前回のあらすじ
八神二佐の病室に向かう→ヴィータ三尉とリインフォースツヴァイ空曹長に捕まる→何処か人気の無い個室に→色々謝りたいのだとか
まったく幼女二人が庇うなんて反則だよな
「ぅぅぁぅ・・・なぁホントに脱がないと駄目か?」
「え? 別に興味ないですし、好きにして構いませんよ?」
八神二佐遅いな
いい加減にしてくれないとヴィータ三尉が我慢の限界に・・・
「アイゼンの錆に・・・頑固な汚れに・・・」
「八神二佐~~!」
怒りで震えていたヴィータ三尉が急に静まり入り口の方を向いた
「ん? ようやくかな」
外に漏れた声に反応して八神二佐が念話でも送ったのだろう
「はぁはぁ・・・もう二人とも遠くに行き過ぎやって」
「久しぶりですね、八神二佐」
「・・・そう、やね」
暗い表情
如何やら思ったより負い目があるらしい
ヒューズとは大違いだ
「「・・・。」」
二人の微妙な沈黙にヴィータ三尉達はオロオロと交互に視線を送っている
「んん、いや、怪我も酷いのに連れ出す形になってしまってすみません」
「ええよ、うちの子達が元々の原因やしね」
「そうですか、これからお願いする立場としては気にしていたんですよ」
さて、八神二佐までも罰が・・・とか言って来ない内に話を纏めないとな
「そんなん気にせんでええって・・・で? 私に出来る事?」
「ええ、些細な事です」
用件を言って承諾取る
これをサクッと終わらせるのが一番か
「ちょっとした事情で、古代ベルカ式のデバイスが必要になりまして、八神二佐達が知ってる技師を紹介して欲しいんです」
「古代ベルカ・・・イクスちゃん・・・やったけ?」
ああ、そう言えば前に六課でイクスは古代ベルカ式ってバラしたっけ
「はい」
まぁ何故デバイスが必要かと言うと
取り合えず学院に行くのは別に構わないのだけど、何処の学院でも大方イクスの力は強過ぎる
模擬戦やちょっとした喧嘩でも大沙汰になる
なので制限を掛ける為に必要なのだが、管理局がミッド式主流なので、ベルカ式のデバイスマイスターが少なく、居たとしてもせいぜい近代ベルカしか対応できない
なので、直接古代ベルカの人から紹介してもらった方が手っ取り早い
と言う訳なのだ
「そのくらいなら別にええけど」
「そうですか、助かります」
「・・・。」
「・・・。」
またも沈黙
用件は済んだし帰って良いだろうか
「それだけなん?」
「それだけですけど?」
「んー雨水三士はもっと怒っててもええんとちゃう?」
一等陸士になったんだけどね
って言うか、そんな駄目出しをされても困るんだが・・・
「何で俺が怒ってないといけないんですか? 頼みも聞いて頂けて万々歳ですよ」
「私は雨水三士を犯罪者に仕立て上げたんよ?」
「別に陥れようと思ってした訳じゃないでしょうに・・・あくまでJS事件解決の策としてでしたよね?」
結果はともあれ
それでもあの策で無かったら、チンクやルーテシアちゃんやアギトが居ないだろうからね
チンクは別に自分がした事は償うべきだと今でも言っているが、ルーテシアちゃんは母親との生活があるのに償いで人生を削るなんて馬鹿馬鹿しい
「そやけど! 一杯迷惑掛けたの事実やん!」
「え? あ、はい、紛れも無い事実ですね」
「なら、なら・・・」
「八神二佐。何を求めているかは知りませんけど、貴方が思っているようなハッピーエンドは有り得ませんからね?」
これをすれば許されるとか・・・そんな都合の良い事は無い
「・・・そか、そうやな」
「そうです。では、また後日連絡しますので」
「分かった」
暗い空気は苦手なので早々退散させてもらおう
「じゃ、行きましょうか」
「ふぇ? リインもですぅ?」
「約束を果たしてもらうだけですよ」
融合騎同士
アギトとは気も合うだろうし愚痴も言い易いはず
と、そんな事を考えながら、流れるようにリインフォースツヴァイ空曹長と暗い雰囲気の部屋から脱出した
ヴィータ涙目です