召喚少女のリリカルな毎日   作:建宮

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二百五十九話~side ルネッサ~

キャロ・ル・ルシエ三等陸尉

 

彼女の真価は制圧任務で最も発揮される

 

 

「では、今度こそ。ルシエ三尉、御武運を」

 

「うん!」

 

 

通信が切って私は予約していた店に行く為に支度を始める

 

ルシエ三尉は私より年下だそうですが、局服を着込んだ三尉はとてもケーキを好む少女と言うよりは、カリスマ溢れる仕事の出来る女性に見える

 

テスタロッサ執務官を目標にしているそうですが私の中では十分に域には達していると思うのです

 

 

「任務が終わるのは恐らく四十分前後でしょうか」

 

 

三尉が行われるのは制圧であって虐殺では無いので相応の時間を要する

 

店までは急ぎ十数分、取り置きしているので並ぶ必要は無い

 

 

「困りました。これでは時間が余ります」

 

 

では、三尉の報告書でも私が出来る範囲で作っておきましょうか

 

 

「・・・フォルスの内戦は本当に終わらないですね」

 

 

ルネッサ・マグナス

 

内戦の中で生まれた私は、それしか持たなかった為か、父の意を受け継いで父が求めたモノを求めていた

 

我が父、トレディアが求めていたのは内戦を終わらせる禁忌の力

 

 

「求めた。はずだったのですが」

 

 

いつしか私の中の父の意が薄れてきていた様な気がする

 

 

「何がいけなかった」

 

 

三尉が可愛かったから? 綺麗だったから?

 

真っ白な竜に乗るルシエ三尉がただただ神々しくて見惚れていたのかも知れない

 

 

「一目惚れでしょうか?」

 

 

打算有る優しさ

 

ルシエ三尉はご自身の行動をそう評価しましが・・・あの笑顔はそんな俗なものじゃなかった

 

あの包むような優しさは打算とか無かったと私は思います

 

 

「さて、そろそろ時間です」

 

 

四割

 

これ以上は三尉の手でしか無理なようですね

 

 

「ルシエ三尉のご家族の分も確保できるか試してみる必要が有ります」

 

 

三尉は大家族だそうですからホールで買いです

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

お店から戻って来るとデスクにルシエ三尉が突っ伏して寝ていらした

 

竜軍を使っていた様ですから魔力の使い過ぎ

 

過労でしょう

 

 

「恐らく仮眠でしょうから待ちですね」

 

 

無理し過ぎです

 

補佐たる私がキチンとブレーキを掛けないといけない

 

 

「明後日の仕事は全部キャンセルしましょう」

 

 

あの程度なら補佐官で出来る内容ですからね

 

・・・淡いピンク色の唇が動いて何か呟いている

 

 

「・・・。」

 

 

甘そうです

 

 

「甘いと言う評価は変ですか」

 

 

でも、何だかシックリきますね

 

秋春と言う男性には少々嫉妬してしまいそうです

 

 

「ん・・・ハッ! ルネ! いま何時?!」

 

「お疲れ様です。ルシエ三尉。いまは二十時十分です」

 

「あー寝ちゃった」

 

「はい、お休みでした」

 

「もぉ! ルネ! 起こしてっていつも言ってるでしょ!」

 

 

三尉も本気で怒っている訳では無い

 

が、しかし起こして欲しかったのは本当の様です

 

 

「多少の仮眠は必要です」

 

「そうだけどぉー」

 

「可愛く頬を膨らまされても、補佐としての仕事ですので」

 

 

綺麗や美しいと言った大人っぽい女性こそ子供らしい行動が似合いますね

 

可愛いです

 

 

「むしろ、わたしとしてはルネにも休んで欲しいんだけどね。わたし、ルネが仮眠を取ってる姿とか見た事ない」

 

「私はルシエ三尉が任務で外に出ている時に十分仮眠は取っていますので」

 

「その割には報告書とか書類整理も出来てるよね」

 

「そうでもないです」

 

 

結局最終的には三尉の印が必要な物が多いですから

 

 

「まぁルネが良いって言うなら甘えさしてもらうけどね」

 

「はい、そうして下さい」

 

「それにしても・・・うん、やっぱり任務あとはだるいなぉ」

 

「ケーキを出しますね」

 

「うん!」

 

 

やっぱり可愛いです




優秀ですがちょっと性格に難有りです

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