炎の剣士と黒龍の少女 作:一般龍人族
ついでにRoGaさん(ありふれコミックを担当してる方)の乳の描き方が好きと言う最低の報告をここにします
character topic
この作品のハジメは両親の仕事の手伝いをしてなかったりする
人生ってのは、ろくなもんじゃなかった。
そう思ったのは、中学の時にいじめに遭った時だ。
いじめをしてくる相手と接点は無かった。その時から人とは余り話すタイプでは無く、基本は席で本を読んでるだけ。
相手は自分を大人しいやつだと判断したから標的にした……のだと思う。
いじめに耐えられなかった俺は家の中へと引きこもった。そのことについては、特に両親は口出ししてこなかった。
家に篭ってからは、好きだった二次元に更に没頭していた。それも両親は特に口を挟むことは無かった。
……けど、居心地の悪さはあった。だってさ、兄弟はちゃんと学校に通ってるのに、俺は家で引き籠ってるんだぜ? 罪悪感というか、申し訳なさみたいなのは内心あったよ。二次元にのめり込んでのは、それから逃げたいのもあったのかもしれない。
不登校のまま中学は卒業したが、どうにか試験には合格し高校に入学することもできた。
幸いにも、そこの高校に知り合いはいなかった。だからといって高校デビューして変わった、なんてこともなく、前みたいに読書の日々だった。友達らしい友達も出来た覚えはない。
そんな折、異世界に召喚された。
突然の異世界召喚。フィクションが現実になっていることに興奮した。
……力は手に入れたけどさ、明らかに裏方の能力だった。闇術師で、相手にデバフとかかける感じの。
巻き返してやれば、と思ったのも束の間、オルクス大迷宮でウチのクラスの1人が落ちてった。
………………死んだな、って思った。死体を確認してねーけど、あの高さで助かるわけがない。生きてるかもしれない、って思う奴なんて家族とか恋人くらいだ。
………………夢という魔法は解けた。雑魚そうな魔物がすぐ近くに来て俺を斬ろうとしたのは死ぬほどビビったし、こんなのよりもっと凶暴なやつもいるし、死ぬかも、って思った。
それからは大迷宮には行かず部屋に篭って本を読んだ。魔物の図鑑とか、この世界の小説とか、魔法に関する本とか。
闇系統の魔法に関しては復習も兼ねて読み返した。闇系統の魔法はざっくり言えば相手の精神や意識に干渉するタイプの魔法。それを読んでる過程でふと思った————闇魔法は、使いようによっては洗脳も出来るんじゃないかって。
それからは二次元に没頭してたように、闇魔法の研究に没頭した。
結果から言えば、人間の洗脳はほぼ無理だ。自我の強さの関係で時間もかかるし、バレた時のリスクもあるし。だから魔物の洗脳に切り替えた。魔物は本能的で自我も人間よりかは薄いしな。
でもって、洗脳は見事出来た。
折角だし強い魔物も従えたいなと思ってた矢先、先生達が遠出に出ることを知って参加した。
……そんでもって、アイツらと出会った。
「貴方のその力……ンン〜っ! 感動的ですねぇ……!」
「ええ、その力を燻らせておくのは勿体無い。貴方は、我らと共に世界を統べる者としての資格がある」
俺を認めてくれるそいつらの契約に、俺は食らいついた。
……取り返しのつかない事になる、なんて考えは追いやっていた。自分が特別になれるチャンスだったから。
これで俺は特別だって、証明されるんだ。
◇
戦いを終えた飛羽真達は先の戦場とは別の場所に移動していた。そこは町外れの場所で、辺りには木や岩やらがあり、人は居ない。
協力していた他の冒険者達は戦後の後処理だったり、休息をしている。飛羽真達も後で手伝いにいくつもりだ。
「…………清水くん」
畑山愛子の目の前には、清水幸利が寝かされていた。彼を見て少々動揺している玉井が愛子に問う。
「……清水が、魔物を操ってたってのか?」
「……本人にちゃんと聞かないことには、分かりません。……起こしてみます」
「待ってくれ、愛子。一度、彼の身体を検査させてくれないか?」
愛子の前に出たのはデビット。彼の問いに愛子は「はい」と頷く。
清水の身体を検査しはじめるデビット。それからしばらくして、
