異世界旅行二日目
一日もあっと言う間に過ぎてしまい、ルーテシアのお持て成しフルコースをみんなで食べていた
・・・いや、正確にはみんなじゃない。二人欠けている
「遅いね」
「ぶぅーこんな事だったらヴィヴィオが呼びにいけばよかった」
ヴィヴィオは膨れっ面になりながら出された食事に一切手をつけていない
最初は雨水さんが来るまで待つって言ってたんだけど、イクスちゃんが呼びに行ってもう随分経った
「寝付いちゃってるのかもよ」
「ん～、でもぉー」
如何しようか迷っていると隣のフェイトちゃんがアドバイスをくれる
「あと十分待って来なかったら食べたら？ 一応私からも端末に連絡入れてみるね」
「ん～、うん」
この後も結局雨水さんとイクスちゃんは来る事は無く、ヴィヴィオは少しだけ不満そうにしていた
星がポツポツと見える時間になってきたので、イクスちゃんが星見に使う場所に行く事にした。もしかしたら居るかもしれない
「困ったね」
「はい、困りました」
予想通りイクスちゃんはそこに居た
しかし、雨水さんとでは無く、知らない男の子と一緒に・・・
「イクスちゃんと・・・えと」
声を掛けると二人は気付き、男の子は軽く頭を下げて、イクスちゃんは普通に嫌そうな表情をした
「ん？ ああ、高町一尉。すみません、夕食をご一緒出来ずに」
「い、いえ・・・え？」
あれ？ 私の事知ってる？ 会った事、無いよね？
「・・・やはり居ません」
「チッ、地下にでも潜ってやがるのか？」
「未開地にもマリアージュの索敵範囲を広げてみますね」
「よろしく」
それにしても、あのイクスちゃんが雨水さん以外と親しげに会話してる？
普段からは絶対考えられない状況に少し混乱なの
「あ、そうだ。高町一尉、ウルの奴を見ませんでした？」
「ウルちゃん？ まだ一回も見てないかな」
「そうですか」
男の子は端末を取り出して・・・あれ？ あのキャロが待ち受けの端末って雨水さんのだよね？
「あ、あの」
「はい、なんでしょう」
「雨水さん、だったり？」
首を傾げる
そしてイクスちゃんと私と交互に見て手を打った
「ああ！ そうですよね。普通は気付きませんか・・・はい、こんなですけど雨水秋春です」
「えと、なんで、ヴィヴィオ達みたいな・・・子供モード？」
リーチとかが短くなって戦闘では使えないから使わないけど、基本は同じ魔法だから出来ない事はない
「違います。決して好き好んで子供に戻りたいとか思った訳ではありません」
「そうなんですか？」
「そうなんです。恐らくウルの作った物を飲んだのが原因らしいんですが・・・後続組の話によると、ウルも次元船の中に居たみたいですし」
「すみません、私の不注意で」
「いや、イクスは悪くないよ。素人目じゃ見分けが付かない感じだったからね」
ウルちゃんのかぁ
開発部で作った物は殆ど実戦に使われてきているし、その技術を考えれば見た目だけ子供に戻すなんて不可能じゃないよね
「永続的な物なんですか？」
「いえ、それが・・・俺のレアスキルも全て使えなくなってるみたいで」
雨水さんのレアスキルといえば、確か情報の視覚化。でも、全てってなんだろう？
まるでそれだけじゃないみたい
「・・・ウルちゃん。見付かりそうですか？」
「見付かりますよ。いま探していますし・・・なにより、自分の発明品が成功したんですからタイミングを見て勝手に出てきますよ」
あーそれは何と無く分かるかも
「まぁ恐らく・・・あと二、三人くらいは同じような手で子供化しますから。高町一尉も気を付けて下さい」
「うん、皆にも伝えておくね」
「どうもです」
いつもと同じ仕草なのに男の子の雨水さんがすると、やっぱり違和感なの
フェイトちゃんとキャロが、目をキラキラさせる姿が頭に浮かびながら、私はその場を後にした
ショタ雨水