召喚少女のリリカルな毎日   作:建宮

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二百七話~side 雨水~

前回のあらすじ

 

騎士カリムに呼ばれる→シャンテちゃんが修道服を着ていた→見習いシスターさんらしい→騎士カリムがビックリさせようと迫る→が、シャンテちゃんが少し驚いた程度で失敗に終わる→そして騎士カリムが部屋まで案内

 

てっきり学校の話と思っていたのだが、思ったより重要な案件らしくシャンテちゃんとは一回お別れになるらしい

 

締め切った部屋で騎士カリムが壁に並ぶ本から何かを探している

 

 

「えーっと、まずはー・・・イクスさん達は元気ですか?」

 

「え? まぁ元気ですが」

 

「うん、なら定期報告は大丈夫っと」

 

 

おいおい、その程度の確認で定期報告を決めちゃって良いのか? と思わなくもないが根掘り葉掘り聞かれると、それはそれで危ないので有り難く好意として受け止めようと思う

 

 

「んん~! ぷはぁ~」

 

 

大きく背伸びをする騎士カリム

 

この人との会談は本当に先が見えないな

 

 

「雨水さん、シャンテに会って聞いたと思うのだけど、現在私達が保護している孤児数名を学校に通わせたいって思っているの」

 

「ええ、聞きましたよ」

 

「それでね? 精密検査を一度受けないといけない決まりなんだけど・・・」

 

 

精密検査か

 

まぁ最低限魔法の適正が有るのかなどは必須だよな

 

 

「けど。如何しました?」

 

「うん、実は子供達は管理局での検査を嫌がってる・・・ううん、怖がってるの」

 

「ええと・・・聖王教会で行えば良いのでは?」

 

 

怖がっているね

 

シャンテちゃんがトップに居たから比較的マシな生活を送ってる方だと思っていたんだけどな

 

一昔前の管理局のせいか

 

 

「聖王教会はベルカ式主体に魔法の検査は行っているから、ミッド式となると無理が出るの」

 

「なら、民間の病院では?」

 

「確かに民間でも検査は出来るけど・・・魔法の精密検査となると管理局が独占しているわ」

 

 

そうだっけ

 

んー確かにそう言えば管理局経営の病院でしか検査を受けて来なかったような気もする

 

 

「いまの管理局なら有る程度は信用できるけどね。たぶんだけど昔はレアスキル保持者などを管理局で確保しておきたかったんじゃないかしら?」

 

「名の通り管理したかった訳ですか」

 

「そのとおりね」

 

 

で? 俺に如何して欲しいのかが分からない

 

 

「ふふっ、別に難しい事を頼むわけじゃないわ」

 

「ん、顔に出てましたか」

 

「うん。貴方が私が背伸びをした時に胸に目がいってたのも気付いていたわ」

 

「他の人には黙っていて下さい」

 

 

基本俺の周りの子達は暴力で会話をしようとするので・・・

 

 

「お願い聞いてくれたらねっ」

 

「何でも言って下さい」

 

「子供達の精密検査を貴方にやって欲しいの」

 

 

ちょっ! 俺はロストロギア専門ですよ?! まぁ観察眼ならその程度は可能だけどさ!

 

 

「・・・困ってるみたいだけどロストロギア以外も可能なのね」

 

「表情読むの止めてもらえません?」

 

「ごめんなさいね、トップとしての癖みたいなモノなの」

 

 

理解は出来る

 

人を見る目を養うのも上の仕事だからな

 

 

「これでこの件も解決ね! あ、やっと見つけた!」

 

 

話し始めてずっとうろうろしていた騎士カリムがようやく何かの本を一冊引き抜いた

 

 

「なんですか? それ」

 

「覇王と聖王の恋物語! 結構史実とは違うんだけど好きなのよね」

 

「・・・あーそうですか」

 

 

騎士カリムやっぱり女性らしい趣味をお持ちですね

 

 

「雨水さんも読んでみない? 少し長い話なので家でゆっくりと」

 

「それはつまり本人の目の前で読むって事ですか?」

 

 

殆ど完璧に記憶を継承しているヴィヴィオに見付かったら何を言われるか・・・

 

 

「ふふっそうなるのかしらね・・・そうそう、覇王家は確か残っているはずなの」

 

「本当なんですか? へぇ~戦乱期で生き残った家系が・・・ヴィヴィオやイクスは何かの縁があれば廻り合わせがあるでしょうね」

 

「特にヴィヴィオさんは・・・きっと否応無く出会うわ」

 

 

ああ、確か覇王は死地に赴く聖王を止めようとした人物だったな

 

・・・恋仲って説が浮かぶくらいだし、将来的な話でヴィヴィオが連れてきた彼氏が現代の覇王なんてオチがあったりしてな




覇王と聖王に関しては色々諸説があるみたいです

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