炎の剣士と黒龍の少女   作:一般龍人族

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戦闘シーンをちょっと変更してます


悪魔の襲撃、南極にて。

好奇心というものは恐ろしい。

 

それは何故なのか。

 

純粋で無垢なそれは止まることを知らないからだ。

 

その心はどちらにも転ぶ、良い方にも、悪い方にも。

 

どうやら私は、悪い方にも転んでしまったようだ。

 

 

何故私はあんな…

 

仲間にも止められたはずだったのに。

 

全ては私の愚かさゆえの悲劇だ。

 

私は悪魔の眠りを解いてしまった。

 

扉を開いてしまった。

 

すまない、すまない、友よ。

 

きっと私がどれだけ謝ろうと許してはくれないだろう。当然だ。君をしにおいやったのは私だ。私なんだ。

 

最期はせめてこの身を持って償おう。

 

それが今の私に出来ることだ。

 

だから、すぐそちらに行く。待っていてくれ、【かすれていて読めない】

 

-アメリカの山奥にて発見された死体の手記-

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 日本時間、午後10時10分頃。

 日本と違い、北極には太陽が昇っていた。

 

「ただいま戻りました」

 

 白いドレスの女性がその男の声を聞いて振り返る。彼女の目には2人の人物が映っていた。

 

「デュランダル、サーベラ、どうでしたか?」

 

 デュランダルとサーベラと呼ばれた男女。まずはデュランダルと呼ばれた男……神代凌牙は白いドレスの女性、ソフィアに報告する。

 

「あの場所には時空が歪んだ痕跡が残っていました。何かしら大きな力が働いたようで、その力の残留も感知出来ました」

 

「そうですか……」

 

「そして、行方不明になったのはこの者達です」

 

 凌牙と共に来た女性、神代玲花が書類をソフィアに渡す。見るとそれは、顔写真が添付されていて、その写真の人物の住所や生年月日等が書かれていた。

 

「! この2人は確か……」

 

 ソフィアは束なっている紙を1つ1つ見ていく中で、ある人物を見つける。

 

「天之河光輝と八重樫雫。未来のソードオブロゴスの剣士候補です」

 

「以前、貴方が視察に行って彼らの腕前を拝見したのですよね?」

 

「ええ、中々見込みのある者達でした」

 

 凌牙は答える。彼は以前に、剣道全国大会に行って光輝と雫の試合を直接見たことがある。

 

「…………今回の行方不明事件。やはり先日のあの事件が関わってるのでしょうか」

 

 玲花がソフィアに聞く。

 

「その可能性が、無いとは言い切れません」

 

「アメリカのあの事件か……」

 

 少し時を遡ろう。それは一週間前のことである。

 アメリカのとある大学の調査団が、山奥にてある遺跡を発掘した。そしてその夜、突如その遺跡から謎の光が発生したのだ。

 翌日に警察が調査に向かうと、その遺跡の入り口の一辺は何かが爆発したような跡があり、遺跡内には、調査団の人々の死体があった。

 その他遺跡から回収された物は、その遺跡の中で起こった一部始終を映すカメラと、謎の黒い本であった。

 そして更に調査を続けると、調査団の一人の死体が崖の下にあったという。彼の手記と思わしき物も発見し、内容を見る限り彼の死因は自殺だという。

 

「映像に映るメギドと思わしきもの……」

 

 凌牙はガトライクフォンを取り出して、液晶に写る画面を操作する。

 するとそこからホログラムが出現し、映像が流れ出した。

 アメリカ人と思われる男性が棺から黒い本を取り出す。男性はその本をマジマジと見つめていた。その目には好奇心が宿っている。

 男性は本の表紙に手をかけた。誰かが彼を引き止めたのだが、時すでに遅し、本が開かれた。

 一瞬、極光が当たりを包み、カメラのレンズもしばらく白を映した。

 光が止むと、悲鳴が上がった。映るのは禍々しい黒いモヤに包まれた人型のナニか。ナニかは呻き声を上げながら人々を襲い始めた。遺跡の中で複数の悲鳴が響き渡る。その光景を見て、ソフィアは悲痛な顔をし、凌牙と玲花は眉を顰める。

 そしてカメラのレンズが破壊されたのかノイズが走り、画面には砂嵐が流れた。凌牙はガトライクファンを操作し、ホログラムを消す。

 

「黒い本は、やはりメギドと思わしきものを封印していた禁書なのでしょうか」

 

