召喚少女のリリカルな毎日   作:建宮

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二百八十一話~side 雨水~

前回のあらすじ

 

長期休みの予定を相談→イクスの課題が難題に→高町一尉から相談を受けた→発熱が原因でヴィヴィオが学院を休む→イクスが看病をする→夜には復活

 

ヴィヴィオが無事復活した数日後

 

ザンクトヒルデ学院では、長期休みに向けての全教科テストが行われていた

 

 

「良いお茶ですねぇ」

 

「シャッハ、お茶探すの得意だから~」

 

 

娘二名が・・・と言うより上の方の娘が奮闘しているであろう時間

 

俺は騎士カリムからお茶に誘われていた

 

 

「今日は仕事、大丈夫なんですか?」

 

「息抜きは必要ですよ」

 

「ですか・・・あ、そうだ。騎士団を動かした件のお礼を言ってませんでしたね」

 

 

音を立てずに紅茶を飲んで少し思案している

 

 

「団長の意思ですから、一騎士の私にお礼はいりませんよ」

 

「貴方が教会の代表ですしね」

 

 

少しだけ嫌そうな顔をされた

 

どうやら、教会代表と言う肩書きは余り好きでは無いらしい

 

 

「・・・雨水先生、まったく貴方はデリカシーがありませんね」

 

「言われ慣れてますけど。俺、何かしました?」

 

 

一連の流れの中にそれっぽい事あったか?

 

 

「今日はオフなんですよ。普通の女性に対して行う態度でも良いじゃないですか」

 

「つまりは仕事の話は嫌と」

 

「はい!」

 

 

きっとシスターシャッハが見たらイラッとする良い笑顔なんだろうな

 

 

「なら、何の話をしましょうかね」

 

「んーっと、あ! またアルピーノ家に旅行に行くんですか?!」

 

 

いきなり立ち上がった騎士カリムは身を乗り出して話し出した

 

 

「はやてから聞いたの! そして私も行きたいなーって思ってたのよ!」

 

「駄目ですからね」

 

「え~」

 

「駄目ですからね」

 

 

空っぽのカップと銀スプーンでガチャガチャとワザとらしい音を奏でている

 

・・・駄々っ子のつもりなのだろうか

 

 

「どうしても?」

 

「ええ・・・ああ、俺以外に誰にお願いしてますか?」

 

「な、なんのことかしら~」

 

 

本当に俺以外に話していたのか

 

うわービックリ

 

 

「誰ですか?」

 

「・・・はやてとセイン」

 

「貴方に説得されないように厳しくいっておきます」

 

「え~せっかくチャンスだと思ったのに」

 

「シスターシャッハは何処ですか」

 

 

よくよく考えれば俺を誘った理由が、息抜きにしても、説得にしても、どちらの理由でもシスターシャッハの見張りが解ける訳が無い

 

 

「実は・・・」

 

「はい」

 

「私、抜け出してきちゃったんだ。てへっ」

 

 

てへっ。じゃねぇよ

 

 

「帰りましょう!」

 

 

現在地、学院庭園

 

どおりで教会内じゃないと思った

 

 

「大丈夫大丈夫! シャッハのことだし、気付いてないですよ」

 

 

貴方はシスターシャッハをどれだけお惚けさんだと思っているんですか

 

見張りの対象が居なかったら気付くに決まってるでしょうが

 

 

「俺から誘った事にしますから、早く行きましょう!」

 

「ホント?! やったぁ! シャッハのお説教無しだ!」

 

「そんな事は有り得ません」

 

 

騎士カリムの喜びは第三者の声でシャットアウトされた

 

まぁ当然シスターシャッハ

 

 

「雨水先生。うちの馬鹿がご迷惑をお掛けしました」

 

「いえ、大変ですね」

 

「慣れました」

 

「・・・。」

 

 

何も言うまい

 

引き摺られて行く騎士カリムが助けを求めていた気もするが忘れよう

 

しかしこれは美味しかったな

 

ほとぼりが冷めた頃にシスターシャッハに銘柄を聞いておくか

 

 

「片付けでもするか」

 

 

と、思ったのだが、結局紅茶のセットの片付けなんて分からなかったので、テスト後のヴィヴィオに手伝ってもらった




皆と遊びに行きたかった騎士カリムの作戦でした

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