召喚少女のリリカルな毎日   作:建宮

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二百八話~side 雨水~

前回のあらすじ

 

シャンテちゃんと再会→イクス達の定期報告→聖王教会で預かった子達の精密検査をする事に→騎士カリムが探していた本を発見→覇王と聖王の恋物語

 

一難去ってまた一難

 

今日はイクスの授業参観日である

 

まぁイクスはヴィヴィオより落ち着いているし、心配する事もないんだろうけどね

 

 

「学年がちょっと違うだけで結構大人びた子が多いな」

 

 

今日は時間通りに来れたおかげで注目される事なくクラスに入れた

 

 

「あれ? なにこれ」

 

 

何かがおかしい

 

別に教師の言う事に反抗しているとか無視しているとかそう言った感じでは無い

 

だけど授業に集中している様にも思えない

 

・・・イクスを中心に明らかにクラスの雰囲気がおかしい

 

 

「もしかして緊張してるのかな」

 

 

簡単に言えば張り詰めた空気

 

教師に至っては電子黒板から振り向く気配が無い

 

 

「・・・ん?」

 

 

一瞬だけ視線を感じた

 

見渡すと碧銀の髪の少女が妙に気になった

 

 

「先生」

 

「は、はい! なんですか、雨水イクスさん」

 

 

唐突にイクスが立ち上がり教師を振り向かせた

 

 

「あの、気分が悪いので席を替えても良いでしょうか」

 

「え? あ・・・その席の人が良いと言えば?」

 

 

良い訳ないのだけど教師もイクスの気に圧されたのだろう

 

イクスはスタスタと歩いて一番後ろの俺の目の前の席の子の所まで来た

 

 

「退けろ」

 

「はい!」

 

「・・・コラ」

 

 

思わずイクスにデコピンをした

 

ざわめくクラス

 

 

「あのイクス様にデコピンってあの人誰?!」

 

「あ、噂の相談の!」

 

 

イクス様って普段どんな行動をしているのかイクスには聞いておかないといけないな

 

 

「あ、あのお父様?」

 

 

更にざわめきが強くなる

 

ふと碧銀の少女が気になったが、彼女だけは他の人が此方に注目しているのに対して興味無さそうに前を向いていた

 

 

「イクス。お前緊張し過ぎ」

 

「はうっ・・・だってお父様が私の情けない姿を見に来ると思ったら・・・気を張ってしまい」

 

 

情けない姿

 

恐らくイクスは勉強面の事を言っている

 

イクスはヴィヴィオと違って完全に戦闘特化の才能の持ち主なのでハッキリ言って勉強の方はヴィヴィオ以下だ

 

本人もそれを良くは思ってないようで、つまりはクラスを脅して自分に質問されないようにしようと目論んだつもりなのだろうな

 

 

「気を張るとそうなるのか。落ち着け」

 

 

頭を撫でてあげると椅子に座り込んで蕩ける

 

あ、やべっ目立ち過ぎた

 

 

「さ、先生に謝って素直に席に付きなさい」

 

「はい。迷惑掛けましたね・・・ええと、クラスメイトの方」

 

 

如何やら同じクラスだと言うのに未だに名前すら覚えて覚えていなかったらしい

 

イクスは前の教師に頭だけ下げて元の席に戻った

 

 

「・・・。」

 

 

しかしよく見ればイクスの周りの席には少し違和感を感じる

 

一応ザンクトヒルデは男子生徒も女子生徒も居る訳だけどイクスの周りには女子生徒しか居ない

 

当然クラスには男子生徒が存在するにも関わらず

 

 

「偶然か?」

 

 

注がれる視線も若干クラスメイトと言うよりは尊敬する年上のような視線にも思える

 

・・・無意識のカリスマのせいだろうか

 

 

「・・・まぁイクスはヴィヴィオより感情を表に出し易いからな」

 

 

逆だと思われがちだけど、イクスはすぐ感情を表に出し、ヴィヴィオは心の奥にしまって平然と笑う

 

この姉妹は見た目と中身のギャップが激しい

 

 

「カリスマ自体は悪い事でもないから良いけど・・・少し抑えるくらいは覚えさせるか」

 

 

本人は生まれ変わったつもりでも生粋の王様だから一般人には余りにも強すぎるカリスマ性だ

 

・・・まぁだとすると、やっぱりあの碧銀の少女が異様に無反応な気もするが・・・騎士の家系なのかな?




イクスは同学年内ではそれなりに有名人物と化しています

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