 凌牙がソフィアに聞く。

 

「そうと見て間違いないでしょう。問題は、あの解放されたものが何処へ行ったのか。そして、今回の事件の首謀者は解放されたものと同じものなのか」

 

 その時、ふと凌牙のガトライクフォンから音楽が鳴る。画面を見てみると、それは電話のようで、彼は通話ボタンを押して耳に当てる。

 

「どうした?」

 

「緊急事態です! サウザンベースに謎の侵入者が現れました!」

 

「侵入者だと!?」

 

凌牙は思わず声を上げる。その言葉に、ソフィアと玲花は目を見開いた。

 

「現状はどうなっているんだ!?」

 

「現在、基地にいる剣士達で対応しているのですが、全く歯が立ちません! すぐに応援を……うわああああああああ!!」

 

「おい!? どうした!? 何があった!? 応答しろ! おい!」

 

 凌牙は叫ぶが、電話は切れてしまった。凌牙は画面を見て険しげな表情をする。

 

「サウザンベースに謎の侵入者が現れた。現在、剣士達が対応しているが全く歯が立たないと」

 

「侵入者……デュランダル、サーベラ、すぐに応援に行ってください。私は万が一の為に、ここに居ます」

 

「はっ! 行くぞ、玲花」

 

「はい、お兄様!」

 

 凌牙と玲花はすぐさま扉を開いてそこから出て行った。

 

 

 

 

 

 

 

「うおおおおお!」

 

「ふんっ!」

 

「ぐあああっ!」

 

 一人の剣士が剣を振ろうとするが、目の前の人物はそれを避け、腹に平手を打ち込んで吹っ飛ばす。次々に剣士が攻撃するが、その人物は簡単に彼らをいなす。

 その人物は何処かへ向かう為に歩き始める。

 

「待て!」

 

 誰かに引き止められ、その人物は振り返ってみる。そこには神代凌牙と神代玲花が。

 

「貴様、何者だ。名を答えろ」

 

 凌牙は目の前の人物に問う。その者は全身を黒装束で包んでおり、フードを深く被っていて顔は見えない。

 

「ほう、デュランダルとサーベラか」

 

「! 何故俺達のことを……」

 

「ならば、こいつらを使うか」

 

 声からして男であるその人物。彼は少し大きめのガジェットを二つ取り出した。

 

「! ワンダーライドブック、何故貴様がそれを……」

 

 凌牙が問うが、男はブックのページを開いた。

 

『Iweleth Beelzebub!』

 

『Qimranut Nahemah!』

 

 するとブックから複数の本が出現しそれが重なり二つの人型を作る。

 それは変化し、異形となった。

 

「ーーーーひゃぁはははははははははぁ!! 久しぶりの外だぁぁぁあ!! あはははははははははぁ!!」

 

「落ち着きない、ナヘマー。みっともないですよ、封印が解かれて早々、下品な高笑いを上げるなんて」

 

「だってよぉ、だってよぉ、ベルゼブブ! 外に出れたってこたぁ、また戦うことが出来るんだぜ!? また大暴れ出来るんだぜ!? こんなに幸せなことがあって、笑わずにはいられねぇだろぉぉぉぉぉ!」

 

ナヘマーと呼ばれた怪物は手を広げて天を仰ぎ高笑い。

 

「はぁ、やれやれ、1000年経っても、貴方は何も変わらないようですね」

 

 ベルゼブブと呼ばれた怪物は呆れたように両手を上げてやれやれのポーズ。その中で彼は、凌牙と玲花に気付く。

 

「おっと、申し遅れました。私の名前はベルゼブブメギド。悪魔メギドの『愚鈍』担当です。そして、こちらの下品な笑いを上げるのはナヘマーメギド。悪魔メギドの『唯物』担当です。以後、お見知り置きを」

 

ベルゼブブメギドは右手を胸に当ててお辞儀。

 

「ナヘマー、ベルゼブブ、早速だがお前たちに命じる。奴らをしばらくの間足止めしていろ」

 

フードの男は凌牙と玲花を指差す。

 

「貴方のご命令とあらば」

 

「成る程ぉ、てめぇらが相手か! 精々俺様を楽しませろぉ!」

 

 彼らを目前にし、神代凌牙と神代玲花は聖剣を構える。

 凌牙は時国剣界時を、玲花は煙叡剣狼煙を。

 

「神代家の名にかけて」

 

「貴方達を粛清します」

 

