炎の剣士と黒龍の少女   作:一般龍人族

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開放されし、悪魔達。

「皆さん……ボンヌ・レクチュ〜ル!」

 

 シャボン玉が飛び交う世界。

 空には岩が浮かび、ドラゴンが飛び、クジラが飛び、飛行船が飛んでいる。

 後ろには巨大な大樹が生え、そのさらにに後ろには巨大な蒼き剣が刺さっていた。

 そんな世界で、男は手にパラソルを持ち、とある家の前に立っていた。

 

「ボクはタッセル! ボクは今、感動と不安で胸がいっぱいなんだぁ〜! 何故かって?」

 

 子供のように、笑顔で無邪気にそう言ったかと思えば、突然、真顔になった。

 

「とある一冊の本、全知全能の書。それには神話、物語、生物、人間の科学技術、更には過去から現在、未来のことまで全てが書かれている。だがその本に書かれていた未来は……世界の、終焉だったんだ」

 

重々しくタッセルは告げた。その顔は、悲哀の感情を宿していた。

 

「そしてその運命には誰も抗えず、世界は、終焉を迎えてしまった…………けど、人々の物語への想いで世界の崩壊は免れることが出来、仮面ライダーセイバー、神山飛羽真が、新たなワンダーワールドを創造し、消えてしまった人々を元に戻したんだ!」

 

 嬉々として語るタッセル。それはまるで、自身の好きな物語を語っている子供のようであった。

 

「そうして、ようやく世界に均衡が訪れた……でもでもでも、とある学校の生徒と先生が全員何処かへと行っちゃった! しかも謎の本から解放された男がサウザンベースに現れメギド達を従えて、禁書まで盗んじゃった! 一体、どうなっちゃうの〜!?」

 

 

 生命の樹。

 

 それは、旧約聖書の創世記にエデンの園の中央に植えられた木。命の木とも訳される。生命の樹の実を食べると、神に等しき永遠の命を得るとされる。 ユダヤ教のカバラではセフィロトの木とも呼ばれ、宇宙万物を解析する為の象徴図表に位置付けられている。

 

 邪悪の樹。

 

 それは、クリフォトを図式化したモデルのひとつである。邪悪の樹は最下位のセフィラであるマルクトの下方に伸びており、生命の樹を逆さまにした構造を持つ。邪悪の樹の各球体には様々な悪徳と悪魔が対応する。

 

 

 

 王冠 無神

 

 知恵 愚鈍

 

 理解 拒絶

 

 慈悲 無感動

 

 峻厳 残酷

 

 美麗 醜悪

 

 勝利 色欲

 

 栄光 貪欲

 

 基礎 不安定

 

 王国 唯物

 

 知識

 

 

 足りない。誰かが呟いた。

 

 問おう。知識の反対は?

 

 それは、無知だ。

 

 無知。

 

それは、愚かなこと。知恵がないこと。

 

 虚無から、新たなるモノが、生み出される。

 

 

 

 

 北極基地、ノーザンベースにて。

 

「サウザンベースに侵入者だと!?」

 

 壮年の男性の声が部屋に響いた。

 

「はい、昨日、何者かがサウザンベースに侵入しました。それによって、禁書庫から本が盗まれてしまったのです」

 

「マジかよ…………」

 

 ソフィアの言葉を聞いて、壮年の男性ーーーー尾上亮は、俯いて呟いた。

 

「敵の狙いは、禁書庫の本ということか」

 

オレンジの服に青色のジャケットを重ね着している男性、大秦寺哲雄が言った。

 

「しかし禁書を盗むなんて、一体何をしようとしているのでしょう?」

 

 青色のジャケットを着た青年、新堂倫太郎はソフィアに聞いた。

 

「奴が従えていたメギドは、崇高なる計画、と言っていた」

 

「崇高なる計画…………」

 

 凌牙の言葉を聞き、倫太郎は呟く。

 

「一体、何をするつもりなんだ……」

 

 そう言って倫太郎は振り返ると、ふと、壁にもたれかかっている白いローブを来た男性、ユーリが何かを呟いていることに気付く。

 

「リリス……ベルゼブブ……ナヘマー……まさか、あいつが……」

 

「ユーリさん、どうかしましたか?」

 

倫太郎はユーリに尋ねる。顎を触り、俯いていたユーリは顔を上げる。

 

「……いや、何でもない」

 

 首を横に振ったユーリ。

 

「……そうですか。なら、良いのですが」

 

 倫太郎がそう言ったその時、扉が開かれ、4人の人物が入ってくる。

 

「お待たせしました」

 

 3人の男性と1人の女性。入って最初に挨拶をしたのは、神山飛羽真だ。

 

