前回のあらすじ
ヴィヴィオの特訓→イクスのスパルタ教育→ヴィヴィオ逃走→イクスとゲーム→キャロの告白を聞いていたらしい→・・・恥ずかしい
それにしても本当に真剣に考えないといけないよな
キャロが真剣なんだから俺が不真面目に応える訳にはいかない
「ガウ」
「キュクゥ」
・・・なんでシロは子犬モードなんだろうか
特別意味は無いが、最近二匹と遊べていなかったので遊べと要求された
「まぁ別に良いけど・・・ま、仕事してるから、その辺でも走ってろ」
俗に言う放置プレイ
「ガウッ!」
「キュウッ!」
二匹に同時に噛まれた
しかも右足と左足にそれぞれだったので、痛みを抑える為にどっちを抑えようか一瞬だけ凄く悩んだ
結局は反射的に右足を押さえたんだけどね
「分かった、分かったよ。遊びますよー」
「ガウガウ」
「フリスビーか・・・んーお前らよ~く考えろよ?」
首を傾げる二匹が確り見ているのを確認して投げる
・・・壁に当たって落ちた
「な? 室内でする遊びじゃないぞ」
「わんっ! フリードとのコンビ攻撃!」
「チッ」
丸まったフリードを大人シロが投げる
俺は雑誌を筒状に丸めて打ち返そうとする
一本足打法
・・・が、フリードに雑誌が当たる瞬間にシロに左手で左手首を押さえられ右拳が左脇腹に当てられていた
「・・・やられた」
「やったー! 勝った~! いえ~い!」
「キュクキュク!」
リアル格闘ゲーム
「ってこんな遊びは禁止だ!」
「ガウ?」
戻りやがった?!
「・・・フリードは囮だったのか」
「ガウ!」
「キュ~ク~」
「作戦としては問題なかったけど、狭い空間でよく移動系の魔法が使えたね」
いや、待てよ
普通は壁に当たる危険性を考えて。と言い掛けて周囲の壁を見ると、何かの擦れた跡が付いていた
「なぁシロ?」
「ガウ?」
「お前、壁蹴っただろ」
シロは首を横に振る
「嘘付け! 明らかに蹴ってるだろうが!」
一度の直線的な移動魔法で突進すると、そのまま俺ごと後ろの壁に当たる可能性があるが、シロの取った方法は横や上の壁を蹴りピンポイントで俺の懐に跳び込み危険性を格段に減らしていた
だが当然壁には高速移動の跡が付いている
「ガウゥゥ!」
「都合悪いからって威嚇しても駄目だ!」
やれやれ、シロはもうちょっと思考も大人にならないと見た目が追い付いてないよな
子供モードなら少し大人びているくらいだろうけど
「あーそうだ、最近竜種の方は如何だ?」
「キュ! キュクキューキュクル!」
「・・・。」
分からん!
まぁ最早動物なら何でも来いのキャロの使役術があるから色んな心配は要らないか
「しかし、人間形態のシロと遊ぶのは簡単でもフリードが余る。が、逆に二匹ともそのままだとやる事ないんだよな」
「キュクル」
「ん? なんだそれ」
咥えている物を受け取ると写真だった
「どこから取り出したんだ? ・・・ルーテシアちゃんとキャロか」
これはチンクが撮影したのか?
ルーテシアちゃんが本を読んでいるのをキャロが覗き込んでいる
「ほのぼのだねー」
「それも雨水のおかげと思うと考え深いな」
ハートの眼帯を嵌めたチンクが扉の所に背を預けて立っていた
何処からツッコミを入れたら良いんだろうか
「眼帯可愛いな」
何時から立っていた? と聞こうと思ったら眼帯のインパクトにやられてしまった
「だろう?」
誇らしげだった
「ってか立ち聞きしていたのか? 普通に入っても良かったんだが」
「・・・ふむ、いや、なに、私は捕虜だからな。余り神出鬼没だと雨水も不安だろうと思ってな。私なりの気遣いだ」
「もう遅い」
「ククッ・・・まぁそうだな、今回はそれで許してくれ」
それ・・・写真か
「許そう」
「では、陛下の所に行く途中だったんでな」
「ヴィヴィオにおやつを食べるのは別に良いが余り多くは食べるなよって言っておいて」
主食がお菓子とは洒落にもならん
「了解した」
・・・それにしても、ヴィヴィオの所に行く途中だからって俺の所に寄らなくても良かったんじゃないか?
まさか本当に眼帯を見せに来た訳じゃあるまい
眼帯オシャレのチンク姉さんでした