「エリオ・・・なんで俺は寝ていたんだろうか」
「えと、自業自得って奴だとおもいます」
「そうか」
どうやら秋兄さんは十数分前の出来事を全て忘れているようです
ちなみにキャロは物凄く不機嫌になりながら雨水さんに悪戯をすると帰っていきました
「え~っと、あ~・・・魔法を見る話だったな。キャロは?」
「先に帰ると」
「先に? はぁー全く不真面目な奴だ」
なんだか秋兄さんの将来が不安になるのは僕だけでしょうか?
「ならエリオだけでも見てやるか」
「はい! おねがいします!」
再度セットアップして槍を構える
「とは言っても俺は武術に精通はしてないからなー、取り合えずはいま持ってる一番って思う魔法を使ってみて」
「はい!」
槍を水平に構え詠唱に入る
そして背後に生成した五基のフォトンスフィアから連続してフォトンランサーを放つ
これはフェイトさんに教えてもらった一番の魔法で、いまの僕では途中でフォトンスフィアの制御不足で魔法が消えてしまう
「ん~・・・弱いな、しかも未完だ。まぁ近代とは言えベルカだから遠距離は苦手な部分があるのか? だが、やはり一発戦闘中にも使える大技が欲しいね」
「あ、あの」
「はい、どうぞ」
「僕はソニックムーブとか一気に相手に近づける魔法があるので無理に遠距離にこだわる必要はない・・・のかなーって」
フェイトさんから教えてもらった、このファランクスも試験の為と言う理由が大半を占める
僕の戦闘スタイルは接近戦でもハイスピードバトルですから詠唱の暇も無い
「一理ある。だけど俺が大技を持ってろってのには強くなる以外にも理由がある」
理由
それにしてもさっきまで秋兄さんと違って真剣な秋兄さんは何だか惹きつけられるような魅力がある
素直に付いて行きたいと思うし超えたいと思う
「それはな? 脅しの役割だ」
「おどし?!」
「うん、脅し。幾ら犯罪者だからって、バカスカ攻撃を許されてる訳じゃないし出来れば戦闘は避けたい。そこで大技見せて実力の差を分からせるって奴だ、これで三流事件は大体解決する」
非殺傷設定だからって人に向かって刃を向けていい口実にはならない、か。確かに言われてみればそうですよね
「それに非殺傷設定ってあれで未完成な所があるからなー。非殺傷設定だから大丈夫だよって言う奴がいたら逃げろ、いいな?」
「え? はい」
非殺傷設定が未完成? そんな話、局では聞いてない。と思う
「話逸れたな。そうだな、お前は魔力変換資質があるから将来に向けてその方面の技だな。AMFが通じない天候操作系の魔法、で如何だろうか。見た目も派手で魔力消費も思いのほか少ない」
「つまり?」
「サンダーフォール。天候操作系遠距離魔法、もしくは天候操作型儀式魔法、魔力変換資質の電気を媒介に雷雲を生み自然の雷を操作する魔法。ようは自然現象の再現だけど自然現象故に魔法無効果フィールドも突き抜ける魔法使い殺し殺しだな! ちょっと格好良いな魔法使い殺し殺し」
「語呂悪いですよ?」
「そうか? ま、いいや。で? どう思う?」
「儀式魔法ですか」
さっきも見せたように儀式魔法はちょっと苦手な分野なんですけど
「ま、完成まではある程度時間が掛かっても良いし、威力を下げて詠唱や魔力消費を削ればお手軽必殺技くらいに下げれると思うよ」
「そ、そうなんですか?」
「うん。それでも一年は掛かるだろうけどね」
一年。大技取得の期間としては短い方なのかな?
あ、そう言えば・・・
「秋兄さんって魔法に詳しいですけど、秋兄さんの一番の魔法ってなんですか?」
「・・・お前は俺にそれを聞くか」
え? え?
秋兄さんは露骨に落ち込むがすぐに持ち直して深く考え込む
「強いて言うなら俺の最大の魔法は言葉だな」
「言葉?」
「そ、俺は一般局員にも劣る魔法使いだからな。虚勢を張って言葉で打ち負かさないとやっていけない訳よ・・・だから機械だったり野生的だったり逝っちゃってる気味の犯罪者は手に負えん」
言葉。ある意味で誰も傷付かずに解決する一番の方法だと思う、虚勢を張るのだって自分を守る魔法も使えないのに危険に飛び込んでる訳だし
少なくとも誰もが簡単に出来る事じゃないと僕は思う
「・・・それにしても魔法使い殺し殺し・・・流行りそうなんだがなぁー」
・・・流行らせたいんですか? 僕は秋兄さんのネーミングセンスがよく分かりません
エリオの戦闘スタイルが少しフェイト寄りになり必殺技を覚えそうな感じです