前回のあらすじ
買い物に出掛ける→ヴィヴィオ達とは別行動で回る→暫く経っても連絡無し→流石に可笑しい→フェイトさんが登場→焦った様子で此方にやってきてヴィヴィオ達が遅い理由を教えてくれた
どうも誘拐されたらしい
俺は重要参考人として六課に連れて来られた
そして此処からは俺も諜報部の局員として動く必要があるらしく、イクスには別室で待ってもらう事にした
「で、一緒に居たキャロ達は如何したんですか?」
「それが・・・行方不明との報告しか」
「行方不明?」
「はい・・・キャロ、大丈夫かな? 泣いてないよね? 一人だったら如何しよう、暗い所に閉じ込められたりでもしてたら・・・」
「落ち着いて下さい」
まぁフェイトさんは人一倍優しい人ですからそれも無理な話だとは思いますけど
しかし仮にもキャロも局員
誘拐された時の対処やマニュアルなんかは一通り目を通しているだろうから、安心とまでは言わないも動揺する必要は無い
「しかし、何故誘拐と分かったのですか?」
「これです」
渡されたのは、まるで告白の為に女の子が買ったのかと疑いたくなる程に乙女な手紙
何か開けたくないな
「えーっと・・・聖王ヴィヴィオは私が誘拐しました。安全は保障致しますので数日ほど黙って頂けると幸いです。しかし当然ながら騒ぎにしようと言うのなら命は保障致しません・・・何時も私は貴方を見ています」
何だろう、この文章。いや文章よりこの可愛らしい筆跡に注目すべきなのか?
記憶にあるような
「犯人は女性ですか? 理由は特定出来ませんが、最初からヴィヴィオ狙いみたいな事を書いてますし」
聖王だと知っている? そこが一番可笑しいんだよな、現在それを知ってるのは、聖王教会か、六課か、俺くらいなモンだと思っていたんだが
「それは早計です、筆跡の誤魔化しなんて幾らでも出来ますしヴィヴィオちゃんもキャロもまだ子供、悪い大人の男性の可能性も捨て切れません」
キャロとシロがそんな輩に負けるか?
「だけど、それにしたって全く連絡無しって可笑しくないですか?」
「ま、まさか行き成り襲われて意識不明なのかもっ!」
「落ち着いて下さい」
人の目が無くなった途端に慌てだすんですね
事情聴取どころじゃないな
俺も言う事ないから別に良いけど
「では、ヴィヴィオ、またはキャロ、またはシロを誘拐しそうな犯人の心辺りを言い合ってみましょうか」
一応ヴィヴィオ狙いと書かれているとは言え、居なくなっているのが三人である以上は犯人の狙いは実はヴィヴィオ以外でした。と言う展開も無くはない
「う、うん! そうだね! そうしよう!」
さて、そうだな・・・
「まずはベタな所で、むかし俺やキャロが捕まえた密猟者グループの一員」
「ちょっとはやてに言って潰して来る!」
「落ち着いて下さい」
ついでにせめて救出しに行ってくると言って下さい
物騒です
大体組織の位置特定とか出来るんですか?
義理の娘のキャロが誘拐されて、本当に動揺が刻一刻と深刻化していってるな
「犯人も手出しをしなければ何もしないと言っているのですから、落ち着いて考えましょう。執務官なら何時でも事件には冷静に向き合えと試験に有りましたよね?」
「・・・はい」
「あ、もう一つ確認ですが誘拐の内容を知っているのは六課ですか? それともフェイトさん個人ですか?」
「えと、ヴィヴィオちゃんは保護対象ですから、六課もこの誘拐には絡みます。そうでなくてもキャロは六課の大事な隊員ですから」
「そうですか」
となると大方俺が犯人として疑われているな
今回誘拐されたメンバーが抵抗すればどんなに頑張っても小規模の被害が起こって騒ぎになってしまう
しかし俺が犯人なら無抵抗での誘拐を可能とする・・・ってところか
ならイクスもやんわりと拘束されている頃か
「フェイトさんは犯人に心当たりは有りますか?」
「・・・私には思い当たる節は有りません」
そしてフェイトさんの無自覚を使った無自覚の探り・・・俺の考え過ぎだろうけどこんな策を使う人間を知っているんだよなー
ヒューズか八神二佐か・・・ま、考え過ぎか
フェイトさんがその気になれば本気で犯罪者グループの一つぐらい潰せそうだから怖い