忘却されし物語 《シュバルツ・ゲデヒトニス(黒の記憶)》   作:偽作者(ハザードフォーム)

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第24章「ずっと傍に‧‧‧‧‧」

第24章「ずっと傍に‧‧‧‧‧‧」

 

 

ーフフフフフフフッ‧‧‧‧‧‧‧ハハハハハハッ!!ー

 

 

「‧‧‧‧‧っ!?」

 

俺は目を覚ます。

目の前には、フリュートの眠りに付いている顔があった。

どうやら、俺はこの国の姫とフリュートを担ぎ、あの劇場から出た後、その場で、意識を失ったらしい‧‧‧‧‧。

 

そして、俺はフリュートにどういう経緯かは知らんが、膝枕をされているようだ‧‧‧‧‧‧。

 

「‧‧‧‧‧‧‧‧‧。」

 

だが、

 

ーフフフフフフフッ‧‧‧‧‧‧‧フハハハハハハッ!!ー

 

今のは一体何だったんだ‧‧‧‧‧‧?

 

俺が思い出していた物、それはさっきまで俺が意識を失っていた時に見たあの血に染まりし、紅く炎を纏う巨大な剣を手に持つ巨人の姿だった。

周りには無数の、数えきれない程の炎の巨人に殺されたかのように、突き刺された跡、もしくは、身体の上から無く、骨髄と真っ赤に染まりし、物や、様々な人の亡骸の山が出来ていた。

そして、奴は奇声にも近い笑い声を上げていた。

 

‧‧‧‧‧‧だが、一つ疑問に思っていた事があった。それは何故か、あの炎の巨人の姿に何処か、見覚えがある事だ。

 

そして、俺はアイツの姿を‧‧‧‧‧‧巨人の姿を懐かしんでいた。

 

 

 

俺が昔‧‧‧‧‧あの巨人を何処かで見た事があるように‧‧‧‧‧‧‧

 

 

 

「あ、お兄ちゃん、起きたんだね。」

 

そんな中、膝枕をし、眠りに付いていたフリュートが目を覚ます。

 

「あぁ‧‧‧‧‧‧それより、フリュート、お前‧‧‧‧‧身体の方は‧‧‧‧?」

 

俺はフリュートに身体の方は大丈夫なのか?と聞く。

フリュートの事だ。またいつものように、無茶しただろう‧‧‧‧‧‧。

だからこそ、聞く・・・・・アイツはいつも無茶をし過ぎるからな・・・・・・。

 

「え?あ、うん、大丈夫だよ?それより、クロスお兄ちゃんの方こそ、身体は大丈夫?」

 

フリュートは俺に身体の方は大丈夫なのか?と聞いて来る。

・・・・・どうやら、大丈夫なようだな・・・・・。

 

「あぁ‧‧‧‧‧‧‧それより、姫は‧‧‧‧‧?」

 

俺はフリュートに姫はどうなったのか?と問う。

 

「姫様は・・・・その・・・・・」

 

俺が姫がどうしたのか?と問うと同時にフリュートは顔を暗くさせる。

 

「そう・・・・か。」

 

俺はフリュートの顔を見て、どういう事なのか、察する。

 

・・・・アイツの最後に残した事を伝えないとな・・・・。

 

「お兄ちゃん、何処に行くの?」

 

立ち上がった俺にフリュートは首を横に傾げ、俺の名を呼び、問う。

 

「・・・・フリュート、今のうちに休息を取っていてくれ・・・・俺はグラムがいないか、外を周って来る。」

 

俺はフリュートに休息を取るように言い、フリュートが張っただろう、テントのシーツから出る。

 

「うん?黒騎士殿、目覚められたようですね。」

 

そんな中、横から、あの騎兵達の中にいた一人の騎兵が俺へと近づいて来ながらも聞いて来る。

 

「・・・・・あぁ。・・・・・他の者達は・・・?」

 

俺は騎兵に他の者達がいない事に気付き、他の者達は何処に行きったのか、問う。

 

「陛下とあいつ等ですか?・・・・陛下とアイツ等は墓を作りに行きました。」

 

騎兵は俺に墓を作りに行ったと言う。だが、俺は墓という謎の単語を聞く。

 

「墓・・・・・?」

 

俺は”墓”という単語に対し、疑問を抱く。

 

墓・・・・・・・?聞いた事無い言葉だな・・・・。

 

「あれ?黒騎士殿。まさか、”墓”を知らないんですか・・・?」

 

俺が墓がどういう物なのか、考えている中騎兵は俺に聞いて来る。

 

「ああ・・・・・知らないな・・・・どういう物だ?」

 

俺は騎兵に墓とはどういう物なのか、問う。

 

「あはは・・・・・黒騎士殿の事ですから、知ってるかとは思ってたんですが・・・・墓という物は

剣術に真剣に取り組んでたんで、あまり勉強は出来てなかったから、俺にも分かりませんが、死んだ人を埋葬するため、そして、その人の名前をいつまでも忘れないようにするために作る物なんです。」

 

騎兵は俺に墓という物がどういう物なのか、と説明する。

 

・・・・・埋葬・・・・・か。

 

「それで、黒騎士殿は何故、墓の事を知らないんですか?」

 

そんな中、俺に騎兵がどうして、墓について、知らないのか?聞いて来る。

 

 

俺は・・・・・・

 

「・・・・・俺は今まで、死んだ者を埋葬した事がない・・・・・・それらはサポーターが全てやっているからな・・・・・・俺は只、自分が信じた者のために戦い続けていただけだ・・・・・・それに、俺は記憶を失っているらしい・・・・・。」

 

俺は騎兵の問いに対し答える。

 

・・・・・俺は今まで死んだ黒騎士やサポーターは見て来た・・・・

 

だが、俺はその死んだ黒騎士やサポーターがどうなったのかは知らない。

 

だが、フリュートの話だと、その者達は全てどういう事なのか、火葬されるらしい・・・・。

 

「そ、そうだったんですか・・・・申し訳無い事を聞きました・・・・・えっと、それで・・・・自分が信じた者とは一体・・・・?」

 

騎兵は俺に俺の言う”自分が信じた者”が誰なのか?聞いてくる。

 

だがその瞬間、何処からか、小さいが風が吹く音が俺の耳に入る。

 

だが、風の音にしては不自然だな・・・・・。

 

音が大きくなって行く・・・・まるで何かが・・・・・こっち迫って来るような・・・・

 

 

「っ!!」

 

だが、その瞬間、俺は視界に写った物に対応するため、カリバーンの収納してあるガンホルダーへとへと手を伸ばし、カリバーンの柄を握り、取り出し、構える。

 

俺の視界に写った物、それは土竜のように地の中を何かが蠢き、俺達の鳳へと向かって来ているかのように迫り来ていた。

 

「グガアアアアアアアアッ!!」

 

そんな中、地面が揺れ始め、下から、何らかの大きな雄叫びか、地が揺れる音なのか、何らかの雄叫びが聞こえて来る。

その雄叫びは時間が経つにつれ、大きくなって行く。

 

「え、えっ!?ど、どうしたんですかって‧‧‧‧のわっ!?」

 

俺は直ぐにこの騎兵を肩に担ぎ、後ろへと跳び、ある程度の距離まで後退する。

それと同時に、俺とあの騎兵がいた場所からは、人の大きさほどの牙が亀裂の入る地を割り、黒い金属の光沢を持つ何かが姿を現す。

 

「ハアッ!」

 

俺は直ぐにその何かへと近づき、カリバーンを横へ振るう。その何かはそのまま、横に真っ二つに斬れ、その場で、バタンという金属の塊が地に落ちたかのような音と共に、斬られた何かは地へと落ち、姿を現す。

 

「っ!」

 

俺が見た物、それは横から真っ二つに斬られた黒き金属特有の光沢を放つ歯を持ち、人を飲み込むほどはある口、その口は魚のあの口と似ていた。だが、次の瞬間その口は灰となり、景色の中へと消え去って行く。

 

 

 

「く・・・黒騎士殿・・・・・」

 

そんな中、俺の後ろから、騎兵が何かに怯えているかのような声が聞こえて来る。

俺は何かと思い、騎兵の方へと向く。だが、騎兵は俺の方へと向いておらず、怯えているかのような顔である一定の方向を見ていた。俺は騎兵の向いている方を向く。そこにはさっきと同じく地面から小さな山の出来た蠢く何かがいた。さっきと違うのは、こちらに向かって来るんじゃなく、周りを複数の何かが周っている事だった。

 

どうやら・・・・・俺と騎兵は奴等に包囲されているようだな。

それに、さっきのあの口からして・・・・・・奴等はグラムのようだ・・・・・。

 

だが、次の瞬間、地の下から、複数、いや3体の黒く巨大な魚の形状をした黒きシルエットが姿を現し、俺達へと迫って来る。俺は直ぐにカリバーンを振るい、奴等のうち、襲い掛かって来た一体の懐へと入り、を斬る。そして、俺は後ろから騎兵に襲い掛かって来る二体目の魚型のグラムの懐に入り斬りさく。そして、騎兵の口と鼻をポケットから取り出した布で塞ぐ。同時に奴等はその場で小規模だが、爆発を起こし、そのまま、灰と化し、景色の中へと消え去って行く。

 

「あ、ありがとうございます・・・・俺、布とか、塞ぐもんが無かったので、助かりました。」

 

騎兵は俺に礼を言う。

口を塞がなければならないのは、殺人ウィルスの空気感染を防ぐためだ。

コムイとフリュートの話によると、殺人ウィルスは通常グラムの体内にあり、体内で生成される砲弾へ、そのウィルスをダウンロードし、それを生物に向けへと直撃させる事で、感染させれる。空気感染での確率は最も低いが、例外として、既にグラムに占拠された、もしくは、殺人ウィルスが既に周っている生物を食した時。そして、グラムの近くにて、グラムの身体を構成していた灰を吸う事だ。

俺やフリュートはゼロデバイスが殺人ウィルス自体を消滅させるらしいから大丈夫だそうだが、通常の人間の場合は細胞を食い尽くされ、最後には灰となる。

 

そのためには、鼻と口を防ぐ必要がある。

だが、通常の布では、無理がある。そのため防壁魔法が仕込まれた布で防がなければならない。

 

