忘却されし物語 《シュバルツ・ゲデヒトニス(黒の記憶)》 作:偽作者(ハザードフォーム)
本当に申し訳ありません。
「大丈夫なのか・・・・?お前。アイツを行かせちゃって・・・・。」
アイツが去って行ってから、何分か経ったのか、俺の親友が俺に聞いて来る。
「フン・・・・良いさ、ほおって置け。アイツが俺の忠告を無視したのが悪いからな・・・・それじゃあ、早くここから出るぞ。グラムがいつ動き出してもおかしくないからな‧‧‧‧‧‧。」
俺は俺の親友に言い、歩き始める。
アイツは・・・国王と姫様の俺達を逃がそうとする努力を水の泡にした最低野郎だ。
国王はと姫は俺達を逃がすために、グラム相手に自分の身に身体強化魔法を掛け、戦って時間を稼ぎ、俺達を逃がした・・・・・・。
だから・・・・これも国王と姫様のため・・・・・・俺達は国王と姫の努力を無駄にしたら駄目だ・・・。
そして、俺は自分にそう言い聞かせながらも、歩き始める。
だが・・・そんな中・・・あの金髪野郎の言葉が蘇る。
ーお前達は行かないのか・・・・・?ー
ー何を言ってるんだ、お前。お前は黒騎士だろ?それに秘密通路なら、ソイツの方が良く知ってるぜ?何だって、姫様に気に入られてる奴だからな。それに、国王と姫様の努力を無駄にするわけには行かないんd「お前が守りたかった大切な物を守る決意はその程度なのか?」何?ー
ーお前達は国王を尊敬している、そして、国王もお前達を尊敬していた。なのに、だからといって、お前達は国王と姫に厄介事を押し付けて、逃げる?確かに、お前達を逃すために戦ったとは聞いたが、お前達の決意はそんな物なのか?と聞いている・・・・俺から見れば、お前達の大切な物を守るという決意は全てが紛い物だな。ー
「お、おいっ!?ど、どうしたんだいきなりっ!?」
俺が横にあった巨大な岩を蹴り飛ばしたのに対し、横にいた俺の親友は驚きを隠せなくなり、聞いて来る。
ちっ・・・・黒騎士だからって、好き放題、良いやがって・・・・・
たかが、グラムしか破壊する事しか頭に無い奴に言われたくねえんだよっ!!
「へぇ・・・・城の壁の中にこんな少し狭いけど、通路があるなんて・・・この国家も凄い考えをしたんだね・・・・・。」
俺の前を進むフリュートは目の前に広がる光景を見渡しながらも言う。
俺達はこの騎兵に教えて貰った秘密通路を通っている。
だが、何処から、敵が現れるかは分からない。そのため、警戒しながらも、城の中へと向かっている。
「あの・・・・黒騎士さん。それで、何であの人、あんなに騒いでるんですか・・・?別にこのくらい、聖王連合所属の皆さんから見るれば、何とも無いと思うのに・・・・」
俺の横にいる騎兵は俺に何故、フリュートがあんなにはしゃいでいるのか、聞いて来る。
「・・・いつもの事だ・・・・・・それより・・・・何故、お前は姫と国王を助けようとしている?確かに、お前達は国王と姫とはかなりの絆で結ばれているようだった。それに、お前は国王と姫を助けるためにアイツ等からは”化け物”と呼ばれる俺とフリュートに付いて来た・・・・・だが、何故、お前は助けようと俺とフリュートに付いて来た?国王と姫なら、俺とフリュートが救出すれば、良い・・・・それに、お前は自分の今出来る精一杯の事をしたはずだ・・・・・もし、怪我すれば・・・・」
俺はフリュートがいつもああなのを話し、今にでも疑問に思っている事をこの騎兵に問う。
確かに、姫と国王を救出したいのは、分からなくもない・・・だが、それでも、お前が来れば、ただ、足纏いになるだけだ・・・・・・・。
だが、そんな中・・・
「はい、そんな事、分かっています。僕が結局足を引っ張ってしまうのも、邪魔になるのも、姫様と国王が僕に逃げるように言ったのも・・・・・・・」
俺へと騎兵は答えを話して来る。
「なら、何故・・・「ですが・・・」」
「ですが、僕は姫様の願いを、約束を守りたい・・・・そして、僕の願いを叶えるため、僕は姫様と国王を助けに行くんです・・・・・「姫様と国王の明るき未来を見る」それが僕の願いでもあり、夢でもあります。だから、僕は僕の夢を叶えるためにも、姫様を守るためにも行くんです。それに、僕は僕で自分の身を守りますから・・・・・・。」
ー僕は、姫様を・・・僕自身の夢を叶えるために行きたいんです・・・お願いしますっ!父上っ!-
騎兵の言葉から、俺の頭の中を何らかの記憶が横切る。
その記憶には、長き紅い髪をし、俺と同じような幼いが、瓜二つの顔をした少年が写っていた。
今のは・・・・・一体・・・・?
俺には分からない・・・・今のが、何なのかは・・・・分からない。
それより・・・・・コイツは自分の・・・・自分の信じる・・・いや、自分の守るべき、者のために付いて来たようだが・・・・・・・ならば、何故命掛けになろうとする?何故、勝ち目の無いグラム相手に戦おうとする?
