赤き竜?いいえ、赤き龍です 作:ムフェト・ジーヴァカッコよすぎ…
自己を整理せよ。
────アルトリウス・ペンドラゴン
私の名前はアルトリウス・ペンドラゴン。
ウーサー王の嫡子であり、種違いの姉を妖姫モルガン・ルフェを持ち、ブリテンに生まれ、ウェールズの伝承に於ける赤き竜の心臓を宿し、未来において戦乱のブリテンを統一するもの────
自己を整理せよ。
────例えば…我が姉モルガンはブリテンを神秘に染め、地球で今残る最後の神秘の島から生まれた魔女…。
────例えば…我はアーサー王と成り、ブリテンを人理で染め、星の表面から神秘を消すために生まれた存在。
自己を整理せよ。
我が名はアルトリウス・ペンドラゴン。
赤き龍──ムフェト・ジーヴァの心臓を──龍の炉心をその身に宿し、星から正式に譲り受けた星の最後の神造兵装を──対異界、他天体侵略撃滅兵装──エクスカリバーと、理想郷の守りを六次元の干渉すら跳ね返し、持ち主に永遠の不死を、傷ついた魂すら癒すとされる魔法の鞘──アヴァロンを飲み干して己を星の聖剣と魔法の鞘と一体化した人の姿を形を保つアーサー王。
自己を整理せよ。
赤き龍──ムフェト・ジーヴァ。
本来この世界には存在せず、別次元の世界に君臨する星の──古龍の王に至る存在。
君臨した地の生態系を自由自在に作り変え、ムフェト・ジーヴァにとって周囲の生態系を都合の良いものに書き換える力を。生態系を循環させる役割を持つ星の生命線と呼ぶべき地脈を自在に操り、地脈エネルギーを取り込むことで不死に匹敵する程の再生力を持つ、星をも弑する古龍達の王に至り、完全なる者。赤き龍──ムフェト・ジーヴァ。
ブリテンの王としての──アーサー王としての人のとしての片面。
古龍の王としての──星が望んだ単独の極限種の龍としての片面。
アーサー王としての側面であるブリテンの救済を叶える為の、古龍の王としての側面には矛盾した要素がある。
だがしかし、それは両立出来るものでもあるのだ。
ブリテンの救済と星の願いを叶える為に、アーサーとしての在り方と古龍の王としての在り様を併せ持つ者としての存在へと至った私ならば…………。
ブリテンの救済を叶えられるだろう。
星の願いを叶えてやれるだろう。
私は私の目的の為に……ブリテンの人民を救うアーサー王としてブリテンを救うと決めたのだ。
その為なら何だって利用してやる。
例えそれが────自分自身であろうとだ。
自己を整理せよ。
私が私であることに理由などない。
あるとすれば────アルトリウス・ペンドラゴンとはそういうものだからだ。
ブリテンの人民を救ってやろう、導いてやろう──だか、それだけだ。
ブリテンの人民が望み、希望を抱いた、理想の王として、救済してやろう。
ブリテンの救済は決定事項だ。
例え誰であろうと、邪魔を許さん。
アルトリウス・ペンドラゴンとして。
アーサー王として、救済はしてやろう。
ブリテンの滅びはブリテンに住まう者達が決めることだ。
自己を確立せよ。
アルトリウス・ペンドラゴンは。
アーサー王としてブリテンを救済してやろう。
アルトリウス・ペンドラゴンは、星が望んだ単独の極限種として、力を振るおう。
選定の剣を抜いて、エクサー卿と、ケイ卿等と共にウーサー王の配下だった騎士達を束ね、ブリテン統一を目指し、ウーサー王の嫡子として名を挙げ、円卓の騎士達を集め軍隊を結成し、海を隔てた大陸からやって来るローマ軍とエイリアンじみたサクソン人を撃退し、各地に領地を持つ部族や諸侯、その王達を強制的に大人しくさせたり、ブリテンの北部に部族間同士の争いが絶え間なく続くピクト人を両成敗し、大体の元凶の魔竜ヴォーティーガンを始末し、最後のオークニーの王、ロット王を率いる軍との戦いと、ロット王の妻にして姉、妖姫モルガンとのいざこざを経て───漸くブリテン統一を成し得た。
円卓の騎士達も多く集まり、一人一人が一騎当千とも呼ぶべき強さを誇る騎士達も多いが、その中でもアーサー王の命令よって着任することが可能な円卓の席──十三の席に座ることが許される騎士達が顕れた。
ロット王の推薦により、サー・ガウェイン卿。
