召喚少女のリリカルな毎日   作:建宮

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百八十五話~side 雨水~

前回のあらすじ

 

騎士カリム達と昼飯片手にチョコ店へ→途中騎士カリムが目立つ事に気付く→そこで騎士カリムが取り出したのは、ひげメガネ→・・・思わず笑いそうになった→その後、暫らくして財布を落としているのに気付き道を引き返した

 

引き返しながら記憶を辿っていると気付いたのだが・・・もしかしてスリにあったのではないろうか

 

 

「ま、疑っても仕方ないか」

 

 

気のせいと思うけれど、あの子供の謝るタイミングが如何にも早かった気がする

 

本来なら人にぶつかったら一拍置いて謝りそうだけど、あの子供はぶつかった瞬間に謝っていた

 

まるでぶつかるのが最初から分かっていたみたいに

 

 

「顔は見えなかったけど特徴は・・・覚えているんだよな」

 

 

あくまで予想だけど、あの子はこの近くにある廃墟地区の孤児と思う

 

ミッドは発展している地域は近未来風なのに、手の付けていない所は本当に放置されてテロ組織のアジトになっていたりする時がある

 

 

「取り合えずぶつかった場所に行ってみるか。あそこがあの子の縄張りかも知れないしね」

 

 

少し時間が掛かりそうだったので取り合えずアルフに断りを入れておいた

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

当初の予定では廃墟に出向く予定だったのだが、思いもしない所でアッサリ見つけた

 

 

「いや~大量大量!」

 

「ほほぉー確かに大量だが広げるを場所間違えているぞ」

 

 

ファミリーレストランの一席

 

家族連れに混じって場違いな格好の子供が居たのですぐに気付いた

 

 

「・・・チッ・・・どうしたの、おにぃーさん」

 

「動揺しないって事は初犯では無さそうだな」

 

「・・・。」

 

 

スリの子供は此方を睨みながらポケットに手を入れた

 

 

「そのポケットの中身は出さない方が得策だぞ。ナイフだろ?」

 

 

店の中で襲い掛かられて騒ぎになっても面倒なので手で制して合い席する

 

 

「勝手に座んなよ」

 

「俺の財布返してくれたら帰るよ」

 

「・・・もうオレのもんだ・・・ふんっなんなら局員でも呼ぶんだなっ」

 

 

べ~っと舌を出して子供は挑発する

 

俺がその局員な訳なんだけどさ

 

・・・しかし局員を呼ばれても平気とは何か秘策でも有るのか?

 

 

「別にその必要は無いさ」

 

「ふ~ん、とてもオレに勝てるとは思えないけどね~」

 

「お前みたいな、餓鬼一人に負ける程にひ弱じゃないんだけどね」

 

「試してみるか?」

 

 

スリの子供がテーブルの淵に足を掛けて飛び越えてナイフを取り出した

 

俺は反射的に弾の入っていない銃を構えた

 

しかし次の瞬間には子供はさっきと同じ座った態勢で笑っていた

 

 

「・・・幻術か」

 

「くははっ知るかよ、誰が教えるかって」

 

 

魔法陣が発生していないって事は最初から仕組んでいたのか?

 

だったら、いつから使っていたのか・・・

 

もしかしたら目の前の座っているのも幻術の可能性が有るな

 

まぁ観察眼で見れば良い話だけど・・・本物か

 

 

「それにしても早く返せよ」

 

「はッ! 嫌だね!」

 

「なら財布は返せ。カード付きで」

 

「そんな事を言うくらいなら、さっきの銃で脅せば良いだろ。子供のオレを捕まえて脅して好きにするとかなっ」

 

 

何かコイツは凄い誤解をしていないか? 俺にそんな趣味は無い

 

 

「お前がそうしろって言うならそうしてやるよ」

 

「「「シャンテお姉ちゃ~ん」」」

 

 

懐に入れた右手を止めた

 

声のした方を見ると数名の孤児

 

ああ、だからファミレスに居たのか・・・ん? お姉ちゃん?

 

 

「ばッ! 馬鹿! なんで来たんだ!」

 

「呼んだのはシャンテお姉ちゃんだよ?」

 

「・・・ぁぁ」

 

 

お姉ちゃんって言ったよな?

 

それはつまりこのスリを行った餓鬼が女の子って事か?

 

・・・全然分からなかった

 

まぁそもそも服も髪もキチンと整えてないし、男みたいな口調だから分からないのも当然か

 

 

「この人だぁれ?」

 

「お姉ちゃんの知り合いの局員かな」

 

「局員なの・・・シャンテお姉ちゃんの知り合いなのに?」

 

 

局員と言う言葉には警戒を示したがシャンテちゃんの事は信用しているらしい

 

横に座るように言うとアッサリ座ってくれた

 

 

「さて、俺の財布を返せ。流石にこの子達を怖い思いにはさせたくないだろ」

 

「くっ・・・この下種野郎が」

 

 

お前が言うかよ

 

投げ付けてきた財布をキャッチする

 

 

「・・・中身は使ってなかったのか」

 

「今から使う予定だったんだよ。オレの家族とな」

 

 

家族ね

 

見たところ血の繋がりは無いのだろうな

 

 

「えーっとシャンテちゃんの妹で良いのかな? まぁ昼食は済んだ?」

 

「いもうとじゃないよぉ~。あと食べてなーい」

 

「なら今日は俺が奢ってやるよ」

 

「「「わ~い!」」」

 

 

シャンテちゃんに大丈夫か確認を取ろうと見てみると窓の外を向いて誰かの財布でジャグリングをしていた




シャンテの更正前の口調は作者の想像となっております

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