俺がこの騎兵の答えに対し、考えていたそんな中、周りから、巨大な音が響き渡り、足元が揺れ始める。
「キャアッ!」
俺は直ぐに、その場で膝を付きながらも揺れが収まるのを待とうとするが、そんな中、目の前でフリュートの体勢が崩れる。
「え、えっと・・ごめん・・・クロスお兄ちゃん。」
だが、ここでフリュートが怪我を負わせるわけには行かない、ここにグラムが通った跡が無いとはいえ・・・・・・な
それに、やはり、何かおかしい・・・・・。
そ・・・・・さっきから何回もこの揺れが起きると同時に、身体から力が抜けて行くのを感じる・・・・・。
床や、地には何の罠も無いようだが・・・・・
「なるほどな・・・・・フェイはクロスと一緒にこっちに入ったのか・・・・まさか、ここをあの騎兵が知ってるなんてな・・・・。」
俺は城壁の裏側にある昔良く”アイツ”と会っていた場所であるクロス達が中へと入って行った秘密
通路を見る。
それにしても・・・・・懐かしいな・・・昔良くここでアイツと会っていたな・・・・今まで忙しくてあまり来れなかったんだけどな・・・・。
ークソッ!今回も射撃戦、負けちまったよっ!だけど、ぜってえ、勝ってみせるからなっ!-
ー俺、ぜってえフランツ兄ちゃんや、フランツ兄ちゃんの言う”紅き英雄”みたいなスゲー人になって、この国家に住む人達、皆をいつまでも、守ってみせるっ!-
フッ・・・・・・懐かしいな・・・・・今頃、アイツは・・・・
「な、何だ!?」
俺が、城への秘密通路の入り口を見て懐かしさを感じていたそんな中、巨大な揺れが起き始める。
俺は直ぐに、その場で膝を付きながらも、揺れが収まるのを待とうとするが・・・
「がはっ!」
後ろから、”何か”による強烈な電流が走るかのような痛みが走る。この痛みを感じたのは、一万年ぶりだな・・・・・。
俺は身体中に走る痛みを堪えながらも、前を振り向くそこには・・・・
「なるほど、こんな所にまさか、”ヴァンドロイド”がいるとは・・・驚きですね・・・・。」
漆黒の黒く鋭利なボディを持ち、鹿を思わせるかのような姿、片手にはさっき、俺の全身に痛みを走らせた正体であろう、鞭を手にしたグラム・・・いや・・・・グラムとは全然違う何かが立っていた。
だが、俺はコイツを知っている・・・・・
ー・・・・大公が復活するたびに、あの”将達”はまた復活する・・・・そして、大公が生きている限りは・・・・・終焉への日は終わる事は無い-
「エインヘルラル・・・・・」
俺は”あの人”が俺達に残した今は手元に無いあの”絵本”に描かれた”あの破壊の舞いを踊る将達”を思い出す。
・・・あの人の残した”未来への災い”という、本に記された物が・・・・まさか・・・・今の状態の事だなんて・・・・・・
「おや?我らを知っているようですね・・・・・ですが・・・・正体を・・・・知られたからには、帰すわけには行きませんよ?」
「っ!?」
その瞬間俺の背中から、何らかの強烈な電撃を喰らった時のような痛みと縛り付けてるかのようなが痛みが走る。
俺は恐る恐る痛みの走る下の方を振り向くそこには俺の身体に巻き付くまるで生きているかのような蠢くあの森で襲い掛かって来た”何か”が俺の目に写る。
くっ!しまった隙を突かれたっ!
だが、その時、俺の意識はそこで途切れてしまった。
ぐっ・・今までどうにか、生き残れたんだが・・・・・流石に今回は・・・・っ!!
「シャルよ・・・・大丈夫か・・・・?」
俺は俺自身の娘である俺の前で、表情が苦しいような顔し、沢山の汗を流す、金色のロングヘアーの女性”シャル”にあの”グラムでは無い鹿のような奴”にやられた右腕を感染を防ぐため、剣で斬り落とした下から無き右腕に巻いてある白かった今では、赤き染みが出来ているスカーフがきつく巻かれている切断された傷があるであろう、巻かれた方を見ながらも、俺は問う。今のベルカの回復魔法がいくら、優れてるとしても、治す事が出来るのは、せいぜい細胞分裂を早めるだけで、色んなデメリットしか存在しない。そして、回復魔法を使えば、それは逆に寿命を縮めるだけだ。
更にグラムの体内、いや、身体中に存在する殺人ウィルスにはどんなに強い魔力を持ち、どんなに優れた今の回復魔法を持つとしても、殺人ウィルスを消滅させる、死滅させる事は不可能だ。だが、感染を‧‧‧‧死を防ぐためには身体の全身に殺人ウィルスが回る前にグラムの攻撃を受けた部位を斬り落とすのが、唯一シャルを救う方法だった。
「‧‧‧‧‧はい、父上‧‧‧‧‧私は大丈夫‧‧‧‧‧‧ですから、それより、他の皆さんは‧‧‧‧‧‧‧?」
シャルは私に苦しそうな顔で汗を流しながらも、俺に大丈夫だと言いながらも、他の者達はどうしたのか?と問う。
だが、俺は返す言葉も無かった。
‧‧‧‧俺は‧‧‧‧
ーひ、ひぃっ!た、助けてくれっ!!ー
ーいやああああああっ!!ー
ーあああああああっ!!わ、私の子供だけはっ!!ー
ー貴方‧‧‧貴方‧‧‧‧‧起きてよ‧‧‧‧‧‧私を一人にしないでよ‧‧‧‧‧ー
ーいやあああああああああっ!!!ー
俺は‧‧‧‧‧皆を助ける事が出来なかった‧‧‧‧‧‧‧
シャルは皆、未だに生きていると思っているかもしれないが‧‧‧‧‧この国の皆は‧‧‧‧‧‧‧‧グラムに・・・・
ー俺、ぜってえフランツ兄ちゃんや、フランツ兄ちゃんの言う”紅き英雄”みたいなスゲー人になって、この国家に住む人達、皆をいつまでも、守ってみせるっ!ー
ーはいはい、んなら、やってみろよ、お前のようなチビに出来るか、どうだかをな、まぁ、俺はお前を信じるよ。お前、勉強とか、技術とか、色々俺よりも、低いかもしれんが、お前なら。出来ると俺は思う。只、諦めるなよ?諦めたら、そこでおしまいだからなー
そんな中、俺の頭の中をある記憶が通り過ぎる。それは、俺がまだ、みっども無いガキだったころ・・・偶々暇だから、外に飛び出して行った時に出会った兄ちゃんとの約束の時の事だった。
ーうん?お前は・・・・?-
そして、どんどんとあの時の事を思い出が俺の頭の中で、あの時の約束”の記憶が鍵となり、浮かんでくる。
最初に出会った時の事・・・・
ーゼロナイト・・・?-
ーああ・・・・・俺達、”ヴァンドロイド”・・・・いや、今ではいらないかもしれないけど・・・・”紅き英雄”と呼ばれた人でな、言葉では表現できないが、物凄く強くて、皆を守ってくれた人なんだ。-
そして、”紅き英雄の伝説”という伝説を話してくれた時の記憶等、沢山の思い出が浮び上がる。
フランツ兄ちゃん・・・・・・俺は結局、誰も・・・・・・
だが・・・俺がこんな事を言ったとしても、結局・・・何の意味も無い・・・・・。
