召喚少女のリリカルな毎日   作:建宮

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三百三話~side 雨水~

前回のあらすじ

 

三日目→寝起きにヴィヴィオ→どうやら姉を退かしたらしい→ウルの思惑について→ともかくまだ何かあると言うのが俺らの見解→その後は打って変わってイクスが暴れまわった

 

旅行八日目

 

あれから捜索空しくウルの発見は未だに適っていない

 

まぁ本当は焦るところなんだろうけど、長期休みと言う事もあって焦らず子供モードを色々確かめた

 

そして今日は高町一尉とフェイトさんの過去話を収録した映画を見る予定だった

 

スクリーンにウルが登場するまでは・・・

 

まったく、なんの脈略も無く、段階を追って説明しないところは実に父親譲りだよな

 

 

「ぅ、ぅぁ」

 

 

おかげで現在、高高度落下の影響で倒れ伏していた

 

 

「しかし、本当に此処は特異点なのではなかろうな?」

 

「あれぇ? あっきーだ! んん! って事はあっきーが落下物?」

 

「らしいな。おい、我の前で気絶するでない」

 

 

頭上で声がするのは認識できるが、返事する余力は無い

 

殆どウルのせいだ

 

いや、殆どじゃないな。間違いなく、全責任はウルにある

 

 

「聞いておるのか、調略師・・・はぁレヴィ」

 

「ん~? なに? 王様ぁ~」

 

「運べ」

 

「いいの?」

 

「まぁこれも縁だ。それに、シュテルがこやつを好いていたからな」

 

「はぁーい」

 

 

そこまで聞いて完全に意識を手放した

 

それから幾時間か経って、俺は食事の匂いに釣られて目を覚ました

 

 

「アキハル。目を覚ましましたか」

 

「・・・おはよ・・・ございます?」

 

「お早う御座います」

 

 

幼少時代の高町一尉

 

ん、って言う事は時間航行は無事成功なのか?

 

 

「落下衝撃緩和魔法の耐久性に問題があったらしいですよ。時間航行で磨り減ったと言うのがキリエ達の推察ですね」

 

「・・・そう、なんですか」

 

「相変わらずの強運に感服です。おや? 視線が余所余所しいです」

 

 

高町一尉は、俺の寝かされているベットに腰をかけて、持っていた食事を隣接しているテーブルにおいて覗き込む

 

それにしても・・・子供の頃は無表情な子だったんだろうか

 

 

「あの、ここは?」

 

「惑星エルトリアです」

 

「・・・エルトリア・・・あ、助け。有難う御座います」

 

「いいえ、助けたのは我らが王です」

 

 

惑星エルトリア? それに王?

 

あれ? 高町一尉の故郷って海鳴市って情報だったと思うんだが。子供頃は住んでいた場所が違う?

 

 

「もしや。一つ確認させて頂いても?」

 

「どうぞ」

 

「貴方は私の知るアキハルですか?」

 

「いや、知らない秋春だ」

 

 

即答

 

反応も早く、高町一尉はショックを受けた様に顔を俯かせた

 

一拍間をおいて顔を上げる

 

 

「そうですか。ご飯は」

 

「もらう」

 

「では。食べてもらいながら、現状の確認と情報の交換をしましょう」

 

「ああ」

 

 

説明終了

 

とりあえずこの子は高町一尉じゃないらしい

 

紫天の書の端末で、モデルが高町一尉なだけの別人らしい

 

 

「ふぅん。って事は、シュテルちゃん達と俺は共闘の仲だった訳か」

 

「ええ、あの時も貴方は空から降ってきました。懐かしい記憶です」

 

「そうか、まだ未経験だけど覚悟はしておくよ」

 

「落下型ヒロインのですね」

 

 

いや、そんな覚悟は生涯しないと思うけどね

 

 

「なんで俺がヒロインなんだよ」

 

「私の攻略対象だからです」

 

「・・・残念だな、俺は攻略不可キャラクター。他をあたれ」

 

「困ります。貴方以外に攻略対象はいません」

 

 

最初は固いイメージのシュテルちゃんだったが、結構冗談が好きな性格と言う事が分かった

 

いまも楽しんでる雰囲気がある

 

確かに高町一尉とは別人だな

 

 

「・・・犬耳も付けますよ? わん」

 

 

そう言って頭に嵌めたのは、茶色の毛の犬耳だった

 

しかもアレはたぶん安物じゃ無いな

 

 

「別に求めてないからな? だいたい俺を犬耳好きと思っていたのか」

 

「いえ、猫耳でも満足していた様子でしたので。恐らくは獣耳が需要なのかと」

 

 

唐突にシュテルちゃん達と行動した俺を殴りたくなった

 

可愛いのには賛同するけど

 

こてんと首を傾げながら、わん。と可愛く追撃される

 

 

「け、獣耳は・・・忘れて良いよ」

 

「そうですか。私も状況を掴めましたので、王達に紹介したいと思いますが」

 

「よろしく」

 

 

真面目な話は最初の数分だけだったよな

 

いまので何の状況が分かったのか凄く気になる

 

今後の方針を決めながら、俺はシュテルちゃんの後ろをついていった




落下型ヒロイン雨水

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