召喚少女のリリカルな毎日   作:建宮

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二百二十八話~side 雨水~

前回のあらすじ

 

ヒューズからの情報→少女と男の密会→結界を解いた理由が想像と少し違った→しかし主犯らしい少女は稀代の犯罪者の面影があるような気がした→次の標的はナンバーズらしい

 

ナンバーズ監獄組は警備が有るから接触は困難

 

ナンバーズ教会組は騎士団が居るから幾ら違法ベルカでも突破できるとは思えない

 

ナンバーズナカジマ組はナカジマ三佐の人脈で八神二佐の守護騎士達などが守ってくれるだろうから

 

・・・残る問題は

 

 

「ん? 私の顔に何か付いているのか?」

 

「いや、まさかチンクが見舞いに来るとは思わなかったから」

 

「何を言う。世話になってる身でそんな礼儀知らずな事を出来る訳ないだろう」

 

 

局からの帰りなのだろうか

 

局服に身を包んでベタにリンゴを切っている

 

 

「違法ベルカの件なんだけどさ」

 

「怪我を負った事件の名前だったな、陛下達が心配していたぞ」

 

「いや、イクス達には余り心配掛けられないから早く退院しないと、とは思ってるけど・・・それより今はチンク。今現在違法ベルカが狙っているのは多分お前だ」

 

「私? 違法ベルカとは接点は無いと思うが・・・そうだな。一応注意しておく」

 

「絶対一人で行動するな」

 

 

向こうは力を手に入れて上機嫌なので、複数で襲うなんて事は考えまい

 

・・・なので此方が複数なら逃げられるチャンスは幾らでも出てくる

 

 

「一人で行動するなと言われてもな・・・私は局内では殆ど単独行動なんだが・・・」

 

「局の中に居る内は良いけど帰りとかだよ」

 

「・・・注意する」

 

 

しかし冷静に考えれば、いまこの現状がかなり敵としても襲いやすいタイミングなんだよな

 

 

「チンクはそれなりに強いから、俺みたいにはならないだろうけどね」

 

「・・・。」

 

「チンク?」

 

 

褒めたつもりだったのだが何故かチンクは黙った

 

・・・いや、正確には何か小さく呟いたような気もする

 

 

「出来たぞ」

 

「ん? ありがとう」

 

 

う、うさぎさんだとっ!

 

手先が器用なのは見ていて分かったけど、何でこんな切り方を・・・

 

 

「食べないのか?」

 

「いや・・・子供っぽいなぁって」

 

「子供? ・・・ああ、これの事か。私は妹達に食べさせる時はコレなので慣れてしまっている。のかな?」

 

 

かな?!

 

うさぎを模したリンゴを食べるナンバーズ

 

とてもJS事件時の風景とは思えない

 

 

「味は変わらないし気にしない事にしよう」

 

 

一つ手にとって口に含んだところで病室の入り口が開いた

 

 

「失礼します」

 

「はわ? ふぉーいふす」

 

「お父様?」

 

 

シャリシャリと音を立てながら口の中のリンゴを食べきる

 

 

「如何した? 今日は早いけど学校から直行したの?」

 

「はい」

 

 

イクスはチンクに目を向ける事なく横を抜けてベットの上に乗ってきて俺の隣に座った

 

 

「イクスもリンゴ食べる?」

 

「リンゴ?」

 

「陛下も如何です? それと、私はこれでお暇するよ」

 

 

そう言ってベット脇のテーブルにリンゴを置いて立ち上がった

 

・・・確かにイクスの機嫌的には最善かも知れないけど、チンクが狙われている可能性を考えたら一緒に帰らせた方が良いよな

 

 

「チンクストップ」

 

「ん?」

 

「今日はイクスと一緒に帰ってくれないかな?」

 

「それは陛下に申し訳ないから遠慮する」

 

「大丈夫だって、イクスも家族が狙われているって分かっていて放っておける子じゃないからね。ね?」

 

 

イクスはチンクの方を向かずに首を縦に振って了承した

 

 

「・・・ところでイクス。なんでさっきからチンクと顔を合わせようとしないんだ?」

 

「え? そうですか?」

 

 

自覚無し?!

 

 

「ほら、チンクの顔を見ながらリンゴをもらう」

 

 

一応手本が必要かと思い、チンクに皿を持たせてから一つもらう

 

 

「では、頂きます」

 

 

何故俺に頭を下げる

 

 

「はむ」

 

 

この馬鹿娘はあろうことか俺が口に咥えているリンゴを食べやがった

 

 

「んぐっ、新鮮です」

 

「ていっ!」

 

「ふっ、いつも思うがホントに雨水と陛下は仲の良い親子なのだな」

 

 

頭の天辺を抑えるイクスと叱り終えた俺を見てチンクはそんな事を言っていた




チンクの姉ポジションは割りと健在です

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