湖の乙女に育てられた、サー・ランスロット卿。
アーサー王の義兄の、サー・ケイ卿。
アーサー王の付き人の、サー・ベディヴィエール卿。
特殊な形状の武具を持つ、サー・トリスタン卿。
ペリノア王の息子。サー・ラモラック卿。
ロット王の推薦により、ユーウェイン卿
他にも多くの騎士達を率いれ、王はキャメロットを統一した。
魔竜ヴォーティーガンが居た城塞はブリテン島そのものを己の領域と定めたアーサー王の、ムフェト・ジーヴァの力を使い、生態系を都合の良く書き換える力を使って、妖精達に白亜の城塞都市──キャメロットを造り上げた。そうして、アーサー王はブリテン島の統一を成し遂げた。
だが、しかし、ブリテン統一を果たした後、新たな問題が浮上する。
それは──『国』の問題だ。
ブリテン島は統一したが、それでは駄目だった。この世界には国がある。国とは人間である。人間は国を動かす。
そして国は人を動かしている。人は国の財産だ。人が居る限り国も消えることはない。
国が消えない限り、人も消えることはない。
故に、ブリテン島は統一しても、まだ終わっていなかった。
ブリテンは国の基礎が成り立っていなかった。
確かに群雄割拠していた各地に領地を持っていた部族、諸侯達が居たが、領地とこのブリテンとは規模が違う。
国を運営するための知識が足りなかったのだ。
「────」
白亜の城塞都市、キャメロットの豪華絢爛を極めた円卓の間で、アーサーは静かに瞑目していた。
彼は思う。
国というものの在り方について、深く考え込んでいた。
そして──ある決断をする。
それはブリテン島という枠組みから外すということ。
ブリテン島だけではなく、ブリテン自体の枠組みを変えるということ。
即ち─── アーサー王はブリテン島の統一を成すと同時に、世界の歴史を大きく変えることを決断した。
そして、それを実現させるために、一つの策を打った。
──ブリテンの人民が助けを求めたからこそ、私は立ち上がった。希望すら見えないブリテンの人民を導いてやろうと、立ち上がった。ブリテンには多くの敵が居る、外にも内にも、多くの問題を抱えている──私は全てを取り除こう。敵を排除し、問題を解決するとしよう。
故に私は、それ以上は何もしない、ブリテンの発展はブリテンに住まう者達がすべき事だ。私はいずれアヴァロンに向かう。
アーサー王は、選定の剣を抜いた時から、既に決めていた。
アヴァロンに行くこと。星との誓約があるため。
しかし、その前にすることがある。
ブリテンの統一を成し得ても尚、残る問題は多々あった。
まず第一に、円卓の騎士達の空席。
アーサー王の身内から高い知性と智謀を持ち合わせ、人民に近い視点を持つ──サー・ケイ卿
アーサー王に忠義を持ち、最も古くアーサー王に従い、円卓の騎士の随一の人格者──サー・ベディヴィエール卿
アーサー王とロット王の誓約により、エクスカリバーの姉妹剣ガラディーンを授かりし──サー・ガウェイン卿
湖の乙女が育てた、アーサー王を除く円卓の騎士の中でも最強と名高く──後に2人の姫の策略に嵌り妻として娶ることに成る──サー・ランスロット卿
マーク王のからの推薦と、その弓の腕前によりアーサー王が興味を示し──ランスロットと共に人生の墓場を囲まれていた──サートリスタン卿
ガウェイン卿の推薦により、獅子を連れた騎士の名を持ち、妻と共に安定の地を求めた──サー・ユーウェイン卿
現段階で6名の騎士が円卓に居る。しかし、この場に居ない者が4名存在する。
一人はロット王の誓約によりガウェイン卿の妹サー・ガレス卿。
サー・ランスロット卿の従兄弟に当たるポールス卿。
ペリノア王との誓約により、息子のパーシヴァル卿とペリノア王本人である。
第二に、アーサー王の後継者問題。
アーサー王の後継者問題は多くの騎士達の耳に入るが、どの騎士達も後継者として声を上げる者はいない。
