東方修羅道   作:おんせんまんじう

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ゆっくりするのぜ♡


第五十八話 お前は人間に見えない

「…はぁ〜〜〜…」

 

 長い溜め息。

 不条理だと、不満だと、甲高く幼さが現れているその声には、そんな言葉が込められているようだった。

 

「諏訪子様ぁ〜、そんなに机に突っ伏してるといけないですよ〜」

「わかってるよう〜…」

 

 その様子を見かねた緑髪の巫女が彼女の側に寄って、優しく彼女の肩を揺する。

 彼女は気だるげに頭を上げ、もごもごと呟いた。

 

「もうちょっとこうさせて〜…」

 

 彼女の名前は洩矢諏訪子、この諏訪国の主だ。

 そこらの幼女と変わらない外見、行動をしているが、一国の主神なのである。

 しかし何十分机に突っ伏していたのだろうか、額に真っ赤な真ん丸の跡が付いている。

 

「もう、おでこが真っ赤ですよ?」

「だってぇ〜…」

 

 諏訪子の隣で微笑む彼女は風祝の巫女、東風谷花苗(かなえ)

 諏訪子の家族であり、世話人でもある。

 今日も諏訪子の事を起こしてやったし、腕によりをかけた朝食も作ってやった。

 

 いつもならばそれで上機嫌になっていた筈だったが、太陽が真上に来てからも、諏訪子はこんな調子で沈んだ様子だった。

 

「元気出して下さいよぉ〜、約束の時間まであと数刻ですよ〜」

「だいじょーぶだよ〜、その時までにはやる気出すから…」

 

 今日は大国、大和国との外交の日だ。

 かの大国は圧倒的な武力で有無を言わさず他国を吸収し、その規模をどんどんと増している。

 

 その大和国が、諏訪国に目を付けた。

 

 小さな国である諏訪国を吸収する意味は無い、トップのジジイ共のくだらないプライドと肥大欲の為に、手当たり次第に国を取り込んでいるのだ。

 タチの悪い事に、若い男は徴兵や新田開拓の為の労働力として連れ去られる。

 融和を断った国は、見せしめに滅ぼされるか、武力行使で強制的に屈服させられるか、だ。

 

 反発は勿論大きいが、大国の看板の影響と武力の力は大きく、妖怪の被害も少なくなるのも事実。

 国民からの信仰が薄く力の弱い神々は、直ぐに軍門に降り、一部の国民を差し出てその恩寵にあやかった。

 

 諏訪子には、そんな真似は出来ない。

 

「…はぁ」

 

 国民は家族同然だ。

 彼らは諏訪子の子供達だ。

 

 子供達を、一部でも見捨てろというのか。

 

「す、諏訪子様…?大丈夫ですか…?」

「…!…ごめんごめん、ちょっと、ね…」

 

 どうやら、怒りが顔に出ていたようだ。

 花苗が心配そうに諏訪湖を覗き込んでいる。

 

 水晶の様な、美しい瞳だ。

 思わずはにかんでしまいそうな、優しい瞳だ。

 守護(まも)らねばならぬ、絶対に。

 

 諏訪子は作り笑いを浮かべ、花苗を安心させようと努力した。

 その時。

 

「…!」

 

 背筋を貫く…悪寒?邪気?瘴気?

 言い換えられる言葉は無数にある。

 

 ただ一つ確実に言えるのは———

 

「…ごめんね、花苗、どうやら客が来たみたいだ」

「えぇっ!?もうですか?随分早いですね…」

「いや———」

 

 邪悪な何かが、この地に踏み込んで来た。

 

「———不法侵入者だよ」

「あっ!ちょっ!諏訪子様ぁ〜!!お怪我はないように〜!!」

 

 それだけ理解すればいい。

 諏訪国に踏み込んだ妖怪は、今までその全てを根絶やしにしてきた。

 今回も同じだ。

 

 国民達を守る為にも、この地を守る為にも———

 

「殺してやる」

 

 社を飛び出した彼女は、最早だらけた乙女では無い。

 諏訪国の主。

 土着神の頂点。

 祟り神の、洩矢諏訪子だ。

 