結局俺は・・・・お前の話した”紅き英雄”のような皆を守れる人には・・・なる事さえ出来なかった・・・只の弱い人間だ・・・・・・。
俺じゃ・・・・結局何も守れないんだ・・・・・。
「父上・・・・・そんなお顔をしないでください・・・・・。」
そんな中、俺の顔へと細い手が触れる。俺は何か?と思い、前を向くと、そこには、右腕と空腹、そして、疲れ等の苦しみを堪えながらも、俺に笑顔を向けるシャルの姿があった。
「父上・・・・自分をそこまで責めないでください‧‧‧‧‧‧例え、守れ無かったとしても‧‧‧‧‧守れた物もあるんです。そして‧‧‧‧‧父上は私を‧‧‧‧‧‧守ってくれたじゃないですか‧‧‧‧‧」
「シャル‧‧‧‧‧‧。」
俺は何も言う事すら、出来なかった。
母を失い、更には、こんな辛い事に巻き込まれている
そして、原因は俺‧‧‧‧‧‧何も守る事すら出来なかった俺のはずなのに、一番辛いのは、シャル、お前のはずなのに、、俺へは笑顔をいつも向ける。
ー父上、私も残って戦います。ー
そして、シャルは生き残った騎兵達と共に逃げず、俺と共に残り、グラム相手に戦った‧‧‧‧‧‧。
だが、結局あのグラムの親玉らしき鹿みたいな奴に負け、シャルと俺は謎の物質で出来た身体強化魔法、魔力刃、ナイフ等を使用しても、破る事が出来ないこの牢獄にぶち込まれた。
俺は大丈夫なんだ、こういうのには、良く慣れていたからな。
だが、問題はシャルなんだ。
もう何日もこの牢獄に囚われていたせいか、
まともな食事も出来ず、更にはグラムの殺人ウィルスの感染を防ぐため、斬り落とした片腕の傷の回復力が遅い。回復魔法を使ったとしても、あまり回復してもいないそれよりも、逆に体調が悪化していく一方だ。
何で俺は‧‧‧‧シャルを‧‧‧‧‧‧いつまでも、こんな苦しき事にだけ、巻き込んでしまったんだろうか‧‧‧‧‧。
いつも、寂しく、孤独だった‧‧‧‧
それでも、いつも笑顔を絶やす事も無く、俺や、皆の前では、泣く事も無ければ、どんな時も俺のいう事を聞いていてくれた。
それなのに、俺いつも、この子を辛い思いしかしない事ばかりに巻き込んでしまった。
そして、ようやく見つけたシャルと最も仲の良き親友であり、一番位が下である騎兵でありながらも、王に等しい資質を持つ俺共、仲が良い新人の"アイツ"と共に逃げようとせず、俺と共に残った。
俺は‧‧‧‧‧‧一体何のために‧‧‧‧戦ってきたんだ。
グラムから人々を守る事も出来ず、
こをな年老いた身体をして、更には、シャルまでも、この戦いに巻き込んでしまった。
ーヴァンドロイド‧‧‧‧‧?ー
ーああ、俺は今から何百年、いや、何万年前から、生きてる人だ。簡単に言えば、俺は今の時代で言うとデバイス人間だろうなー
もし‧‧‧‧‧‧俺が人間じゃなくて‧‧‧‧‧ヴァンドロイドだったら‧‧‧‧‧俺は‧‧‧‧‧
「おいおい、痛いって、そこ、触るなっ気持ち悪い。」
そんな中、何処からか、この地下牢獄の何処からか、誰か人の声が聞こえてくる。
恐らくは、生き残った人だろう‧‧‧‧‧‧
だが、結局、俺はまた‧‧‧‧‧
「って、のわっ!!いたたた‧‧‧‧‧酷い扱いするな~、俺はこうみえても、"爆弾マスターのフランツ"とまで、言われていたんだぞっ!って、あれ?お前ら、誰?」
俺がそんな事を思ってる中、目の前の牢獄の扉が開かれ、俺とシャルが戦っていた時、見かけたグラムであろう、黒い巨大な顔を覆いつくす目をした人型のグラムが誰かを俺達の居るこの牢獄の中へと投げ入れ、扉を閉める。
そして、聞こえて来たのは、聞き覚えのある声と、その声により、発せられた「フランツ」という単語だった。
俺は驚きを隠せなくなる。
「うん?お前は‧‧‧‧?」
そんな中、俺へとその人は振り向く。
その者は俺へと顔を向ける。その者は俺がいつも良く見かけていた騎士甲冑とは違い、白いヘルムに、水色のバイザー、そして、緑色のガントレットや、足に緑色のレッグアーマーをした者だった。
「うん?お前‧‧‧‧‧何処かで見覚えがある顔だな‧‧‧‧‧」
そんな中、緑色の騎士甲冑を覆う者は白いヘルムを外し黒髪と素顔を露わにし、俺を見る。
やはり‧‧‧‧‧‧間違ってなかった‧‧‧。
「フランツ‧‧‧‧‧兄ちゃん‧‧‧‧‧なのか?」
俺は少し驚きを隠せず、その緑色の騎士甲冑を覆うフランツ兄ちゃんであろう、人に問う。
それに、対し、フランツ兄ちゃんらしき者は驚きを隠せず
「その声‧‧‧‧‧もしかして、お前は‧‧‧‧ディルク‧‧‧なのか?」
俺の顔を見て言う。
やっぱり‧‧‧‧間違いじゃ無かった‧‧‧‧‧。
だが、どうしてここに‧‧‧‧‧?
「その声‧‧‧‧‧もしかして、お前は‧‧‧‧‧ディルク‧‧‧なのか?」
俺は視界に写る光景に驚きを隠せなくなる。
何だって、ここはこの国家の国王の治める城の下の地下牢獄だ。そして、町の人々は全員死んだ、そして、国王もあの騎兵達の話によれば、死んだと分かる。何だってグラム相手だ‧‧‧‧‧生身も、並みの武器じゃ、勝利する事なんて、不可能に等しい‧‧‧‧‧‧それに、生き残る事だって‧‧‧‧‧今のこの国は黒騎士がいない‧‧‧‧‧なら、勝利するなんて‧‧‧‧‧普通は‧‧‧‧‧‧
ケホッケホッゴホッ!
俺が牢獄に入れられると同時に、俺の視界に入った暗闇の中、俺を見つめていた黒髪が特徴であり、かなりやつれている顔をしたディルクであろう、男性に驚きながらも、何故、ここに居るのか、考えていたそんな中、何処からか誰かの咳をする音が聞こえて来る。
「?」
俺は咳が聞こえて来た方向を見る。そこには、こんな真っ暗ならば、通常の人じゃ、見えないかもしれんが、確かに人の姿があった。そして、顔色がかなり悪いようにも見えていた。それに、その女性はディルクの横で横だわっていた。
「ちょっと退いてくれ。」
俺は直ぐに、ディルクであろう、黒髪のショートヘアーの中年当たりの男性に少し退いて欲しいと言い、退いて貰い、その女性の方へと向かい、顔色が悪い事からして、何かあるのだろうと思い脈を測るため、喉の辺りに指を当てる。
ヴァンドロイドの応急処置についてしか、昔はあまり知らなかったんだが、今は人間の応急処置についても、ある程度、隣に住んでいた若い医者から良く教えて貰っていた。だが‧‧‧‧今では、もう昔の話だがな‧‧‧‧‧
「お、おい‧‧‧‧か、かなり衰弱してるじゃないかっ!?」
だが、そんな中、脈を測る中、俺は女性の顔を間近で見てどういう事なのか、理解する。
それに、この女性、あまりまともな食事をしていないように見えるな‧‧‧‧それに、かなり疲労している‧‧‧‧‧‧うん?
