召喚少女のリリカルな毎日   作:建宮

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百十話~side 雨水~

 

前回のあらすじ

 

歌が下手と指摘する→殺され掛ける→何故ヴィヴィオを守るのか聞かれる→ぶっちゃけると無理やりです→全員納得→時間稼ぎが成功したようでイクスがキレたようだ

 

冥府の炎王様の復活である

 

 

「敵性反応が増えてる?! 如何して、如何なってるんですかー!」

 

「一体何処から・・・クアットロ並みの幻術か?」

 

「・・・召喚魔法」

 

 

なるほど、イクスの情報は如何やら無かったらしい。流石はヒューズが頑張っただけはある

 

そして次々に火柱の様な黒い魔力が立ち上がりながら此方に段々と近づいてきている

 

恐らくガジェットを素材に作っているのだろう

 

当然無機物は魔力回路の作成が難しいので、人に比べて強さも発揮出来ないが、そこを数でカバーするのが冥王流である

 

 

「イクスが得意なのは数の暴力だしな」

 

「ん? イクス? イクスと言いましたか? あーなるほどー合点がいきました~」

 

 

頭の回転が速いな

 

やはり愛称だけで気付いたか・・・しかも名前だけで現象の全てを理解したって事は恐らくイクスヴェリアとしての情報を全て持っている可能性がある

 

 

「あのイクスヴェリアがこの場には居るんですかぁー・・・参りましたねぇー・・・チンクちゃんいける?」

 

「イクスヴェリアと言えば以前ドクターの協力者が研究していた冥王か・・・相打ちが良い所だな」

 

 

スカリエッティの協力者が? ・・・あーそれであんな機材が置いてあったのか

 

 

「あ、そ。お嬢様は如何ですかぁ~?」

 

「・・・知らない」

 

「ですよねぇー」

 

 

割と普通に俺に聞こえるくらいの声の大きさで相談し始める

 

完全に俺の存在を忘れているようだ

 

 

「やばいですねー、完全に数は逆転されそうで~す」

 

「撤退か」

 

「それがよさそうですねー・・・人質も居ますし」

 

「・・・ん?」

 

「確かあれは貴方の娘さんでしたねー。本当に父親に似なくて優秀そうで良かったですねぇ~・・・って事で貴方の娘を止める為に交渉材料になって下さーい」

 

 

・・・逃げよう

 

すぐに家の方に向かって走り出すが足元に何本かのダガーが刺さった

 

 

「抵抗は出来ればしないで欲しい」

 

「・・・アスクレピオス」

 

 

前回と同じくバインドで縛られ身動きが取れないようにされる

 

 

「・・・ガリュー運んで」

 

 

そして人型の虫に抱え上げられる

 

 

「有難う御座います、ルーテシアお嬢様~・・・じゃ次は私の出番ですねー・・・シルバーカーテッッ!」

 

 

紫と黒の入り混じった純粋な魔力が場を満たした

 

攻撃魔法でも防御魔法でも、ましてや回復魔法でも無い・・・ただ純粋に威圧する様に魔力が満ちる

 

誰もが其方を振り向き、俺を担いでいた虫も戦闘態勢に入る為に俺を降ろした

 

 

「見付けました、お父様」

 

 

燃える木々の中からマリアージュの騎士甲冑を身に纏った大人モードのイクスが現れる

 

昔とは違い完全に自分も戦場に立てるように編み出した姿

 

長い髪は乱暴に一つに結んで片手にダラリと戦刀を携える

 

 

「駆け付けで悪いけど、助けてイクス」

 

「もちろんです」

 

 

王様らしい厳格な雰囲気も返事をする時だけはガラリと変わって幼く見えた

 

 

「ッッ! ガジェット! 進行を止めなさい!」

 

 

ガジェット二型が空からイクスを襲う

 

まずマリアージュについて少し説明したい。マリアージュはけして弱くは無いが、有る程度の魔導師には負けてしまう、だからこその数なのだが・・・

 

そもそも弱点は何か・・・それは死体等を素材にしたせいで知能が極端に低い事にある。幾ら強くても馬鹿だったら意味が無い

 

しかしイクスには関係ない

 

イクスと言う知能があるのでマリアージュコアは百パーセントの力を発揮出来て細かな応用も出来る

 

つまりは

 

 

「邪魔です」

 

 

今のイクスに勝てる相手は極少数と言う事

 

ガジェット二型数機はイクスの戦刀の一閃で軽く壊された

 

 

「ちょ! 反則!」

 

 

確かに反則だ、明らかに間合いの違う戦刀で空の敵を討ち落としている

 

 

「此処は私が・・・ルーテシアお嬢様は雨水秋春を」

 

「分かった」

 

「オーバーデトネイション!」

 

 

眼帯少女ことチンクから投げられたダガーはイクスに当たる寸前で爆発した

 

 

「い・・・あな・・・おとう・・・殺・・・よ?」

 

 

何を言っているか爆音で分からないが、取り合えず物騒な発言をしていると言うのは何と無く分かる

 

そして爆発が止んだ場所にイクスは既に立っておらず、容赦の欠片も無くチンクを斬り捨てていた

 

 

「非殺傷設定になってない?!!」

 

 

真っ直ぐ俺の傍に居るルーテシアちゃんに斬り掛かろうとしたのでガリューが即反応し殴り掛かる

 

しかし柄で拳を打ち上げられてそのまま開いた胴を斬られた

 

 

「ガリュー!!」

 

「わー無双だ、無双」

 

「・・・ひっ!」

 

 

そしてとうとうイクスが俺のところまで辿りつく

 

 

「遅れました・・・私の活躍如何ですか? お父様」

 

「良く頑張ったね、偉いよ」

 

「えへへ」

 

 

バインドもすぐに斬ってもらい頭を撫でる

 

それにしても・・・笑顔は可愛いけど手に持っている戦刀が血塗れだからなー・・・俺の為と思うと・・・なんとも

 

 

「逃げたか」

 

 

隙を見てクアットロは逃げたようだ、次元転移の手段はルーテシアちゃんの魔法だけと思ったら自分だけ逃げ帰る方法も持っていたのか

 

チンクは瀕死の重傷でルーテシアがガリューを見て戦意喪失

 

残りのガジェットはマリアージュが勝手に駆逐するので一先ず今回の襲撃はこれで終わった・・・と思う




素材によるマリアージュの強さ(現在設定)

無機物10%(F~Dランク相当) 動物30%(C~Bランク相当) 死体50%(Aランク相当) 生者70%(A~Sランク相当) イクス100%(SSランク相当)

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