◆◆

 

「クソジジイ共っ!!本当っにっ!!」

 

 荒野を駆け抜ける小さな影。

 それはシン達との戦いを終えた諏訪子だ。

 

 疾風の如く駆ける彼女の額には大きな青筋が浮かんでおり、憤怒が見て取れた。

 その原因は勿論———

 

()()んだよっ!来るのがっ!!」

 

 今日交渉に来る大和国の使者だ。

 約束の時間よりも大幅に早い、早すぎるのだ。

 

 勿論、遅れて来るのは論外だが、早く来すぎるのもまた無礼だ。

 約束の時間を堂々と破るその姿勢は、暗に諏訪国を下に見ている証明にもなる。

 

 そして、あちらの都合に合わせられず待たせたりでもしたら、変な難癖を付けられ、『嫌がらせ』を受ける。

 

 曰く———

 

 歓迎の祝祭の準備が出来ておらず、不敬だ、と。

 『不敬』の代償を払う為に、成人一人を捧げろ、と。

 

 とある小国に対して吹っ掛けた、実際の出来事だ。

 

 他にも、酷い場合には秘密裏に妖怪を嗾けてくる、という噂もある。

 

 どちらにせよ武力を持つ筈なのに陰湿な、外交上の理由も無い、ただの『嫌がらせ』をしてくるものだから嫌になる。

 多分、反抗した国への武力行使の理由作りが目的なんだろう。

 

「あぁ〜〜〜っもう!!アイツのせいで身体が重いっ!!」

 

 シン達との戦いで蓄積した疲労が怒りに拍車を掛ける。

 大和国の使者の気配はシン達の居た場所から諏訪国を挟んだ反対側。

 地味に遠いのも怒りを誘う…が、そちらは諏訪国の正門、客人を迎える場所だ、四の五のは言っていられない。

 

 諏訪子は重い身体に檄を飛ばすかの様に叫び、全力疾走で大地を駆けた。

 

◆◆

 

「…フフフ、いやに遅かったじゃないか、諏訪国の主神よ」

 

 諏訪国の正門から正面約1キロ。

 何故か諏訪国から一歩引いた位置に、ソイツは居た。

 

「貴様が大和国の使者か?」

 

 大和からの使者、性別は男だ。

 彼の容姿は整っている。

 と言っても、人の信仰により生まれた神が美形なのは当然。

 

 人の仔なら兎も角、神ならば何処にでもいる程度の容姿だ。

 強いて言うなら、プライドの高そうな所ぐらいか。

 

「…いかにも、だが言葉遣いには気をつけたまえ、我が名は———」

「その臭い口を閉じろ、約束の時間も守れない下っ端の名前を覚える趣味はない」

 

 眉間に皺を寄せた使者、更に額に青筋が浮かぶ。

 しかしそれも束の間、彼は肩をすくめ、戯けた口調で口を回した。

 

「…ほう?良く回る舌だな?どうやら目の前の脅威を理解出来ないらしい、主神の目が悪いと、民は苦労するぞ?『神様に合うメガネを作らなきゃ〜』…なんてな、そんな技術力、君達が持ち合わせている訳ないのにな!」

「つまらない冗談だ、貴様の態度を見るに、大和国は協調性のカケラも無い国なのか?程度が知れるぞ」

「覇道を征っていると言ってくれたまえよ、それに何故こんな片田舎の基準に合わせる必要がある」

「…貴様も言葉に気を付けろよ、手が出されたくなければな…で、目的は?」

 

 何事も無い様に我が子らを馬鹿にされて、諏訪子の瞳孔が開く。

 少しでも理性が弾ければ、諏訪子の土柱が使者を貫いていた。

 

 そうしないのは、一重に大和国が報復を行えば、国力の差で勝ち目が無い為だ。

 

「もう分かっているだろう?諏訪国を大和国の属国にする、此方からは大和国の看板と武力、君達からは若い労働力を———」

「絶対に嫌だね」

「…ほう」

 

 ———勝ち目が無いからと言って、大和国に屈するという選択肢はハナから無いが。

 

