雨水秋春さん
通称、秋兄さん
今日はフェイトさんもルシエさんも一緒では無い
男二人で会う事になった
「うあぁーだるぅー・・・早いな」
ネクタイを緩め眠そうにしながら片手をパタパタして歩いてきた
反対の片手には仕事荷物を持っている
「ごめんなさい、急に・・・」
「ん? ああ、いいさ。待たせて悪いな、その辺の喫茶店で良いだろ?」
「はい!」
人は居るけど、それほど混んでいない喫茶店を選び入る
「あー、で。何の用だっけ?」
「その・・・雨水さんが様々な場所で講師をしているって本当ですか?」
噂に聞いた話では訓練校や難関の士官学校を始め、陸士部隊や武装隊の実戦部隊、教導隊のエリート部隊の所まで幅広く活躍していると聞いた
「講師は本当だがエリオが思っているような感じじゃないぞ?」
「ん?」
「んーっと、たま~に呼ばれては優秀な生徒いますか?とか、この子が最近伸び悩んでいるんですけど、とか持ち掛けられる程度だ。本職はロストロギア関係だしな」
つまり生徒を見定める選別眼と的確なアドバイスが出来るって事ですよね?
十分凄いような・・・それで本職は危険物のロストロギアって・・・
「あ、あの秋兄さんから見て僕ってみこみありますか?」
「見込み? なんの」
「まどうしのです」
秋兄さんは何だか面倒そうな顔をして右肘を付く
き、気分悪くさせてしまったのかな?
「それは、フェイトさんの為とか?」
「それもあります」
「も?」
「はい、僕もルシエさんのがんばってる姿をみせてもらいました。そして僕ももっとがんばりたいと思ったし秋兄さんに追い付きたいって」
「あーあーあー」
楽しそうに首を何度も縦に振って携帯端末からモニターを表示させた
そこにはこう書いてあった
ロストロギア鑑定士 魔導師ランクD 雨水 秋春
「くははっ、追い付くってエリオの魔導師ランクは平均的に見てC以上は行くし魔力変換資質の電気も持ってる。既に追い抜いてるって」
「え? え?」
あれ? 魔力変換資質の事、言いましたっけ?
「いやーまー、追い付くって言っても分野が違うからなー。エリオは前線部隊になると思うよ?向いてるし、近代ベルカって事は騎士になるんでしょ?」
「な、なんで、しってるの?!」
「アハハッ! 俺はエリオより複雑なロストロギア相手に鑑定士をしてるんだぜ? 大体分かるって」
やっぱり秋兄さんは凄い
僕の将来の目標には十分な人だ
「ん、意外と美味かったな。此処のケーキ、キャロに持って帰るか」
あれから話し込んでしまって夕方になってしまった
「フェイトさんにも買って行った方が良いでしょうか?」
「あーそりゃーもちろん。代金は持ってやるからフェイトさんの好きそうなのを選びな」
「ありがとうございます!」
◇◇◇◇◇◇
本局執務官のフェイトさんが多忙なことは知ってたけど、それでも僕との時間を作ってくれるフェイトさんを待っていた
「エリオ!」
「フェイトさん!」
面会時間はとうに過ぎている
でも、次の日に回したりせずにフェイトさんはやってきてくれた
僕はそれが嬉しくて今日の話を元気良く語った
「雨水さんには今度お礼を言わなきゃね」
「はい!」
「あ、ケーキ。ありがとね、エリオの選んでくれたの美味しかったよ」
「あ、い、いえ」
いま思ったけどフェイトさんと秋兄さんは何処か似ている
フェイトさんは包み込むように優しく凍った心を暖かく溶かしてくれる
秋兄さんは荒々しくてちょっと乱暴だけど優しく飲み込むように全てを受け入れてくれる
どっちも優しい、信じられない程に優しい、勿体無いほどに優しい
「フェイトさん」
「なに?」
「僕、魔道師テストをうけてみます」
だから僕もそんな二人みたいな人になる為に魔導師になりたい
雨水:現段階の役職 本職 ロストロギア鑑定士 副職 アルバイト講師