召喚少女のリリカルな毎日   作:建宮

23 / 414
二十二話~side キャロ~

エリオ君の提案でエリオ君と雨水さんと私で魔法の練習をする事になった

 

 

「さて、まずはキャロからにするか」

 

 

私の特殊技能は竜使役。そして私はアルザスの竜召喚士としての技能である竜魂召喚を見せる事にした

 

雨水さんは離れた位置で座り易そうな石にエリオ君と一緒に座る

 

 

「蒼穹を走る白き閃光 我が翼となり天を」

 

 

・・・んーあれ? 二人とも良い雰囲気じゃない? ちょっと羨ましい

 

 

「キャロ! ストップ! 召喚するな! 暴走するぞ!」

 

「え?」

 

 

何故か召喚前に暴走を予期され詠唱を中断された

 

 

「キャロ、集中だ。成功をイメージすれば良い・・・あと精神にぐらつきがある」

 

 

凄い。そこまで分かるなんて、流石講師の仕事で引っ張り合いになるだけある

 

 

「あれだな、いっそ人形でも抱きながらしてみたらどうだ? 意外と多いみたいだぞ?」

 

「ほんとですか?」

 

「ああ、召喚士は別に自分が戦う訳じゃないからな。手が空いてなくても問題ないって」

 

 

なるほど、一理あります。それに雨水さんの言う事なら試してみる価値はあると思います

 

 

「人形、持ってません?」

 

「持ってない」

 

「エリオ君は?」

 

「僕?! 持ってる訳ないよ!」

 

「だよね」

 

「ほら、代用」

 

「ガウッ」

 

 

雨水さんは隣のシロを持って私に渡す

 

シロの毛はふわふわで確かに人形を抱いているみたい

 

 

「蒼穹を走る白き閃光」

 

「お? 意外と安定、人形を抱く事によっての精神安定は効果をきしたか」

 

「我が翼となり天を駆けよ こよ我が竜」

 

「最後だな、制御率八割。まぁ成功ラインか」

 

「フリードリヒ!」

 

 

いつも小さい子竜のフリードが四角い魔法陣を通ると一匹の凛々しい竜と化した

 

それはアルザスの白き竜たるフリードの真の姿

 

 

「おー! 二度目で成功! やっぱ子供は飲み込みがはや・・・」

 

 

嬉しそうにフリードに近付いてを頭を軽く叩いていた雨水さんの頭が丸々咥えられた

 

 

「「・・・」」

 

 

なんて反応したら良いんだろう?

 

・・・取り合えずフリードには吐いてもらおう

 

 

「フ、フリード?」

 

「グルッ」

 

 

放したフリードの口から出てきた雨水さんはフリードの涎塗れで震えている

 

 

「・・・フ、フフ」

 

「雨水さん?」

 

「フリードォォオオオ!」

 

 

私達二人は余りの雨水さんの大声にビクリと体が跳ね上がる

 

 

「よっしゃぁあ! 大きいナリになったら行き成り飼い主様への反抗かゴラァ!」

 

「え? え? 飼い主はわたし」

 

「キャロは黙ってろ! 餌をやる者が飼い主って偉い奴は言った!」

 

 

・・・餌をあげているのもわたしです

 

 

「いいぜ! 受けてやんよ! どうせ魔法で風船みたいにブクブクと肥大化させただけだ! 恐るに足りず!」

 

「あの・・・キャロ、さん」

 

「キャロでいいよ・・・なに? 雨水さん以外についてなら何でもきいて」

 

「ごめん、なんでもない」

 

「うん」

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

フリードVS雨水さん

 

どう考えても。竜種で、しかも力解放状態のフリードが負ける要素は皆無だけど雨水さんも何だかんだでピンチを潜り抜けている

 

勝負は分からない

 

 

「フリードめ、こっちがお前の弱点を抱えているのを忘れてやがるな」

 

 

弱点?

 

流石雨水さん。幾ら暴走してないとは言え制御外のフリードと杖も無しに相対するなんて、普通なら自殺行為です

 

 

「グルゥア!」

 

 

先制はフリード。巨体に似合わず大きく素早く動いて尻尾を面として使う、雨水さんはフリードに背を向け私達の方に全力で走り尻尾をかわす

 

更にフリードは翼を羽ばたかせて風をぶつける

 

 

「ダイナミック前転!」

 

 

雨水さんはその風に乗って前転したかと思うと丁度私の隣の位置を取る

 

フリードとの距離は離れてはいるもののフリードが羽ばたけば多分すぐに追い付ける距離

 

 

「キャロ」

 

 

はぅ! 雨水さんが何時になく真剣な顔で・・・格好良い

 

と言うか何で私抱きかかえられてるんだろう?

 

 

「くはははは! フリード! もはや俺の勝ちだ! キャロがいればお前は手を出せまい! 故に俺の完全勝利だ! 降伏なら受け付けるぞ!」

 

 

・・・。

 

私は取り合えずしたり顔の雨水さんの顎を下からアッパー気味に打ち抜いた




フリードの行動はあくまで甘噛みやジャレ付き行為の延長です。敵対意思は無い

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。