召喚少女のリリカルな毎日   作:建宮

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二百二十四話~side フェイト~

違法ベルカ

 

最近発生した事件で数にして既に六件

 

分類として小規模な対人事件として処理去れていた為、執務官だけで対応出来ると判断されていた

 

 

「雨水さんの言ってた言葉・・・如何しよう?」

 

 

フェイトさん。もしかしたら、この事件はもっと大きな事件の可能性が有るので、せめて一個隊くらいは直ぐに動けるように要請しておいた方が良いですよ

 

 

「それに雨水さん、第三者の関与って言ってたけど。もっと何か知ってる顔してた」

 

 

・・・それより・・・三十分って言ったのに二時間経ってた

 

自分で言うのもなんだけど、かなりダラしない格好を見せてしまった

 

 

「ぅぅ恥ずかしい」

 

 

雨水さんは悪くないって分かってるけど、もっと気を使ってくれても良かったのではと思ってしまう

 

 

「ん? 雨水さんから電子メール」

 

 

さっきの事かな?

 

開いてみると一言だけ人物の名前が書いてあった

 

 

「ジェイル・スカリエッティ」

 

 

なんで今更スカリエッティの名前が?

 

他に前後文が無いから意味は分からない

 

 

「フェイトさん!」

 

 

私が悩んでいると慌てた様子でティアナがやってきた

 

 

「ティアナ? 別世界での調査じゃなかったっけ?」

 

「違法ベルカ事件で新たな被害者が出ました!」

 

「被害者の状態! あと現場の場所に犯人は?!」

 

「重傷です! 場所は付近! 犯人は駆け付けた局員を振り切って逃走、現在追跡中です!」

 

 

そんな・・・この付近? 争ったような魔力反応は無かったのに・・・結界で隠蔽していたとしたら、かなり高度な技術が使われている

 

 

「ティアナ! ごめん、片付けお願い! 私は先に現場に行くね!」

 

「はい! 端末に現場は送ってます!」

 

 

流石ティアナ、仕事が速いな

 

念の為にバリアジャケットを着て急ぐ私の脳裏に雨水さんからの電子メールの一言が過ぎった

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

現場には地区の担当局員が集まっていた

 

 

「失礼。この事件を担当する執務官のテスタロッサです。現状の説明をお願い出来ますか?」

 

「はい、もちろんです。現在現場捜査中です。被害者は一刻を争う状態だったので、既に局の病院に搬送しています・・・あちらが被害者の持ち物です」

 

 

言葉通り既に被害者は居なかったけど誰だか直ぐに分かった

 

 

「これ・・・さっき雨水さんが着ていた上着と一緒?」

 

 

偶然だと思いたい

 

だけど上着から音の鳴る端末の画面を見て核心した

 

 

「・・・もしもし」

 

 

この子には伝えないといけない

 

 

「お父様?」

 

「えと、イクスちゃん」

 

 

ブチッと即切れてもう一度鳴った

 

 

「・・・もしもし」

 

「・・・。」

 

「イクスちゃん?」

 

「やはり、お父様の・・・誰ですか」

 

 

疑いの声色

 

 

「フェイト・テスタロッサ・ハラオウンです」

 

「・・・ああ、ルシエさんの」

 

 

そっか、キャロとは仲良しだもんね

 

 

「・・・その・・・落ち着いて聞いてね」

 

「ところでお父様に代わって頂けますか? 高町なのはとヴィヴィオの意見が分かれて困っているのです」

 

 

なのはと一緒?

 

確かによく耳を済ませてみれば、ヴィヴィオとなのはの楽しそうな言い争いの声が聞こえる

 

 

「あのね。雨水さんは・・・大怪我をして・・・」

 

「フェイト・テスタロッサ・ハラオウン」

 

「え、あ、はい」

 

「何を言っているのですか?」

 

 

信じたくない

 

その気持ちは分かるけど・・・事実だから・・・

 

 

「だからね? 雨水さんが何者かに襲われた」

 

「ふ、ふざけるのも大概にして下さい」

 

「本当だよ。いま局の病院に・・・意識の有る無しは分からないけど、かなり重傷だって」

 

「・・・切ります」

 

 

最後に聞いたイクスちゃんの声は、とても冷たくて子供が出せるような声色とは思えなかった




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