「どうやら武器を持っていたようだから押収しておいた。確認はしていたが、それ以上のものはなかった」
「……ありがとうございます、それじゃあ……」
愛子はしゃがみ込み、清水に呼びかける。
「清水くん、起きてください! 清水くん!」
「……んっ、ぐ……」
少年は呻き声を上げながらゆっくりと瞼を開き始めた。
「ここ、は……………ッ!?」
身を起こし、周りを見渡す清水。愛子達に囲まれているのを理解した彼は、座った状態のまま咄嗟に後退りする。
「清水くん、落ち着いてください。貴方に危害を加えるつもりはありません。私は、話がしたいんです。どうして、こんなことをしたんですか?」
しゃがみ込んだ愛子は清水に目線を合わせて問う。
「……どうしてかって? 決まってるさ、俺の価値を示したかっただけだよ……どいつもこいつも、俺のことを見もしねぇから……」
清水は吐き捨てるようにそう言った。その態度に反感を覚える者もいたが、それを愛子は制する。
「…………不満があったんですね。ですが、どうして町を? 町を襲えば大勢の人々が亡くなって、価値だって示せない筈です」
清水の言葉を聞いた愛子は疑問を呈した。
「示せるさ……アイツらになら……」
「アイツら?」
「魔人族と……悪魔を名乗る男だ」
「魔人ぞ……!?」
まず魔人族の言葉が出てきたことに愛子は驚いた。それは一同も同じであった。
「……悪魔って、どんな人なのかな?」
飛羽真は悪魔のことが気になった。ちょうど最近、悪魔を名乗る敵と戦ったということもあり。
「さぁな、よく知らないが多分そいつも魔人族なんだろ。とりあえず、そいつらには北の山脈で出会った。そして契約をしたんだ……先生、アンタを殺す契約をな!」
「え……!?」
思わず目を見開き、戸惑いの声を漏らした愛子本人。
「アイツらは俺の能力を認めてくれていた……! アンタを殺せば、俺は世界を統べる者の一員として迎えられるんだ……! その為に、強い魔物や、あの"本"だってくれた……!」
「……"本"って、これのことかな?」
清水の言葉を聞いた飛羽真が、彼にアルターライドブックを見せる。
「ああそうだ……って、いつの間に……!?」
「君が気を失ってる間に回収させてもらったんだよ」
「ちっ……!」
回収したということを聞いて清水は舌打ち。
そして飛羽真も、悪魔を名乗る男の正体を薄々とだが察知していた。それは賢人も同様だ。
清水の話を聞いた愛子は言葉を発する。
「……清水君、貴方の気持ちは分かりました。人に認められたい気持ちは当然のことです。……でも、魔人族側に行ってはいけません。契約したその方は、君の思いを利用したのですから。……清水くん、やり直しましょう? 罪を償えば、君も……」
「……うるさいっ!」
「きゃっ!?」
清水は愛子のことを突き飛ばした後、立ち上がり後ずさった。
「先生!」
「愛子!」
突き飛ばされ、尻餅をついた愛子の元には園部達や騎士達が駆け寄る。
「清水! アンタ何して……!」
「綺麗事言ってるけどよ……! どうせ俺のこと見下してるんだろ!? 陰キャが面倒なこと起こしてくれたって思って、それっぽいこと言ってるだけなんだろ!?」
園部が怒り咎ようとした時、清水は声を荒げながらそう言った。
「違います! 私はそんなこと……!」
「口ではどうとでも言えるさ……! どうせ帰ったら牢獄にぶち込むつもりなんだろ!? それで他の奴らと一緒に俺のことを非難するに決まってる……!」
「っ、そんなつもりはありません! ……それに、清水くんが罪を償うというのなら、執行猶予をつけるように交渉を……!」
「交渉? アンタがか? 信用できるわけねえだろ! あん時にクラス纏める役割を天之河に取られてた癖によ!」
「っ、それ、は……」
「清水! アンタいい加減にしないさいよ!」
「お前今自分が先生にどれだけ優しくされてるか分かってんのか!?」
園部と玉井は声を上げ清水に怒る。
「…………もう大人しく捕まるんだ、ユキトシ。俺も、アイコの優しさに免じて執行猶予をつけるように…………」
「五月蝿いッ!」
デビットも諭そうとするが、清水はそう吐き捨てて一蹴する。
「……今更……なんなんだよ……! 偉そうに……ッ!」
目の前にいる一同を清水は睨む。
