召喚少女のリリカルな毎日   作:建宮

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二百八十九話~side 雨水~

前回のあらすじ

 

星見に付き合う→旅行は満足しているらしい→明日の練習会の話に→イクスは興味が無いらしい→まぁ俺も無いんだけどね

 

成長したイクスを実感した所で露天に入ろうかと言う話になった

 

 

「流石自画自賛するだけあるよな」

 

「はい。いつも一緒に入っていますが、混浴になると、また違った気分になります」

 

 

イクスは実に嬉しそうだ

 

しかしタオルを巻いているとは言え密着し過ぎかも知れない

 

 

「そうだねぇ」

 

「あふぅ」

 

 

小さく艶のある息を吐いたイクスは急に立ち上がった

 

 

「どうした?」

 

「いえ・・・せっかくなのに・・・バレバレですよ」

 

 

黙ってイクスの視線の先を見ていると、水着姿のヴィヴィオにアインハルトちゃん、それに高町一尉にフェイトさんが出てきた

 

 

「にゃはは」

 

「なるほど、覗き見か? ヴィヴィオ」

 

「偶然! 偶然なの!」

 

 

まぁ別に俺が貸し切っている訳でも無いので、実際は覗きでも無いんだけどね

 

 

「偶然ですか、貴方らしくない事ですね」

 

「ほんとうだよ?」

 

「・・・。」

 

「ほんとうなの」

 

 

明らかに疑いの眼差しを向けられるヴィヴィオは必死に弁解していた

 

あれはあれで姉妹のコミュニケーションなのでアインハルトちゃんに任せよう

 

 

「雨水さん。今日は子供達の引率ありがとうございます」

 

「ごめんね、私達だけで訓練しちゃって」

 

「気にしないで下さい。平和なのは結構ですけど、たまには存分に飛びたいでしょうからね」

 

 

考えてみると羨ましい悩みだよな

 

ユニゾンで俺も飛行魔法を使えるか試してみるか

 

 

「どうしました?」

 

 

高町一尉とフェイトさんが近くに来ていたのに気付かなかった

 

これは後で考えるか

 

 

「いえ、明日の練習会の事を少し」

 

「あ、それなら、組み合わせはもう決めていますから見ます?」

 

 

レイジングハートが空中にモニターを展開して、チーム組み分けとポジションを表示した

 

 

「あ、俺の分も決まってるんですね」

 

「うん。一応すぐに参加できるようにって思って」

 

 

俺だけでなく高町一尉は全員分の振り分けを行っていた

 

 

「しかし、定石通りですか」

 

「にゃはは、自然とね。こうなっちゃうみたい」

 

 

まぁポジションのハッキリしている戦闘スタイルの奴が多いからな

 

俺が考えてもきっと似たり寄ったりの組み合わせになったはず

 

 

「イクスちゃんとかキャロは悩んだんですよ? 二人とも全ポジションを任せられますから」

 

「イクスの場合は一人で一チームでも十分な訳ですしね」

 

 

練習会では、一応実力の差を考えて出力リミッターをそれぞれに応じて掛けるのだが、イクスの強さは根本的な経験の裏付な為、魔力制限等で縛り辛い

 

 

「キャロの場合は・・・それでもあの子はフルバックでしょう?」

 

「ん~執務官で単独戦闘の経験もあるから、たぶん接近もできるはずなんだよね」

 

「それも、そうですね」

 

 

言われてみれば納得せざる得ない理由ですね

 

とは言え、やっぱり接近スタイルのスバル生徒などに比べたら劣る部分があったのだろう

 

 

「俺はガードウィングですか」

 

「うん、雨水さんはそこかなって」

 

「まぁここですよね」

 

 

味方へのサポートと一撃離脱の奇襲

 

必要とされるスキルの適正としては妥当なポジション

 

 

「雨水さんは参加するんですか? キャロが心配してたから、私も説得しようかなぁって思ってるんですけど」

 

「あ~そうですねぇ・・・フェイトさんに説得されたら誰でも嫌とは言えませんね」

 

「そうかな?」

 

 

相手を不快にさせずに交渉事を進めるなら、フェイトさんは結構適任な人物だと思う

 

元々の物腰とか雰囲気が柔らかいからね

 

 

「別に頑として嫌な理由があった訳でも無いですからね・・・誘われッ」

 

 

何かが飛んできた

 

 

「にゃーッ! あきパパ! それだめぇぇ~!!」

 

 

痛みは無かったが視界が塞がれてしまう

 

どうせタオルだろうと思い、乗っかっている物を取った

 

 

「ヴィヴィオ。取りあえず返した方が良いか?」

 

「ぅぅ、いいからぁ」

 

 

恥ずかしそうに屈んで浸かっている状態なので何も見えないが、俺が手に持っている物がヴィヴィオの体勢の全てを物語っている

 

 

「暴れるからだぞ。はい、アインハルトちゃん。悪いけどヴィヴィオに渡して?」

 

「えと、はい、分かりました」

 

「しかし恥ずかしがる必要あるのか? 別に見知らぬ他人がいる訳でもないのに」

 

 

涙目で睨んでくるヴィヴィオ

 

 

「むぅ~・・・だったら、あきパパも腰のタオルとってよ」

 

 

姉に負けたからって父に矛先を向けるな娘よ

 

言うまでも無いが、イクスがヴィヴィオに追い討ちを掛け始めたので、のぼせない内に出るように注意をして他の場所を巡ることにした




アインハルトは、まだヴィヴィオとイクスの掛け合いに慣れてないので終始オロオロとしていました

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