「あぁ・・・・・・」

 

だが、一つ疑問に思った事があった。

 

それは残りの一体が見当たらないという事だ。

俺は直ぐに辺りを見渡す。

さっきの奴等の速さからして、まだ視界に見える場所にいると確信したからだ。

それに、奴は魚っぽかったが、動きは何処か、鮫を思わせるような動きだった。

 

俺はそう思いながらも、奴を探す中、ある物が視界へと入る。それは小さな丸い地の下で蠢く姿だった。だが、奴は俺のいる方向とは真反対に、逃げるかのように、俺と騎兵から離れて行った。

 

俺はカリバーンを太腿辺りにあるガンホルダーへと納める。ガンホルダーはカリバーンがケースに入ったのを認識すると同時に、カリバーンはガンホルダーへと所々機械的な部位が露出したケースが、収納される。

 

このガンホルダーは前に”リヒト”と呼ばれる過去に俺とは親友同士だと言っていた者がカリバーンを扱うために専用として、俺にくれた物だ。

どういう物かは分からないが、リヒトの話だと、このガンホルダーはカリバーン専用のホルダーであり、収納と同時にカリバーンをメンテナンスするそうだ。

何故、このゼロデバイスであるカリバーンを、メンテナンス出来るかは分からないが‧‧‧‧‧‧な。

 

 

「っ!?向こうはっ!?」

 

そんな中、俺の横にいる騎兵が驚きを隠せなくなる。そして、あのグラムの逃げた方向へと向かって駆けようとする。

 

「・・・・落ち着け・・・何故グラムの逃げた方へと向かおうとする?」

 

俺は直ぐに肩を掴み、騎兵が奴の所に行くのを阻止し、どうして奴の向かった方へ行こうとしているのか?問う。

 

「向こうは、・・・・向こうには姫様がいるんです・・・・・向こうの辺りには川があって、姫様は顔を洗いに・・・・」

 

俺は直ぐに騎兵の話を聞き、足を走らせる。

 

「あ、ちょっと待ってくださいっ!「大丈夫だ、川なら、簡単に分かるっ!」」

 

アイツが待つようにと言う叫び声が聞こえて来るが、俺は直ぐに返事を返し、足を走らせる。

 

もし、奴の狙いが・・・最初から姫ならば・・・・・・あの二体はここを通るために、邪魔な存在である俺をおびき寄せる囮だったという事か‧‧‧‧‧‧‧‧。

 

チッ‧‧‧‧‧急がなければっ!

 

 

 

 

 

 

 

俺は‧‧‧‧‧‧いや、俺達は皆で、とある丘で立っていた。

 

全員黙っており、暗く、重い雰囲気を出しながらもな‧‧‧‧‧‧‧

 

無理も無い‧‧‧‧‧‧アロイアスや、皆は一番大切な戦友(とも)を亡くしたんだ‧‧‧‧‧‧。

 

しかも、それは俺を助けるためにだ‧‧‧‧‧‧。

 

たった一人の国王を助けるためにだ‧‧‧‧‧‧

 

 

 

そして、アイクの隣の墓には兄ちゃんの墓がある。

 

今のライヒ・フォルストアはまだグラムの殺人ウィルスが漂っている可能性がある。グラムの残骸が無数に見当たっているから。

俺達が殺人ウィルスに感染せず、更には生きており、無事なだけでも、奇跡だ。

 

 

だが‧‧‧‧‧‧‧

 

兄ちゃんは‧‧‧‧‧‧‧いや、俺よりも、シャルの方がもっと辛い筈だ。

 

俺のせいで、シャルは‧‧‧‧‧‧‧‧‧

 

「こ、国王っ!?」

 

俺はその場で膝を付く。アイツ等は俺が膝を付くのに、驚きを隠せず、俺へと近寄って来る。

無理も無い‧‧‧‧‧‧‧王が膝を付くなんて、今のベルカでは、最も恥じめいた行為だ。

 

だが‧‧‧‧‧‧‧今はそんなの俺には関係無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

アイク‧‧‧‧‧‧兄ちゃん‧‧‧‧‧‧済まない‧‧‧‧‧‧‧俺は貴方達を救え無かった‧‧‧‧‧‧‧。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

守ると誓った筈、なのに俺はそれを果たす事が出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アイク‧‧‧‧‧‧お前にとって、俺とシャルは帰る場所と言ってくれた。

 

 

 

 

 

俺はそれだけでも嬉しかった・・・・・・・。

 

 

 

 

だが、俺はお前に対し、何もしてやれなかった‧‧‧‧‧‧‧。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

兄ちゃん‧‧‧‧‧俺は昔、守ると誓った。勿論、皆の中には、兄ちゃんも入っていた。

 

 

 

 

 

 

だが、俺は民すらも‧‧‧‧‧‧

 

 

 

 

 

 

兄ちゃんすらも守れやしなかった‧‧‧‧‧‧。

 

 

 

 

 

何が国王だっ!!何が陛下だっ!!

 

 

 

 

 

人一人の命すらも救えず、何人もの民を何もせず、只見るだけで、死なせてしまって‧‧‧‧‧‧‧‧

 

 

 

俺はグラムを倒す事なんて出来ない。ここから少し遠いが、シュトゥラの王のようにゼロデバイスを所持さえもしていない。

 

 

 

 

 

 

結局‧‧‧‧‧‧俺は‧‧‧‧‧‧‧俺は‧‧‧‧‧‧何も‧‧‧‧‧‧‧‧

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『もうそんなに沢山の物を背負わないでください。ディルク。』

 

 

 

 

 

 

だが、そんな中、何処からか、聞き覚えのある声が聞こえて来る。俺は驚きを隠せなくなり、声の聞こえて来た前へと振り向く。そこには‧‧‧‧‧‧

 

「エ‧‧‧‧‧‧‧‧ラ‧‧‧‧‧?」

 

あの日、俺が確かに見送り、死んだはずの‧‧‧‧‧‧

 

 

そして、もう聞く事すらも出来ない聞きたかった長く腰くらいまである金色の長き髪、そして、シャルと同じように、水色の瞳をし、アイクの目の前の墓の前に立つ半分透明だが、エラの姿があった。

 

『お、王妃‧‧‧‧‧‧‧‧っ!?』

 

そんな中、後ろからアイツ等の驚いた声が聞こえて来る。

 

アイツ等にも見えているのかっ!?

 

‧‧‧‧‧‧‧これは‧‧‧‧‧‧‧幻覚なのだろうか‧‧‧‧‧‧?

 

それとも‧‧‧‧‧‧夢‧‧‧‧‧‧なのか?

 

『これは幻覚なんかじゃ、ありませんよ。ディルク。私はちゃんとここに居ます。ほら』

 

エラは俺にいつものように、笑顔を見せると、半透明な手で、俺の手を掴む。

 

俺は驚きを隠せなくなる。

何故かって・・・・・いっても・・・・・

 

エラが目の前にいるんだ・・・・・。

 

 

あの時、俺の目の前でシャルを産み、息を引き取ったはずのエラが・・・・・

 

『話したいのは山々ですが・・・・その前にやる事があります。』

 

そんな中、エラは後ろにある簡易式に作つたアイクの名が彫られている墓石の方へと身体を向ける。

 

 

そして

 

『えいっ!』

 

エラはそのまま、力一杯に墓石を蹴る。

 

そして、墓石は後ろにあった波が激しく打ち合う海の中へと落ちて行く。

 

‧‧‧って、おおおおおおおおいっ!!!

 

「「「えぇぇっ!?!?!?お、王妃殿おおおっ!?一体何をしてるんですかああああああああっ!?」」」

 

俺がエラの出た行動に対し、驚きを隠せなくなるのと同時に、後ろでは、俺と同じく、皆がエラの行動に対し、驚きを隠せず、声を上げる。

 

そりゃ、無理もねぇよな‧‧‧‧‧いきなりエラが墓石を蹴り飛ばしたんだし?普通そんな事をするはずない、あのエラがだよ?しかも、一応、このエラが本当に俺の知ってるエラかは分からないけど‧‧‧‧‧

 

『見ての通りの事しただけです。勝手にアイクさんを死なせて貰っては困りますよ?ディルク。』

 

そんな中、エラの口から驚くべき言葉が出て来る。

 

アイクを・・・・一体どういう事だ・・・っ!?

 

「お、王妃、それはい、一体どういう「国王陛下ッ!!大変だっ!」」

 

アロイアスはエラの言葉に疑っているかのような顔でエラに一体どういう事なのか、事情を聞こうとしたその時、後ろから聞き覚えおある声がしてくる。俺達は聞き覚えのある声のした後ろへと振り向く。そこには、キャンプと黒騎士の見張りをしている息を荒くさせながらも、アイツの駆けて来る姿だった。

 

「カール、お前、そんなに慌ててどうしたんだ?また、寝ぼけて・・「そんなの関係ねえっ!それより大変なんだっ!姫様が危ねえんだよっ!」はっ!?一体どういう事だ?」

 

「あの金髪黒騎士が起きたと思ったら、いきなり魚みてえなグラムが出現して・・・それで、あのグラムを追いかけてあの金髪黒騎士が一人で姫の所に向かったんだが・・・・・」

 

俺はカールから驚きの事実を聞き、耳を疑った。

 

今・・・・・何て言った・・・・・?

