炎の剣士と黒龍の少女   作:一般龍人族

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今回も短めかもだから注意してちょ
ちなみにハジメファンの方は要注意ね


土下座の要求、屈辱の肩代わり。

「土下座って……何でそんなこと!」

 

 最初にそう声をあげたのは飛羽真だった。

どうもハジメは大勢を同時に移動させる術を持っているようだが、何故わざわざ土下座を要求するのか飛羽真には分からなかった。

 

「何でって……人様にモノ要求するんだから、ちゃんと誠意を示すのは当たり前のことだろ?」

 

「だからって……! 土下座させる必要はないでしょ!?」

 

 土下座というのは相手に謝罪する時、どうしても相手に頼みを聞いてほしい時にやるもの。仮にやるにしても自主的にするものであると、そういう認識が飛羽真にはあった。

 

「君、いい加減にするんだ」

 

「妾も口を挟ませてもらうが。貴様、性格が悪いぞ」

 

「は、ハジメ殿……」

 

 賢人とティオもハジメを非難し、傍にいたウィルも自分を救出した男の人間性に失望していた。

 

「はっ。お前らがどう言おうと、こいつらが土下座しないんだったら乗せることはできねぇよ。俺が作ったこの“ブリーゼ“にな」

 

 非難の声を嘲笑し、ハジメは空中に手を翳す。すると魔法陣が出現してそこから大きな物体が出現した。

 

 それは大型の車だった。軍用車のハマーを思わせるデザインで、前が運転席と助手席、後ろは荷台になっているようだ。

 

 ハジメが言った通りこの車の名はブリーゼで、彼が生成したものである。 

 

「車……!?」

 

 思わず言葉に出して驚く飛羽真。よもや元の世界で見慣れている車がこの場に出現したから当然と言えば当然だ。

 

「最初に言っとくとこれを操れるのは俺だけだ。仮に奪ったとしても運転することは出来ねぇよ。

 で、どーする? 最初の時みたいに代表して先生にやってもらうか? それとも、今度はテメェら全員でやってみるか?」

 

 ハジメがニヤニヤしながら園部達を見る。本人らは眉を顰めて俯き、拳を握りしめていた。

 

「……は、ハジメさん。一回したんですしもうやらせなくても良いじゃ無いですか」

 

「……私もそう思う」

 

 おずおずとした雰囲気で申し出たのはシアだった。ユエも彼女の意見に賛成していた。

 

「分かってねぇな二人とも。この優越感はたまんねぇんだぞ? ほーら、早くやれよー。町の人間の避難をさせたいんだろー?」

 

 だが、二人の意見は一瞬で無視され、愛子や園部達に土下座をするよう煽る。そんな中で園部が愛子に言った。

 

「…………先生。今度は私たちがやります。先生に二度もさせられません」

 

「そ、そんな訳にはいきません! 貴方達がする必要はないんです、先生である私が代表して!」

 

「先生一人だけに恥はかかせられねぇよ。あん時だって、見てる俺達もつらかったんだ……!」

 

 愛子の言葉にそう返したのは玉井だった。

 

 その後、園部達がハジメの前に出る。

 

「お前らが土下座すんのか?」

 

「……先生に二度もやらせたくはない」

 

「……俺も同じだ」

 

「へぇへぇ、随分と先生思いなことで。そんじゃ、さっさとやれ」

 

 ハジメは顎で土下座を促す。

 

「皆さん! 駄目です!」

 

 愛子は園部達が土下座するのを止めようとする。

 

「……園部、菅原、宮崎……頼む。後は俺たちでやる」

 

 そう言われた3人は、一瞬躊躇うよう表情をするが、玉井の任せてくれ、と言わんばかりの目を見て決意し、愛子の下へ向かった。

 

「!? は、離してください!」

 

 3人に取り押さえられる愛子、抵抗しようとするが相手が複数人であるのと自身の小柄な体格故に振り解くことは出来ない。

 

「……我慢ならぬ。こうなれば力ずくでも止めて……」

 

「待って、ティオちゃん」

 

「っ?」

 

 ティオが止めに行こうとするが、飛羽真がそれを制止する。その後歩き出した。

 

