召喚少女のリリカルな毎日   作:建宮

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二百七十一話~side イクス~

いつもの夜空が、綺麗な星空が・・・今日も広がっている

 

ああ、そう言えば大した事でも有りませんがヴィヴィオの様子が変でしたね

 

想い出に浸っているようなので声は掛けませんでした

 

 

「それより、お父様は私のパジャマを何に使うのでしょうか?」

 

 

何と言うのも変ですね

 

パジャマの使用方法なんて限られている訳ですから

 

 

「大方来客者に使われたのでしょうが」

 

 

どんな方かは見ていません

 

ですが、勘に頼るならば恐らく武芸者でしょう

 

 

「私の衣類と言う事は、体格は私と同じか少し小さいくらい」

 

 

感覚より幼いですね

 

 

「・・・感覚まで鈍りましたか」

 

 

お父様と一緒に居ると、強くなっている実感と弱くなっている自分に気付いてしまう

 

堕落。とも言える現象です

 

 

「ああ、ヴィヴィオに抜かれるのも遠くない未来なのかも知れませんね」

 

 

それは嫌です

 

あの子だけには負けたくない

 

それに、強くない私に残るモノなんて無い

 

 

「にゃはは。うん、イクスお姉ちゃんを一番に負かすのはヴィヴィオだもんね」

 

「・・・。」

 

 

居たのですか

 

まったく・・・いつから聞いていたのでしょうか

 

 

「隣、すわってもいい?」

 

「構いませんよ」

 

 

別に私は此処を独占するつもりは有りませんから

 

 

「きょうねぇー・・・クラウスの子孫と遊んできたんだ~」

 

 

唐突に話し始めるヴィヴィオ

 

声色から察するに遊びと言う程に楽しいモノでは無かったのでしょう

 

 

「そうですか」

 

「にゃはは、面影だけで殆ど別人だったけどね」

 

 

背凭れに体を預けながら私に顔を見せないように横になったヴィヴィオ。そして小さな声で、クラウスの馬鹿と不貞腐れたように罵った

 

・・・本心は、旧友のクラウスに会いたかったと思います

 

しかしそれは子孫には関係の無い話ですからね

 

 

「仲良くなれそうですか?」

 

「ん~嫌いにはなれないよ」

 

「貴方の中のオリヴィエですか」

 

「そう、だね。うん、大好きだったから・・・支えだった、と思うの」

 

 

静かに私とヴィヴィオは星空を眺める

 

暫らく二人とも黙っているとピクリと同時に体が動く

 

魔力。しかも戦闘レベルの強化系魔法

 

 

「あきパパの」

 

「部屋ですね」

 

「どうする?」

 

 

お父様の部屋には武芸者らしき客人が来ている

 

単に、お父様が魔法を見せてもらっているだけかも知れません

 

 

「騒ぐことでも無いですよ」

 

「ん? なんで?」

 

「お父様の部屋には武の心得のある人物が来ています。背丈は私と同じくらいでしょうか・・・ともかく、その方の魔法を見ているのでしょう」

 

「ふぅーん、そっか」

 

 

この魔力質は何処かで感じた事がある

 

鋭敏。または過敏とも言える感覚がそう思わせるのでしょうが・・・堕落した私の感覚頼るのは止めにしましょう

 

 

「ねぇお姉ちゃん」

 

「ひゃッんぅ」

 

「お姉ちゃん?」

 

 

いきなり上に乗っかってくるな

 

私でもビックリします

 

 

「なんですか、ヴィヴィオ」

 

「ちょっとぎゅっとしていい?」

 

 

ジーッと私の目の奥を覗いてくる

 

読めません

 

いつもですが、この子の気持ちだけは読めない

 

 

「あまり痛くしないで下さいね」

 

「うん」

 

 

体を許す行為

 

それはお父様以外、貴方かルシエさんぐらいですよ?

 

 

「にゃ~」

 

 

この音は・・・来客者はかえったようですね

 

そして少し足早に近づく音が聞こえてくる・・・これはお父様だ

 

 

「ヴィヴィオ! イクス! ・・・って、なにやってるんだ? お前ら」

 

「ぬくぬくだよぉー? いっしょにどう?」

 

 

その提案はとても素晴らしいですけど、位置的にヴィヴィオの方が、お父様との密着度が高いじゃないですか

 

却下です

 

 

「止めておく。ほい、果たし状」

 

 

お父様はヴィヴィオに三つ折りにされた紙を渡した

 

 

「・・・。」

 

「先輩が頭まで下げていったんだから、無碍にしないであげなよ」

 

「ヴィヴィオには関係ないもん」

 

「まぁまぁ、渡したからな。それじゃ、ちょっと用が残ってるから戻るね」

 

十中八九

 

覇王からでしょうね

 

彼が一度負けた程度で諦める性格をしていたとは聞き及んでませんから

 

 

「あきパパって強引だよね」

 

「そう言う所も大好きです」

 

「・・・イクスお姉ちゃん、大人になっても変わらなそうだよね」

 

「ふん、貴方が言いますか」

 

 

分かっています

 

お父様に依存している事くらい

 

でも、それでも、私はお父様無しの世界なんて考えられないんですよ




覇王と聖王の再戦決定です

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