 

「ちっ!まだグラムがっ!お前らっ!急ぐぞっ!」

 

「「ああっ!」」

 

アロイアスを先頭にアイツ等はシャルを助けるためにアイツの案内に従い、何処かへと向け、足を走らせる。

 

『・・・ディルクは行かないのですか?』

 

そんな中、俺にエラが話し掛けてくる。

 

・・・・すまない・・・・俺は・・・・・

 

「・・・・・すまない・・・・俺はお前ともう一度話し合える方を選んだんだ・・・・一番大切なのはアイツだというのに・・・・・・・」

 

俺はアイツ等の走って行く方向を見る。そこにはアイツ等の走って行く姿があった。

 

『・・・・フフッ、ですが、そういう所があって、私は貴方の事を好きになったんです。』

 

そんな中、俺にエラは微笑む。

 

辞めてくれ・・・・・・俺は・・・・結局・・・誰も・・・守れなかったんだ・・・・・。

 

 

 

『昔から、変わらないのですね・・・・貴方は・・・・・どんな時も一人抱え込んでばかり、だけど・・・・・・』

 

そんな中、俺を光を発する少し薄い身体でエラは抱きしめる。

 

『そんな、貴方だから、私は好きになったんです・・・・・貴方が責任を感じる必要なんてありません。貴方は皆の事を思ってやったんでしょ?なら、それで良いんです。貴方は貴方にやれるべき事を精一杯やった、ならそれで良いんです。例え、誰も貴方を許さなくても、私は貴方を許します。』

 

エラは俺を抱きしめながらも言う。

 

「だが・・・・・俺は今からどうすれば良い・・・・・・?もう国は跡形も無く、消し飛んだ・・・・それに、俺はアイツ等を・・・『私は貴方を信じています。』」

 

『だって、貴方なら、絶対できると信じているから・・・・貴方がこの先の未来・・・・シャルを・・・皆を未来に導いてくれると信じてるから・・・・。』

 

エラは俺へと微笑みながらも言う。

 

「だが、国はもう無いんだぞ?それに、食料とかm『そんなの、作り直せば良いだろうが』・・・・え?」

 

『例え、国が無くとも、 無いのなら、また新しい国を作り直せば良い。それはお前でも出来る事だろ?』

 

そんな中、何処からか、聞き覚えのある声がしてくる。俺は何かと思い、聞こえて来た横へと振り向く。

そこには・・・

 

「に、兄ちゃんっ!?」

 

あの時、俺とアロイアスを救出するため、自分の身を犠牲にし、俺達の逃げる時間を稼ぐため、あの時あのデカ物の鹿の姿をしたグラムと共に爆発の中へと消え去って行っエラと同じ半透明となった兄ちゃんが兄ちゃんの墓石の上に腰掛ける姿があった。

 

『あぁ、というか、良いムードの中、悪いな。せっかく夫婦の再会だから、今までずっと隠れてたわ。』

 

兄ちゃんは俺にそう言うと、墓石から腰を上げ、俺の方へと歩いて来る。

 

ど、どうして・・・・兄ちゃんがここに・・・・・?

 

『どうして俺がここにいるか、どうだか思ってるようだが・・・まあ、俺とエラは今はソウルスパークっていう魂みたいな存在だ。ほら、お前に昔天国と地獄があるか?って俺に聞いて来ただろ?その答えが今っていうわけだ。』

 

兄ちゃんは俺とエラの前を右へと左へと行ったり、来たりしながらも言う。

 

だが・・・・・・・

 

 

 

 

俺が弱くて、兄ちゃんを守れなかったのには変わり無い・・・・。

 

『ごめん・・・・・兄ちゃん。俺は・・・・兄ちゃんを・・・・・』

 

俺は兄ちゃんに膝を付きながらも、兄ちゃんに謝罪する。

これが兄ちゃんの幻でも良い・・・・・・俺は・・結局守れなかったんだ・・・・それに、これだけで、兄ちゃんの命を奪ったのは許されるはずなんて無いんだ・・・・。

 

『ハァ、何を言うかと思えば・・・そんな事かよ。』

 

だけど、兄ちゃんから帰って来た言葉は俺が耳を疑う程の驚くべき言葉だった。

 

「い、一体どういう事なんだよ・・・何で・・・・そんな事って・・・・兄ちゃんの命を奪ったんだぞ?俺は・・・?それが只のそんな事ってどういう事なんだよ・・・。」

 

俺は兄ちゃんに一体どういう事なのか、問う。

 

一体どういう事なんだ・・・?

 

 

今も昔も兄ちゃんは言ってたじゃないか・・・・「例え、どんな生物でも、その命の重さは変わりは無い」って・・・・・なのに、何で兄ちゃんの命が軽い物みたいに言ってるんだよ・・・・・。

 

『俺は・・・・感染してたんだよ。獣化ウィルス・・・・知ってるだろ?』

 

そんな中、俺に何か険しい顔をし、兄ちゃんが話して来る。

 

獣化ウィルス・・・・・今から2年前、全国に突然現れた謎のウィルス。そのウィルスはいきなり、2年前に姿を現したあの『蒼き獣人』が現れた後、姿を現したウィルスだ。

形状は紅い目をしたグラムと酷似した姿・・・いや、グラムを小さくした姿と言った方だな。あれは・・・・・そして、感染すれば、たちまち獣のような姿に変わり、後は・・・グラムの奴等のようになる。要するに、昔、大臣が怖い話とかで聞かせてくれた「ゾンビ」みてえな奴だ。

 

だが、どうして兄ちゃんが・・・・・・?

普通なら、その場で姿が変わってしまうはず・・・・・なのに、兄ちゃんはそんな所も無かった。

 

『・・・・俺には抗体があったんだよ。だが、あんな獣化ウィルスに加え、殺人ウィルスの濃度が高い場所に長く居過ぎた。だが、進行は遅らせる事は出来た。只、それだけだ。』

 

そんな中、兄ちゃんは黙っていた口を開き、自分自身に抗体があった事を話して来る。

 

・・・それがどうしたんだって言うんだよ・・・・・

 

例え、兄ちゃんがそうだとしても、命の重みは俺達の命と変わりないはずじだっ!

 

 

『それに・・・いずれにせよ、俺は元々死ぬつもりだったさ。他の奴等への感染を防ぐためにな・・・だが・・・予想外にもお前を助ける事になるとはな・・・・』

 

兄ちゃんはそう言い終えると「ま、結果が良ければ、全て良しだよなっ!」と言い声を大きく上げながらも笑い始める。

 

・・・・何が結果が良ければ、全て良しなんだよ・・・・。

 

せっかく・・・・・もう会う事の出来なかった兄ちゃんとまた再会したというのに・・・・・・

 

 

 

 

 

 

俺にとっちゃ、こんな結末・・・・望んでなんかいなかったっ!

 

 

 

 

 

 

 

・・・・俺は・・・・・全員でいつまでも、笑える国家を作りたかった・・・・・。

 

民達も皆・・・・・・・笑顔でいれる国家を・・・・皆の中には兄ちゃんや皆も入ってる・・・・・・。

 

 

 

なのに、誰さえも守れず、こんなの・・・・・・こんなの・・・良い結果なんかじゃねえっ!

 

「とでも思っていたのか?」

 

そんな中、兄ちゃんの声が聞こえて来る。俺は前を振り向く。そこには、さっきまで笑いを上げていた兄ちゃんが真剣な顔をしながらも、立っていた。

 

・・・・・・一体どういう事なんだよ・・・・?

 

・・・これの何処が良い結果なんだよっ!

 

「お前は今まで何のために戦って来た?何のためにシャルや皆を守り抜いて来た?守りたかった人達が居るからなんだろ?見たかった物があるからなんだろ?だがな・・お前が死ねば何の意味もねえじゃねえかよ・・・・。お前は・・・また、シャルを悲しませる気か?」

 

兄ちゃんは手を強く握り締め、拳を震わせながらも言う。

 

 

ーちち・・・・・・うえ・・・・。ー

 

 

そんな中、あの時のシャルの姿が浮び上がる。

あの時・・・・それはシャルが幼い頃、深夜、泣いていた姿だった。

 

 

 

 

その日の朝・・・・シャルは聞いて来た・・・・。

 

 

 

ーあの・・・・ちちうえ・・・何故、わたしには母上がいないのでしょうか・・・?-

 

 

俺は今まで黙っていた事を何故シャルが知っているのか、驚きを隠せなくなり、シャルにどうしてそんな質問をして来たのか、聞いてみた。

シャルの話によると自分の侍女の一人が里帰りをする時に「父上と母上、元気にしているのかな~?」と言った言葉から謎に思ったらしい・・・・・。

 

俺は直ぐにシャルに言った・・・・

 

 

 

 

 

「お前の母上はいない」・・・・・と

 

 

エラの事なんて、喋れるはずなかった・・・・・。

 

エラが・・・・お前を産んだ事で衰弱してしまい、死んだと聞けば・・・・シャルなら・・・アイツ譲りだから・・・自分を責める続けるはずだ・・・・・。

 

だから、言えるはずなんて無かった・・・・・そんな事・・・・・

 

 

だが、そんな嘘等通用するはずなかった・・・・・。

 

 

俺が夜、侍女達の監視を潜り抜け・・・・というか、抜け出してアイツの部屋に行った。

 

何故なら・・・シャルはエラと良く似てるからだ・・・・・。

 

だから、心配になってきていた。そして、窓からシャルの部屋を覗き込んでみた・・・そこには・・・・・

 

ーエッグッ・・・・・・ヒッグッ・・・・・・-

 

泣いていたんだ・・・・・シャルが・・・・

 

だが、俺はその場から去った・・・・・。

 

何もせずに・・・・・な。

だが・・・俺は誓ったんだ・・・・

 

 

「シャルの笑顔は守る」と

 

民も大臣や皆もそうだった。だが・・・一番守りたかったのは、シャルだった。

母の温もりも感じられず、家族としての温もりも感じさせてやれなかった。

 

だが、俺はエラを何も出来ずに死なせ、シャルに一人の国家の王であるせいか、あまり庇ってやれなかった・・・・・・。

 

そして、お前はシャルの幸せな姿を父として、見守りたかったんだろ?国を納める一人の国王として、民の笑顔を守りたかったんだろ?だがな、それを実現させるための鍵を失くしてしまえば、それこそ終わりなんだよ。そして、俺にとってもな‧‧‧‧‧その理想を実現させるための鍵‧‧‧‧それが何なのか、お前には分かるか?」

 

理想を実現させるための‧‧‧‧鍵?

 

一体どういう事なんだ‧‧‧‧‧‧?

 

兄ちゃんとエラは既に今は魂の身だ。何もする事が出来ない

 

『お前だ。ディルク。お前が俺の・・いや、俺達の理想を実現させるための鍵なんだよ。 』

 

い、一体どういう事なんだよ‧‧‧‧‧?

