目を開けて一番に見たのはヴィヴィオの笑顔だった
秋春様と期待していたのでやり直したい
などと思ってしまうのは悪いだろうか
そして目を逸らすと口に手を当てて顔色の悪い秋春様が居た
「秋春様・・・今回の事は何て言って良いのか・・・」
「イクスおねぇーちゃーん!!」
身を起こしながら声を出すと即座にヴィヴィオが跳んできた
「ヴィヴィオ?!」
少し驚いた
それより体の自由が利かない
異常では無さそうだけど・・・とてもダルい
「えへへ~ヴィヴィオだよ~」
「ちょ! 離れなさい!」
頬擦りしないで下さい!
「やぁだぁ~。おねぇーちゃん・・・ヴィヴィオたちは、いっぱいしんぱいしたんですよー」
「知りません! そもそも私は貴方が嫌いです!」
「ヴィヴィオはだいすきだよっ!」
いつもなら出せる気迫も出せてないのかも知れない
「ところでヴィヴィオ、なんで秋春様は体調が悪そうなのですか?」
今でも・・・ん? 紫の魔力残滓?
「えと、それはね? ・・・あきのまりょくを、えーいってイクスおねぇーちゃんにながしたんだけど、いきなりバチッってなってね・・・そしたらむらさきいろがバチバチッてなってあきがああなったの」
魔力を流して逆流?
だから秋春様の周囲に私の魔力残滓が漂っているんですね
「・・・。」
「イクスおねぇーちゃん?」
「はぁー」
寝ていても起きていても
「ヴィヴィオ・・・私は貴方が羨ましいです」
「おなじだね! ヴィヴィオもそうおもってる」
同じ?
それは私が羨ましがっていると言うのに気付いているって事ですか?
「ヴィヴィオもね? イクスおねぇーちゃんの、かっこいいところ、きれいなところ・・・つよいところだって、ヴィヴィオのもくひょうなんだから!」
「そんな使えないモノより貴方みたいに子供らしいモノが秋春様は・・・」
「あきは、ヴィヴィオもイクスおねぇーちゃんもすきだよ?」
「そんな事は分かっています」
秋春様は使えない私に対しても平等に優しいでしょうね
だから・・・なんですよ
「この平和な時代に私みたいな異物は必要ないのですよ」
「ヴィヴィオは、イクスおねぇーちゃんのそういうところはいけないとおもうよ?」
「いけないとは?」
知ったような
「んーっと・・・ありのままのじぶんでいい・・・かな?」
「有りの侭・・・戦いにしか特化していない私で秋春様にとって何が良いと言うのですか? 私は貴方と違って・・・」
「そこ」
「はい?」
「なんで、あきのためなの?」
は?
意味が分からない・・・ヴィヴィオも・・・聖王だって秋春様に救って貰っておいて・・・
「たしかに、ヴィヴィオは、あきや、いろんなひとに、たすけてもらったよ? それはかんしゃしてる・・・でもそれで、こんどはあきにしばられるの・・・あきもいやだとおもうよ?」
つまりは・・・秋春の為になろうとしていた私が・・・秋春様にとって重荷だったと言いたいのですね
「・・・ふふっ・・・ヴィヴィオ・・・つくづく貴方は好きになれない事を言いますね」
「ヴィヴィオはすきだよ~」
それならば・・・ヴィヴィオが良しと思う私を本当の意味でヴィヴィオに知ってもらう必要があるみたいですね
「貴方と私は相容れません・・・なので想いをぶつける為に・・・」
「・・・あ! うん! 分かった!」
ヴィヴィオも笑顔で、私もきっと笑顔
「戦争です」
「せんそうだね」
口から出た自然な言葉にヴィヴィオは怖がる事も無く笑顔で返した
王が持てる力を全て使うのですから、それはもう戦争ですよね?
「は? え? なにがあったの?」
随分と気分が楽になった様子の秋春様が今の状況を見て首を傾げている
・・・もう少しだけ迷惑を掛けます
「さて、秋春様。今回の原因を一から話したいと思います」
「うん、宜しく」
聖王と相打って・・・私は・・・果たしてどうなるのでしょうか?
ヴィヴィオの言葉を受けて変わりつつあるイクスです