「それで、話って何?」

 

 そう言ったのは緋道蓮。

 

「はい、昨日、ノーザンベースに………………」

 

 蓮に聞かれ、先日の事情を話し始めるソフィア。

 

「リリスメギドにナヘマーメギド、ベルゼブブメギド…………不思議だな、クリフォトの樹に対応する悪魔と同じ名前だ」

 

「ん? クリフォトの樹? 何それ?」

 

 ソフィアの話を聞いて言った富加宮賢人に対し、疑問をぶつけたのは、先程の1人の女性、須藤芽依だ。

 

「クリフォトの樹というのは、ユダヤの神秘主義カバラにおける悪の勢力もしくは不均衡な諸力を表す概念であるクリフォトをシンボル化した物です。リリスとナヘマーとベルゼブブは、クリフォトの樹の球体にそれぞれ対応しているんですよ」

 

 芽依の疑問に対し、丁寧に答える倫太郎。芽依は理解したのか理解してないのか、「ほぉ〜ん」と言った様子でこくこくと小さく頷いている。

 

「とりあえず、そのメギド達をぶっ倒して禁書を取り返せばいいんだろ?」

 

 握った右手を左手に軽く叩いて言う蓮。

 

「そういうことになります。問題は、メギド達が何処にいるか、なのですが…………」

 

 ソフィアがそう言った、その時だった。

 

「! 本がっ」

 

 芽依が鞄の中に入れていた本が突如光り輝く。本を取り出して開くと、そこからホログラム式の立体映像が。それを見る為に一同は集まる。

 そこに映っていたのは、ナヘマーメギド、ベルゼブブメギド、リリスメギド、そして、謎の黒フードの人物。

 

「こいつらが昨夜襲撃したメギド達か」

 

 覗き込む賢人が言った。

 

「見てください、黒いフードの男が、無銘剣を持っています!」

 

  倫太郎が言った通り、男はその手に漆黒の剣、無銘剣虚無を握っていた。

 

「とにかく行こう! メギド達を倒して、禁書を取り返す!」

 

 飛羽真の一声に、一同は頷いた。

 

 

 とある原っぱの大樹にて。

 

「本当に上手く行くのかぁ? 今回の作戦」

 

 疑わしげな声を出すのは、ナヘマーメギドだった。

 

「仕方のないことじゃ、別世界への介入は我らの力では不可能。なのでぇ、セイバーの刃王剣が必要になってくるんですよねぇ、はい」

 

 それに答えるはリリスメギド。老人の声かと思えば、何処となく慇懃無礼そうな青年の声になる。

 

「つっても、刃王剣はワンダーワールドに突き刺さってるんだろ?」

 

「神山飛羽真が危機に陥った時には刃王剣自らが来る。その時を狙うのだ」

 

 次にナヘマーメギドの疑問に答えるは、黒装束のフードを深く被る男。

 

「てか、何であっちの世界に行くんだ? 刃王剣さえあれば例の(ぶつ)だって完成するだろ?」

 

「あれを完成させる儀式を行うには、最後の本の生贄となる人間が必要だ。かつての儀式と同じ法術を使うことにより、求めている力を手にすることが出来る。刃王剣だけでは成し遂げられぬことだ」

 

「ふーん………………ん?」

 

 その時、ナヘマーメギドは何かに気付いた。

 

「来たみてぇだなぁ」

 

 彼の視線の先には、神山飛羽真達がいた。

 

「サウザンベースの禁書を返してもらおうか」

 

 凌牙が言った。

 

「誠に遺憾ですが、そういうわけにはいかないのですよ。こちらにも、目的がありますからねぇ」

 

 ベルゼブブメギドが応える。

 

「だったら、力ずくで返してもらうしかねぇな」

 

 巨大な大剣、土豪剣激土を肩に抱える尾上が言った。

 

「ナヘマー、ベルゼブブ、リリス、他の者達を復活させろ」

 

 黒装束の男にそう言われた3人は、その手にアルターライドブックを持ち、ページを開いた。

 

『Bacikal Satan!』

 

『Sheriruth Lucifugus!』

 

『Adyeshach Astaroth!』

 

『Akzeriyyuth Asmodeus!』

 

『Kaitul Belphegor!』

 

『Shakah Bael!』

 

『Chemdah Adramelek!』

 

 六つのアルターライドブックから、沢山の本が出現する。やがてそれが積み上げられることによって、六つの人影が現れた。

 

「————— 嗚呼、なんてことだ。我が眠っている間に、世界の空気はこんなにも醜悪に澱んでしまったのか」

 