俺がそんな事、出来るはずないだろ‧‧‧‧‧

こんな無力な俺に・・・よ・・・・・。

 

『お前がどう思っているのかは知らん・・・というか、ソウルスパークだから、本当は大体分かるがな、だが、これだけは言える・・・・お前は無力なんかじゃない。お前が無力なら、今の”あいつ等”はお前の目の前にいないはずだ。それに・・・あいつ等はお前の事を信頼している・・・・信頼出来、信じれるからこそ、お前と一緒にいるだろうが、自信を持てよ。』

 

兄ちゃんは俺にそう言うと俺の肩を軽く叩く。

 

『そうですよ、ディルク・・・・ディルクはけっして無力なんかじゃありません・・・・・あの皆さん達だって・・貴方の強さを知っているからこそ、最後まで戦って来たんです・・・・・貴方を信頼出来、信じられるからこそ、貴方と今まで一緒に戦って来たんです・・・・』

 

そして、兄ちゃんの隣では、エラが微笑みながらも言う。

 

だが、そんな中、俺はある異変に気付く。そう、それは二人の姿が光の粒が拡散して行きながらも、同時にさっきよりも透き通って行く事だった。

 

二人もその事に気付く。

 

『どうやら・・・・時間切れのようだな。』

 

兄ちゃんは自分の透き通って行き始める手を見ながらも、俺に言う。

 

ど、どういう事だよ・・・・・・。

 

『私達は魂の身です・・・・・現実世界に長く留まる事は出来ません・・・・ですが、私達はいつまでもディルク、貴方の傍にいます・・・・』

 

そして、どんどんと二人の身体は夕焼けに照らされる景色の中へと溶け込んで行き始める。

 

ま、待ってくれっ!

 

俺はまだ話したかった事が・・・謝りたかったが一杯あるんだっ!

 

 

シャルの事だって・・・・・

 

 

皆の事だって・・・っ!!

 

『ハァ、良い奥さん持ったもんだな・・・・もう一度言う・・・・ディルク、お前なら絶対出来る。この世界を・・・・いや、ベルカのこの永く続く争いを止める事を・・・・お前は一人じゃない、お前には皆がいる・・・・シャル、そして、あいつ等がな・・・・』

 

『大丈夫・・・・・貴方なら出来ます・・・・ディルク・・・貴方なら必ず・・・・』

 

そして、俺の止めも意味も無く、二人は俺の目の前から景色の中へと消え去って行く。そして、俺がエラの手を掴もうと伸ばした手には何も無く、そこの場に残るのは只の長く続く沈黙だけだった。

 

 

 

 

 

「エッグッ・・・ヒッグッ・・・・アイク・・・エッグッ・・・ごめん・・・なさい・・・・」

 

私はひたすら、顔を片手で掬った水で顔を洗いながらも、溢れ出る涙を拭きます。

 

 

アイク‧‧‧‧‧ごめんなさい。

 

‧‧‧‧‧私は愚かです。

 

貴方が突き刺さされたというのに、そのまま、私は気を失いました‧‧‧‧‧。

 

もし、気を失っていなければ、アイクを助けられた‧‧‧‧‧‧。

 

もっと私がしっかりしていれば・・・・・こんな事には・・・・・

 

 

 

そんな後悔感のみが、私へと襲い掛かって来ます。

 

ですが‧‧‧‧‧‧‧

 

 

「エッグッ・・・・・・」

 

 

後悔した所で、 アイクは戻って来る事はありません。

 

 

命というのは、たった一つしか無いのですから‧‧‧‧‧‧。

 

 

 

それを私は・・・・・アイクの未来を奪ったのです。

 

 

 

私が・・・・・・私が砲弾に被弾していなければ・・・・こうなる事は無かったはずでした・・・・・・。

 

 

それなのに・・・・・・それなのに、何故・・・・私は・・・泣いているのですか・・っ!

 

 

私は・・・・・・私は加害者・・・・いえ、殺人者なんですよ・・・・?

 

なのに・・・・私が何故・・・・泣くのですか・・・・・。

 

「ええ・・そうですよ・・・貴方は殺人者。そして、こんな事態になったのも全ては貴方のせいなのです」

 

「っ!?」

 

そんな中、何処からか、誰か聞き覚えのある声が聞こえて来ます。

振り向くとそこには・・・・

 

「貴方が僕をこんな風にしたんです・・・・一体どうしてくれるんですか?」

 

「あ‧‧‧‧‧ああ‧‧‧‧。」

 

私の視界に写った物、それは両腕が無く、身体中血だらけになった真っ赤な染みに染まったボロボロの服、そして顔の半分は焼け垂れ、無数の傷跡と片目には、鉄棒が突き刺さっており半分がある半分紅い髪をし、焼け焦げた跡のある下半身の無い、上半身のみの男性の姿でした。

 

ですが・・・・・私には一体誰なのか、直ぐに分かりました。それは・・・・・

 

 

「ア・・・・・イク・・・・?」

 

 

そう・・・・・今はあの、何らかの理由により、完全に跡形も無く消え去った”ライヒ・フォルストア”にて、居るはずの変わり果てたアイクだったからです・・・・。

 

 

 

 

「ええ・・・・・姫様・・・・・それで・・・・・こんな姿となった事、どうやって責任を取って貰いますか?これじゃあ・・・・僕は歩く事すら、出来ないじゃないですか・・・・・。」

 

アイクは私にそう言いながらも、両腕を使いながらも、赤黒い液体の溜まりを作りながらも、私へと迫って来ます。

 

 

そうです・・・・これも・・・・私がしたんです・・・・・。

 

 

 

全ては私が引き金を引いたんです・・・・・・。

 

 

「ですから・・・・・・姫様・・・・・」

 

 

 

 

 

 

ー貴方の身体、貰っても良いでしょうか?ー

 

 

 

 

 

「っ!?」

 

私はアイクの発した言葉に驚きを隠せなくなります。

 

「あれ?どうなされたのですか?姫様?」

 

アイクは私が驚いたのに、気付いたのか、どうしたのか、聞いて来ます。

 

 

「い、いえ‧‧‧‧‧何でもありません‧‧‧‧。」

 

私は只答える事しか、出来ませんでした。

 

 

こんなにボロボロになってアイクは帰って来ました‧‧‧‧‧。

 

 

 

 

ですが、私はアイクが生きているという事に信じられませんでした‧‧‧。

 

 

目の前に居るというのに、私から見て、アイクじゃないように見えるからです。

 

 

 

身体なら、あげても良い‧‧‧‧‧ですが‧‧‧‧。

 

「‧‧‧‧‧貴方は一体‧‧‧‧誰なんですか‧‧‧‧‧?」

 

人間でも、例えアイクでも、こんな大怪我を負えば、ここまで来る事は出来ないはずだからです。

 

「一体何を言っているのですか‧‧‧‧‧?姫様。僕は僕ですよ?」

 

今のアイクは上半身のみと、身体の周りに出来た赤黒い溜まりから見て、大量出血に加え、火傷まで負っています。

そんな状態なら、通常の人間でも、例え生きていても、ここまで来るのは不可能なはずです‧‧‧‧‧。

 

 

それに‧‧‧‧‧アイクなら・・・・・

 

 

「貴方はアイクじゃないっ!!・・・アイクなら・・・・アイクなら・・・・こんな時も、笑っていた・・・・。」

 

 

ーははっ・・・姫様・・・・面目無いです・・・・。-

 

 

 

いつもそうだった・・・・・・。

 

 

 

アイクはいつも笑顔を絶やさなかった・・・・。

 

 

 

 

例え、躓いたり・・・・・例え、悲しい事があったとしても・・・・

 

 

アイクはいつも私や皆の前では笑顔だった。

それとは違い、今のアイクは死人同然の顔だった。いえ・・・・別人でした。

 

「笑顔?ははっ、何を言っているのですか、姫様。こんな状態だというのに、笑うなんて・・・・「それでも、私は貴方をアイクと認めないっ!」」

 

 

「貴方は・・・一体誰なんですか・・・・?」

 

 

私はもう一度、目の前にいるアイク・・・いえ、アイクの姿をした誰かに問います。

 

すると目の前にいるアイクの姿をした誰かの顔の表情が歪みます。

 

「フフッ・・・・・フフフフッ・・・貴方の言うあの者、アイクがどういう奴なのかはわかりませんが・・分かってしまったのなら・・・仕方ありませんね・・・。」

 

目の前にいる上半身しか無いアイクはボトッ、ボトッと赤黒い液体を下へと落とし、溜まりを作りながらも、空中に浮かびます。

 

そして・・・・・

 

「ならば・・・・・・貴方のその身体・・・・私の復活の肥やしとして貰いましょう・・・・。」

 

 

顔は紅く血塗れた紅く白い肌から、真っ白となり、顔が抉れて行き、赤黒い液体が飛び散ると共に、黒く、紅い目と鹿のような角の生えた顔が姿を現します。

 

 

 

 

そして・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

私にはその顔に見覚えがありました・・・・・。

 

 

 

 

そう・・・・父上と共に騎兵達を逃がすため、戦ったグラムの将・・・・いえ、頭領に当たるような存在で、鹿の顔をしているあの漆黒の身体をした謎の植物を生やしたり、する能力・・・そして、最も”危険な存在”と思わせるような鋭く、獲物を捕らえているかのような目でした。

 

 

私は必死にその場から他の道へと駆けて行きます。

 

「おやおや?鬼ごっこですか?・・良いでしょう。付き合いますよ。」

 

 

あのグラムの将と思われる者は逃げる私を見ると、私を追って空中を浮遊しながらも、向かって来ます。

 

 

 

とにかく・・・・・・ここから、もっと離れた場所に行かないとっ!

 

 

父上達にはもう・・・・・迷惑なんて掛けたくないっ!