「やり方はまあ分かるよな? 先生がお前らの目の前でやってくれたからなあ?」

 

 ニヤニヤしながらそう言うハジメ。彼を睨みながらも、玉井達は地に膝をつける。次に両手を地面につけた。そして頭を下げようとした時————。 

 

「待ってくれ!」

 

 割り込む声があった。皆が視線を向けると、そこには飛羽真が。

 

「神山先生……!」

 

「あんた……!」

 

 愛子を押さえている園部と玉井は驚く。

 

「どうしても君が土下座をしろというのなら…………俺が土下座する。…………それで勘弁してもらえないかな」

 

「え?」

 

 素っ頓狂な声を玉井は出した。

 

「へぇ、三流小説家様が土下座か? これはこれは、随分とお人好しなこった。でもどうせ、人気取りの為だろ? 聖人君主みてェに気取りやがって。……ま、何でもいいや。おいテメェら、この三流小説家様が土下座してくれるってよ。下がっていいぞ」

 

 ハジメは玉井達に向けて、用無しと言わんばかりに手を振りながらそう言った。

 

「神山先生! どうして……!」

 

「そうだよ、アンタがやる必要は!」

 

「君達がやる必要だって無いはずだ。ここは俺に任せて、君達は下がってるんだ」

 

「でも……!」

 

「テメェらくどくど言ってんじゃねぇよ。せっかく三流小説家様が俺たちの為に土下座を披露してくれんだ。その好意を無駄にする気かぁ?」

 

 食い下がろうとする園部にハジメはニヤニヤしながらそう言った。

 

「南雲……っ!」

 

 そんな彼を玉井は睨みつける。

 

「…………とにかくここは、俺に任せて欲しい。…………大丈夫だから、ね?」

 

 飛羽真は玉井達や園部達を見てそう言った。その穏やかな声色は彼なりに安心させようとしているのが分かり、真っ直ぐに相手を見据えるその面貌は懇願の表情をしているようにも思えた。

 それを受けた玉井達は渋々ながらもその場から下がる。

 

「……ありがとう」

 

 飛羽真は微笑みながら彼らに向けて礼を言った。そして、ハジメの方へ向き直る。

 

「神山先生……!」

 

 未だ取り押さえられている愛子は彼を案じる表情をしていた。

 

「待て」

 

 飛羽真の下へ一人の男が来た。それは賢人だった。

 

「俺も土下座する」

 

「賢人……!」

 

「飛羽真だけに、恥はかかせられない」

 

 賢人は飛羽真の目を見て、心配するなとでもいうように強く頷く。それを受けた本人も、賢人の意思を理解し頷く。

 

 二人は地に膝をつけ、その手を地面に置く。その後、腰を曲げて顔を地に向け伏せた。

 

 彼らが土下座する光景を、他の者達はただ見届けることしか出来なかった。

 

「……園部ちゃん達を乗せてあげてください。お願いします」

 

 飛羽真は敬語でハジメに懇願した。

 

「……くくっ……ははは……! こりゃあ良い眺めだ。でもなあ、三流小説家と取り巻きィ。土下座ってのはなぁ……」

 

 愉快そうに、ケラケラと邪悪な笑みを浮かべるハジメ。そんな彼はしゃがみん込んで、

 

「こうやってやるんだよォ!」

 

 その手で飛羽真と賢人の頭を地面に押さえつけ、グリグリと地面に擦り付けた。

 

「うぐ……!」「ぐ……!」

 

 無理矢理押さえられ苦悶の声を上げる二人。

 

「あはははは……! 良い気味だなァ。どうだァ、取り巻きィ? さっきまで偉そうにしてたのに、地面に頭を擦り付けられる気分はよぉ? ははは……!」

 

 取り巻き、つまり賢人に向けて挑発する。その後、ハジメは彼らの頭を離す。

 

「はー、満足満足。あ、後ついでに……。おらよっ!」

 

「う!」

 

 ハジメは飛羽真の腹を軽く蹴飛ばす。

 

「てめぇもだ。おらあっ!」

 

「ぐ!?」

 

 賢人にも同じように蹴りを入れた。

 