俺より上だと思って皆偉そうに説教してきやがって。見向きもしなかったくせに今更なんだよ。だったら最初から俺に目を向けてくれよ。
そう思いつつも、同時に彼は焦りを覚えていた。よく見たら汗もかいている。今の彼は装備を全て取られている。だから彼らに抵抗する術がない。
あの本はない。持っていた杖や魔物の毒針もない。どうすれば良い? どうすれば、どうすればこの状況を切り抜けられる? あの2人だって今この場には居ないから助けを求めることはできない。どうすれば、どうすれば、どうすれば——————
「折角です。最後に、暴れて行きなさい」
何処で彼らの様子を見ていたものがそう呟くと、人差し指を突き立て軽く振る。
「なっ!?」
すると、飛羽真の手にあったアルターライドブックが突如として飛んで行った。
「ぐあっ!?」
「清水くん!?」
そしてブック清水の身体に入り込んだ。それを見た愛子は何事かと驚いている。
「あ、が、ぐああああっ!」
『黒羽のカラス!』
清水の全身が黒い羽に包まれる。それが弾けると、カラスメギドが姿を現した。
一同はその光景に驚愕の表情を浮かべていた。
「清水くんがメギドに!?」
「アルターライドブックに何か仕掛けでもあったのか……!?」
飛羽真の言葉に続けるように賢人がそう述べた。
賢人の推察は一応当たっている。アルターライドブックはとある者が自由に取り返好き為、引き寄せの術が施されてた。それによってブックを清水に取り込ませたのだ。
「おいおい、とんでもないことになってるじゃねーか」
近くで隠れてその光景を見ていた男……南雲ハジメは、表情こそ落ち着いているが、内心は少し驚いていた。
「ヴァアァァァァァ!」
カラスメギドは声を上げながら愛子達を襲いかかろうとするが
「フッ!」
前に出て来た飛羽真が火炎剣でカラスメギドの剣を受け止めた。
一瞬競り合うが、飛羽真が剣を弾いた。
「し、清水くんが……! 怪物に……!?」
「安心してください愛子さん! 俺達で清水くんを元に戻しますから! 賢人、行こう!」
「ああ!」
『ブレイブドラゴン!』『ランプドアランジーナ!』
「「変身!」」
飛羽真と賢人はソードライバーを装着してブックを装填。そして納刀されている聖剣を抜刀し、再びセイバーとエスパーダに変身。
「聖剣の力で分離できれば……!」
走り出すセイバーとエスパーダ。しかし、突如として彼らの装甲に衝撃が走り火花が散る。
「ぐあっ!?」
「くっ!?」
軽く悲鳴を上げながら後ずさった2人。
「なっ!?」
何事かと驚いたのは、2人に加勢しようと走り出していたティオだった。
「何が……」
「そいつは俺が殺してやるよ」
そう言いながらその場に現れたのは南雲ハジメだった。彼はその手にドンナーとシュラークを構えている。
先程は彼がセイバーとエスパーダに発砲したようである。
「お前らはそいつを元に戻す方法を何かしら持ってる……そうだろ? ならその方法を持ってない俺ならそのまま殺すことが出来るな」
「っ、殺すだって!?」
ハジメの発言にセイバーは声を上げる。
「何を驚いてるんだ? そいつは敵だ。なら殺すのは当然だろ?」
「……確かに清水君は敵になった。でも、彼を死なせるわけにはいかない!」
「……へぇ、なるほどなるほど。んじゃ、俺の邪魔をするってことだな。ならお前は敵だ」
そう言って銃を構えたハジメにカラスメギドが襲い掛かろうとする。が、避けられた。
「そう焦らなくても、すぐに殺してやるよ」
ハジメはカラスメギドに向けて発砲するが、咄嗟に高速で移動したエスパーダが銃弾を防いだ。
エスパーダに並ぶように、ティオもハジメの前に立ち塞がる。
「飛羽真、こっちは任せてくれ!」
「そちらの方に集中するんじゃ!」
「2人とも……わかった、ありがとう!」
2人に礼を言った後、セイバーはカラスメギドの元へと駆ける。
「へぇ……お前ら2人か。良いぜ、かかってこいよ」
ハジメはエスパーダとティオに向けて挑発。2人は己の剣をそれぞれ構えた。
「はああああああっ!」
セイバーが火炎剣を振るい、カラスメギドの剣とぶつかり甲高い音を響かせる。
セイバー達、ハジメ、カラスメギド。
三つ巴の戦いが、幕を開けた。