 諏訪子の鋭い目が使者を貫く。

 はっきりとした反抗の瞳に、使者の眉が吊り上がった。

 

「もう一度、聞こうか…『何が』嫌だと?」

「私の子供達を、貴様らの奴隷には、絶対にさせない」

「人聞きの悪い事を…それに、君は今、大きな転換点を超えた…国が存続するか、しないか…その大きな選択肢だ」

 

 使者のパッと表情を軟化させ、薄く笑みを浮かべた。

 

「残念だよ」

「…」

 

 使者が身体を翻し、歩を進める。

 不気味な程に、あっさりと引いていく姿に、諏訪子は警戒を続けた。

 

「ああ!忘れていたよ!君達に()()()があるんだった!!」

 

 突然の大声。

 いかにも今思い出しましたと言うわざとらしい挙動。

 使者が振り向いて、嫌味の困った目線が諏訪湖に注がれる。

 

 ()()()

 

 その言葉にプレゼントの意味が無い事は明白。

 十中八九、嫌がらせだ。

 

「恐らくこんな事になるだろうと、きっと諏訪国の主神は愚かな選択をするだろうと、一応の予測はしていたのだよ!!」

「まさか…アイツが…」

 

 思い出されるのは、あの黒い奴。

 野良妖怪よりも圧倒的に強い化け物だ。

 何故あの辺りをぶらついていたのかは謎だったが、大和国からの差し金と考えれば、妥当な存在だ。

 

「…ククク、私からの()()()は、既に君の子供達に向かっている…今頃『初めまして』でも交わしているんじゃないかね?」

「…ふふ、ふふふ!」

 

 ———だったら、目の前で自慢げに話している男が、酷く滑稽に思える。

 

「…何か、おかしい事でも?」

「ふふふ…いや、残念だね…あの黒い大男の事だろう?そいつなら、既に私が捕らえたよ」

「…?」

 

 諏訪子の弁舌に、使者の顔が怪訝な物に変化する。

 まるで何を言っているのか分からないと言う面だ。

 そんな事に気付かず、諏訪子は続ける。

 

「流石に強かったけどね…貴様らがどうやってアイツを手懐けたのか知りたいよ」

「…?なんの話か、さっぱり見えないなぁ…『アレら』が強い…?あの猿どもが?冗談のつもりかね?」

「…猿?何を言う、あれはどちらかと言うと『鬼』だろう?」

「…?」

「…?」

 

 チグハグな会話に、諏訪子の脳内に疑念が生じる。

 疑念から生じた一筋の汗が、諏訪子の頬を伝う。

 

 何か、重大な勘違いをしている気がする、と。

 彼女の冷静な部分が警鐘を鳴らしている気さえした。

 

「ふむ、よく分からないが、まあ良いだろう…どちらにせよ、嫌がらせだ…既に殺されていようが、そうでなかろうが、どうでも良い」

「…一つ、教えろ…お前の()()()とやらは、何だ?」

 

 疑念を晴らす為に、諏訪子は問う。

 使者の嫌味な顔が、ニチャリと歪む。

 

「んん〜?くくく…そうか、知りたいか…いいぞ、もし君が今すぐ向かっても、どうせもう間に合わない…」

「…何だと?」

「お察しの通り、可愛い可愛い私のペットを送らせてもらったよ…3日間何も食わせてない、3匹のお猿さんだ…」

「…は?」

 

 チンケな言い回しなんてどうでも良い、事実は『この男が諏訪子の子供達に3匹の妖怪を放った』、それだけ。

 …では、あの黒い大男は?

 正直、諏訪子は信じられなかった。

 この使者の詭弁だと決め付けたかった。

 

 いや、詭弁だ。

 だって、あの黒い大男でさえ邪気を感じたのだ。

 3匹と言えども、妖怪が入ってきたなら、この私が感じ取れない訳がない。

 

「…いや、そんな、3匹?嘘に決まってる、そんな邪気は、感じなかった」

「いやはや…土地神は自分の領土に対する感覚が鋭いからねぇ…頑張って妖力の気配を消させるのに苦労したのだよ、こう、芸を覚えさせるっていうのかね?うん、楽しい経験だったさ」

「…っ!」

 

 『気配を消す』?

