召喚少女のリリカルな毎日   作:建宮

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二百六十九話~side コロナ~

朝の通学路

 

 

「ぷっ、あははっ! ひゃ、くるしッ! やっぱり、それさいこぉ~! ちょーかわいい!」

 

「だったらリオにあげる」

 

 

笑い転げるリオに被せる為に、黄色の帽子を外そうとしているヴィヴィオを私は優しく抑える

 

かわいいのに外したらもったいないよね

 

 

「まぁまぁヴィヴィオ。せっかく雨水先生が準備してくれた物なんでしょ?」

 

 

くわしくは話してくれなかったけど、なんでも出来心と好奇心でちょっと怒られることをしちゃったらしい

 

 

「うにゃー! 悪意ひゃくパーセントだよぉー!」

 

 

一緒に登校していたイクス先輩も、まったく同じ帽子をかぶっていたけど・・・イクス先輩には良い感じのギャップがあった

 

クラスに入った途端、ヴィヴィオは皆の視線が集まる前に帽子を取った

 

 

「えぇーかわいかったのに」

 

「リオもかぶれぇー!」

 

「あははっ! むりだって!」

 

 

わたしも、自分がかぶるのは・・・ちょっと嫌かな

 

でも、学院に来るまではキチンと被ってるのがヴィヴィオらしいよね

 

 

「あ、そだ!」

 

「ん? どうしたの?」

 

「リオ、コロナ。ごめん! 今日の放課後予定が入ってるから先に帰ってて!」

 

 

朝から言うって事は結構大事な事なのかな?

 

 

「うん、別にあたしはいいけど」

 

「私も気にしないよ。また明日一緒に帰ろう」

 

「うん!」

 

「って、ヴィヴィオにコロナ。まだ、授業始まってもないよ」

 

 

あはは、それもそうだね

 

そして少し経ってから先生がやってきて朝のホームルームが始まった

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

放課後

 

ヴィヴィオは朝に言っていたみたいに、終わったら直ぐに走っていってしまった

 

 

「ねぇねぇ」

 

「如何したの? リオ?」

 

「さいきん騎士多くない?」

 

 

・・・確かに多いかも

 

前より学院に居る騎士の数が増えてる

 

 

「たぶん先生の言ってた喧嘩屋が原因じゃないの?」

 

「あぁ~ジムの先輩も襲われたらしいよ」

 

「ホント? んーヴィヴィオ一人で帰って大丈夫かな?」

 

「あははっ! ヴィヴィオなら大丈夫だよっ! 強いし!」

 

 

確かにジムの中では強いけど・・・それはあくまでストライクアーツの枠内ことで、ストリートの大人相手だと違うと思う

 

 

「あれ? ヴィヴィオだ」

 

「え? 結構先に帰ったから・・・」

 

 

リオの指差す公園には、確かに大人モードのヴィヴィオが立っていた

 

 

「オ~イ! ヴィヴィむぐぐ」

 

 

様子がちょっと変なのでリオの口を塞いで静かにと合図を送る

 

それに、ヴィヴィオの傍に誰か倒れている?

 

 

「声の聞こえる距離まで行ってみよ」

 

「コロナって時々大胆だよね」

 

「そうかな?」

 

 

目の前に倒れて居るイクス先輩くらいの女の子に集中しているのか、私たちがこっそり近づいても気付く気配はない

 

 

「変身魔法も解けちゃったみたいだね」

 

 

這いよってヴィヴィオまで近づこうとしている女の子をヴィヴィオは悲しそうに見詰めている

 

 

「ごめんね、私とクラウスの約束に巻き込んじゃって」

 

「悲願・・・歴代の覇王の悲願を・・・貴方に勝つ為に私はッ」

 

「今まで費やした? でも、それでもね? 王様って運命はね。誰かに代わりが勤まるような、優しくないんだよ」

 

 

諭すように話すヴィヴィオは、余りに悲しそうで、いつもの元気なヴィヴィオからは想像もできない表情だった

 

 

「ならば、ヴィヴィオさんは如何して。如何やって王に成り得たと言うのですか」

 

「ベルカ王族は五体を兵器化して戦う。聞いたことないかな? 割と常識的な話なんだけど・・・言葉の綾なんかじゃないよ? 本当に人間止めるの」

 

「ッ・・・。」

 

「力だけが全ての戦乱。今からでも遅くない、もう・・・止めて」

 

 

ちょっと不愉快

 

女の子に聞こえていたかは分からないけど、口はそう動いたような気がした

 

 

「そんな事、分かっています! でも、覇王流が私の全てなんです!」

 

 

ヴィヴィオの去り際に立ち上がった女の子は素人同然の攻撃を仕掛けた

 

 

「頑固な所だけはクラウスそっくり」

 

 

鋭い拳が女の子の意識を無常に刈り取る

 

 

「ねぇヴィヴィオってあのまま立ち去る気かな?」

 

 

リオはボロボロになってしまっている女の子を指す

 

・・・確かに、危ないよね

 

 

「でも、こう言う時って去るシーンだよね」

 

「まぁ少年漫画だとそうだね・・・って、あたしは結構好きだけど、コロナも読むの? 漫画」

 

「うん、ストライクアーツに役立つかなって思って」

 

「やく、たった?」

 

「あんまり」

 

「だよねぇ~」

 

 

・・・それじゃあ・・・助けよっか

 

私とコロナは、ヴィヴィオが立ち去ったのを見計らって、女の子のもとに向かった




これにて移転終了です!

次回からは新作。とは言っても今回の話も少し修正されてるんですけどね

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