二人はワンダーライドブックを取り出し、そのページを開く。

 

『オーシャンヒストリー!』

 

『昆虫大百科!』

 

 ブックを聖剣のスロットにセットする。

 

「「変身!!」」

 

『界時! 逆回!』

 

『狼煙! 開戦!』

 

『オォォォォォシャンヒストリィィィィィ!』

 

『昆虫CHU! 大百科(だぁぁぁぁぁいひゃっか)ァァァァァ!』

 

 凌牙は仮面ライダーデュランダルに、玲花は仮面ライダーサーベラに変身。二人は武器を構える。

 

「参ります」

 

「行くぜぇ!」

 

 ベルゼブブメギドとナヘマーメギドは駆け出した。その間に、男は歩き出す。

 

「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」

 

 デュランダルとサーベラは向かってくる二匹のメギドに向かって駆け出し、戦闘を開始した。

 

 一方、謎の男はある空間に辿り着いた。

 そこはステージのような物が複数浮かんでおり、どれもそこに台座に置かれている本があった。目の前にある一冊を男は手に取る。

 

「フフフ…………」

 

 男は不敵に笑う。

 

 

「はは! おらぁ!」

 

 ナヘマーメギドは連続でキックをデュランダルに打ち込む。蹴られる度に、デュランダルは時国剣界時の界時モード、カイジスピアで防いでゆく。

 次のキックが打ち込まれる時、デュランダルは時国剣の柄を刀身から引き離し、トリガーを引く。

 

『界時! 抹消!』

 

 瞬間、デュランダルから水の波紋のような物が発生したかと思いきや、彼は何処かへ消える。

 

「ああん?」

 

 キックをしようとしたナヘマーメギドはいつの間にか少し先へ進んだ地点にいた。そのことに戸惑いつつも、彼は消えたデュランダルを探す。

 

『再界時!』

 

「ふんっ!」

 

「ごあっ!?」

 

 その時、彼は背中を斬られ、思わず前へよろける。振り返ると、そこには消えた筈のデュランダルが。

 

「てめぇ、何しやがった?」

 

「貴様に説明する必要などない。貴様は今、ここで粛清する」

 

『界時! 抹消!』

 

 再びデュランダルから水の波紋が発生し、何処かへ消える。

 

『再界時!』

 

「はあっ!」

 

「ぐあっ!」

 

 そして再び後ろから現れたデュランダルがナヘマーメギドを後ろから斬りつける。ナヘマーメギドは振り返るが再び水の波紋を起こしてデュランダルは消失。

 ナヘマーメギドは周囲を警戒する。そして、瞑想するかの如く、視線を下に向け動きを止める。

 

『再界時!』

 

 瞬間。

 

「なっ……!?」

 

 ナヘマーメギドは背後に出現したデュランダルの時国剣の槍先を掴んだ。

 

「結局攻撃する時にゃ、前か後ろからしか来ねぇよなぁ! おらぁ!」

 

「ぐっ!」

 

 ナヘマーメギドは槍先を自分の方へ引っ張り、デュランダルを前へ無理矢理進ませた後、飛び蹴りを喰らわせ吹っ飛ばす。

 

「お兄様!」

 

「おやおや、余所見している場合ですか?」

 

 サーベラが吹っ飛ばされたデュランダルを見て叫ぶが、ベルゼブブメギドはその手に持つレイピアで彼女に攻撃をする。

 

「ちいっ!」

 

 舌打ちをしながらベルゼブブメギドと戦うサーベラ。二人の剣戟が繰り広げられる。

 その時、一度サーベラは後ろへ飛ぶ。そして煙叡剣狼煙のスイッチ、デフュージョンプッシュを2回押した。

 

『狼煙、霧虫!』

 

「はあっ!」

 

 ベルゼブブメギドがレイピアで突こうとした時、突如サーベラはその身を煙と化して宙を舞う。

 

『煙幕、幻想撃!』

 

 そして背中に蝶のような羽を生やしたサーベラが頭上に出現し、赤い斬撃をベルゼブブメギドに放った。

 

「ぐあああっ!」

 

断末魔を上げ爆発するベルゼブブメギド。着地するサーベラ。

 所詮はこんなものか。そう思いながら、自身の兄へ加勢に向かおうとした時。

 

「いまのは効きましたよ、煙のお嬢さん」

 

 後ろから声が聞こえて振り返るサーベラ。そこには余裕綽々なベルゼブブメギドが。

 

