召喚少女のリリカルな毎日   作:建宮

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二十九話~side 雨水~

前回のあらすじ

 

本局にて簡易的な報告書と始末書を書き終え自然保護に帰る→するとすぐにおっちゃんに出会って夜間の警邏を頼まれる→割と軽い気持ちで承諾→で現在に至る

 

夜間警邏とは。ようは密猟者は昼夜待ってくれないので当然夜間の間も警戒を怠る訳にはいかないと言う訳での仕事なのだが

 

 

「真っ暗だな」

 

「よる、ですからね」

 

 

森の夜は俺の予想を遥かに超えて暗黒だった

 

 

「じつ言うと俺って暗いの苦手なんだよね」

 

「何となく感じます」

 

 

それにしても昔の人は木をお化けと勘違いしたそうだけど仕方ない! 本当になんかお化けの類に見えそうだもんな

 

ゆらゆらとマジ恐えぇ

 

 

「帰りたい」

 

「あと少しです」

 

「大体誰もこんな夜中に来ねぇって」

 

「そう言うとやってきそうだから止めてください」

 

 

確かにセリフ的にフラグっぽいか

 

お化けか密猟者か・・・どっちも会いたくはないな

 

 

「わたしより恐がってどうするんですか」

 

「キャロ。あのな? 幾つになっても恐いモノは恐いんだ」

 

「あれなんですか? 雨水さん」

 

「木だ! 木に違いない! むしろキャロの目が悪い!」

 

 

一瞬キャロの怒りが沸点に達した気がしたが気にせずに手を掴みその場を走り去った

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

「まったく! あれが密猟者だったらどうする気なんですか! 雨水さん!」

 

「キャロ、俺らは何もなく見回りを終わらせた。OK?」

 

「いっぺん一人で行ってみます?」

 

 

キャロが黒い! いまはフリードもシロもいないから物理的攻撃はないだろうけど何だかそれ以上にくるモノがある

 

 

「さ! わたしがついてますから見に行きますよ!」

 

「いやーもうキャロ一人で行くって選択はないかな?」

 

「女の子一人を暗い森にほうり込むつもりですか」

 

「・・・だよなー」

 

 

俺としては一向に構わないがそれを自然保護隊の皆にバレるとやばい。ガチで一週間くらい一人夜間勤務になりそう

 

 

「キャロ、話がある」

 

「聞きましょう」

 

「明日プリンとケーキ買ってくるから今日は止めよう」

 

「・・・だ・・・だめ、ですよ?」

 

 

あ、意外と揺らいだ

 

流石に確りしていてもまだまだ子供か

 

 

「こっちはそう言った店はないからな~最近食べてないだろ?」

 

「だ、だからなんですかっ、駄目ですよ!しごとは妥協しません!」

 

「んん? だがお前の見間違いだった可能性もあるよな?その可能性で話を進めるだけで甘い物が手に入るんだぜ?」

 

「うぐぐ」

 

「さぁさぁお年頃のキャロちゃん。甘いケーキは食べたくないかい?いまならアーンってしてやるよ?」

 

「くぅぅ」

 

 

何でそこで拳を握るのかが俺にはサッパリ理解出来ないがこれならイケる!

 

何だかプルプルと震えて前に大人キャロからくらった魔力パンチを思い出しそうになるけどいまは余裕の態度を崩さないようにしないと

 

交渉事の基本は余裕のポーカーフェイス

 

 

「しょ、しょうがないですね! わたしは何も見なかった! これで良いんですよね!!」

 

 

うし! ハラペコキャロの攻略なんてこんなもんよ!

 

 

「何かムカつく事をおもわれた気がします」

 

「気のせいだ。さ、帰ろう」

 

「恐がりな雨水さんのために手をつないであげますよ」

 

「そりゃありがたいね」

 

 

初めての夜間警護は何の事件も無く平和に終わった

 

・・・とは問屋が卸さなかった

 

 

「見張っていた、だと?!」

 

「当たり前だろうが、新人の、しかもお前等みたいな若いのを二人だけで行かせる訳ねぇって普通に考えたら分かる事だ」

 

 

後日、自然保護隊の女性陣には自腹で甘い物をご馳走する羽目になり男性陣には雑用係りとして扱き使われた

 

・・・俺だけ

 

え? キャロは? 共犯だよね?




そろそろ時系列的に原作へのカウントダウン。と思いながら、まだ長かったりです

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