アーサー王の後継者──即ち二代目騎士王の誕生は、誰もが早期に望んでいるが──アーサー王が成した偉業──ブリテン統一を始めとした、ウーサー王とマーリンがモルガンにやらかした事で確実と成った北の果て、オークニーとの確執に、北部との絶え間なく繰り返すピクト人と部族同士の争い。大体の元凶にしてエイリアンじみたサクソン人をブリテンに引き入れた魔竜ヴォーティーガンに、海を隔てた大陸からやって来るローマ軍による二度の大侵攻。人理と神秘の間引きで起きる歴史の大転換期の影響で生じた土壌問題や魔獣や妖精等の幻想種の対策。
これら全ての問題をアーサー王を主体として解決して来た。
故に、アーサー王の後継ぎが誰になるのか? 多くの騎士達はアーサー王の実子の誰かが継ぐと思っているが──実際は違う。
アーサー王は龍であるが故に既に性別という概念は無く、星が死に絶えるまで生き続ける事が可能なため子孫──子を作る必要性は無い。故に後継ぎは存在しない。
だが、それでは困るのだ。
アーサー王はブリテンの王であり、ブリテン島を統治する必要がある。
そこでアーサーは考えた。
アーサーは、自分の後継ぎは必要無いが、自分を継ぐ者は必要なのだ。
故に、アーサーは考え付いた。
自分には子が居ないが、自分の血を継いだ者がいる。
アーサー王の血を、モルガンの智慧を引き継いだ未完成の後継機──ホムンクルスの存在を。
アーサー王がホムンクルスの存在に気がついたのは、ホムンクルスがブリテンに隠されていたのこと、聖剣を取り込んだ事により、赤き龍の力を龍の姿を取らずとも力を使用することが出来ることから来る。アーサー王が、生命の循環を行う星の生命線を、ブリテンの霊脈を完全掌握している──生態系──生きとし生けるものを自由自在に作り替える力を、行使していた。
まだモルガンがブリテンの王に執着していた頃、アーサー王が選定の剣を抜いて、ブリテンの問題を解決するため東奔西走していた頃に起きた1度目のローマ帝国による大侵攻をアーサー王が単独で防ぎ、退却させた時に流した血をモルガンが何時の間にか採って居たのだろう。
あわよくば、アーサー王の力を受け継いだ後継を産み出そうという魂胆があったのかもしれない。
しかし、アーサーは知っていた。
ホムンクルスの作り方は、アーサー王とモルガンが知っている。モルガンが何かしらの目的のためにホムンクルスを作っていたことを。
アーサー王は、その目的がなんなのかは知らないが、恐らくはアーサー王を打倒する為の戦力増強だとは考えていた。
そして、アーサー王は一つの策を打った。
アーサー王の血を引く後継を作り上げ、その後継者をブリテンの王座に据える。
そうすれば、円卓の騎士達が欠けたとしても、ブリテンの民を導く事が出来ると。
だが、此処で1つアーサー王にとって予想外のことが起きた。
それは、モルガンが自らの智慧をホムンクルスに引き継がせた後──モルガンがブリテンの支配に全く興味を持たなくなったことだった。
モルガンの人生に於いて“ブリテンの支配”こそがその大半を埋め尽くしていたようにその執着は凄まじいの一言だったはずだ。アーサー王が率いる円卓に幾度も権謀術数の如く陥れようとしていた事もあるように、ほとんどの策略はアーサー王に潰されていたが。
モルガンの人生でオークニーで、ロット王の妻として落ち着いてくれるならアーサー王としても、アルトリウスとしても、喜ばしいものだ──だからこそ、ホムンクルスはアーサー王にとって都合が良かった。
円卓の騎士の空席も、後継者問題もアーサー王からしてみれば些細でしかなかった。
空席もいないのであれば、作れば良い。後継者もいないのであれば、作れば良い。
後継者の問題はどうともなる──後は空席を埋めるのみか……。
豪華絢爛を極めたブリテンの玉座、アーサー王はふと、そんなことを呟くだけだった。
凡そ、3年後──アーサー王の実娘を名乗る騎士──モードレッド・ペンドラゴンと名乗り、各地で怒涛の勢いで戦果を挙げ続け、アーサー王の時期後継者としてブリテン全体に知られていくことになる。
現在書こうと思ってるもの
アーサー王とロット王と妖姫モルガンとの話
アーサー王による後継者の育成の話
アーサーによる円卓相談室
彼方からの侵略者、星よ何をした(モンスターハンター要素)
アーサー王による騎士達の看取り。
今のところ書こうと思うのはこれくらいですかね