 その言葉を聞いた瞬間、土地神の権能を全力で使い、邪気を探し回る。

 

 ———あった。

 あってしまった。

 

 薄い、まるで霧の様にぼんやりとした邪悪な気配が三つ。

 よりによって諏訪国の正面真反対、ここから一番遠い国の裏手からだ。

 

 普段ならば、万全の状態ならば気付けた。

 体力と気力を削られている今の状態だからこそ、諏訪子は見落としてしまっていた。

 

 彼女の瞳が揺れる。

 諏訪国正面から諏訪国裏手まで、この距離、どう考えても3人以上は犠牲になってしまう。

 

「あぁっ…!そんな…!私の子供達…!」

「おや?その反応…もしかして気付かなかったか!?駄目ではないか!ちゃんと周りに気を配らないと…!それとも、日々の疲れでも溜まっていたのかね?」

「…覚えたからな、その顔…次会えば…殺してやる…!!」

 

 愕然とした様子で棒立ちし続ける訳にはいかない。

 今ここで使者を殺してしまいたかった諏訪子だったが、生憎そんな暇は無い。

 彼女に出来るのは、精々負け惜しみ染みた脅し。

 

 それが全て分かっている使者は、存分に嫌味を吐く。

 

「くくく…諏訪国の存亡…勿論良い方を祈っておくよ…では、死人が増えないように、頑張りたま———」

「…ッ!!」

「…ふん、速いねぇ」

 

 使者が言い終わる頃には、既に諏訪子はその地を飛び出していた。

 

◆◆

 

<行くぞシン、完治した>

「漸くか、窮屈だし痛いしで死にそうだったな」

 

 時は少し遡って、シンとヴェノム。

 諏訪子が去ってから、数分ほどだ。

 

 身じろぎ出来ないストレスと共に、彼は闘志を燻らせていた。

 だが、それももう終わりだ。

 

 地面から首だけ露出させているシンは、ヴェノムを纏わせながら、全身に力を込める。

 

う…ぐ…ぉぉおおおお!!

 

 彼らが変化するのに伴い、筋肉の隆起により地面がヒビ割れ、拳を貫いて身体を固定している土柱を逆に握り潰す。 

 そして、勢い任せに地面から拳を引き抜き、続いて全身を引き抜いた。

 

 全身の骨を鳴らし、軽くジャンプして体を慣らす。

 

身体の調子はどうだ?ヴェノム

栄養が必要だ、脳ミソを丸呑みしたい気分だ

いいねぇ、なんならあのガキを()()か?

 

 漏れ出た言葉に、シンは驚いた。

 軽口を言ったつもりでも、こんな発言は、こんな考えは普段の自分ではあり得なかった。

 

 例え、それが殺意を向けた相手であろうと。

 幼女を喰うなんて、発想は———

 

女子供に手を出すのか?そんなのは残虐な庇護者(リーサル・プロテクター)じゃない

…いや、冗談だ、さっさと行こうぜ

 

 考えを振り払って、シン達は飛び出す。

 目標は勿論、諏訪子の方向だ。

 

(俺は…)

 

 駆ける、駆ける。

 いつの間にか、刹那に風景が飛んでいる。

 

 思考に脳を支配されて、時間を忘れてしまう。

 嫌な感じだ。

 

(今の俺は…)

 

 『角』と戦って、あの『カーネイジ(赤いやつ)』になって。

 何かがおかしい。

 あの時から、ずっと『道』を外れている様な気分だ。

 

 なのに、正しい『道』への戻り方が分からない。

 どうすればこの違和感を拭えるのか、分からない。

 

…ん…?

 

 気付けば、人里のもうすぐそこにまで来ていた。

 あの諏訪子とかいうガキが治めている国…だったか。

 よく見れば丸太によって壁を為している様で、そうそう入れそうにもない、おそらくどこかに正門でもあるのだろう。

 

 だが、重要なのはそこでは無い。

 

…あれは…猿か?