 

 

 

 

 

それに、今の父上達はもう・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は辺りを見渡しながらも、あの取り逃がした”奴”を探すため、走り続ける。

 

この辺りは土が湿っている川は近くにあるようだ・・・・・それに、ウィルスの感染も見られない・・・・。

 

「チッ・・・・・。」

 

だが・・・奴を取り逃がしてしまった・・・・・・。

 

それより・・・・・

 

 

 

さっきから、周りから何らかの気配がするな・・・・・。

 

「っ!?」

 

俺がそう思っていたそんな中、目の前に黒く光る巨大な物が弾丸の如く、速さで向かって来る。俺は直ぐに横へと回避する。その黒い何かは地面に当たると同時に、砂煙上げる。

 

砂煙が収まると同時に、俺は一体何なのか?と思い、見る。砂煙が収まり、黒い何かが地へと落ちたそこには黒き巨大な砲弾が突き刺さっていた。そして、砲弾はその場で灰と化し、地へと降り注ぎぐ。それと同時に、降り注いだ所から、周りへと黒い”何か”が侵食し始めて行く。

 

だが、その瞬間、何らかの飛んで来る音と共に、俺へと向け、何かが迫って来る。

 

俺は直ぐに避けると、砲弾が飛んで来た方向を見ようと、前を見ようとするが、既に、俺の周りには黒き漆黒の金属の光沢を持つ砲口を向けている未だにレベル1のようだが、グラムの姿があった。

 

 

・・・・・どうやら、ここで俺を待ち構えていたらしいな・・・・・。

 

 

だが、そんな中・・・・

 

 

ーキャアアアッ!!!ー

 

 

何処からか、聞き覚えのある女性の悲鳴が聞こえて来る。

 

 

まさか・・・・っ!?

 

俺は直ぐに駆けて行こうとしたが、それは黒き砲口から放たれた火によって、阻止される。

 

 

チッ・・・・どうやら・・・奴等は俺を元々ここに呼び寄せるつもりだったようだ・・・・。

 

だが、そんな中、グラムの間から見える俺の視界から、何か光らしき物が声の聞こえて来た方向へと向かって行く。

 

チッ!新型グラムかっ!

 

「くっ・・・・・」

 

だが、暇を奴等は俺に奴を追う暇さえも与えず、俺へと砲撃を行って来る。

 

 

チッ・・・・・・暇すらも無しという事・・・かっ!

 

 

だが・・・・

 

 

「まずは・・・こいつ等をどうにかしなきゃ、ならないようだな・・・・。」

 

俺はカリバーンの格納されたガンホルダーに触れる。それと同時に、ガンホルダーは長方形のフレームが展開し、中から、カリバーンが姿を現す。

俺は直ぐにカリバーンを手に取る。同時に、長き刃透き通った水色の刃が姿を現す。

 

 

奴らは俺がカリバーンを手にすると同時に、俺へと漆黒の光沢を放つ砲門を向け、砲撃を始める。

 

俺は直ぐに、向かって来る砲弾を回避しながらも、標的としたグラムへと向け、駆けて行く。

 

 

 

 

だが・・・・今はお前らに構っている暇は無い・・・・・。

 

 

「はあっ!!」

 

俺は標的としたグラムをカリバーンを横へと振るい、斬りさく。グラムはカリバーンの閃光が身体の横へと走ると同時に真っ二つに斬りさかれる。

 

 

だが、そんな中・・・・・

 

 

ーフフフフッ・・・・・ハハハハハッ!-

 

 

俺の頭にノイズ音と共に何らかの記憶が横切る。

 

な、何だ・・・・今のは・・・・・

 

 

「チッ!」

 

だが、その一瞬の隙により、グラムの砲弾が標的である俺を捉え、俺へと疾風の如く、速さで向かって来る。俺は直ぐに何発か回避し、回避し損ねた一発を斬りさく。

 

 

チッ・・・・・

 

 

 

だが、今はその場合じゃないっ!

 

 

 

 

 

 

 

「う~む、一体何処に行ったのでしょうかね~?」

 

私は大きな岩陰に隠れながらも、あの漆黒の鹿顔をしたグラムを見ます。

 

 

早く・・・・・ここからもっと遠くへ・・・・。

 

私が立ち上がろうとしたそんな中、足に違和感を感じます。足元を見るとそこには、黒い何らかの蔦が絡みついていました。

 

い、いつの間にっ!?

 

「おやおや?何処に行く気デスか?」

 

ですが、そんな中あのグラムに気付かれてしまいます。

 

くっ!?は、早く逃げないと・・・・っ!!

 

私は直ぐに足元に絡みついた漆黒の蔦を外そうと、足を左右に動かし力づくで、千切ろうとしますが、千切れる事はありませんでした。

 

「残念、それは私めの生成した物・・・・・貴方のような只の人間に斬れるような代物じゃありませんよ。」

 

あのグラムは私に不敵な笑みを見せながらも、私へと向かってゆっくりと歩いて来ます。

 

私はもう一度、千切ろうと試してみますが、結局、足に絡み付いた蔦は千切れる事はありませんでした・・・。

 

ですが・・・・・ですが・・・ここで諦めたら・・・・・・

 

「あの者もあの世とやらで待っていますよ~?今なら、楽にしてあげましょう・・・・当然、貴方の身体と引き換えにね・・・・フフッ・・・・。」

 

紅き鋭き瞳で私を捉えながらも、あのグラムはゆっくりと歩きながらも、言いながらも、私へと向け、歩いて来ます。

 

そして、私の目の前で足を止め

 

「では、ご決断して貰いましょうか・・・・・?今すぐに楽にしますか?それとも・・・・」

 

 

紅き瞳を私へと向けながらも、何処からか、黒き奇形な形状をした剣を光と共に出現させ、その剣の柄を手に取ると、私の首の根へと剣を突き付けて来ます。

 

「ゆっくりとじっくりと・・・・死ぬのがお望みですか?」

 

紅き鋭く光る眼光を放ちながらも、瞳に私を捕らえ、このグラムは私に聞いて来ます。

 

・・・・・・確かに、この場合なら、私は「楽に死ぬ」方を選びます。

 

ですが・・・・・・

 

 

 

私はここで諦めるわけには行きません・・・・・。

 

 

もし・・・・私がここで「楽に死ぬ」方を選べば・・・・・このグラムの復活するための何かとなり・・・・父上・・・・皆が復活と同時に、殺しに行くでしょう・・・・・。

 

 

そして・・・・・・アイクのためにも・・・・・私は・・・皆を守らなきゃ、駄目なんです・・・・・。

 

 

ですから・・・・・私は・・・・

 

 

 

 

「おや?一体何をしようというのですか?」

 

 

 

ですから・・・私は・・・・

 

 

「私は・・・・・私は新たな選択として・・・「最後まで戦う」を選びますっ!例え、この身が滅びようとも・・・・貴方だけは・・・・貴方だけは・・・絶対に皆の所へは行かせないっ!」

 

私は左袖へと”あれ”を取り出すため、手を突っ込みます。

 

今の私は剣も、魔法もそして、動く事すらも出来ません・・・・・。

 

 

ですが・・・

 

 

さっきの「私の復活の肥やし」というこのグラムの言葉が私の予想と同じなのなら・・・・・・・もしかしたら・・・今なら出来るかもしれません・・・・・。

 

 

「ま、まさか・・っ!?貴方は!?」

 

あのグラムは笑顔だった顔を歪ませます。

 

 

 

ええ・・・・・そのまさかです・・・・・。

 

 

今の貴方は・・・完全体・・いえ、完全なグラムとしての力を取り戻していない・・・・。

 

ならば・・・・今なら通常の魔導兵器でも効果はある・・・・。

 

 

そして、貴方は私に「私の肥やしとなりなさい」と言いました・・・・。

 

 

なら、私自体が消え去れば、貴方は復活する事すらも出来ない・・・・。

 

「や、辞めロッ!」

 

あのグラムが止める声を他所に、私は目を瞑ります。

 

・・・・アイク・・・ごめんなさい。どうやら、私ももう無理のようです・・・・・。

 

 

・・・もう直ぐ、私もそっちに行きますね・・・・。

 

私は袖に隠していた小型の魔導爆弾のスイッチを押します。

 

 

ですが、何の痛みも・・・炎に焼かれるような痛みすらも感じませんでした・・・・。

只、あるのは沈黙のみでした・・・・。

 

 

もう・・・・私は死んでいるのでしょうか・・・?

 

 

それとも・・・・?

 

「キャアッ!」

 

そんな中、腹部へと全身へと向け、痛みが走ります。

 

「フフッ・・・・フハハハハハハハハ」

 

そんな中、何処からか、聞き覚えのある笑い声が聞こえて来ます。

私はゆっくり目を開けます。そこには、あのグラムが空中に浮遊したまま、奇声にも近い笑い声を上げる姿がありました。

 

 

 

そんな・・・・・どうして・・・・・

 

私は直ぐに手元にある魔導爆弾を見てみます。

 

ですが、手元には、魔導爆弾は無く、代わりとして、黒い灰がありました。

ですが、それは直ぐに風へと任せ、景色の中へと溶け込んで行きます。

 

「貴方のお探し物はこれでしょうか?」

 

そんな中、目の前にて、あのグラムが何かをぶら下げます。

 

そこには私が所持していたあの丸く上にボタンがある魔導爆弾でした・・・・・。

 

「はぁ・・・・私がそんな事を知らないとでも思っていたいたとは・・・・本当に、今のアース(人間)共は実に馬鹿だ。それにしても・・・・」

 

あのグラムは私にそう言いながらも、上半身から、何らかの蔦を生やします。同時にその蔦は漆黒の下半身の形へと変化し。やがて、完全な人間の下半身と化します。

 

「しつこいデスネッ!このアマはっ!」

 

そして、そのグラムは私の横腹を蹴り付けます。

 

「楽に殺してやろうと言っているのに、貴方は自身が自らゆっくりとじっくりと痛み付けられ、死ぬのを選ぶとは・・・・・面白い・・・・もっとやってあげましょうっ!」

 

そして、私はそのまま、あのグラムに蹴られ・・そして、殴られ・・・と数々の暴行を加えられます。

 

「がはっ・・・ごはっ!・・・・・。」

 

そして、私はその場にて、倒れこんでしまいます。

 

 

そんな中、視界に写ったのは、細長き黒く細い金属の光沢を放つ光・・・・いえ、あのグラムが何処からか召喚した黒く奇怪的な刃を持つ剣の刃先でした。

 

「では・・・・・やりましょうか・・・・・さて、何処からお望みですか?右足ですか?左足ですか?それとも・・・・下半身まるごとですかね?・・・・フフッ・・・・」

 

あのグラムは私に問います。

 

そんな中、私自身の身体が震え始めます。

 

 

 

怖い・・・・・・。

 

 

何故なんでしょうか・・・・・・?

