召喚少女のリリカルな毎日   作:建宮

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二百三十五話~side 雨水~

前回のあらすじ

 

病院は基本的に暇→読書が日常化→味気ない飯に飽きる→寝ているとキャロから通信→何が言いたかったのか分からなかったけど・・・→それから数日であっさり事件は解決した

 

更に数日

 

そろそろ退院できると教えられて気分良くイクス達を待っていると別の見舞い人がやってきた

 

 

「先生~」

 

「秋兄さん!」

 

「お前らか・・・珍しいな」

 

 

そう言えば、いまは二人コンビで活動しているんだよな

 

結構良いコンビらしい

 

 

「さて、お前らに一つ言いたい事がある」

 

「ん? なんですか、先生」

 

「あ、事件のことですね。秋兄さん」

 

 

エリオの読みは確かに正しい

 

この二人が来る理由で俺はそれを思い付きはした・・・が、それは後回し

 

 

「あのな・・・病院内でイチャイチャするのを止めろ」

 

 

入ってきてから今に至るまで、エリシアはずっとエリオの腕に抱きついているままの体勢なのだ

 

エリオはエリオでもう慣れているみたいで気にしていない

 

 

「えぇーだって先生ぇ」

 

「えぇーじゃねぇよ。子供みたいな駄々を捏ねるな」

 

 

エリシアは不満そうだが、エリオはいまさら恥ずかしそうにエリシアから距離を取った

 

 

「そ、そうですね。確かにそう言うのは二人っきりの時にするべきです」

 

「・・・二人の時でも健全なお付き合いをしてくれよ」

 

「・・・。」

 

 

大層ご立腹なエリシアさん

 

 

「エリシア、そろそろ外に待ってる子を呼んでも良いんじゃない?」

 

「んん、そうだね。今日は一応仕事だもんね」

 

「お利巧さんだね、エリシアは」

 

「だったらキス!」

 

 

そろそろ止めに入って良いだろうか

 

もしくは病室を明け渡して俺が外の待っている奴に会いに行くか

 

 

「い、いや、エリシア? 流石にそれは・・・」

 

「エリオは私にキスするの嫌?」

 

「ぜんぜん! ・・・むしろしたい」

 

「エリオ」

 

「エリシア」

 

 

よし・・・外に出よう

 

取り合えず酷く甘いカップルの掛け合いで胸糞悪くなりそうなので、病室を明け渡す事にした

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

外に出てみると相変わらず余裕タップリな笑顔を貼り付けた少女が待ち侘びたと立っていた

 

 

「やぁそろそろキミの限界だと思ったよ」

 

「・・・そうかい。で? 裁判中のウルちゃんが何の用かな」

 

「年下には取り合えずちゃん付けなんだね」

 

 

やはり子供扱いは余りして欲しくないのか遠回しに止めて欲しそうだ

 

・・・止める気は無いけど

 

俺に会いに来たって事は色々教えてくれると解釈しても良いんだよな

 

 

「まずは俺を襲った理由を聞かせてくれる?」

 

「興味だよ、あと怨恨に似た気持ちも持っていた・・・正確には父上の興味を引いていた人間、と言う事で、嫉妬していただけなのだがね」

 

 

本来引け目を感じる理由に対してウルちゃんは平然と話す

 

こんなところはスカリエッティに似てるな

 

 

「なら、そもそも違法ベルカを始めた理由は?」

 

「父上の途中だった研究を完成させたかった。それだけ・・・完成させて振り向いて欲しかったんだろうね。自分でも少し恥ずかしいよ」

 

「ふぅん・・・振り向いて欲しかったねぇ・・・」

 

 

どうもにもおかしい

 

確かにウルちゃんはスカリエッティに似ているのだけど・・・クローン体とは思えない

 

性別を弄くっただけじゃないのか?

 

 

「ん? まだ何か聞きたそうだね?」

 

「ああ、お前は純粋培養か? クローン培養か?」

 

「ん?・ ・・ああ、ボクはそもそも培養機育ちじゃない。確かにプロジェクトUrdはクローン実験のプロジェクトFの派生ではあったけど、その趣旨は才能の遺伝だよ? クローンだと、遺伝とは言えないからね。早い話がきちんと母体は存在する」

 

 

・・・え?

 

予想外の答えだった

 

と、同時に似てるけど似てない違和感の正体が分かった

 

 

「つまりウルちゃんはウルちゃんがオリジナルって事か」

 

「・・・そうだね。言葉の綾では無く、ボクは・・・ボクがスカリエッティの娘だよ」

 

 

何故言い直した

 

 

「ちなみに母体は?」

 

 

スカリエッティにも、そう言う関係の人が居たのか?

 

しかしそう言う類に興味があるとは思えない

 

 

「心配せずとも生きてるよ。ナンバーズの最古参、父上の為に生まれて父上の為に生きる女性・・・ナンバーズの一番、ウーノ・・・その人がボクの母上だよ」

 

「・・・。」

 

 

・・・手に余る最重要機密に開いた口が塞がらない

 

 

「ま、データから推測したモノだから、真実とは違うのかも知れないけどね。そればかりは父上か母上に聞いてみるしかない」

 

 

それを知った時のウルちゃんはどんな気持ちだったのか

 

目覚めてから親を捜して色んなデータを見て・・・捨てられたと気づいた時の気持ち

 

つまりは俺やその他のスカリエッティと何らかの接点のある被害者は鬱憤の捌け口にされたわけだ

 

 

「文句を言いに行こう」

 

「ん? 言いに行く? 誰にだい? 目の前の、このボク以外にキミが文句を言いたい人間なんて、興味が沸くよ」

 

「ジェイル・スカリエッティ」

 

 

ウルちゃんの表情に少しだけ変化が見れた

 

・・・前に甘えたい年頃って言ってたのは本心か

 

 

「・・・ボクも行きたい」

 

「特別だぞ」

 

「うん、分かってる」

 

 

・・・さて、その前に病室の中のそろそろイチャ付き終えた頃のカップルを回収するか




説明回になるかも知れないので少し違和感が出るかもです

遠慮なく指摘をお願いしますね

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