 

 見てくれは猿、それも3匹。

 だが常にニタニタと笑って、目は異常なまでに見開かれている。

 間違い無く妖怪だろう。

 

 丸太によじ登って、人里の中に侵入しようとしている。

 遠目から見ても分かるほどに鋭い爪だ、農夫の鍬程度では太刀打ち出来ない。

 

 そこそこ強い人間ならどうと言う事も無いだろうが、最低3人ぐらいは殺されるだろう。

 

 だが。

 

 まぁ。

 

(…そうだな)

 

 思考が鈍化する。

 

 自分の中にある感情、情動、理性、何もかもが小さく丸まって、心の奥深くで仄暗い輝きを放っている。

 その輝きはシンの瞳に届く事は無い。

 

 シンの瞳は真っ暗だ。

 シンの『道』は真っ暗だ。

 

 その先の、『道』の先のレッドライトに、僅かに近付く。

 その先の終着点へ、歩を進める。

 

 遠い、遠い、遠い。

 感情の光より、遥かに小さく、弱い光。

 だが、シンの瞳を灼いているのはレッドライト。

 

 思考が、鈍化する。

 

 もう、どうでもいいのだ。

 人が、どうなろうが。

 強く、ならなければ。

 

 考えなくても分かる、この『道』を進めば、強くなれる。

 

 そうさ、何故こんな所で足踏みしてる?あのガキ、諏訪子にリベンジする方が、先だ。

 勝利を収める為には、一刻も早く。

 

 だから———

 

(———どうでもいいか)

シン!!

っ!

 

 あわや視線が猿達から離れようというその時、ヴェノムの大声が気付けとなって動きが止まる。

 『道』を進む、足が止まる。

 

…行かないのか?

…?

 

 ヴェノムの声が、空気の振動にしか聞こえない。

 遅れて、意味を追いつく。

 

………はっ…はっ、はぁっ、はぁっ…!!

 

 先程の鈍化した思考が、錆びた鈍となって、シンの心臓をゆっくりと刺していく。

 今の鄒俊、明らかに正気では無かった。

 

 何故、あんな思考をした?いや、してしまったんだ?

 正気を取り戻したからなんだ、考えてしまったのだ。

 

 もう、目を逸らさせないと言わんばかりに。

 自分の異常性を直視しろと言わんばかりに。

 

俺はっ…俺はっ…!何を…!!

 

 自分の胸を、握り潰す。

 悪意を消し去る様に、拳の中で握り消す様に。

 

 なのに、消えない。

 

 ヴェノムの声があったとはいえ、一度でも選択してしまったのだ。

 自分を優先したのだ。

 

 今後一生、その選択は付き纏う。

 今は良くても、いつかきっと、シンは間違いを犯す。

 人間として致命的な間違いを。

 戻れない選択を犯す。

 

 一人では、

 ———そう、()()では。

 

シン、俺達は残虐な庇護者(リーサル・プロテクター)だ、助けよう

…ヴェノム…

 

 シンは一人じゃない。

 間違った選択は、ヴェノムが正してくれる。

 

 ヴェノムが、『横道』へシンを連れて行く。

 

あぁ、そうだな、そうだ、助けよう、それが最善だ

 

 自分に言い聞かせる様に、シンは一人ごちる。

 鈍化していた思考が、クリアに、頭の霧が晴れていく。

 

 俺達は、悪人を喰い、それによって守りたい物を守る『残虐な庇護者』なのだと。

 それを、俺の生き方にするのだと。

 

それにしても、ヴェノムにしては優しいな

前にも言っただろう、俺は正義に目覚めたんだ

 

 地を蹴り、今にも丸太の壁を越えようとする妖怪猿共を見据える。

 そいつらの寿命が長く続くかどうかは、最早明白な事だった。




ご拝読、ありがとうございますなのぜ!
シン君、妖怪みたいな姿で妖怪みたいな思考…君は大嫌いな妖怪そっくりなのぜ♡ヴェノムが居なかったら直ぐに人と呼べなくなるのぜ♡

登場人物紹介っている?

  • やってくれ 必要だろ(いる)
  • それは雑魚の思考だ(いらない)
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