい最近。

 そんな彼には簡単な失敗も気付かず、自身が生み出した怪物に殺されかけたのだ。

 

 更に紳士の言葉に彼女の頭がズキズキと痛み、押し寄せる猛烈な吐き気を解消せんと、紫電の帯びた吐瀉物を洞窟の端に吐き捨てた。

 えづく彼女は苦しさからか、それとも何かを感じたのか黒々とした目の縁から露が流れている。

 

 彼女の拘束から逃れた紳士は炭となった体が崩れるのも構わずに逃げ去った。

 しかし足取りは重く、思うように前に進められていない。

 

「ぉッ!はぁっ、ぐぅっ!はぁっ、逃げなきや…遠くに…遠くに!!」

「オカアサン?何処に行くの?母上?また無視するの?」

 

 弱った獲物と雷の如き化身。

 逃げ切れる筈が無かった。

 

 雷速の速度で現れたエレクトロに驚愕する紳士。

 踵を変えて反対に走り出すが、発射された雷撃が両足を穿った。

 

 顔から転倒し、苦悶の声を上げる紳士にエレクトロは追撃を加える。

 両手、両肩、両膝、臀部。

 急所を的確に避けた雷撃は紳士の逃亡手段を悉く打ち砕いていった。

 

 先程まで曇天だった空から急に驟雨が降り出し、二人を濡らしていく。

 

「うぅ…ぐぁ…まだ…私は…畏れを、血を…破壊を…混沌をぉ…」

「大好き、お母さん、大嫌い、お母さん」

「やめーーー」

 

 辺りは光に包まれ、轟音が響く。

 

 達磨のようになっても芋虫のように這いずり回る紳士は、蒼電によっていとも容易く絶命し、地面に服を残して溶けていく。

 

「…」

 

 偽物とはいえ、母親を殺した。

 あんなに大好きでたまらなかったのに、自分の手で殺した。

 

 何故?なんで?どうして?

 

「うぁ…うあぁぁ…ああああ…!!」

 

 もう、何もしたくなかった。

 破綻した思考では、答えは得られなかった。

 

 だが、浮かぶ言葉はあった。

 

"人が憎い"

 

 それは操りの大妖怪が残した催眠であり、呪いだ。

 母親への殺意で押し付けられていたソレが、今になってエレクトロを襲う。

 それだけでは無い、彼女の頭の片隅にこんな言葉が響いていた。

 

『そうだな、人生の目標でも作ったどうだ?』

 

 きっと誰かに言われたのだろう。

 空っぽな自分を慰めるために、無責任に言ったのだろう。

 

 きっと、ほんの少しは救われていた筈だ。

 

 だから、今だけは、その言葉に縋っても、許してくれる筈だ。

 ()()

 

『…チッ…いいかッ!私はお前を超えてやるよッ!いつか雪辱を晴らすッ!!覚悟していろよッ!!』

 

「そうさ、何もかもが、憎い…()()もだ…人も、お前も殺して、私が強いと、証明してやる」

 

 目の前の大妖怪(母上)を雷殺したエレクトロは誰に言うでもなく呟いた。

 

…私はエレクトロ…

 

 恐ろしい声の出る喉を震わせ、口角が上がり、天を仰ぐ。

 最早空っぽの記憶には大妖怪から贈られた人類の憎しみと新たな目標が渦巻いていた。

 

 エレクトロは雨に濡れる掌を見つめた。

 血管と体に流れる電流が交差しており、何処か神秘的で、背徳的である。

 

最強は 私だ

 

 作られた憎しみ、空白の記憶、意識の底に沈んだ何かの目標。

 矛盾だらけの最強は、使命を遂行するため、大電力集まる都市へ向かった。




ご拝読、ありがとうございますなのぜ。
待たせて申し訳ないのぜ!
hynさん、☆3評価ありがとうございますなのぜ。

登場人物紹介っている?

  • やってくれ 必要だろ(いる)
  • それは雑魚の思考だ(いらない)
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