俺が色々、どういう事なのか、考えていた中、とある光景が俺の目に入る。それは‧‧‧‧
「右腕が‧‧‧‧‧っ!?」
俺が見た物、それは右腕が下から、無い事だった、そして、真っ赤になった染みのある何かが強く巻かれていた。
「‧‧‧‧‧グラムの砲弾が右腕に‧‧‧‧‧直撃してしまったんだ‧‧‧‧‧それに、何日も、まともな食事すらも、睡眠も出来てない‧‧‧‧‧俺は結局‧‧‧‧‧‧」
「‧‧‧‧‧‧‧。」
ディルクであろう、男性はやつれた顔をしながらも、この女性の事について、言いながらも、自分を責めるかのような事を最後に言う。
俺は何も言う事すら、出来なかった。
だが、これだけは分かった。
この男性がディルクであると、そして、この女性はディルクにとって、最も大切な何かであろう事を
一応、応急処置と、回復魔法を使用した応急処置は施かされているようだが‧‧‧‧傷の治りや、消毒等は出来てないようだな。
「ディルク、今は自分を追い詰めてる場合じゃない。ちょっとこの女性の治療を行う。リンカーコアから出される魔力を細胞へとエネルギーとして、与える事で、生命維持をしてるようだが、あまりそれも、持ちそうにも無いな、それに傷口の消毒が出来てないようだ。ちょっとそっちに置いてある俺のバッグを取ってくれ。」
ディルクは俺の問いに対し、頷くと、俺の脱いだ俺が戦っていた頃のメイルを持ってくる。
そして、俺はメイルの肩辺りにあるスイッチを押す。それと、同時にメイルが割れるかのように、展開し、中から、薬の入った瓶、そして、消毒薬等、色んな治療に必要な物が姿を露わにする。
やっぱり、ディルク、お前‧‧‧‧‧‧これが何だか覚えてんだな。
あの時だって、お前の応急処置する時にも役に立ったもんだ。
それにしても、こんな時にも役に立ったな‧‧‧‧やっぱり"あの人"から貰った物はいつもスゲーなと思うんだよな。何か「敵を騙すには、まず味方から」って、言ってまさか、甲冑自体が治療用薬品や、医療器具の倉庫として作るなんてな‧‧‧‧‧それに、敵にバレないよう、もしものために、自爆するようにも設定されてるしな‧‧‧‧‧只、欠点といえば、"重い"という事だけだな。まぁ、だが、それも既に克服できてんだけどな。
「少し、我慢してくれよ?君。まともな治療を受けてないから、このままだと君の命が危ないからな。もし、俺が変なおじさんにでも、見えるのなら、蹴り飛ばしても良い、だが、俺は何も変な事なんてしない、俺はお前を助けたいからな。これを口に噛んでおけ。」
俺の問いに対し、女性は頷く。それと、同時に俺は女性の口に持ってきていた布切れを噛ませる。
「ディルク、少しこの子を抑えていてくれないか?もし、動けば、傷口が大きく開くかもしれないからな。」
俺は女性にそう言いながらも、赤い染みにより、真っ赤になった女性の右腕の上腕にきつく縛られている布切れを外す。
「っ~!!!!」
それと同時に痛みのあまり、女性は叫ぼうとするが、布切れを噛みながらも、痛みを堪える。
そして、動こうとした身体をディルクが抑え付け、動かないようにする。
そんな中、俺はこの女性にきつく、縛りつけていたディルクが応急処置をしたであろう、布切れを見る。布切れからは、未だに真っ赤になった何らかの液体がポタリ、ポタリと一粒ずつだが、地へと落ち、染みを作っていた。そして、俺の視界に写ったのは、抉られたかのように、真っ赤で赤黒く、白い何かが見えている傷口だった。
‧‧‧‧これは酷いな、出血に加え、このままだと、身体が‧‧‧‧‧‧
俺は直ぐに消毒液の入った瓶と、止血剤を取り出す。
そして、俺は最初に消毒液を傷口に掛ける
それと同時にこの女性は暴れ始める。だが、痛みを堪えながらも、くわえている布地を噛むが、身体は暴れる。それをディルクが抑える。
我慢してくれよ、お嬢さんっ!!
そして、俺はそのまま、お嬢さんの治療を続ける。
だが、やはり‧‧‧‧‧こんな痛みに耐える辛そうな顔はいつ見ても、慣れないもんだな‧‧‧‧‧‧
「こちら、設置完了しました。」
その頃、とある城門の近くでは、黒いフードで顔を隠し、黒いコートに身を包む者達が馬車に設置してある何らかの受話器を通し、誰かと話し合っていた。
恐らく、受話器は、通信用ゴーレムと同じ機能を持つ通信機であろう。
『ジジッ‧‧‧‧ご苦労、総員、今直ぐにこの国家から、撤退せよ。』
「はっ!皆者っ!撤退だっ!!」
通信機の受話器であろう、黒いコートに黒いフードを被る者は受話器らしき物をコートの中へとしまう。恐らく、中のポケットにであろう。そして、そのコートに身を包みし、フードを被る者は周りにて、"何か"を辺りに置いていた者達に撤退と叫ぶ。
それと同時に、周りに居る撤退と叫ぶ者と同じく、黒いコートに身を包む者達は周りに何かの入った"黒い四角い物"を置くと同時に、馬に乗り、何処かへと、素早く、馬を走らせ、去って行く。
「お、おい‧‧‧‧‧‧これ、少しヤバくないか‧‧‧‧‧?」
馬を走らせ、黒いコートを身に包む者達が何処かへと去っ行くと同時に、建物の影から、クロス達と出会った者であろう、騎兵達が黒い四角い何か"へと近寄る。
「おいおい‧‧‧‧しかも、これって‧‧‧‧‧時限式の高性能魔導爆弾じゃねぇかっ!!」
