召喚少女のリリカルな毎日   作:建宮

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二十五話~side エリオ~

同じ布団で誰かと一緒に寝たのは何年ぶりだろう?

 

古い記憶にそんな感じのが無い訳じゃないけど、僕の記憶かは分からない

 

 

「眠れないか?」

 

「え? い、いいえ」

 

「返事が返ってくるって事は起きてて眠れてないんだな」

 

 

くすくすと小さな声で笑う秋兄さんは楽しそうでこの状況を自然に受け入れていた

 

秋兄さんが僕を本当の弟みたいに接してくれるから、僕もまるで本当に兄が出来たような気分になる

 

 

「そだ、さっき食事の時に言ったけどさ。いまは局の保護施設にいるんだよな?」

 

「はい、フェイトさんも忙しいですし、自宅に帰って来ない事も多いですから」

 

「ふーん」

 

 

何となく秋兄さんの方に体を転がすと秋兄さんは僕の方を見ていた

 

ビックリした

 

 

「あれだな、急いで泣きながら仕事をしているフェイトさんが目に浮かぶ・・・エリオが待ってるぅってな」

 

「泣きませんよ、フェイトさんは強い人ですから」

 

「なら泣き目だな。いわゆる萌え死にさせる勢いでの」

 

 

否定できない! 何か段々否定出来なくなってきている自分がいる

 

 

「そだな、うん、じゃあエリオも自然保護隊に来てみるか?」

 

「はい?」

 

 

話の流れが掴めなかった。突然過ぎるし突拍子過ぎる

 

自分がどんな顔で聞いているかが想像出来ない・・・夜でよかった

 

それにしたって突然過ぎて頭が付いていかない

 

 

「だから向こうで何してるか知らんが暇だろ? こっちなら、キャロもフリードもシロも・・・まぁ俺も居るし過ごしやすいかなって、別にミッドへは普通に行けるからフェイトさんとも会えるしな」

 

「その、えと」

 

「すぐにとは言わんさ。主に俺がキャロからの被害をお前に逸らしたいだけだからな。アハハ」

 

 

その理由はどうかと思うけど誘いはとても嬉しかった

 

 

「じゃ、寝るか。お前も寝ろよエリオ。おやすみ」

 

「おやすみです。秋兄さん」

 

 

おやすみと言い合うだけなのに心が温かい気持ちになった

 

が、流石秋兄さん、ただでは終わらず・・・感動で暫らく起きていた僕を寝相で布団から蹴り出した

 

 

「くしゅん」

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

「エ・・・エリ・・・エリオ。エリオ君!」

 

「やぅッ! フェイトさん?!」

 

「ふふ、キャロだよぉ。おはよっ」

 

「あ、おはよう」

 

 

見渡すと秋兄さんの姿は見えない

 

キャロは笑顔で顔を拭く為の蒸れタオルを渡してくれた

 

 

「雨水さんならもう仕事に出たよ」

 

「え?! じゃあ僕ってもしかして寝坊しました?」

 

「ん~特に早くおきないといけない訳でもないから寝坊じゃないかな」

 

 

キャロと一緒に簡易テントの外に出るとフリードとシロが寄ってくる

 

 

「キュクッ!」

 

「ガウッ!」

 

「二人ともおはよう」

 

 

他の自然保護隊の人達も既に外に行っており残ってる人は数人だった

 

女性ばかりで少し居心地が悪かった

 

 

「エリオ君はそのままミッドに帰るだろうけど雨水さんには会っていく?」

 

「あ、その・・・また来るから別にいいかな」

 

「・・・うん。そうだね、またきてね」

 

 

この後、ミッドに帰ってすぐにキャロから画像付きメールが届いたので開いてみると僕と秋兄さんが仲良く二人で寝ている姿が映っていた




エリオのお泊りで親交が深まる回でした

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