前回のあらすじ
新人は雑用!→料理作成・・・あ、焦げた→勢いでおっちゃんのも焦がす→キャロが発見→夕食の席で俺の目の前に二つの炭が→キャロがやり遂げたみたいな爽やか→おっちゃんからも笑顔を送られる→決心して試食→まぁ予想通りの味→数日、保護隊の雰囲気にも慣れた所で危険の少ない場所に→たまに遭遇する家族等と世間話→怪我した子魔狼を拾い放置は不味いので持って帰った
「危険地区の動物だな」
「へぇー」
「群れから逸れたか捨てられたか」
どちらにしても一時的に保護する事に変わりは無いそうだ
少し様子を見ているとキャロは帰ってきた
「雨水さん! 保護をしたどうぶつは大丈夫でしたか?!」
「いまは寝てる。魔法って便利だな!」
おっちゃんは治癒魔法を使えた
観察眼で見ていたが確かに傷は治っていっていたし本当に魔法とはビックリだ、俺も早く使いてぇなぁー
「かわいいぃ」
「キュッ?!」
フリードがボソッと言ったキャロの言葉に過剰反応した
俺はフリードの口の端から火が漏れていたなんて見てない。うん、幻覚に違い無い
「さて、一時的だが保護する事になった。以上」
「ほんとですか! やったぁ!」
「やったぁーって俺等はコイツの群れ探しで面倒になる予定なんだがな」
生息地域が分かってるだけでも救いか
流石に分かってなかったら諦めるぞ、俺は・・・
「わたし頑張ります!」
「そうか! 頑張ってくれるか!」
「・・・雨水さんも頑張りますよね?」
「もちろん! 七時から一時、二時半から六時の間な! あと時々五分休憩!」
「きんむじかん?」
当然自然保護隊にそんな目安の勤務時間など通用しないのはおっちゃん達を見ていて分かるのだが、それでも暗い森の中で狼の群れ探しなんてやりたくない
「名前は何にしようか」
「え?」
「名前だよ、名前、決めてないと色々不便だろ?」
「わ、わたしが決めてもいいですか!!」
「ポチで良いだろ」
犬っぽいし
キャロの意見は・・・却下、任せると乙女チックになりそうだし
「ちょ! 幾らなんでもポチはこの子がかわいそうです! もっとちゃんと考えてあげないと!」
「名前なんて分かりやすさが一番なの、無駄に変な名前になるよりメジャーなのが一番だ」
「そんな事ありません!」
「はぁーなら保護隊の皆に多数決で決めてもらうか」
「望むところです!!」
結果・・・俺、惨敗
理由として幾つかあったがその一つ
「お前、犬じゃないんだからポチは無いだろう」
と男性陣から言われ女性陣からはキャロを軽くうるうる状態にさせた事を数人に渡り交代で説教された
◇◇◇◇◇◇
「シロ! フリード! おいで!」
「ガゥ!」
「キュクー!」
魔狼の名前は正式にシロと決定
「・・・ってキャロォ! 昨日も言ったがシロって発想的に俺のポチと大差ないだろ!」
あれだけ保護隊女性陣に説教された結果がこれとは俺が報われない
「大差あります! ポチだとなんか、ああ、犬だなぁ、って思いますけどシロだとちゃんとこの子って区別が付きます!」
「フリードも白いじゃん!」
「フリードはアルザスの龍です!」
訳の分からない言い分に混乱しそうになるが結局の所、どうせ群れが発見できればそれでお別れだろうし、ポチって名前に深いこだわりがあった訳じゃない
割り切ろう。うん、美少女類のキャロが笑顔なんだしそれで良いじゃん?って感じで
「雨水さん! シロはもう大丈夫なんですか?!」
「んーまぁー外で歩く程度には大丈夫でしょ完全回復には一週間は欲しいけどね」
「わたしが面倒をみます!」
「ん、頑張れよ」
それから一応治ったシロの躾は俺に任された
んーこう言うのは保護するのを喜んだキャロがするべきじゃ・・・キャロが躾をする性格に向いてないのは分かるけどね
甘いし優しいし可愛いし
飴がキャロで鞭が俺か・・・側からみたら良いコンビか?
「まったく、一応群れに帰るまでとは言えキャンプに居る以上はそれなりにキチンとしろよ」
「ガウッ!」
講師の才
他人への教えがとても上手いスキル・・・てっきり人間限定だと思っていたのだが、シロの言葉の理解や特技の取得のスピードが幾ら頭の良い魔狼とは言え異常だった
恐らく動物にも作用しているのでは無いかと推測
これは思わぬ収穫だったな
魔狼の名前ですが最初はもっと長いのを考えてましたがチェックする内に子供が考えた名前じゃないなと気づき見た目からのシロと言う名前になりました