「かははは……あー、スッキリした。ムカつくやつを無様な姿にしてやるのは最高だな。おいテメェら、乗るならさっさと乗れよ。せっかく三流小説家様達がカッコいい姿見せてくれてんだからなァ。あー、あれで思い出し笑い何回も出来るわ。ははっ」

 

 ハジメは笑いながらブリーゼに乗り込む。

 

「神山先生!」

 

 園部達からの拘束が解け、真っ先に飛羽真の下へ赴く愛子。他の面々も追随した。

 

 ユエとシアも思わず行こうとするが、

 

「おい、ユエ、シア。早く乗れよ」

 

 二人が行こうとしたのを察したのかそうでないのかは不明だが、声をかけるハジメ。

 

「…………うん」

 

「……は、はい……」

 

 二人は、ブリーゼに乗り込むしかなかった。

 

「神山先生! 賢人さん! 大丈夫ですか!?」

 

「イタタ……。俺は大丈夫です。ちょっと痛みますけど……」

 

「っ…………俺も平気です。普段から鍛えてはいるので」

 

 飛羽真と賢人はよろめきながらも立ち上がり、顔や身体についた土を払い落とす。

 

「神山先生……私達の為に……すいません……」

 

「……僕からも謝らせてください。貴族の筈なのに、ただ見てることしか出来なかった……」

 

「……すまぬ、妾が奴を止めていれば」

 

 園部、ウィル、ティオが口々に謝罪の言葉を告げる。

 

「……皆、そう暗くなっちゃダメだ。それに謝る必要なんてないよ、俺達の意思でやったんだから」

 

「でも……」

 

「心配する気持ちは嬉しいが、反省会は後だ。とにかく今は、ウルの町へ向かおう」

 

 とにかく今は目的地へ行かなければならない。そう判断した賢人は場を纏めようとする。

 

そんな彼の意見に賛成したのか全員が頷いた。

 

「賢人…………さっきはありがとう」

 

「礼には及ばないさ。言ったろ、飛羽真だけに恥はかかせられないと。俺は、俺の思いを貫いただけだ」

 

「…………そっか」

 

 その後、ブリーゼの荷台に園部達が乗り込む。

 

 ディアゴスピーディーに飛羽真が搭乗する。ライドガトライカーには賢人が。

 

「神山先生! ウルの町まで案内します!」

 

 愛子のその言葉に「ありがとうございます」と言ってもう一つあったヘルメットを渡す飛羽真。

 

 バイクとトライクのハンドルが回され、エンジンの噴く音がする。

 

「しっかり捕まってて!」

 

「はい!」

 

 飛羽真の声に応じ、愛子は彼の腰に捕まる。

 

 タイヤが回転し始め、マシンは発進する。ブリーゼも発進をした。

 

 ウルの町に向けて、マシンは地を駆け始めるのであった。

 

◇◇◇◇

 

「我が主人、例の物が完成しました」

 

 どこかの煉瓦造りの建物の屋上で、ベルゼブブメギドが黒いフードで顔を覆う男に何かを見せる。

 

 それは、ベルトだった。その形状は最光のサイコウドライバーとカリバーのカリバードライバーと同じもの。違う点があるとすれば、全体のカラーが黒であることだ。

 

 もう片方にも何かを持っており、それは黒い武器のようだった。それは一見すると長剣のように見えるが、よく見れば先端は丸くランスのようになっている。

 

「おお……よくやった、ベルゼブブ。後は……それを例の男に渡すだけだ」

 

 男は、懐から何かを取り出す。それは黒いワンダーライドブックのようだった。

 

「この禁書と共にな……」

 

 ブックのタイトルは、こう書いてあった。

 

 『フォーリンルシファー』、と。




初期の蓮に土下座要求したらマジないわ!で斬りかかりそう
というか今回の回は書いててキツかったんすがね…。オマエガハジメタモノガタリダロ
ネタバレすると次回でわからされるから安心しろよ!

https://telegra.ph/%E8%A1%A8%E7%B4%99%E3%81%A8%E3%83%93%E3%82%B8%E3%83%A5%E3%82%A2%E3%83%AB-09-13

描いてみた。ビジュアルはただの思いつきなので本編でそういうシーンは出ない…と思う。
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