 

 

身体の・・・・・震えが止まり・・ません・・・・・・・。

 

何故でしょうか・・・・・?何故、あの者が物凄く怖く思えるのでしょうか・・・・?

 

どうしてですか・・・・・?

 

私は・・・・・何を・・・・・?

 

一体何を怖がっているのでしょうか・・・・?

 

 

「フフッ、おやおや・・・どうしたのですか?さっきまで勇敢に戦おうとしていた姫君よ・・・・フフッ・・・死ぬのが怖いのですか?」

 

あのグラムは私を見ながらも、黒い唇を歪ませます。

 

死ぬ・・・・・・?

 

 

私は・・・・・死ぬ事が・・・・・怖い・・・・・・?

 

「おやおや・・・一体何が怖いのかも分からなくなったようですね・・・ですが、安心してください。その恐怖に歪んだ顔・・・・私が穴他のお父上達にも見せてあげましょう・・・・・それに、貴方のその恐怖に歪んだ顔、好きですよ?・・・フフッ・・・・」

 

あのグラムは私を見ながらも、手に持つ剣を宙へと振り上げます。

 

「では・・・まずは逃げられないよう、足からしてあげましょう・・・・そして、次に手と・・・それでは、私を楽しませくださいね?その恐怖に歪んだ顔で」

 

 

あのグラムは私にそう話します。

 

 

 

怖い・・・・・死ぬのは・・・・一人で死ぬのは・・・嫌・・・・。

 

 

どうして・・・?どうして私は怖がっているのでしょうか・・・・・?

 

 

何故、私は怖がっているのでしょうか・・・・・?

 

今までだって、死ぬ事なんて、怖くなかった・・・・・・。

 

 

もし、父上や皆さえ、私の犠牲だけで、幸せに暮らせるのなら・・・・・・良いとも思っていた・・・・・・。

 

 

なのに・・・・なのに、何故私は・・・・今更恐怖に怯えているのでしょうか・・・・?

 

 

一体何が・・・・怖いのでしょうか・・・・・?

 

 

死ぬのなんか・・・・怖くも無いはずなのに・・・・なのに・・・・私は何で怖いと思っているのでしょうか・・・・・?

 

 

 

ーはぁ~、悪い。色々あってな。ほらー

 

 

 

 

 

ーほら、これだと暖かいですよ?-

 

 

 

 

そんな中、とある記憶が蘇ります。

 

それは、父上とアイクとの記憶でした。

 

 

 

 

・・・・・そう、だったんですね・・・・・。

 

 

 

 

私が怖かったのは・・・・・・もうあの「温もり」を感じる事が出来ない事だったんですね・・・・・・・。

 

 

 

 

ですが・・・・・・それでも・・・やはり怖い・・・・・そんなの嫌です・・・・。

 

 

 

あの温もりも感じられず・・・・只一人・・・・・冷たく死ぬなんて・・・・・

 

 

 

死ぬは・・・・嫌・・・・。

 

 

 

生きたい・・・・・・生きたいです・・・・・。

 

 

・・・・アイク・・・・・

 

 

アイク・・・・助けて・・・・ください・・・・・。

 

 

私は貴方を殺した重罪を犯した愚か者です・・・・・なのに・・・私は生きたいです・・・・・。

 

 

許されない事かもしれない・・・・・・。

 

 

それでも・・・・私は生きたい・・・・生きたいですっ!

 

ですが・・・・そんな事・・・・叶うはずなんて・・・・ありませんよね・・・・。

 

 

私は・・・・・・重罪を犯した愚か者・・・・ですから・・・そんな事・・・

 

 

「では、まず右足からしましょうか」

 

あのグラムは私にそう言うと、剣を振り下ろします。

 

私は直ぐに痛みに耐えるため、目を瞑ります。

 

ですが、痛みが身体中を走る事なんか、ありませんでした。

 

 

私は・・・・もう・・・・・死んだのでしょうか・・・・?

 

 

もう・・・私は・・・・あの温もりを感じる事は出来ないのでしょうか・・・・・?

 

 

 

ーいえ、そんな事ありませんよ?姫様。ー

 

そんな中、前の方から、聞き覚えのある声が聞こえて来ます。

 

 

私は誰なのか?と思い、目をゆっくりと恐る恐る開きます。

 

 

そこには・・・・

 

「遅れいたしました。姫様。このご無礼をお許しください。」

 

あの時・・・・・死んだと思っていた・・・・・

 

 

 

あの時・・・・・私が殺したと思っていたはずの

 

 

 

 

 

穴や亀裂の入った甲冑を身に纏い、亀裂の入ったアームドデバイスの刃であの奇形な剣の刃を受け止めるアイクの姿がありました・・・・・。

 

 

 

「な・・・・・貴方はあの時、私が殺したはず・・・・何故・・・・何故、死んだはずの只の人間である貴方がっ!?」

 

さっきまで、不適な笑みを浮かんでいたはずのあの者は顔を歪ませます。

 

「何故?・・・そんなの決まっているじゃないですか・・・・・」

 

 

 

ー姫様を置いたまま、死ぬなんて出来ないからですよー

 

 

 

「っ!?」

 

 

私は驚きを隠せなくなります。

 

 

どうして・・・・?

 

 

 

どうして・・・・・アイク・・・・貴方はそこまで・・・・私の事を・・・・・・

 

「これはこれは・・・・悲劇のお姫様を助ける王子様ですか・・・・ですが、悲劇のお姫様はちゃんとした悲劇に合ってもらわなければなりませんねっ!」

 

 

 

あのグラムはそのまま、大きな亀裂の入っているアイクの持つアームドデバイスの刃をそのまま、力強く

押していきます。

 

同時に、アームドデバイスの亀裂の入っていた刃の亀裂が徐々に大きくなっていきます。

 

「アイクっ!!駄目ですっ!私の事は良いっ!早く逃げてくださいっ!!」

 

私は直ぐにアイクに逃げるよう、言います。

 

相手はあのグラムなんです‧‧‧‧‧。

 

 

 

 

アイクは・・・・黒騎士でも無ければ・・・・

 

 

 

 

・・・ゼロデバイスの適合者でもありません。

 

 

 

 

通常の・・・・・人間なんです。

 

 

なのに・・・・・なのに、あんなにボロボロになっているのに・・・・・アイクは・・・・アイクは未だに私のために・・・戦おうとしていました・・・・。

 

 

もう・・・・・・もう私は・・・・アイクを失いたくなんてありません・・・・・。

 

 

 

ちゃんと・・・・・・ちゃんと戻って来たというのに・・・・・また、私は・・・・

 

私は・・・・・また・・・アイクを殺そうというのですかっ!

 

「姫様・・・姫様のせいなんかじゃありません・・・・っ!」

 

そんな中、前からアイクの声が聞こえて来ます。

 

私は驚きながらも前へと顔を上げます。

 

「これは・・・・これは姫様のせいなんかじゃありません・・っ!僕が・・・・僕が弱かったから・・・・弱かったからこうなったんです・・・・・っ!」

 

「そんな・・・・・そんな事ありませんっ!アイクは・・・アイクは何も悪くなんか「いえ・・・・・僕が弱かったから・・・弱かったから・・・姫様を悲しませてしまったっ!」」

 

「ですが・・・・ですが僕にはっ!」

 

 

そんな中、アイクの手が緑色へと光輝き始めます。

 

「な・・・・・貴様、まさか・・っ!?」

 

さっきまで不適な笑みを見せていたグラムはどんどんとその表情を歪ませ、動揺し始めます。

 

 

ですが・・・・その緑色に光る光に、私は見覚えがありました・・・・それは・・・

 

 

ーお嬢様っ!お下がりをっ!-

 

私が昔、黒騎士達がいた時の頃、ある時、グラムに襲われた時、私のお付きだった黒騎士が私の前へと出ると同時に片手が光り、巨大な大剣へと変化しました・・・。

 

その時の黒騎士の手から放たれた光と・・・・アイクの片手から放たれる光が似ていました。

 

「ええ・・・・そうですよ・・・・。貴方の思っている通りです・・・・・・そして・・・・」

 

アイクはあのグラムの方へと振り向いた状態で片手のガントレットを外し、投げ捨てます。

私の視界に写った物、それは・・・・・・

 

 

 

 

 

「貴方はもう死んでいます・・・・・。」

 

 

人間の通常の手では無く、白いガントレットのようなパーツが装着されており、手の甲

には、先の尖った十字架の形状をした宝石らしき何かが一体化しているガントレットでした。

 

 

 

 

 

 

「貴方はもう死んでいます・・・・・。」

 

 

僕はガントレットを脱ぎ捨てながらも、奴に言います。

 

「・・・・フフッ・・・・・フフフッ・・・何を言うかと思えば・・・・そんな事でしたか・・・・。私が死ぬ?・・・・何を戯けた事を・・・・そんな只の腕に巻いた紙切れ(ゼロデバイス)で私に一体何が出来るというのですか・・・・?私は・・エインへルラル七章将が一人なのですよ?」

 

ですが、謎の単語を発しながらも、あのグラムはまた、不適な笑みを浮かべ始めます。

 

 

 

「ええ・・・・・確かに・・・・貴方が七将だとかどうとかの存在であるのは確かです。ですが・・・・・・・・」

 

 

ええ・・・・確かに・・・・貴方は・・・エインへルラル七将の一人だとか、どうとか、向こうでは、有名な者達かもしれません・・・・ですが

 

「今の貴方は完全に力を取り戻していません・・・・それに・・・例え取り戻していたとしても、僕に勝つ事なんて出来ません・・・・。」

 

今の貴方は完全に力を取り戻していない・・・・

 

そして、例え、取り戻したとしても・・・・・今の僕に勝つ事は出来ません。

 

 

 

「おや?貴方‧‧‧あの黒騎士のように、私を挑発しているのですか?」

 

それに対し、あのグラムは不適な笑みを浮かべながらも、僕へと聞いて来ます。

 

「いえ・・・・そんな事するつもりはありません・・・・それに、僕は一度も、挑発なんかした事なんてありません・・・・・ですが・・・・」

 

 

ー姫様に手を出した以上・・・・貴方は既に死んでいるんです。-

 

 

「っ!?」

 

 

奴は何かに動揺します。

 

ですが・・・そんなの今の僕とは何の関係もありません・・・・。

 

姫様に手を出した以上・・・・・僕は容赦はしないっ!

