前回のあらすじ
無限書庫の帰り→違法ベルカに絡まれる→違法ベルカの大本はスカリエッティと接点?→ともかく俺に恨みがあるらしい→全く見に覚えが無い
未曾有のピンチ
アームドデバイスを構える男と銃一つを構える俺
銃と聞けば案外如何にか出来そうに聞こえるかも知れないが、魔導師相手に拳銃なんて玩具となんら大差無い
「ちょっと最後に良いか?」
「あん? なんだ? 今更命乞いか?」
「そうそう、今更な命乞いだよ。せめて命乞いくらいさせてくれ」
数分稼げば良い
数分で局員がやってくる
「へぇここまで情報通りだと怖くなるな」
「は?」
「いや、どうせお前は何かしらの方法で人を既に呼んでいるんだろ? だから、この命乞いは時間稼ぎ・・・まぁ相手にする必要は無いよな」
「おいおい、そこまで俺の事を調べられてると、重度のストーカーかと疑うぞ」
「結局そうやって時間稼ぎか」
剣をくるくる回し大振りに振ってきた
流石にかわして下さいってレベルだったのでかわして至近距離から撃つ
「・・・だから非殺傷設定が付いてない質量兵器を平気で撃つか?」
「撃つね」
「身体能力は一般人並み。現在の魔力量は子供以下、融合騎無しでは魔導師との戦闘は不可能に近い。注意するべき点は冷徹な思考と相手の行動を把握できるレアスキル」
別に俺の観察眼は相手の行動を把握する訳じゃないんだけどな
「ホントにそのストーカーさん、誰?」
「ハハッ実は俺達も名前は知らないんだよ。いや、アイツはもしかしたら自分も自分の名前を知らないかも知れないけどな」
「・・・さっきから意外と色々喋ってくれるよな」
「いま喋ってるところも、どうせアイツは見てるはず。それなのに俺が処分されないって事は喋っても良いって事だろ?」
・・・確かに一理あるな
あれ? でも、そんな天才染みた奴がサポートしているなら局員駆け付けてくるか?
「なぁもしかして結界を張ってたり・・・」
首を縦に振られた
後ろに向けて全力ダッシュ
「あ、おい! 待て!」
待てと言われて待った奴なんか居ない!
◇◇◇◇◇◇
結界の範囲はそこそこ広い
端にぶつかって壁伝いに走ってみると恐らく円形の結界と言う事が分かった
「ふぅアイツは身体強化の魔法の使ってなかったよな」
身体強化の魔法はベルカ式の基本
だとすると、アイツはベルカ式を取得して、ミッド式より対人戦において強くなっているが使いこなせるようになっていないようだ
「こんな端末のSOS信号だと簡単に遮断されちゃうしなぁー」
観察眼で見ていたところでは綻びは無かった
素直にやられてみるか?
上手くいけば結界も解ける・・・失敗したら俺はそのまま人生を終える事になりそうだけど・・・
「やっと追いついたぜ!」
「なぁ見逃してはくれない?」
「無いな」
「なら素直に攻撃を受けようと思うんだが手加減してくれない?」
「・・・それは、有りなのか? んーしかしこのまま逃げ続けられても困るからな」
こちらとしては有りと判断して欲しい
それにしてもコイツの依頼主は何も言ってこないな
「よしその提案を受けよう。もしもお前の運がそれなりに良かったら、攻撃している間にOKが出て結界が解けるかもな」
「うわぁ自分で言ってながら嫌な提案だ」
「大丈夫、大丈夫、依頼主は可愛い少女だったから意外と血には弱いかも知れないぜ?」
とても低い可能性を言われている気がする
「可愛い少女なのか、興味有るな」
「ハハッそりゃおっさんよりは興味は沸くよな」
今度こそとアームドデバイスに魔力が注がれる
さて心の準備は出来たぞ~
・・・と、言う訳で俺は避ける事なく男の攻撃を受けた
雨水が勝てるはずがない