 嘆かわしく、天を仰ぐ一人のメギド。彼の名はベルフェゴールメギド。

 

「君もそう思うだろう? 我が盟友、アスモデウス?」

 

 ベルフェゴールメギドは隣に視線を移す。

 

「世界の空気が澱んでいようが、なかろうが、私には関係ない。私は、斬るに値すると思うものを斬るだけだ」

 

「ふっ、変わらないな、君は」

 

 ベルフェゴールメギドの問いかけに答えたのは、アスモデウスメギドだ。アスモデウスメギドの淡々とした答えに、ベルフェゴールメギドは一笑に付する。

 

「ふふ…………あははははッ! 感動ッ! 感動ッ! ま・さ・にッ! 感・動ッ! 長きに渡る眠りから解放されッ! 私は今ここで陽の光を浴びッ! 空気中に漂う酸素を吸いッ! 今ッ! こうしてッ! 生・き・て・い・るッ! 感動感動感動感動感動感動感動感動感動感動、まさにまさにまさにッ! 感・動ーッ!」

 

「だあああああああああああぁ! もう! うるせぇ! アスタロト! 起きがけにそんなうるさい声を出すなぁっ!」

 

耳を押さえて訴えるのはアドラメレクメギド、そして、訴えられた者の名は、アスタロトメギドだ。

 

「おーやおやおやおやおやおやおやおやおやぁ? 誰かと思えばアドラメレク君ではなぁーいですかぁ! 何年振りですかーぁ? まぁ何年振りでもいいんですけどねぇぇぇぇぇ! いやはや、目覚めた時点で感動ですのにまたこうやって皆さんで集まれるなんてさーぁらに感動ですねぇぇぇぇぇ!」

 

「お前のそのうるささは相変わらずだな。いい加減直せ、ウザい」

 

「こーぉればかりはしょーぉうがないんですよぉ、私はいつもいつも、感動で溢れておりますが故、こぉーのような具合なのでございまぁす!」

 

 アドラメレクメギドのうんざりとした態度に対し、アスタロトメギドはどこ吹く風。

 

「はっはっはっ………………また騒がしくなるみたいだな」

 

それを見て朗らかに笑っているのは、ルキフグスメギド。その直後、甲高い金属の音が鳴った。

 

「—————おや、今は『そっち』か?」

 

「へぇ、腕は鈍ってないみたいだな」

 

「はっはっはっ、長く眠ってるからって、あまり舐めるでないぞ」

 

 ルキフグスメギドは後ろから振られた剣を受け止めていた。そして、その剣の主は、バールメギド。

 

「我が主よ…………こうしてまた貴方様に仕えることが出来て光栄であります」

 

 黒装束の男の前で、胸に手を添えて深く頭を下げるのは、サタンメギド。

 

「やはり貴様か、今回の事件の発端は」

 

「…………ユーリか、これまた久しい顔だ」

 

「ユーリ、あいつと知り合いなのか?」

 

 ユーリと黒装束の男が会話しているのを見て、飛羽真が質問する。

 

「…………奴らは、俺が昔戦ったメギド達だ。その当時は、騎士団の仲間達と協力し、光剛剣と闇黒剣を使って奴らを封印した」

 

「だが永遠に眠る筈だった私は目覚めた。貴様ら剣士達が守った愚かな人間達の好奇心故にな」

 

彼の言葉には、目の前にいるソードオブロゴスの剣士達に対する哀れみ、そして人間に対する侮蔑、二つの感情があった。

 

「今度は何を企んでいる。無銘剣を使い、何をするつもりだ」

 

 ユーリが男に問いただす。

 

「終焉の書、それを完成させることだ」

 

「終焉の書だと?」

 

 男の言葉に大秦寺が反応を示した。

 

「知ってるんですか?」

 

 倫太郎が大秦寺に問う。

 

「古い文献で見たことがある。終焉の書が開かれる時、世界はやがて滅びへと誘われる、と」

 

「滅び、か」

 

 男は呟く。

 

「私が目指すのは滅びではない。救済だ」

 

「救済?」

 

「かつて神は、人を生み出した。だが、それは間違いだった」

 

 それは、創世記。ネオンジェネシス。

 

「知恵の実を食したアダムとイブは、永遠の罪を背負うこととなった」

 

 それは、失楽園。パラダイス・ロスト。

 

「そしてそれは、後世に生まれし者達も、背負うこととなった罪」

 

男は、漆黒の剣を天に掲げる。

 

「私は、人類を罪から解放する」

 

 漆黒の剣——————— 無銘剣虚無から橙の光柱が発生する。

 

 そして空には、紋様が浮かんでいた。

 