 

「はあっ!」

 

僕は片手に持った剣を握り直し、奴へと接近し、光り輝く刃を持つ刃を振り下ろします。

 

奴は直ぐに反応し、僕の振るう剣の刃を光と共に出現させた奇形な形状をした剣で受け止め、横へと流しますが・・・・

 

「はあっ!!」

 

僕は直ぐにもう片方の手で、召喚した剣を握りながらも、奴へと振るいます。

 

「なっ!?」

 

奴は直ぐに僕と同じく左手に同じ奇形の剣を召喚すると、受け止めます。

 

「何故・・・ゼロデバイスを二つも・・・・・っ!?」

 

奴は僕が握る二つの剣の事を「ゼロデバイス」と称し、二つも何故持つのかと疑問に満ちたような言葉を残しながらも、動揺し始めます。

 

 

 

 

残念ですが・・・・・

 

 

 

 

「いえ、残念ですが・・・・・僕はゼロデバイスを二つも所持している覚えはありません。」

 

僕は奴と押し合いながらも、答えます。

 

えぇ、確かに、今、僕は二つのゼロデバイスの機能により、二つの剣をを所持しています。

 

 

ですが‧‧‧‧‧僕は一度たりとも‧‧‧‧

 

 

"ゼロデバイスを二つも所持している"とは言っていません。

 

「何?‧‧‧‧ごはっ!?」

 

奴は僕の振るうゼロデバイスの刃の餌食となり、横から、真っ二つに斬りさかれます。

 

「何‧‧‧‧‧‧ナンだ‧‧‧‧‧‧今の‧‧‧ハ‧‧‧‧。」

 

奴は僕の方を見たまま、地へと鈍い鉛の落ちたかのような音と共に地へと落ちます。

 

「‧‧‧‧‧‧簡単ですよ、僕は貴方に幻影を見せたんです。といっても、薪にゼロデバイスの力を流し込んだ物なんですけどね‧‧‧‧‧。」

 

そして、僕はさっき召喚した剣を投げ捨てます。同時にその剣は真っ二つに折れ、このグラムの持つウィルスのせいか、真っ黒となった薪が姿を現します。

同時に、薪はその場で、ウィルスの影響か、形が崩れて行き、やがては灰となり、景色の中へと消え去って行きます。

 

「ゲンジュツ・・・・クククク・・・・・」

 

「・・・・・何がおかしいんです・・・?」

 

そんな中、横から胴体を真っ二つに斬られ、クリスタルの見える胸部辺りから下が無く、倒れているグラムは僕の説明を聞き、奇声に近い声を上げ、笑い声をあげます。

 

 

 

「・・・・・フフッ、いえ、只、もっと面白い物が見れるのを思い出しましてね・・・・良いでしょう・・・・今回は私の負けといたしましょう。ですが・・・・・」

 

「キャアッ!?」

 

彼が話を続けるそんな中、後ろから聞き覚えのある悲鳴が聞こえて来ます。

振り向くとそこには真っ二つに斬りさかれたはずの腹部にかけて足まである下半身が生やしていた触手を姫様へと絡ませ、捕縛している光景がありました。

 

「くっ!?い、一体何を!?」

 

「私は貴方ノマケハミトメますが・・・・コノママ引き下がるとは言っていませんよ・・・・?」

 

彼は僕へとさっきよりも以上に不適な笑みとクヒャハハハハという奇声に近い笑い声を上げ僕へと言います。

 

っ!・・・そうはさせませんっ!

 

「おっと、そうはイキマセンヨ?」

 

そんな中、僕の足元に何らかの刺突されたかのような痛みが全身に掛けて走ります。

ですが、今の僕にはそんな事なんて、関係ありません。

僕は急いで姫様を救出しに行こうとしましたが・・・

 

「体・・・・が・・・・っ!?」

 

ですが、どういう事なのか、足の感覚が無くなって行きます。

 

まさか、さっきのは・・・痺れ毒!?

 

「フフ・・・・もうオワカリになるとは・・・デスガ・・イカセ・・・・マセンヨ?アナタガ”私達”のように・・・・”選ばれる”所をミたかったのデスガ・・・・これじゃあ、何年も見るコトハデキナイヨウデス・・・・・ネ・・・セッカク良キ舞台デヨキバメンガミレタトイウノニ・・・・」

 

奴の言う中、姫様を捕縛している奴の胴体にある半分に斬られたクリスタルが青から、赤、そして青へと点滅して行き、やがてその点滅するスピードも速くなって行きます。

それが何を意味するのかは僕には分かりません・・・・ですが・・・

 

 

・・・・・姫様を捕らえた彼の体の胸部僕には何か不吉な予感しか、ありませんでした・・・・・。

 

僕はもう一度、身体を立ち上がらせようとしましたが、感覚は全く無く、その場で倒れてしまいます。

 

「フフッ・・・無駄です・・ムダデスヨ・・・タトエその木ノ棒(ゼロデバイス)ノ適合者ダトイエドモ、ショセンハ力も無き哀れな生物・・・キサマテイドノ・・・・・ジジッ・・・モノデハ”アース”ヒトリテイドマモルコトすら、出来ぬ・・・・クククッ・・・クヒャハハハハハッ!!」

 

立ち上がるのに必死になっている中、後ろからは奴の奇声に近い笑い声が聞こえて来ます。

 

「ひ・・・め・・・さ・・・・ま・・・・。」

 

 

ここで・・・・諦めたら・・・・・ここで諦めたら・・・皆に合わせる顔がありま・・・せんっ!

 

絶対に・・・・・絶対にここで・・・・・っ!!

 

「おや・・・・?これは・・・・意外ですね・・・・もうそこまでの適合率を・・・・」

 

 

僕は後ろの奴の言葉を他所に姫様へとゆっくり歩き始めます。

 

まだ・・・・・まだ・・・・まだ・・・・・・

 

 

「ひめ・・・・・さま・・・・今直ぐに・・・・・・」

 

ですが・・・・・その時

 

 

「いえ・・・・もう良いんです。そこまで・・・・もう無理をしないでください。」

 

姫様は僕を見ながらも、笑顔を作り、言います。

僕には一体どういう事なのか、分かりませんでした・・・・・。

 

ですが、その瞬間、真っ二つに斬れた姫様を捕縛する奴の胸部のクリスタルの赤き点滅が止まると同時に、姫様の姿は白き光と共に消え去ってしまいます。

僕はあまりにもの、眩しさに目を瞑ってしまいます。

 

ですが、次の瞬間・・・・・一体どういう事なのか理解します。

目を開けると姫様の姿があった場所には、姫様の姿は無く、

 

「あ・・・・・・ああ・・・・。」

 

 

只、大きなさっきまで無かった黒く透き通った煙が立ち上がっているだけでした。

 

そんな・・・・そんな・・・・・

 

 

僕は・・・・僕はまた・・・・・・

 

 

「ホラ・・・・言ったではないですか・・・・貴方のような只、綺麗事を言う弱き生き物では私めになんて勝つのは不可能だと」

 

そんな中僕の視界がさっきより、暗くなります。前を見るとそこにはさっきとは違い、どういう事なのか、完全な人型となった夕日に照らされ、赤黒く光沢を放つ奴の姿がありました。

 

「例え、貴方がその腕輪(ゼロデバイス)の適合者だとしても、所詮は何も出来ない弱き生物。貴方程度の者では、何も出来やしない。守る事も、戦う事さえも・・フフッ」

 

奴は僕の頭を踏み付けながらも、言います。

 

・・・・姫様・・・・・また、また僕は姫様を・・・姫様を・・・・一体・・・・・一体僕は何のために・・・・・・

 

「フフッ・・・・フヒャハハハハは・・・グオァッ!?」

 

ですが、そんな中、聞き覚えのある断末魔と共に、何かが斬れる音が聞こえて来ます。同時に、頭へと圧し掛かる重さと黒き影が姿を消します。

 

僕は・・・・・幻覚を・・・・・見ているのでしょうか・・・・?

 

「幻覚じゃない・・・・・現実だ・・・・。」

 

僕が今の状況がどういった状況なのか掴めないそんな中、後ろの方から、聞き覚えのある声が聞こえて来ます。

 

そこには・・・・

 

「待たせた・・・・ようだな。」

 

黒きコートを羽織り、片手には水色の透き通った光り輝く細長き刃を持つゼロデバイスを手に、目を瞑る姫様を抱き上げ、僕を見る黒騎士さんの姿がありました。

 

 

 

 

「待たせた・・・・ようだな。」

 

どうやら、間に合ったようだな・・・・・。

 

まさか、奴が未だに生きていたとはな・・・しぶとい奴だ。

 

「ひ・・・・姫様っ!?」

 

俺が奴の亡骸の方を向き、そう思っていた中、アイツが体を起き上がらせ、降ろしたアイツの国の姫へと近寄る。

 

「気を失っているだけだ・・命に別状は無い・・・。」

 

「よ、良かった・・・・・。」

 

アイツにこの気を失った姫の容態を話すと、奴は安心したかのように、その場で崩れ落ちる。

 

「お、おい、大丈夫か?」

 

 

俺はいきなり、地面へと倒れたアイツへと近寄り、容態を見るうとしたがある物が写り、する必要は無いと判断した。

 

俺の視界に写った物、それはコイツの笑顔だった…。

何処となく、安心したかのように、静かな寝息を立てながらも、俺の視界に写るコイツの微笑む顔には何も心配ないかのような、安心感があった。

 

 

只…コイツが一体どうやってゼロデバイスを手にしたのかは分からない・・・・・だがもう後ろへは戻る事は出来ない…ゼロデバイスを手にしたという事は黒騎士として、奴等と戦わなければならない・・・・。

 

だが・・・・・・

 

 

『ですが、僕は姫様の願いを、約束を守りたい・・・・そして、僕の願いを叶えるため、僕は姫様と国王を助けに行くんです・・・・・「姫様と国王の明るき未来を見る」それが僕の願いでもあり、夢でもあります。だから、僕は僕の夢を叶えるためにも、姫様を守るためにも行くんです。それに、僕は僕で自分の身を守りますから・・・・・・。』

 

 

それでも・・・・コイツには、守るべき物がある。

 

国のためや、民のためでは無く、自分を信じた者という存在が・・・大切な存在がいる・・・。

 

だが、そんなコイツを連れて行けば・・・・・誰がコイツを信じた姫を・・・この国を守る・・・?