「なっ……!?」

 

「見たところ、中々良い腕をしているようだ。良ければ私と夫婦(めおと)にでもなりませんか? 強い女性、私は好きですよ」

 

「誰が貴様などと!」

 

 そう言いながら、再びベルゼブブメギドへ駆け出すサーベラ。

 

「ふぅむ……それは残念だ。では、せめてお礼をさせてください。貴方の腕を見せてもらった以上、私もそれに応えなくては」

 

そう言った後、ベルゼブブメギドは構えを取った。

 

「悪魔奥義、ディアボロス・ペネトリーション」

 

 レイピアにエネルギーが溜まると、片足で地面を強く蹴り、ドリルの如く回転しサーベラへ突撃する。

 

「!」

 

 その突撃に思わず足を止めるサーベラ。そしてそれはすぐに目前まで迫った。

 直撃する寸前に、サーベラは煙叡剣を構え、それで攻撃を防ぐ。金属が擦れ合う音を立たせながら踏ん張ろうとするが、やがてその攻撃に耐えきれずーーーーーー

 

「ぐあああああっ!」

 

「! 玲花っ!」

 

 モロにベルゼブブメギドの必殺技を喰らい、吹っ飛ばされ地面へと伏してしまう。それを見たデュランダルは倒れているサーベラを見て叫ぶ。

 

「貰ったぁ!」

 

「ぐああっ!」

 

 ナヘマーメギドは逆手持ちの剣で隙を見せたデュランダルを切り刻む。動揺によって踏ん張ることができなかったのか、二発喰らって吹っ飛ばされ、彼も地面に伏してしまう。

 

「お兄様!」

 

 倒れていたサーベラはでどうにか起き上がり、デュランダルの下へ行く。彼の体を抱えるサーベラはと、喘ぐように呼吸をするデュランダル。

 そんな二人の前後からは二人のメギドが迫っていた。不敵に笑いながら首をコキコキと鳴らすナヘマーメギド。レイピアの刀身を撫で、同じように不敵に笑いながら顎を触るベルゼブブメギド。

 サーベラとデュランダルは背中を合わせて敵を見据え武器を構える。

 

「ははは……うおらあっ!」

 

 ナヘマーメギドはその凶刃を彼らに振り下ろさんと駆け出す。しかしその時

 

「うおわあっ!?」

 

 彼は何かに引っかかって盛大にこけ、地面へと倒れた。

 

「ナヘマー、あの方が禁書を回収されました。これ以上やり合うのは終わりだぜ」

 

 クールな雰囲気の女性の声が聞こえたかと思えば、野太い男性の声が聞こえた。その声にナヘマーメギドは顔を上げる。

 

「てめぇ、リリス! これからって時に邪魔すんじゃねぇ!」

 

「はぁ〜…………てめぇ、あんまり俺の手を焼かせんじゃねぇ。(わたくし)はあの方に貴方達を回収しろと言われているの。素直に聞きなさい」

 

 男性の声かと思えばまた女性の声を発する異形。

 

「てめぇ、ふざけんな!」

 

「はいはい、我が儘を言わずにさっさと帰りますよ、ナヘマー」

 

 サーベラとデュランダルの頭上を飛び越え、ベルゼブブはナヘマーを宥めるように言う。

 

「うるせぇ! 戦わせろぉ!」

 

「あぁ、もう! リリス、早く帰りますよ!」

 

 駆け出そうとしたナヘマーを取り押さえ、リリスに頼むベルゼブブ。

 

「自己紹介が遅れましたね。俺様の名はリリスメギド! 悪魔メギドの『不安定』担当ダァ! あの方の崇高なる計画の為に、精々首を洗って待ってろい!」

 

 サーベラとデュランダルに向かって、甲高い少年の声で自己紹介をするリリスメギド。

 

「さぁ、帰りますわよ」

 

「離せゴラァ! おい、離せぇぇぇぇぇ!」

 

「ちょっ、大人しくしなさい!」

 

 リリスメギドは高飛車そうな少女の声を発して宙を切ると、そこに闇の裂け目が生まれた。

 リリスメギドが先に入り、ベルゼブブメギドがナヘマーメギドを押さえながら、裂け目へ入っていく。

 3人が入った後、やがて裂け目は閉じた。

 

「……あいつらは一体……何者なんだ……」

 

 デュランダルは闇の裂け目が消えた場所を見つめた。

 

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