召喚少女のリリカルな毎日   作:建宮

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百七十二話~side 雨水~

前回のあらすじ

 

おっちゃんに呼び出される→昔を懐かしみ会話→お互い子供は大変らしい→記憶に無い過去が知らされる→被害拡散防止の為に尽力

 

急いではみたものの、俺が女性寮についた頃には女子会らしきものが既に始まっていた

 

話題も運が悪く丁度その話だった

 

 

「はぁーまったくそれで慌てて来たんですか? 普通に当時の状況を考えて、そこまで深く想う必要は無いと思いますよ?」

 

 

キャロは俺とは違って余り深くは気にしていないようだった

 

 

「・・・なんかアッサリしてるな」

 

「秋春が動揺し過ぎなんですよ。それにお酒の入って浮かれた状態で言った言葉を真に受けるなんてバカバカしいです」

 

 

・・・はたしてキャロがその台詞を言えるのかは置いておいてなんか大人だ

 

 

「うっすいく~ん、なにキャロちゃんとヒソヒソ話してるのかなぁ~?」

 

「うわっ絡み酒!」

 

「むふふ、雨水くん、まだ独身なんだって~? まったくじれったいぞー?」

 

 

このッ! 明日も仕事だと分かっているのか、このメンバーは!

 

 

「じれったいって・・・結婚相手なんて早々見付かる訳ないでしょ」

 

「そうかな~? 案外近くに居たりすると思うけどなー」

 

 

突然視線を向けられ首を傾げるキャロ

 

 

「ないない」

 

「んーじゃお姉さんとかは~? まだ空いてるよ?」

 

「慰めて欲しいならアッチに行って下さい。俺にそんなスキルは無いです」

 

「そうする~キャロちゃんが怖いしねー」

 

 

キャロが?

 

 

「・・・。」

 

 

キャロは不機嫌そうな表情で俺たちを見ていた

 

・・・怒ってはないよな?

 

 

「どうした?」

 

「いえ、何でも無いです。いつまでもお酒じゃ駄目ですし、ジュースを取りに行きたいです」

 

「ふーん・・・ん? 俺も行く感じなの?」

 

「わたし一人に持たせる気ですか?」

 

 

了解

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

主役だったはずの俺らが既に脇役と化している気もする

 

まったく単に宴会開く理由が欲しかっただけじゃないだろうな?

 

 

「あの、秋春? わたしも・・・」

 

「あー大丈夫、見た目より重くないから」

 

「・・・有難う御座います」

 

 

ジュース置き場くらいは近くに置けば良いのにと思いながら会話が無い状態が続いた

 

 

「・・・あのっ!」

 

「ん?」

 

「・・・また・・・自然保護で働くのも良いと思いません?」

 

 

そんな事を考えていたのか

 

 

「それも良いね」

 

「ホントですか?! だったら!」

 

「でもイクス達の事も有るからね。ちょっと無理かな」

 

 

別にあの自然保護で働いてたまに帰ると言う形でも全然悪くは無い

 

それでもイクスの性格を考えると学院を辞めて付いて来るかもしれない

 

 

「そう、ですね・・・あーあ、わたし六課が終わったら何しましょう?」

 

「別に何でも良いじゃね? キャロくらいの召喚士だったら本局でも引っ張りダコだろうし」

 

「・・・そうですね。秋春やなのはさんが鍛えてくれた力は何処にでも通用する力ですからね」

 

 

汎用性はなのはさんがしっかり上げてくれたからね

 

再び静かになるとキャロは俺の方を何度かちら見しながらボーっと考え込んでいた

 

暫らくしてようやく決心がついたらしい

 

 

「決まりました!」

 

「聞こうか」

 

 

笑顔で見詰めてきたキャロにジュースを一本渡す

 

 

「フェイトさんみたいな優しい人になります!」

 

 

・・・えーっとつまりは

 

 

「執務官って事?」

 

「そうですね! なるべく現場での自由度が高い職に就こうと思います・・・そして秋春やフェイトさんがわたしに手を差し伸べてくれたように、わたしも泣いている子に手を差し伸べたいんです!」

 

「なるほどね。うん、良い夢だ」

 

「わたしはフェイトさんの娘で秋春の未来のお嫁さんですからね。きっと叶えてみせます!」

 

 

そうかそうか・・・フェイトさんの立ち位置はやっぱり母親なのか

 

前はお姉さんとも言っていた気がしたが・・・フェイトさん的にはどっちが良いんだろうな

 

 

「って、なにサラッと人の未来を巻き込んでくれてんだ」

 

「えへへっ」

 

 

子供っぽい笑顔だった

 

・・・いや、誤魔化されねぇからな?




自然保護隊でのゆったりライフも悪くないと思います

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