召喚少女のリリカルな毎日   作:建宮

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二百話~side 雨水~

前回のあらすじ

 

聖王教会庭園でユニゾン実験→女性化は成功→ユニゾンも同じく成功→そして魔法使用を試す→その際にアギトが大技を使い魔力を大きく消費し気絶したと思われる

 

目を覚ましたのはベットの上だった

 

はぁアギトには最初から言っておくべきだったな

 

 

「お父様!」

 

「おはよっ」

 

「え? あ、はい。大丈夫ですか?」

 

 

イクスだけか

 

他は忙しいし、帰ったかな

 

後で礼を言っておこう

 

 

「えーっと、どれくらい寝てた? 時計を見ると二時間くらいか」

 

「そこに更に二日と言う時を追加させてもらいます」

 

「二日と二時間か・・・消費魔力から考えて妥当か」

 

 

空間殲滅魔法なんて使いやがって・・・幾らユニゾンの相乗効果を考えても魔力が足りない

 

 

「アギトを怒ってないのですか?」

 

「怒ってないけど・・・もしかして・・・アギトを呼んできて」

 

「・・・。」

 

 

ゆっくりと視線を横に動かすイクス

 

そして同時に小さく窓を指差している

 

 

「ん? 外に居るのか?」

 

 

首を横に振った

 

・・・此処は二階なんだが・・・まさか空中なんて言わないよな?

 

 

「そこの閉まってるカーテンを開けてもらえる?」

 

「・・・あの、実は事情が有りまして・・・取り乱してしまって・・・」

 

「いいから開けなさい」

 

「・・・はい」

 

 

開けると縄で縛られたアギトが宙吊りにされていた

 

解けた髪が濡れていて意外と長髪だったんだなと感想を抱く

 

 

「イクス」

 

「はい」

 

「外は雨?」

 

「いいえ、此処数日は良い晴天でした」

 

 

・・・イクスが行った事が何と無く想像出来たので急いでアギトを救出した

 

 

「うわっ洋服まで濡れてるし! イクス! タオルと服!いますぐ!」

 

 

反省している様子のイクスは走って部屋を出て行った

 

 

「うあ、アキ、ハルぅ」

 

「脱がせるぞ!」

 

「ふぇ? ふぁ、らめぇ」

 

 

さっさと服を脱がせるとベットの中に入れて布団に包んで抱き抱えた

 

ん? いま、妙な魔力

 

 

「へぇ契約ってこう言う事なのか」

 

 

シロとは書類上での使い魔契約だから、実際に魔力を渡している訳では無かったが・・・

 

この感覚が対象とリンクした感覚なのか

 

 

「アキハル、ゴメン。うれしくてヤリ過ぎた」

 

「いや、それは如何でも良い」

 

「え?」

 

「ちょっとくすぐったいかも知れないけど我慢してね」

 

 

胸の中心を触る

 

リンカーコアがこの辺か

 

観察眼

 

 

「持ってきました! ってお父様?! なにを!」

 

「ん? ちょっと検査」

 

「検査・・・あ、検査ですか。何か有りましたか?」

 

 

近くに居たのがイクスで良かった

 

イクス以外だったら簡単には信じてくれないからな

 

 

「有ったよ」

 

 

とても残念な事と嬉しい事の二つが分かった

 

 

「聞いても?」

 

「ああ、イクスなら聞く権利が有る事だからね・・・俺さ、もしかしたら魔法が使えなくなったかも知れない」

 

 

イクスの行動は速かった

 

俺は意識せずに反射的にアギトを庇う姿勢になっていたらしい

 

気付いた時には、鋭利な戦刀が突き出した腕の服を斬って静止していた

 

 

「はぁはぁ」

 

 

荒い息遣い

 

 

「イクス落ち着いて」

 

 

相当ショックを受けたのかリミッターを壊す程に興奮している

 

 

「殺す! 絶対殺してやります! 秋春様の魔法を! 優しい魔法を!!」

 

 

完全に我を忘れて魔力を垂れ流している

 

 

「まぁまぁ、元々執着は無いから気にしない。でも収穫は有ったみたい・・・たぶんリンカーコアが繋がって・・・いや、何かプログラムを打ち込ま・・・まぁともかくユニゾンが自由に出来るようになったみたいだ」

 

「はぁふぅぅ」

 

 

それにしても俺の魔力を増幅して力にするなんて術式が気になるな

 

適合者が低魔力量でも良い様に補助プログラムでも有るのか?

 

アギトは古代ベルカの純粋融合騎だから、隠れたプログラムが二つか三つくらい出てきても驚きに値しない

 

それだけ戦乱期ベルカ技術はブラックボックスなのだ

 

 

「俺の為に怒ってくれて、ありがとね」

 

「・・・秋春様が・・・秋春様が余りにも怒らないから・・・でも、秋春様が魔法の練習しているのは知っていますから・・・だから、それが無駄に・・・」

 

「ハハッ無駄とは酷いな」

 

 

それだって立派で貴重な実体験の一つだ

 

 

「って話の中心人物は寝てるし」

 

「・・・はぁー・・・お父様」

 

「ん?」

 

「ルシエさんの前なら悲しめますか? お父様は、私の前では涙は見せません」

 

 

予想していなかった言葉だったので少し驚いて黙ってしまった

 

イクスはそんな俺を見てから悲しそうに笑って部屋を出て行った




雨水の魔法力が絶望的になりました

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