騎兵の一人は黒い四角い城門の近くに積まれた"数え切れない程の何か"を見ながらも、驚きを隠せなくなる。
騎兵の一人の話からして、この黒い何かは"魔導爆弾"と呼ばれる物らしく、騎兵達の表情からさて、何か危険な物だと見える。
「ど、どうすんだっ!?こ、こんなにあれば、町一つは吹っ飛ぶぞっ!?それにこんな量の魔導爆弾‧‧‧‧‧解除するにも、時間が足りねぇ!!それに、このまま、ほって置けば、新人の野郎が‧‧‧‧‧っ!!」
一人の騎兵が"四角い黒い何か"、否、周りにある数え切れない程の魔導爆弾を見て焦り、クロス、フリュート達と共に向かったあの黒髪の若く、未だに入ったばかりであろう、"騎兵"の事を"新人"と呼びながらも、慌て始める。だが、そんな中、一人のリーダーらしき、騎兵であろう、そして、"新人"と他の者達が呼ぶクロス達と共に向かったあの騎兵に国王を助けに行く事を反対した騎兵は騎兵達が向く方向とは逆に歩き始める。
「お、おいっ!?一体何処に行くんだっ!アロイアスッ!!」
一人の騎兵は反対の方向へと歩き始める「アロイアス」と呼ぶ何処かへと向け、歩き始める新人に色々と言い、反対していた騎兵へと問う。
この騎兵の名はさっきある一人の騎兵が「アロイアス」と呼んだからにして、アロイアスという名前らしい。
「俺は御免だ、国王に救って貰ったこの命、最後まで、国王と姫のために生きなければならない‧‧‧‧お前ら、国王と姫の努力をあの糞野郎のために水の泡にする気か!」
アロイアスの言葉により、全ての騎兵達は暗い顔をしながらも黙ってしまう。騎兵達の表情からして、この騎兵達の言う"国王と姫"はそれなりに騎兵達とかなりの信頼を受けていたと思われる。
「‧‧‧‧‧‧早く行くぞ。」
そして、騎兵達は皆、何処かへと歩き始める。
(‧‧‧‧‧糞が‧‧‧‧‧アイツなんか、もう‧‧‧‧‧)
アロイアスはそう思いながらも、騎兵達と共に、何処かへと、歩き、去って行く。そして、騎兵達が去った後にその場に残った四角い黒い何かは、どういう事なのか、虹色になりながらも、何らかの異変が起き始めていた。
「‧‧‧‧‧‧‧やっと眠ったな‧‧‧‧‧。」
俺は最後に、この女性の下からは無い右腕の先端に包帯を巻き終え、眠りに付いている女性の姿を確認する。
今、俺はこの女性の右腕の傷口の治療を終え、一休みをしていた。
最初に見た時はかなりの傷の酷さに驚いたもんだ。
何だって、もう傷に炎症やら、何やら、色々スゲー事になってたからな。しかも、出血も止まらんかったし、まぁ、だがどうにか、無事に治療を終えれた。これって、どうみたって俺の実力よりも、"あの人"の作ったこの止血剤と消毒液等の薬品のお陰っぽいな。"あの悪夢"が終わった後、俺に渡したこの医療品、マジでスゲー
「‧‧‧‧‧‧フランツ兄ちゃん‧‧‧‧すまない‧‧‧‧‧結局、俺は何も守れや出来なかった‧‧‧‧‧。」
そんな中、横で俺に何故か、ディルクが謝ってくる。
ハァ、まだ気にしてたのか
「いや、良いさ。誰にだって、限界は存在する。それにお前、グラム相手に戦ったんだろ?しかも、只身体強化魔法だけ、使用してよ、それに、この女性、いや、お前の娘を現に救ったじゃねえか。」
俺はディルクを励ます。
「だが‧‧‧‧‧俺は「お前が責任を感じ必要なんて無い、お前はお前なりに自分が出来る事を精一杯、やっただろ?」」
「それに、相手は仮にも、グラムだ。魔法を使ったとはいえ、素手で相手をして、生きてるだけでも、凄いと思うくらいだからな。皆を守りたいからこそ、戦ったんだろ?それに、後悔したって何も帰って来る事なんて、無いんだ。」
ーお前が責任を何故感じなければならない‧‧‧‧‧‧?お前はお前の今やるべき事を精一杯した。それに、皆の事を思ってしたんだろ?なら、お前は責任を感じる必要なんて無い。ー
俺は自分を責めるディルクに言う。
そういえば‧‧‧"あの人"の大切な人も良く、"あの人"に言ってたな。あの人は良く自分を良く責めていたからな。その度にあの人は良く言ってたもんだ。
「ああ‧‧‧‧‧‧そうだよな。後悔していたって、何も帰って来る事なんか、無いよな‧‧‧‧‧。」
ディルクは俺の問いに対し、答えると、静かな寝息を立てながらも、安らかな表情をし、眠りに付いている女性へと目をやる。
そういえば、アイツ‧‧‧‧‧誰なんだ?
「なぁ、ディルク。一つ聞きたいんだが‧‧‧‧‧ソイツ、一体誰なんだ?知り合いか?」
俺は、ディルクに俺が治療した静かな寝息を立て、安らかに眠る女性が誰なのか、問う。それと、同時にディルクの顔色が少し険しくなる。
「シャルロッテだ‧‧‧‧‧‧俺の実の娘だ。」
ディルクは自分の傍にて、眠る女性が誰なのかを明かす。
へぇ~シャルロッテか~意味は"自由な者"。
良い名前だな~‧‧‧‧って
「えええええええええええっ!?!?!じ、実の娘だってっ!?!?」
俺は驚きを隠せなくなる。
おいおいっ!?じゃあ、もういつの間にか、成人になって、妻持ちになってたのかっ!?
人の成長は早いもんだな‧‧‧‧‧‧
「ああ‧‧‧‧‧‧‧」
だが、ディルクの奴の顔色が急に暗くなるのに、俺は気付く。
‧‧‧‧‧‧シャルロッテとの間に何かあったのか‧‧‧‧‧?
