召喚少女のリリカルな毎日   作:建宮

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二百六十三話~side 雨水~

前回のあらすじ

 

娘二人を寝かせた後に高町一尉達と飲む→高町一尉は本格的に前線から引くらしい→フェイトさんはキャロが自分より執務官試験に一回早く受かった事を少なからずショックらしい→そして話を聞いていた内に寝ていた

 

その後、キャロに起こされて物騒な話を聞いた

 

ザンクトヒルデ学院の周囲で事件が起こった場合、だいたい教会騎士団が主立って動くのだが、教師陣も全く動かない訳にもいかない

 

 

「な~アキハル、あたしが言うのもなんだがよー、ホントにあたしで良かったのか?」

 

「まぁ目的が捕縛だからな。サポート系の魔法が得意なアギトが適役なんだよ」

 

「ふぅん、教師も大変なんだな。見回りなんてめんどくせぇ」

 

 

俺の担当区域は人通りも少ないし安全だろう

 

なにせ、相手が居ないと喧嘩屋も現れないだろうからな

 

 

「すみません、少しお時間宜しいでしょうか」

 

「ん? 別に・・・ってあれ?」

 

 

声はすれど姿は見えず

 

 

「アキハル。上だ」

 

 

アギトの警戒した声を聞いて直ぐに件の喧嘩屋だと直感する

 

上を見上げると電柱に少女が一人

 

 

「・・・初めまして。私はカイザーアーツ正統ハイディ・E・S・イングヴァルト。覇王と名乗らせて頂いています」

 

「お前が喧嘩屋か? バイザー少女」

 

「喧嘩?」

 

「最近学院の周辺で、ストライクアーツ有段者を狙って喧嘩を吹っ掛けてんだろ」

 

「喧嘩では有りません。強さの証明、決闘です」

 

 

強さの証明ね

 

それなら公式試合に出れば良いのにな

 

 

「それで? 俺に何の用かな」

 

「聖王オリヴィエの複製体と冥府の炎王イクスヴェリアの所在を教えて下さい」

 

「俺が知ってると思ってるの? とんだ勘違いだよ。じゃあね、気をつけて帰りなさい」

 

「待ってください」

 

 

跳び下りてきて俺の進路を塞いだ

 

 

「何で構える?」

 

「力尽くでも教えてもらいます」

 

「待て待て、何でそうなる」

 

 

少し間を置き、首を捻ると構えを解いた

 

うんうん、イクス達の事は教えないけど良い子じゃないか

 

 

「其方はベルカ融合騎とお見受けしますが」

 

「だからなんだよ! この烈火の剣精アギト。マイスターには傷一つ付けさせねぇぞ!」

 

「そうですか。理解しました。騎士相手にいきなりは無礼でしたね。では、改めて・・・覇王ハイディ・E・S・イングヴァルト、お相手願います」

 

 

静かな闘志

 

なるほど・・・バトルマニアなのか

 

うん、少し試そう

 

 

「防護服と武装をお願いします」

 

「ハッ・・・無抵抗でやられてやる」

 

「なっ! アキハル!」

 

 

戦いたいだろうがアギトには我慢してもらおう

 

戦意の無い無抵抗の人間に攻撃する

 

これは意外と、武を学ぶ人間には難しいからな

 

 

「・・・。」

 

 

しかしこの距離で構えるのか

 

少女の体がブレたと思ったら目の前に迫っていた

 

 

「見てらんねぇ!」

 

 

拳が当たる直前に炎の壁が俺を守る

 

んー無抵抗の相手に攻撃するのか確かめたかったが・・・やれやれ、仕方ない

 

 

「炎熱ですか」

 

「ユニゾン」

 

「お、おう! よっしゃ! ユニゾンイン!」

 

 

嬉しそうだなぁー

 

仕方ないか、俺と一緒に居る事を選んだアギトは何の事件に関わる事も無く平和に家事をしてるんだからな

 

 

「さて、バイザー少女。俺は役職上、騎士団にお前を引き渡さないといけない」

 

「どうぞ。但し、それが出来るのは私に勝った時ですが」

 

「ま、別に被害届も出てないし、大事にはならないだろうけどね」

 

 

見た事のない独特な歩法

 

あれが覇王流

 

 

「防御は任せた」

 

「おうよ!」

 

「突き崩します」

 

 

こうして嫌々ながら数年越しに予言が動き出した




満を持しての登場回です

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