召喚少女のリリカルな毎日   作:建宮

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二百七十九話~side なのは~

体温計を使ってみてください

 

それが雨水さんに相談して得られた言葉。でも、体温計を使う時点で私も大体の察しはついてしまったんだけど・・・

 

はぁーヴィヴィオの体調が悪いのに気がつかないなんて、お母さん失格なの

 

 

「あ、ごめんね」

 

「・・・まだ居たのですか」

 

 

二階の雨水さんの仕事部屋から、一階のリビングに降りる途中で、イクスちゃんと鉢合わせた

 

私が右に避けると同時にイクスちゃんも右にズレた

 

 

「・・・あ」

 

「なんのつもりですか」

 

「ぐ、偶然だって」

 

 

無表情で睨まれてたじろぐ

 

うう、イクスちゃんと仲良くなる方法って無いかな?

 

 

「偶然、ですか。それならば退けて下さい」

 

「うん」

 

「ああ、そうでした」

 

 

追い越したイクスちゃんは思い出した風に振り返る

 

 

「それ」

 

「ん? この体温計?」

 

「はい。お父様の私物です。ですので、触らないで頂けると嬉しいのですが」

 

「流石に酷いと思うの!」

 

 

うるさい

 

としか表現できない表情をされました

 

 

「それは、お父様が私とヴィヴィオの為に買ってくれた物です。貴方が使う物では有りませんので」

 

「・・・だ、大丈夫。ヴィヴィオの体温を測るだけだから」

 

「貴方は胸元のデバイスを使えば良いじゃないですか」

 

 

あ、確かに簡単なバイタルチェックくらいならレイジングハートで出来るよね

 

完全に忘れてた

 

 

「それに、ヴィヴィオは測る必要はありません」

 

「・・・えーっと、なんで?」

 

「既に熱の影響で倒れているからです」

 

「え?! それホント?!」

 

「だから、お父様を呼びに行く途中なのです」

 

 

落ち着きすぎだと思うの

 

だけど、イクスちゃんが嘘をつくとは思えないので、体温を測ってる場合じゃない

 

 

「ごめん!」

 

「・・・慌てる必要は無いんですが」

 

 

妹が熱を出してるのにイクスちゃんの態度はおかしい

 

気付けなかった私が言うのもおかしいけど

 

 

「ヴィヴィオ!」

 

 

リビングに入って最初に私が見た光景は信じられないモノだった

 

 

「どうしたの?」

 

 

テレビに面したソファーにアインハルトちゃんが座り、その膝上に頭を乗せてヴィヴィオが寝転がっていた

 

更にアインハルトちゃんは頬の赤いヴィヴィオの髪を愛おしそうに撫でている

 

 

「ん・・・大丈夫?」

 

「にゃはは、それを持ってるって事はあきパパだよねぇ」

 

「ヴィヴィオさん」

 

「きゃっ、くすぐったいぃ」

 

 

イクスちゃんが心配ないと言った理由が分かった

 

後で謝らないといけないよね

 

 

「レイジングハート」

 

 

レイジングハートは数度点滅すると私にデータを見せてくれる

 

・・・普段のと比較すると、体内の蓄積魔力値が高い

 

 

「アインハルトさんの手、冷たいね」

 

「あ、すみません」

 

「ううん。きもちいいの」

 

 

なんだか、お邪魔な気がする

 

 

「あ、なのはママ」

 

「うん?」

 

「さっきはごめんね? ヴィヴィオ、きっと面倒臭い子だったよね」

 

「そんな事無い!」

 

 

ただ気付いて欲しかっただけのヴィヴィオは何にも悪くない

 

 

「・・・もぉ。ねぇねぇ、なのはママは今度ルールーの家に旅行行くよね」

 

「え? あ、うん。いつも通りだよ?」

 

「そっか。アインハルトさんも一緒にいいかな?」

 

 

・・・雨水さんが良いなら良いんじゃないかな?

 

メガーヌさんは、ぜひどうぞ。と言ってくれると思うので向こうの都合は大丈夫なはず

 

 

「良いと思うよ。私が雨水さんに言っておこうか?」

 

「ん~、うん!」

 

「・・・えと、私からもお願いします」

 

「お願いされました。善は急げだよね! 話してくる! ヴィヴィオはそのまま横になってないと駄目だよ!」

 

「わかった~」

 

 

あ、そう言えばアインハルトちゃんはヴィヴィオの事をどう思ってるんだろう?




・・・イクスのなのはさんに対する態度が中々良くならない

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