「‧‧‧‧‧‧‧何かあったのなら、話し欲しい。力になれるか、どうかは分からないが、俺に出来る事なら‧‧‧‧な?」
俺はディルクに問う。
すると、ディルクは一回、深呼吸をし、 シャルロッテを一度見た後、俺の方へと振り向く。
「‧‧‧‧ありがとう。だけど、もうかなり昔の話だが‧‧‧‧‧‧な。」
そして、ディルクは俺にシャルロッテに何か、関係があるのであろう、昔の話を話し始めた。
「‧‧‧‧ありがとう。もうかなり昔の話だが‧‧‧‧‧‧な。」
俺はフランツ兄ちゃんに"自分で良ければ、力になるから、話してくれ"と言われ、シャルが眠っている事を確認しながらも、一時的に、俺自身を落ち着かせるため、深呼吸をし、息を吐く。
「‧‧‧‧‧‧最初は何処から、話すべきだろうな‧‧‧‧まぁ、俺と妻との出会いから、始めようと思うんだが‧‧‧‧「ああ、良いぞ。」即答かよ‧‧‧‧‧まぁ、兄ちゃんらしいし、良いや。話すぞ。」
そして、俺はもう一度、深呼吸をし、俺自身を落ち着かせる。
「俺が兄ちゃんと会えなくなって、確か5年くらいが過ぎ‧‧‧‧‧いや、15くらいだったかな‧‧‧‧‧俺が”エラ”と出会ったのは・・・・・・」
ーご、ごめんなさいっ!え、えっと大丈夫ですか!?-
そして、俺はフランツ兄ちゃんに色々シャルの母であり、俺の妻であった「エラ」との記憶を思い出す。初めて会うのは、突然だったんだよな・・・・・・まさか、城のあの曲がり角で、頭を激突するとは・・・・しかも・・・エラは甲冑つけてたし・・・・マジ痛かったわ・・・・あれは・・・・
「まあ、何ていうか・・エラと出会ったのは、城の北方にある廊下の曲がり角でだったんだ・・俺が曲がろうとした途端、エラが駆けて来てな、避けようにも、速過ぎるから、避けられなくて、それでエラに押し倒されてしまったんだ・・・・しかも、騎兵の騎士甲冑を着けてたからな・・・かなり重かったんだ。」
「なるほどな、それで、一つ聞きたいんだが、お前の妻・・・いや、エラは騎士か、騎兵だったのか?」
俺の話している途中で、フランツ兄ちゃんがエラが騎士だったのか?それとも、騎兵だったのか?と聞いて来る。
「いや、どちらでも無い・・・・うちの最も頼れる大臣の一人娘だ。それじゃあ、話を進めるぞ。」
俺は兄ちゃんにエラが俺のとこの大臣の娘だと答える。
あの人の娘だったのは正直驚いたな・・・・・・・最も、俺と信頼できていた人の娘だったとは・・・・マジで驚いたわ。
ーす、すみません・・・・・その・・・・-
ーお、おいっ!だ、大丈夫かっ!?-
「だが、その時にエラが俺にぶつかった衝撃のせいなのか、エラはそのまま、倒れてしまった、エラは昔から身体が病気とか、色々弱くてな・・・・・。」
俺はエラとぶつかり、騎士甲冑を着たまま、倒れた事を思い出す。
あの時は一番驚いたもんだよ・・・・いきなり、倒れたからさ・・・・・・。
「それで、俺はエラを直ぐに、エラの部屋に運んだんだ。そんで、さっきも言ったんだが・・・・・エラの父親の大臣が倒れたの聞いたのか、物凄い速さで入って来てな。」
ーえ、エラっ!一体何故剣の稽古をしたのですか・・あれほどするなと言ったはずなのに・・・・へ、陛下っ!?-
ーうん・・・・?ー
俺は大臣がエラの部屋へと入って来る姿記憶を思い出す。
まあ・・・あの時の気持ちは分からなくもない・・・・・そりゃ、上の人がいたんだからな・・・・・びっくりするよな。
「そんで、大臣の奴が俺に土下座してきたんだ・・・・・まあ、ベルカだからな・・・・・騎士甲冑を覆ったまま、ぶつかれば、頭を打って王を殺したって出来る。そうなれば、シャルは永久追放だからな・・・・・・まあ、俺はそんな事、する気一つも無いけど」
「ど、土下座って・・・・・・・・それにどうやってそんな発想にたどり着けるんだ・・・・?まあディルクらしいけどな・・・・。」
兄ちゃんは俺を見ながらも、苦笑する。いや、だって騎兵の甲冑だよ?金属物だよ!?
頭のぶつけ所が悪かったら、俺、死ぬかもしれないんだよっ!?俺人間だからっ!?
「そりゃ・・・・まあ良いや・・・それより、話を続けるぞ。いきなり土下座してきた大臣に驚いた俺はエラの事情を聞いたんだ。さっき言ったかもしれんが、エラは生まれつき、かなりの病弱でな、少しのショックや衝撃を頭に受ければ、気絶するほどらしいんだ・・・・俺もその時は驚いたんだよな・・・・・身命に別状は無かったから良かったけど」
俺は大臣がいきなり土下座をしてきた時の記憶を思い出しながらも、エラの事について、話す。
いや・・・流石に土下座までは考えてなかったんだよ・・・・・・どんだけ、あの人真面目なんだ・・・・・・・?
「そんで後に、俺はエラと出会ったんだ・・・・・・大臣にはスゲー怒られていたけどな。」
「なるほどな、エラの身体が生まれつき病弱なのは、分かった。それで、それがどうして、エラとシャルロッテとの間に何があったのか?に何が関係するのかと聞いたいんだが・・・・・」
俺が色々とエラと昔出会った頃の事を話すそんな中、兄ちゃんが話し掛けてくる
しまった・・・・・懐かしい記憶だからな・・・・つい、長引いちまった・・・・。
「あ、済まない・・・・・・・・つい、懐かしくてな・・・・」
俺はあの後、エラとの出会いの時の事を思い出しながらも兄ちゃんに謝る。
「・・・まあ、お前の顔を見たら、分かる・・・・お前にとって、その人がどのくらい、大切な人だという事が・・・・・な・・・それに、あまり無理をして話さなくて良い・・・何があったかは分からないが、それなりに大変だったんだろう・・・・・」
フランツ兄ちゃんは安らかに静かな寝息を立てながらも、眠るシャルを見ながらも言う。
ー今まで・・・・・・ありがとうございました・・・・・・・シャルを・・・お願いします・・・・・・・へい・・・・・か・・・-
そんな中、俺の頭の中にある記憶が蘇る。
それは、俺が最も恐れていた事・・・そして、俺にとって・・・・・してやれなかった・・・・シャルを産み、力尽きた・・・・・・・エラとの最後の時の記憶
俺は何もしてやれなかった・・・・・・アイツはいつも、俺を信じ、俺を支えてくれたのに・・・・
ーうっ・・・・・ああ・・・・・あああああっ!!-
それなのに、俺はアイツに何もしてやれなかった・・・・・只、横で見る事しか出来なかった。
ーちち・・・・・・うえ・・・・ー
ーしゃ、シャル!?-
そして、またシャルを・・・・・・・
俺は結局・・・・・・
「・・・あまり無理はしないでr・・な、何だ!?」
そんな中、上の方から、巨大な爆発音が俺の耳に入る。それと同時に巨大な揺れが起きる。
だが、その揺れも直ぐに収まり、辺りは静まり返る。
だが・・・・・・今のは一体・・・・?
もしかして、まだ生きている奴がいるのか・・・・・・?
「ここか・・・・・・・城の最上階は・・・・」
俺はカリバーンを手に辺りを見渡す。
・・・・誰もいないな・・・・・まさか、既に死んでしまったのか・・・・・?
