召喚少女のリリカルな毎日   作:建宮

276 / 414
二百七十五話~side 雨水~

前回のあらすじ

 

貸したままのパジャマの事を伝えるためにイクスの部屋に→寝ていた→よく見ると横にヴィヴィオも寝ている→頬をぷにぷに→していると、ルネッサちゃんが気配を消して立っている→プニプニしたいらしい→諦めさせる→結果成功→肩を落として帰っていった

 

廃棄倉庫区画

 

果たし状を渡してから三日が経っていた

 

 

「本日は私の我が侭の為に本当に申し訳有りません」

 

 

凛と佇み、静かに頭を下げる

 

ヴィヴィオは黙ったまま前に出てクリスに指示を出す

 

 

「聖王教会の治癒魔法が使える騎士に連絡いれないとな」

 

 

ちょっとしょんぼりしながらクリスが俺の方にやってきた

 

どうやらアインハルトちゃんに合わせてデバイスは使わないらしい

 

 

「武装形態」

 

「大人モード、バリアジャケット構成」

 

 

服装が二人とも王の騎士服をモデルにしている為か、正に過去の聖王と覇王の決戦の再現みたいだ

 

血戦にならなければ良いけど

 

 

「二人とも言葉は無用って感じだから合図をしようか」

 

 

二人から十分に離れる

 

そして程よく間を空けて叫ぶ

 

 

「試合開始!!」

 

 

車が正面衝突した様な音がした

 

続けて風が巻き起こる

 

 

「あれ、デバイス無しでしてるんだよな」

 

 

高町一尉、コロナちゃん、リオちゃん、からは何の返答も無かった

 

・・・自分達から見届けたいとは言ってきたが、此処までの死闘とは思ってなかったのだろう

 

 

「蹴って、殴って・・・最近の女の子は物騒だね」

 

 

そう言えば、ハリーちゃんは格闘技で結構有名な選手になったんだっけ

 

 

「雨水先生」

 

「なに? コロナちゃん」

 

「ヴィヴィオ達が使ってるのって魔法ですか?」

 

 

ふむ、まぁ確かに魔法っぽい華やかさは無いな

 

 

「ヴィヴィオは複数の魔法を使い分けてるな。アインハルトちゃんは純粋に身体強化のみ」

 

「え?! アインハルト先輩って身体強化のみなんですか?!」

 

「普通の強化なんて補助魔法だからね。リオちゃんが驚くのも無理はないか・・・たぶん覇王流と合わせて、インパクトの瞬間に魔力を集束してるんじゃないかな」

 

 

アインハルトちゃんの魔力を最大集束しても、聖王の鎧は抜けない

 

抜けないはず

 

 

「あっ、ヴィヴィオ・・・我慢しないと」

 

 

高町一尉はヴィヴィオから、手を出さないでと強く言及されているので我慢しているようだ

 

だいたい子供の取っ組み合いなんだから多少の怪我は想定しておかないとね

 

 

「二人とも良い感じにハイになってきてるな」

 

 

ヴィヴィオからは笑みさえ見える

 

ぶつかり合って轟音を出していた拳を顔面に喰らったアインハルトちゃんは、何処からきたのか分からない力を発揮して踏み止まっている

 

 

「どうして。ヴィヴィオもアインハルト先輩も、戦えるの? 傷だらけになって・・・あたしだったら痛くて止めるよ」

 

「んー直面しないと分からない難しい質問だね。そりゃヴィヴィオだって痛いのは嫌いだし、出来れば避けたい」

 

「そう、ですよね」

 

「でも、例えばリオちゃんが、コロナちゃんと真剣勝負をする時に、非殺傷設定外の攻撃が誤って当たった時に、傷が出来たからって中断出来るかな?」

 

 

まぁ特注のインテリジェントデバイスで、誤るなんて事が起こるとも思えないけどね

 

 

「真剣勝負なら、できない。だってコロナとは親友だもん」

 

「・・・そうだね。私もリオ相手にだったら遠慮しない」

 

 

聞いていたコロナちゃんもリオちゃんの返事には同意する

 

 

「あの二人は初対面でありながら、幼馴染、昔馴染み、対立しあう同士で、求め合う同士。って感じなのかな」

 

 

覇王が聖王に好意があったように、聖王にだって覇王に好意があった

 

 

「ソニックシューター!」

 

「旋衝破」

 

 

直打と振り下ろししか撃てなかった断空も、ある程度は克服してきたらしい

 

聖王の鎧と競り合って弾ける

 

 

「にゃはは、ドキドキが止まんないや」

 

「私もです」

 

 

・・・ドギマギする意味は全く理解出来ない

 

女の子同士、王様同士、呼応するモノでもあるんだろうと思う

 

正に観客そっちのけで盛り上がってます

 

 

「でも、そろそろ決着だろうね」

 

 

出血量や残りの体力を考えて、元々短期決戦だったしな

 

 

「アインハルト先輩」

 

「なんでしょう」

 

「最後は二人ともが、全力をだせる技で勝負しません?」

 

「・・・良いですよ。ただし、私には断空しか有りませんけど」

 

 

構える両者

 

緊張は周囲にまで伝染して、埃の舞う音さえハッキリ聞こえる気がした

 

 

「一閃必中!」

 

「覇王!」

 

 

ヴィヴィオの魔力が何度も脈を打って激しく強くなる

 

逆にアインハルトちゃんの魔力は不気味に引いていっている様な気がする

 

 

「アクセル・スマッシュ!」

 

「断空拳!」

 

 

余りの光量に目を閉じてしまう

 

そして、いま収まった光の中で最後に立っている者が勝者だった




二人ともデバイス無しなので非殺傷性が低いです

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。