召喚少女のリリカルな毎日   作:建宮

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百三十四話~side 雨水~

前回のあらすじ

 

シロやフリードと遊ぶ→何か良い遊びは無いか→フリスビー→却下→リアル格闘ゲーム→却下→チンクが通り掛かる→ルーテシアちゃんとキャロの写真ゲット

 

さて、予定では今日が六課の動く日なんだけど・・・

 

 

「キャロ、流石にこれは手抜きじゃないかと」

 

 

朝食に文句を付けるくらいは平和だった

 

 

「ん? それはイクスちゃん作ですよ」

 

「なに! イクスが料理をだと?!」

 

 

フレークと何か和え

 

一体これは何を混ぜたんだろうか

 

 

「秋春様に健康で居てもらう為に青汁を混ぜて見ました」

 

「色でまさかとは思ったけど」

 

 

え? 俺はこれを食べないといけない感じなの?

 

しかもイクスの気遣いが今日に限っては裏目に出ている・・・俺以外の人間にはそんな気を回してないようだし

 

 

「キャロ、取り替えない?」

 

「嫌ですよ、雨水さんはお父さんなんですから娘の頑張った料理を食べる義務が有ります」

 

 

義務付けまでされているのか

 

 

「ヴィヴィオは・・・って頂きますを言う前に食べ始めている?!」

 

「フレークおいしいねぇ」

 

「チンク!」

 

「あ、悪いが私はフレークには何も掛けない派なんだ」

 

 

そうですかい! なら、その手に持った牛乳をコップも無しに何処に入れる気だろうな!

 

 

「はぁー・・・まぁ不味くは無い・・・よな」

 

「食べないのですか?」

 

 

青汁の味しかしねぇよ

 

ん? 青汁にしては、やけに甘めだな・・・子供用とかってオチか?

 

 

「で、結局これには何が混ざってるんだ?」

 

 

あーでもやっぱり後味が苦いのは青汁だな

 

 

「単なるフレークと青汁と砂糖ですが?」

 

 

甘さはそれか~! 糖尿病になるわ!

 

 

「・・・なんで砂糖入れた」

 

「苦かったので」

 

「あーそれは仕方無いね」

 

「ええ」

 

 

と言う事はイクスはこれでも試食をしているのか

 

フレークだけだと栄養不足そうだから青汁

 

青汁だけだと苦かったので砂糖

 

・・・極端な料理法だな

 

 

「ま、それでもイクスにしては頑張ったんだよな」

 

「いえ、この程度なら当たり前です」

 

「ありがとな」

 

「あ、い、いえ・・・その・・・えと、秋春様が喜んで下さるのでしたら、何時でもお作りします」

 

 

いや、今日限りにしてくれ

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

嫌な朝食を完食した後に仕事部屋で口直しにガムを噛んでいた

 

 

「記憶が戻ったにしては制御が不安定なんだよな」

 

 

一度記録しておいたヴィヴィオの聖王の鎧のデータ

 

如何にも使っていると言うよりは能力に振り回されている感が否めない

 

 

「やっぱりオリヴィエとヴィヴィオ、別れているのが原因か」

 

 

記憶が戻ったと言ってもヴィヴィオがオリヴィエになった訳では無い

 

単に他人の記憶を継承したに過ぎない

 

そう考えると、よくまぁヴィヴィオはオリヴィエの記憶と混濁せずに居られるよな

 

 

「多少なら実際の所は混ざってるかも知れないけどねー」

 

「・・・あの」

 

「ん? うわっ! ル、ルーテシアちゃん?!」

 

 

行き成り背後に現れたルーテシアちゃんは驚く俺を不思議そうに見ている

 

 

「これ」

 

「だからチンクやルーテシアちゃんは何でそう気配を消して近づくのか」

 

 

手渡されたのは一冊の本

 

 

「あ、期限切れてる」

 

 

無限書庫貸し出し本

 

ユーノ司書長に謝っておかないとな

 

俺が借りた訳じゃないけど

 

 

「そうじゃ、ない・・・この文」

 

「ん、結構掠れてるね」

 

 

とっても便利な観察眼

 

 

「ベルカの王子は言いました「僕はキミが大好きだ」、そう言った彼の顔は何時に無く真剣で私も自然と顔が火照ってしまっている。そして私は「私も」と自然に返せていた」

 

「・・・ありがとう」

 

「恋愛物? んーやっぱりどの時代にもそう言うのが好きな人って居るもんだねー」

 

「みたい」

 

 

無表情に見えるが何処か満足そうなルーテシアちゃんに本を返して適当に何かしようかと考えた瞬間・・・見逃せない物が視界に映った

 

 

「ちょっとルーテシアちゃん待って!」

 

 

本を抱えている手の中に握りこんでいる物を奪おうとする、がひらりとかわされる

 

 

「・・・嫌」

 

 

だが、その握りこんでいる物のスイッチが押されたらしく音声が流れ出した

 

 

「僕はキミが大好きだ」

 

「「・・・。」」

 

 

明らかにさっきの音読したモノ

 

 

「えーっとルーテシア、ちゃん?」

 

「・・・ごきげんよう」

 

 

転移魔法で逃げた

 

 

「ちょ! ルーテシアちゃん?!!」

 

 

この後、転移魔法でルーテシアちゃんは巧みに逃走を図り壮絶な鬼ごっこを続けた

 

・・・何故か昼食の時間に返してくれたけど

 

無性に不安だ




愛は甘くて苦い

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