前回のあらすじ
病室で目を覚ます→ヒューズと久々に再会→違法ベルカの情報ゲット→イクス達がやってくる→外傷だけヴィヴィオに治してもらう→情報を見る為に少し一人に
誰も来ないだろうと思い屋上に出ると綺麗な星空だった
「さて、どんな情報かな」
何か良く分からないプログラムだった
この手は詳しくないので、単なる記号や数値の羅列にしか見えない
「・・・取り合えずプログラムを実行してみるか」
訳も分からないプログラムを実行するのは何だか気が引けるが仕方ない
そう思って実行すると何度もモニターが開いて閉じてを繰り返して最終的に窓と表示された映像モニターが出てきた
「窓ね」
何と無くどんな役割かは想像付くので開けてみた
そこに映っていたのは稀代の天才の面影を持つ可愛い少女と俺を襲撃した違法ベルカの男だった
「確かに血液データは一致してるね」
「だろ? って言うか見てたんじゃなかったのか?」
「見てた、見てたけど余りの呆気なさに人違いじゃないのかと思ったのだよ。見知らぬ他人を傷付けるのはボクの信条に反するからね」
やっぱり見てたのか
それに、そんな理由で結界を・・・まぁ運が良かった
「ホント・・・期待なんて持つものじゃないね」
「なんだ? もっと強い男と思っていたのか? お前の情報は全部、怖いくらい当たっていたぞ」
「ククッなに、父上の野望を砕いた男だ。このボクくらい凌駕すると・・・つまらない感情だ」
「あん? ・・・まぁともかく力ってやつをくれるんだろうな」
しかしヒューズの技能には驚かされるな
大方追跡した違法ベルカの男が留まった辺りの電子系に根こそぎ入り込んだのだろう
「ボクは嘘は付かない。付く必要が無いからね・・・あげるよ」
「へっこっちも約束を守る依頼主で良かったぜ」
「ところで・・・」
不意に少女が此方を向いた
「やぁお元気かい?」
「ん? 誰に向かって」
「あそこのカメラ。あれだけ回転が止まってボク達の方をずっと向いてる・・・恐らく査察長官だろうね」
「へぇ」
少女は自分の手元にモニターを展開すると幾つか操作した
「あれ?」
「あ! お前!」
「・・・初めましてとさっきぶり」
映像通信を繋げやがった
「ああ、こうやって話すのは初めてだね。ボクはプロジェクトUrdの遺産・・・名前は知らない。だから名乗れないのはホントに残念だよ」
「俺は雨水秋春。お前に身に覚えない恨みを買った男だ」
「身に覚えの無い? それは可笑しい。父上が作りだしたガジェットを掃滅する為に鍛え抜かれた兵を作り上げたのは誰だい? 父上の最高傑作のナンバーズから複数に渡る襲撃を耐えたのは誰だい? そして、目覚めないはずの王を目覚めさせたのは誰だい?」
「・・・知るか」
訂正、身に覚えが有り過ぎでした
「なら代わってボクが答えよう。キミだよ。雨水秋春君」
「年下に君とか言われたくない」
「ああ、失礼、これは癖なのだよ」
悪びれる様子は無いが、恨んでいる相手を目の前にしている人間の様子にも見えない
「なぁ俺はアイツをまた斬らないと力はもらえないのか?」
「ん? ああ、別に良いよ。彼を傷付けても、ボクの気持ちが晴れないのが証明できたから・・・」
「手間が省けて助かるな」
「・・・でも、そうだね。新しい力の手慣らしはナンバーズと言う少女達を相手にしてくれると嬉しいかな」
ナンバーズ?
ちょっと待て、コイツの口調や容姿から考えてまず間違いない予想があるんだが・・・何故ナンバーズが次なる標的なんだ?
「質問!」
「キミがボクにかい? 興味が沸いた・・・なんだい?」
「何歳?」
「・・・年齢? それが聞きたいことかい? ボクの正体とか、ボクがキミを襲わせた理由とかじゃなくて?」
「教えてくれる? それともやっぱり女の子に年齢の話はNGかな?」
少女はこの質問に何の意味があるのか深く考え込んでいる
ちなみに意味なんて無い
「保存期間を抜いて三歳。この肉体は少女をモデルにされているらしいよ? 少し幼げなのは作り手の遊びなのだろう」
へぇ三歳ね
思わぬ収穫、プロジェクトUrdが何の実験かは知らないけど人造生命体なのは確実だな
オリ新キャラ登場