「お兄ちゃん・・・気をつけて・・・こんなに静かなの、おかしいよ・・・・・それに、何か嫌な予感がする。」
フリュートは俺の横でゼロデバイスであるフェッターシュヴェルト(剣士の剣)と呼ばれる細長い剣を構えながらも忠告する。
「姫様っ!国王っ!一体何処にっ!?」
だが、そんな中、後ろから何らかの大きな音がする、俺は直ぐに後ろを振り向く。そこには、巨大な蔦があの騎兵へと襲い掛かっている姿だった。
「ちっ!」
俺は直ぐに騎兵の元へと駆けようとするが、足に力が入らず、その場で膝を地へと付いてしまう。
ぐっ!何だ・・・・・・・さっきよりも何か力を奪われて行っている気がする・・・・・。
「キャアっ!」
だが、その時、俺の後ろから聞き覚えのある悲鳴が聞こえて来る。俺は直ぐに後ろへと振り向く。
俺の視界に写った物、それはフリュートが生き物のように蠢く蔦に捕縛されている姿だった。
「す、すみませんっ!直ぐに脱出をっ!」
騎兵は持っていた剣状のアームドデバイスを振自分自身へと絡み付く蠢く黒い蔦へと振るうが・・・
バキッ!
「なっ!?」
だが、アイツのアームドデバイスの刃が真っ二つに折れる。
まさか・・・・この蔦は・・・・・
「おやおや、なにやら穢わらしい蠅が入り込んだと思えば・・・・・・貴方達だったんですか。それに、貴方はこの前の聖王オリヴィエの横にいた黒騎士ですね?」
そんな中、俺の後ろから誰かの超えが聞こえて来ると同時に何かが迫って来る感覚を覚える。
俺は直ぐにその場から、後ろへと後退する。後退し、俺が振り向いたその先には、黒く蠢いているスライム状の”何か”が突き刺さっていた。
「フフッ、ようこそ、我が舞を披露する劇場へ」
俺は直ぐに声の聞こえて来た前の方へと振り向く。そこには金属で出来ているのか、漆黒の光沢を持ち、人のように立ちながらも、機械的な所・・・いや、デバイスのような所がいたる所に見える長き剣のような鋭い剣のような、先端が尖っている角を持つ鹿を摸標した獣人のようなグラムが立っていた。
「・・・・・これが、劇場・・・・・・か。だが、これの何処が劇場なのか、さっぱり分からんな。俺から見れば、只の廃墟だ。」
「フフッ、そういう言っているのも、今のうちですよ?」
アイツが俺へと向け、一言、言う。それと同時に、俺へと無数の地から蠢く黒い蔦、否、”何か”が襲い掛かる。俺は直ぐに、脛辺りにあるホルダーに収納してあるカリバーンへと手を伸ばそうとするが、力が入らなかった。
それよりも、逆に力が奪われて行く感覚に襲われる。
ぐっ・・・・・・・!
「フフッ・・・・そうです。その姿っ!実に美しゅうございます!!更にもがくのですっ!そして、私を楽しませなさいっ!!」
アイツは機械的な顔で、表情が出来ないようだが、俺が”黒い何か”に捕縛されている姿を見て歓喜
しているのか、歓喜しているかのような声を上げる。
「それよりも・・・フフッ、貴方達、いつまで生きていられるのでしょうかね?」
「・・・・何が言いたい・・・・?」
俺はアイツの言葉に疑問を抱く。
いつまで生きられる・・・・だと?
「おやおや、気付かなかったのかね?ここは我が劇場、レーラルズは・・・・全ての養分を喰らい尽くすのですよ?、私の使命はこのベルカの土地を全て枯らされた土地へとする事・・・・そして、貴方はそんな我が劇場へと踏み込んだ・・・・これが一体何を意味するのか?分かるかね?」
アイツは俺に笑い声をあげながらも、聞いて来る。
・・・・・・・なるほどな、つまりこの城・・・いや、国家自体が巨大なアイツの言う”劇場”だと言う事か・・・・・。
「そう!その顔だっ!その焦る顔っ!哀れで虫唾が走るっ!実にすばらしい!」
アイツは歓喜をあげる。だが、そんな中でも、俺の体から力が奪われて行くかのような感覚は強くなって行く。
「フフッ・・・・・・それに、貴方のお友達もいつまで持ちこたえれるのでしょうかね・・・?」
アイツは俺へと意味の分からない言葉発する。
そんな中、アイツの後ろにさっき捕縛されていたはずのフリュートと騎兵の姿が現れる。
だが、さっきとは様子が違い、何かを堪えているかのような顔をしていた。
「貴方はこのベルカを救おうとしているようですが、そんな物、エネルギー・・・・いえ、”魔力”の無駄遣いですよ?貴方達に決して”オメガ・シナリオ(終焉の脚本)”は止める事は出来ない・・・だが、それだと君達の力が勿体ないじゃないかっ!だから、その無駄な力・・・・この私、に吸わせて貰えないだろうか・・・・?当然、君達が干乾びるまでねっ!」
アイツは俺にそう言うと、歓喜に満ちた笑い声を上げる。
・・・・・なるほどな・・・・お前が観客で俺とフリュート達が殺される側の役者という事か・・・・・
「ぐっ・・・・・・貴様・・・・・姫様と国王は一体・・・・何処にっ!!!」
そんな中、アイツの後ろで、黒い蠢く”何か”に捕縛された状態の騎兵のアイツが力が取られる間隔に耐えてるのであろう、何かに堪えるかのような顔をしながらも、アイツの言う”国王姫”の事について問う。
「ほほう、君はまさかあの育児なしの馬鹿二人の部下だったのか・・・・フフッ、心配しなくても良い・・・・・あの馬鹿二人は今頃地下牢で飢え死になっているだろうね~。あ、そういえば、今の時代では珍しき、量産型のヴァンドロイドもいましたね・・・・・まあ、今頃動力が吸い取られてると思いますけど・・・・まあ、ですが、あの二人は本当、育児なしでしたよ・・・生身に加え、更にベルカ式の身体強化魔法のみを施してグラムに挑むなんて・・・・・自殺行為に加え、本当哀れな物です。・・・・ですが、そこが物凄く美しいっ!!」
アイツは俺達を見ながらも歓喜を上げ、何やら、分からん事を言う。
どうやら、アイツにとっては、死ぬ所が美しく見えるらしい。
「くっ・・・・・・姫様・・・国王・・・・。」
アイツは力を吸い取られて行く感覚に堪えながらも言う。
ー僕は、姫様を・・・僕自身の夢を叶えるために行きたいんです・・・お願いしますっ!父上っ!ー
だが、そんな中俺の頭の中にとある物が蘇る。