 逆さまの樹。生命の樹と対をなすモノ。クリフォトの樹。

 

 その樹の最下層に位置する部分に光柱が位置し、そして————— 新たなる球体が生まれた。

 

 球体が生まれたのを見届けた男は、ゆっくりと剣を下ろす。

 

「最後は、刃王剣十聖刃(クロスセイバー)。それを手に入れるのみ」

 

「ッ! 刃王剣を狙っているのか!?」

 

 男の言葉を聞いた飛羽真の顔が変わる。

 

「書の完成の為には、あの剣の力が必要となる。その為に、貴様達を倒す」

 

 男のその言葉を皮切りに、召喚されたメギド達は並び、それぞれ持っていた剣を構える。

 

「…………お前に、刃王剣の力は渡さない!」

 

 飛羽真は、聖剣ソードライバーを腰に装着する。そして、ワンダーライドブックを取り出し、そのページを開いた。

 

『ブレイブドラゴン!』

 

『かつて、全てを滅ぼす程の、偉大な力を手にした、神獣がいた…………』

 

 読み上げられる、赤竜の伝承。

 

「僕達も行きましょう!」

 

倫太郎のその言葉に、賢人、尾上、蓮、大秦寺、ユーリ、ソフィア、玲花、凌牙は頷く。

 

『ライオン戦記!』

 

『ランプド・アランジーナ!』

 

『玄武神話!』

 

『猿飛・忍者伝!』

 

『ヘンゼルナッツとグレーテル!』

 

『エックス・ソードマンッ!』

 

『ジャアクドラゴン!』『ジャアクリード!』

 

『昆虫大百科!』

 

『オーシャンヒストリー!』

 

 題名が読み上げられ、それぞれワンダーライドブックを自身の装備に装着。

 

 すると、様々な音楽が流れ出す。それぞれ曲調が違っており、まさに十人十色。

 

『烈火・抜刀!』

 

『流水・抜刀!』

 

『黄雷・抜刀!』

 

『一刀両断!』

 

『双刀・分・断ッ!』

 

『銃剣・撃弾!』

 

『最光・発光!』

 

『闇黒剣月闇!』

 

『狼煙・開・戦!』

 

『界時・逆回ッ!』

 

 だが、言うことは全員、決まっていた。

 

「「「「「「「「「「変身!」」」」」」」」」」

 

『オォォォォォォシャンヒストリィィィィィィィィィィ!』

 

『昆虫CHU! 大百科(だぁぁぁぁぁいひゃっか)ァァァァァ!』

 

『ジャァァァァァクゥゥゥゥゥゥ! ドォウ・ラ・ゴ・ォォォォォォン!』

 

『エックス・ソードマァァァァァァァァァンッ!』

 

『音・銃・剣! ス・ズ・ネェェェェェェェェェッ!』

 

『風・双・剣! ハァァァァァァヤァァァァァァテェェェェェェ!』

 

『ドゴッ! ドゴッ! 土・豪・剣! ゲ・キ・ドォォォォォォォ!』

 

『ランプド! アランジィィィィィナァァァァァッ!』

 

『ラーイオーン! 戦・記ィィィィィィィィィィィ!』

 

『ブーレーイブッ! ドラッ・ゴォォォォォォォォォォンッ!』

 

 時国剣界時に選ばれた剣士、仮面ライダーデュランダル。

 

 煙叡剣狼煙に選ばれた剣士、仮面ライダーサーベラ。

 

 闇黒剣月闇に選ばれた剣士、仮面ライダーカリバー。

 

 光剛剣最光に選ばれた剣士、仮面ライダー最光。

 

 音銃剣錫音に選ばれた剣士、仮面ライダースラッシュ。

 

 風双剣翠風に選ばれた剣士、仮面ライダー剣斬。

 

 土豪剣激土に選ばれた剣士、仮面ライダーバスター。

 

 雷鳴剣黄雷に選ばれた剣士、仮面ライダーエスパーダ。

 

 水勢剣流水に選ばれた剣士、仮面ライダーブレイズ。

 

 そして、火炎剣烈火に選ばれた剣士、仮面ライダーセイバー。

 

 今ここに、十剣士は揃った。

 

「行け」

 

 黒装束の男がそう言うと、メギド達は剣を構えセイバー達に向かって駆け出す。

 

「皆、行くぞ!」

 

 セイバーのその一言で、剣士達は皆、それぞれの聖剣を構え走り出す。

 

 そして、お互いの剣と剣はぶつかり合い、戦いが始まった——————。




聖書要素バリバリ押し出してるけど作者は聖書未読です。(厳密にはちょっと齧ってるぐらいで読破していない)
すまんの(´・ω・)
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