 

確かに、未だに騎兵という存在が残っている・・・・・だが、この姫にとって、コイツは大切な存在だ・・・・・・。

 

ー僕は、姫様を・・・僕自身の夢を叶えるために行きたいんです・・・お願いしますっ!父上っ!-

 

だが、そんな中、俺の頭の中をある記憶が蘇る。それは見覚えの無い物だ・・・・だが、何処か懐かしさを感じる・・・・そんな記憶だ。

 

・・・・疲労のせいか・・・その前にコイツと姫を連れて行かないとな・・・・。

 

 

 

 

 

 

「陛下っ!ご無事ですかっ!」

 

俺達、騎兵はさっき、森の方・・・・いや、爆発の聞こえて来た森の中で探し回っていた。俺達も目に写る光景・・それは数々のクレーターと、真っ黒な灰・・・・・

 

俺達から見ても、ここは誰かが戦った戦場の跡だった。

 

ここに陛下は向かわれた・・・・。ここの川は上流に位置する・・・・だが、そんな事は今はどうでも良い・・・・。

 

 

もし、陛下に何かあれば・・・・・命がけで陛下を守ってくれたアイツに合わせる顔がねえ・・・・。

 

 

「た、隊長っ!」

 

俺が陛下を辺りで探し回る中、俺へと向け、金髪の緑色の瞳が特徴であるシャインが息を荒くしながらも駆けて来る。

 

「どうした・・・・?シャイン」

 

俺はシャインに問う。だが、シャインは顔色を暗くしていた。

 

何か・・・・・不吉な予感がなってならなかった・・・。

そして、シャインは俺にある一つの純金のネックレスを見せる。

俺は動揺する以外、無かった・・・何故なら、それは・・・・・

 

「陛下の・・・・・ペンダント・・です。」

 

そう、陛下のペンダントだったからだ・・・・。

必ず、身からは離さず、いつも持ち歩いていた唯一の自分の母親の形見であった・・・

そのペンダントだった・・・・。

 

「黒い灰と白い布切れらしき物が落ちていた中に紛れて・・・・いました・・・・アイク・・・・やはり陛下は・・・・・。」

 

・・・・・は?コイツ何を言ってやがる・・・・?

 

陛下が死んだ・・・・?冗談じゃねえ。

 

「・・・それだけで諦めるのか?冗談言うんじゃねえ・・・・陛下はそんな野暮な存在じゃねえ・・・もう一度捜索するぞっ!」

 

俺は直ぐに皆に叫び、言う。

 

誰が陛下の死を認めるか・・・・ああ見えて”あの方”に似て、優しく、国王陛下に似て、自己犠牲は酷いが・・・心の強さは誰よりも強い・・・・・だからこそ俺は認めねえ・・・・アイツが・・・・

 

 

『僕達、只の兵や、騎士ではグラムになんて、勝利を納める事なんて、出来ません。ですが‧‧‧‧‧僕は姫様と国王をお守りしたいんですっ!自分の身は自分で守れますからっ!それに、城の裏道は僕しか、知りません。ここの地下水路にはもう既にグラム達が占拠していますから、他の裏道を探さないと駄目です。時は一刻を争いますっ!お願いしますっ!僕を、僕を連れて行ってくださいっ!!』

 

 

・・・・アイツが命に代えてまでも守ろうとした陛下を死なせるわけには行かねえからな・・・・だからこそ、俺は諦めねえ・・・・・。

 

「だ、だけど、アロイアス隊長・・・・・この辺りはもう既に・・・・」

 

シャインが俺に何かを話そうとした中、何かカサカサという音が聞こえて来る。

俺達は音の聞こえ来る方へと視界を向ける。そこには深く生い茂った草むらが蠢いていた。

 

俺達は直ぐに警戒態勢を取った・・・・もし、グラムならば少しでも、怯ませ、全員で

逃げなければならない・・・何だって奴等に俺達の魔法やら、攻撃方法やらなんざ効果は無いからな・・・・。

 

だが、出て来たのは驚くべき物だった・・・・グラムなんかじゃない・・・それは・・・・

 

「・・・グッ・・・・俺は敵じゃ・・・ない・・・・。」

 

黒のコートに身を包み、金色のライン、金の長い髪・・・赤の瞳をしたあの黒騎士だった・・・・・。だが、俺達にとっちゃ、そんなの重要じゃねえ・・・

 

「「「へ、陛下・・・・・っ!?それにアイクッ!?」」」

 

そう、そんな物よりも重要な陛下の姿・・・・・そして・・・

 

 

 

 

 

あの時、助けれなかった・・・・・・・仲間で俺の親友のアイクの姿だった・・・。

 

「早く医療班・・・・・来い・・・・。」

 

だが、そんな俺達が驚きを隠せてなかった中、アイツはよろめきながらも、何かを言い陛下とアイクを降ろしたまま、その場で崩れようとするが、シャイン達がアイツを支える。

 

 

それよりも・・・・何で・・・・アイクが・・・・・いや、そんなの今は重要じゃねえ!

 

「医療班っ!キャンプに戻る次第、直ぐにその三人に治療をっ!先頭は俺が仕切る。急ぐぞっ!」

 

俺は直ぐに先頭を仕切りながらも、この森の奥から出るため、足を走らせながらも、灯を持ち、夜の森をキャンプ場へと向け、駆けて行った。

 

 

 

 

 

「・・・・ここは・・・・?」

 

あれ・・・・・?ここは・・・・・?

 

僕は目の前に広がっている光景に驚きます。

何故って・・・・僕は”奴”と姫様を守るために戦って・・・・その場で倒れてしまった筈なのに・・・・僕の視界に写ったのは少し暗い真っ白な天井・・・いえ、何か銀色の棒のような物が見えますけど・・・

 

「キャンプ場でしょうか・・・?」

 

僕はここが何処なのか、知るため、立ち上がりろうとしました・・・ですが、右腕が何かに当たるかのような違和感を感じたため、半身を起こした状態で右へと振り向きます。

 

何でしょうか・・・・?何か物凄く柔らかくて少し重い物が・・・・

 

「・・・・え?」

 

ですが、そう思いながらも、僕が振り向く瞬間、そこには…

 

「ひ…め…さま…?」

 

テントの隙間から入る月光により、光り輝く金の長い髪に、いたる所に巻いた包帯、静かな寝息を立てながらも、眠る姫様の姿がありました。

 

ですが、それは重要ではありません。

 

そんな事よりも僕にとって重要な物があります。

 

それは…

 

 

「ま、ましゃか…」

 

僕は自分の腕が伸びた先を見ます。そこには僕の謎と感じた柔らかい感触の"正体"とも言える物がありました…。

 

あれ…?今、舌噛んでしまいました…舌噛んだ時って昔から未来は嫌な事しか起き無かったのですが…

 

って、何でこんな呑気に説明してるんですかっ!?

 

殺されるっ…!陛下に殺されてしまいますよっ!?社会的な意味でっ!

 

そして僕のイメージも「アイク(笑)」になっちゃう可能性が…

 

(は、早く…ど、どうにか、し、しししないと…姫様が見てない内にっ!)

 

僕はゆっくりと姫様から手をゆっくりと離します。ですが、その瞬間

 

「う~ん…」

 

姫様が僕の腕を強く掴んできます。

 

ひ、姫様っ!?眠ってらっしゃるというのに…姫様ってこんなに寝相、悪かったんですかっ!?

 

こ、これじゃあ…だ、だけど…殺されたくない…

 

『おいゴラ、アイクちゃん?なぁ~にを触っているのか~な?』

 

そんな中、僕の脳内にあるビジョンが走ります。

それは昔、僕が姫様の"あれ"を事故とはいえ、触ってしまった成れ果ての黒歴史でした…。

 

な、何でしょうか…?さっきのデジャヴ…物騒で嫌な予感しかしないんですが…というより、一瞬今、姫様の後ろにひ、人が見えましたよっ!?何か骸骨のような真っ白な顔をして…ボロボロの鎌を持って何か死神のような人が…

 

ですが、そんな事は今は関係ありません・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・そうだな・・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・そうだよな・・・・・・。

 

 

 

 

 

ー陛下・・・・・・我らに・・・・明るき未来を・・・・・っ!ー

 

 

 

俺には託された想いがある・・・・・。

 

 

 

 

 

ー父上・・・・・・・-

 

 

 

 

 

 

 

 

 

守りたい物がある・・・・・・・。

 

 

 

 

そして・・・・・・

 

 

 

 

 

 

自分の見たい物がある・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

だから・・・・まだ死ぬわけには行かないよな・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー『---』、俺はお前を信じて・・・いる・・・だから‧‧‧‧お前の信じた者達を俺は‧‧‧‧‧‧信じたい‧‧‧‧‧。-

 

 

 

 

僕は"彼"が現実世界へと去った後、僕はある記憶が蘇って来る。

 

そう、それはもう聞く事は出来ない、僕の親友が最後に残したあの最後の言葉・・・・。

 

 

 

ごめんね・・・・・・本当は君を止めておきたかった・・・・・。

 

これから、君はもっと過酷な運命を背負う事になるだろう・・・・・。

 

一杯、傷つき・・・・・

 

 

一杯悲しみ・・・・・

 

 

そして、一杯、疲れちゃうかもしれない・・・・・。

 

でも、今の僕は全ての力を使い果たしてしまい、戦う事なんて出来ない。

 

 

 

 

 

 

 

今の僕は只、見守る事しか、出来ない只のソウルスパークだ。

 

 

 

 

 

そして、いつかは、君は思い出すかもしれない・・・・・”あの時の記憶”を・・・・・・。

 

 

 

だけど、僕は”君”を・・・・ううん、クロス、君の力を信じてる・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

君が・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

また、”あの時”のように、君が正しき道を選び、今の世界を守ってくれる事を・・・・・

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