それは、あの騎兵が自分が何故、危険であり、更には足手纏いになるのさえも覚悟し、来た事について、話したあの理由を聞き、幻覚なのか、それとも、俺の失った記憶なのか・・・何なのか、分からないあの光景だった。
ああ・・・・・確かにな。あの鹿が言いたいのは、良く分かった・・・・・だが・・・・・
「おい、お前の国王と姫を守るという決意はそんな単純でまがい物なのか?」
俺はアイツに問う。
「え・・・・・・?」
アイツは力を吸い取られる感覚を堪えながらもどういう事なのか、分からない顔をする。
・・・・まだ、分からないようだな。
「お前はただ、ソイツがお前の言う”国王と姫は死んだ”という言葉聞き・・・・・・・それで諦めてしまうのか?と聞いてる・・・・・・・約束したんだろ・・・・・・?なら、どうして約束した?」
「ぐっ・・・・・・それは・・姫様を・・・・国王を信じて・・・・・っ!?」
騎兵の奴は驚く。
・・・・・やっと気付いたようだな・・・・。
「・・・・お前は”グラムは倒せない、戦えない”と諦める奴らのような単純な奴じゃないはずだ・・・こんな所で諦めてるのなら、あの騎兵達と共に逃げているはず・・・・だが、お前は俺達の足手纏いになるのも、グラムと戦い、死ぬ事も覚悟して来た・・・・・・それに、お前は姫と国王を信じている・・・だからこそ、約束しただろ。なら、お前があいつ等を信じなくてどうする・・・・・?」
「っ!?」
ー俺は知っている・・・・記憶は失ったが・・・・俺の身体はそれを覚えているようだ・・・アイツは・・・・・・―――はもっと強かった・・・・お前のような単純な奴よりもなー
そんな中、俺の頭をとある光景が一瞬だが、横切る。
その光景には、蒼きヒビの入った金属特有の光沢を持つ騎士甲冑を覆い、膝を付き赤き眼をした紅きバイザーが砕け、頬に切り傷があり、俺の方を見る”何者”かの姿があった。
・・・・これも幻覚だろうか・・・・・?
俺には分からない・・・・・・・・。
だが・・・・確かに体が覚えているかのような気がする・・・・・。
それに・・・・・俺は死ぬつもりは無い・・・・・。
「おやおや、次は友情ごっこに加え、正義の味方気取りですか?これはこれは、凄い発想を・・・・・展開的にも熱いですが・・・いつまで持つでしょうかね~?」
そんな中、アイツは捕縛されている状態の俺と騎兵のやり取りを見ながらも、言う。
何が言いたいのかは分からんが・・・・・・
「何が言いたいのかは分からんが・・・・俺はアイツと友情ごっこなんてする気は無い・・・それに、俺は一度も正義の味方と名乗った事は無い・・・・・・ただ・・・・」
俺は直ぐに、ゼロデバイスをリボルバー方式のオートマチックの形状をした拳銃へと形状を変化させる。
そして、そのまま、トリガーを引き、この俺を捕縛する”黒い何か”を破壊する。
俺は直ぐに着地し、直ぐにフリュートとアイツを捕縛し、力を吸い取っている蠢く”黒い何か”へと砲口を向け、放つ。
いつもよりかは威力は低いが、フリュートとアイツを捕縛していた蠢く”黒い何か”を破壊する。
それにより、フリュートとアイツはその場で重力に身を任せ、地へと落ちて行く。
だが、フリュートは直ぐに着地をし、アイツを抱き上げると、俺の方へと、壁を蹴ながらも、、疾風の如く、速さで俺の横に着地する。
フッ・・・・・
「力は吸い取られて行ってるが・・・・・それでこそ、お前だな・・・フリュート。」
俺はフリュートに向け、言う。
「当然だよっ!クロスお兄ちゃん。私だって、伊達に師匠の修行をやってきたんじゃないんだからっ!」
フリュートは俺にいつものように、絶やされる事なんて無い笑顔で言う。
フッ・・・・それでこそ、いつものフリュートだ。
「おやおや、逃がしはしませんよ?何だって役者は役者として、私を楽しませるために踊って貰わないとなりませんからね?」
そんな中俺達へとアイツが迫って来る。
「フリュート・・・・・ソイツを連れて地下牢の方に行け・・・・。」
俺は直ぐにカリバーンを手にする。それと同時に、カリバーンから、いつものように、細長き緑色に光り輝く刃の形状を形成する刃が姿を現す。
「で、ですが・・・・・・あなた一人じゃ・・・」
そんな中、アイツは戸惑いを見せながらも俺に問う。
・・・・・もう忘れたのか?
「お前は姫様と国王との約束・・・そして、夢を叶えるために来た・・・・なら、お前が助けに行かなくてどうする・・・・?今は力を取られている状態だ・・・魔力程度でどうにも出来る状況じゃない・・・・・・それに・・・俺は死ぬつもりは無い。」
「行こう・・・・?」
そして、アイツとフリュートは俺の後ろから、駆け去って行く。
・・・・これで、足手纏いになる事は無いな。
「おやおや?貴方お一人でエインヘルラルが一人の私めに挑もうとするのですか?死ぬおつもりで?」
アイツは俺に聞いて来る。
だが・・・・・・
「死ぬつもりは無いと言ったはずだ・・・・それに・・・・・」
俺はアイツへとカリバーンの刃を向ける。
「俺はアイツの・・・・・・友との約束を果たす・・・・ただ、それだけだ・・・・・。」
ーその‧‧‧‧‧‧‧クロス‧‧‧‧。絶対に帰って来てくださいね?約束ですよ?ー
ークロス・・・・絶対に帰って来て欲しい・・・もし戦いが終わったら、話し合いたいしね。それと、定期的に連絡をよこして欲しいな。ー
そう・・・俺はアイツ等と約束した・・・・・・そう・・・俺が信じた者であり、親友であったアイツと・・・・・だから、俺は約束を果たす。
「ほうほう・・・・実に面白いっ!死に急ぐようで、それが最も美しさを引き立てていますね・・・・・。良いでしょうっ!!!私めの名はエクスニル・ザ・エインヘルラルっ!では、名も無き黒騎士っ!私と踊りましょう。そう、死という名の踊り(ワルツ)をねっ!!」
アイツは俺にそう言うと同時に、地面から、無数の”黒い蠢く何か”が姿を現す。
・・・・・・未だに力は抜けて行っているが・・・・・・大した事は無い・・。
それに・・・・・何であろうと・・・・・目の前に敵が現れたのなら・・・・・・・
・・・・・叩き斬るまでだっ!